Side:遊里
取り敢えず、妖怪ピエロは確保完了なんだけど……アタシは一体何処から突っ込みを入れればいいのかしら此れは!?
この妖怪ピエロが妻子持ちだった事か!?それとも、子供どころか奥さんまでコイツと同じ顔してるって事か?或は、コイツ如きが治安維持局の
副長官を務めてるって言う現実にか!?
さて、アタシは何処から突っ込むのが正解でしょうかジャック!!!
「知らん。――いっその事、お前の気のすむまで突っ込みまくって、気が済んだらトリプルエースで吹き飛ばしてしまえ。
必要な情報が得られれば、ソイツには大した価値もない……治安維持局の副長官が死去したとなればメディアも騒ぐだろうが、直ぐに新しい
副長官が現れて、その騒ぎも沈静化するだろうからな。」
「言われてみりゃそうだね。」
んで、いい加減吐いて貰おうかしらイェーガー?アンタとイリアステルがどんな関係にあったのか……そして、何でアンタが連中の手駒になって
居るのかって言う事を、包み隠さず話して貰うわ!!
因みにその椅子、うそ発見器と連動してて、アンタが嘘ついたらその瞬間に、10万ボルトがぶっ放されるから、その心算で居てね――OK?
「良いでしょう、此処までされて何も語らないと言うのは、名が廃ります!
私の持っている情報は、極めて少ないモノですが、其れでよけれは、貴女達に進呈しましょう!――これが、今の私の取るべき道ですから!」
ならOK――聞かせて貰うわよイェーガー、アンタとイリアステルにどんな繋がりが有ったのかって言う事をね!!
異聞・遊戯王5D's Turn143
『S級プロテクト?それが如何した!』
んで、知ってる事を話し始めさせたんだけど……此れはそろそろプッツン行っても仕方ないんじゃないかな?てか、行くべきだよね此れは?
この妖怪ピエロ、自分の人生の不幸譚を、まるで一世一代の英雄譚の様に語ってるだけで、全然核心には触れてないじゃない!!――或は
イリアステルを恐れているのかも知れないけど、その程度でアタシ等を誤魔化せると思ったら大間違いよ?
シェリー……殺れ。
「了解!!」
――ズパァァァァァァァァァァァァ!!!
「ひぃ!!!」
これぞ、シェリーの必殺技である『カードカッター』よ妖怪ピエロ!
もっと言うなら、この必殺技は、伝説のデュエリストである『海馬瀬人』が開祖故に、此れを極めた者のカードカッターは鋼鉄すら両断するって言
われてるのよ?――大人しく往生せいやコラァ!!!
「わ、分かりました!分かりました!!今度こそ全てを貴女達に話します!!!」
「最初からそうしてればいいのよ妖怪ピエロ………んで、アンタは一体何を知ってるって言うのかしら?其れを詳細に教えて欲しいわね?」
「コホン……実を言えば、私達一族は、路頭に迷っていた所をイリアステルに拾われた故に、イリアステルに直結する情報は他者に譲渡できな
いようになっているのです。
ですが、何時何処で誰が誰と会っていたか、程度の事は、確りと記憶していますよ。」
誰とか……その辺から攻めて行っても何か出るかも知れないわね?
で、連中はどんな人と会っていたって言うの?あくまで予想の範疇だけど、其れなりに『力』のある人物とコンタクトを取ってたんじゃないかしら?
「流石、慧眼ですね上条遊里。
貴女の言う通り、彼等は力のある人物たちとコンタクトを取っていました。財力、権力、戦力と『力』の種類を問わずにです――私の知る限り、
最も大きな『権力』との接触は、ゴドウィン前長官でしょう。」
「「「ゴドウィンが!?」」」
ゴドウィンがイリアステルと……いや、有り得ない話ではないわね。
イリアステルの奴等は、今のこの世界を破壊すると言っていたし、ゴドウィンの目的もこの世界を地縛神の力で破壊した後に、赤き竜の力で再
生する事だった訳だから、其処には利害の一致が有ったとしてもオカシクないわ。
「まさかゴドウィンがな……だが、奴はもうこの世にはいない。
貴重な情報ではあったが、死人に口なしと言うように、既に没した者がイリアステルと会って居た等と言う情報が出てきた所で今更だ、『舌魚
』程の価値も無い。」
「ジャックの言う通りだな?その程度の情報じゃ満足出来ねぇぜ……今生きてる奴で、イリアステルと会ってる大物は居ねぇのかよ?」
「居るには居るのですが、その人物は背後からしか見た事が有りませんでしたし、その時の記録はトップシークレットとして治安維持局のS級プ
ロテクトがかけられているサーバーに保管されているから分からないのです。
『財力』『技術力』と言う言葉が聞こえたので、恐らくは何らかの大型企業の重役、或は社長であるとは思うのですが……」
ふ~~ん?中々真面な情報が出て来たじゃない。
なら、其処まで分かれば上等ね――治安維持局のメインデータバンクにハッキングかけて、S級プロテクトを突破すれば良いだけだからね。
てか、アタシと衛遊の手に掛かれば、治安維持局のデータバンクのファイヤーウォールを突破するのなんて朝飯前だし♪
「堂々と犯罪行為をやると宣言しないで頂けますか?」
「大丈夫、深影さんに連絡取って、容認して貰うから。」
「まさかの官民癒着!?」
「いや~~、公務員に知り合いがいるって助かるわ~~~♪」
「思い知ったか妖怪ピエロ!此れが遊里の人脈、そして権力(の正しい使い方)だ!!」
「身も蓋もございません!
ですが、例えファイヤーウォールは突破出来ても、S級プロテクトのサーバーへのアクセスは簡単ではありませんよ?
S級プロテクトのファイヤーウォールは、通常の物ではなく、電脳空間でデュエルロボとのデュエルに2連勝しなくてはなりません、其れも異なる
デッキで1勝ずつの2連勝でです。
加えて、デュエルロボのデッキには禁止カードが投入されているうえに、挑む側は1ターンで相手のライフを0にしなければならないと言う制約
付きのデュエル……幾ら彼方達でも、此れを突破するのは困難です!!」
成程、凄腕ハッカー程度じゃ突破出来ないって訳ね?
ハッカーの能力に加えて、デュエリストとしても相当な力を備えてないとアクセスは出来ないって訳か……取り敢えず、S級までの道突破完了!
「早すぎますよ!?」
「自慢じゃないが、俺と遊里の演算能力を合わせれば、スーパーコンピューターにだって負けないんじゃないかと思うぞ?
確かに生易しい物では無かったが、この程度のファイヤーウォールならば、俺と遊里が組めば5分も有れば突破出来るさ。」
「嘘でございましょう!?」
「残念ながら現実よ。
と、出て来たわねS級プロテクトサーバーの番人が……コイツに2連勝しないとならない訳ね?」
「なら、此処は私にやらせてくれないか遊里?
相手が禁止カードを入れていたとしても、通常のデュエルならばお前が勝つだろうが、1ターン以内に相手のライフを0にしなければならないの
ならば、攻撃力3000のカオス・ソルジャーを大量展開できる私の方が、適任だろうからね。」
アイン……確かにそうかもね?
アタシも速攻展開は得意だけど、アタシのトリプルエースの攻撃力は2500だから、相手のモンスターによっては、1ターンでライフを0にするのは
厳しいかも知れないからね。
じゃあ、1戦目は任せるわアイン!
「あぁ、任された!!行くぞ!!」
「「デュエル!!」」
アイン:LP4000
デュエルロボ:LP4000
電脳空間にアインの姿が現れてデュエルスタート。……先攻は絶対にデュエルロボって辺りにも、プロテクトの強固さがうかがえるわ。
『ワタシノターン。エイゾクマホウ『禁止令』ヲハツドウシ、『死者蘇生』ヲシヨウフノウニシテイ。
カードヲ1マイセットシ、『処刑人マキュラ』ヲコウゲキヒョウジデショウカン。』
処刑人マキュラ:ATK1600
『コレデ、ターンエンド。』
禁止令は兎も角として、処刑人マキュラ……行き成り禁止カードかよ!!いや、『禁止令』は別の意味で『禁止』カードと言えるけど。
となると、あの伏せカードも禁止カードである可能性があるけど、その程度じゃアインは止まらないわ……伝説の剣闘士の操り手のアインはね。
「行き成り禁止カードで牽制している心算か?……だが、その程度では私は止められないさ。私のターン!
手札から儀式魔法『カオスの儀式』!手札の『極夜の騎士ガイア』と『白夜の騎士ガイア』をリリースして儀式発動!
一つの魂は光を導き、一つの魂は闇を誘う。そして2つの魂は、カオスの力を呼び覚ます!!儀式召喚!現れよ『カオス・ソルジャー』!!
『ハァァァアァァァァァァァアァァァァァアッァァァッァアァ!!』
カオス・ソルジャー:ATK3000
「更に、墓地の極夜の騎士と白夜の騎士の2体をゲームから除外し、『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』を攻撃表示で特殊召喚!!」
『デヤァァァァァアア!!』
カオスソルジャー-開闢の使者-:ATK3000
相変わらず早いわね?
尤もこの展開の為に手札を大分消費したけど、アインなら其れも計算に入れてるだろうからね。
「魔法カード『天よりの宝札』!この効果で、私とお前は、手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。
そして開闢の使者の効果を発動し、処刑人マキュラをゲームから除外する!!如何にマキュラと言えど、除外されてしまってはその効果は発動
しないからね。」
『ム……』
「そして、此れでお前のフィールドを護るモンスターは居ない……終わらせてやる!!
魔法カード『融合』を発動!手札の『沼地の魔神王』とフィールドの『カオス・ソルジャー』を融合!
最強の龍と、伝説の戦士が今此処に交わる。全てを薙ぎ払え、融合召喚!現れよ『究極竜騎士』!!」
『デヤァァァァァアァァ!!』
『グオォォォォォォォォ!!』
究極竜騎士:ATK5000
アインのデッキ最強モンスターが来た此れ!!――此れは決まったわね。
「バトル!究極竜騎士でダイレクトアタック!『ギャラクシー・クラッシャー』!!」
『トラップハツドウ『聖なるバリア-ミラーフォース-』。コレデ、アナタノモンスターハゼンメツデス。』
「甘い!手札から速攻魔法『我が身を盾に』を発動!
ライフを1500ポイント払い、フィールド上のカードを破壊する効果を無効にして破壊する!よって、ミラーフォースは無効になる!!」
アイン:LP4000→2500
デュエルロボ:LP4000→0
と言う訳で決着!!
でも、このデュエルは異なるデッキで2回勝たないとだから、次はアイン以外の誰かが挑まないとなんだけど……
「ならば、次のデュエルは俺が受けてやる!!」
「ジャック!……なら、任せるわよ?」
「任せておけ!俺のデュエルは、デュエルロボ如きで止められるような柔な物ではない……王者のデュエルを、その身ももって知るが良い!」
「「デュエル!!」」
ジャック:LP4000
デュエルロボ:LP4000
ジャックなら、此れ位は簡単に蹴散らせるだろうから、本気でブチかましちゃってOKよ!!
――てか、絶対王者の威厳たっぷりに、焼き尽くして良しだから、そもそも手加減なんて言う物は存在してないんだけどね!!
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んで、デュエルが始まったんだけど…
「レベル8の煌魔龍 レッド・デーモンに、レベル2のライト・リゾネーターをチューニング!
混沌をも制した孤高の王者、真なる魔王として、天下無双の力を示せ!シンクロ召喚、焼き尽くせ『煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス』!」
『バオアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス:ATK3500
ジャックが1ターン目からレッド・デーモン・ハデスを召喚して来たわ……レッド・デーモンの効果で、相手モンスターを全滅した上でね。
しかも、事前に『クリムゾン・ヘル・サーペント』の効果で、相手フィールド上の魔法と罠を完全滅殺した上での此れだからね……誰が如何考えて
も、ジャックの勝ちは揺るがないわね。
「レッド・デーモン・ハデスは、シンクロ召喚に成功した時、俺の墓地のチューナー1体に付き、攻撃力を200ポイントアップする!
俺の墓地のチューナーは合計3体!よって攻撃力は600ポイントアップする!」
煌魔龍 レッド・デーモン・ハデス:ATK3500→4100
「此れで終わりだデュエルロボ風情が!!
レッド・デーモン・ハデスで、プレイヤーにダイレクトアタック!!『アブソリュート・ヘル・クラッシュ』!!」
『バオォォォォォォォォォォォォォォ!!!』
――ドガァァァァァァァァァァァァァアァァァァン!!!
デュエルロボ:LP4000→0
はい決着!
確かに厳しい条件だったけど、アタシ達『チーム5D's』が誇る『超攻撃型デッキ』の使い手が相手では、禁止カードも大した制限にはならなかった
みたいね?……てか、此れなら、もっとセキュリティ強化しろってのよ。
まぁ、其れは兎も角、此れでS級プロテクトが掛かっていた情報へのアクセスが出来るようになった訳だから、容赦なく絞り出してやろうじゃない?
徹底的にね!!!
「遊里、主人公がなってはいけない顔になっているぞ?」
「ちょっと悪入った、ダークヒーロー系女性主人公は人気が有るから問題ないわよジャック?」
「そうか……ならば問題あるまいな。」
「何の話してんだお前等?」
何だろうね?……こう言っちゃなんだけど、アタシにも分からないわクロウ!
だけど、S級プロテクトの情報は引き出せた……思ったよりも、S級プロテクトの情報は多いけれど、『財力』と『技術力』の両方の条件を満たして
居るのは、たった1社だったからね。
「何処のどいつだ?イリアステルに手を貸した愚物は?」
「イリアステルと接触してたのは、モーメントエクスプレスの現社長だったみたい……此れは、流石に予想してなかったわ――!!」
「モーメントエクスプレス!!……して、如何する心算だ遊里?」
決まってんでしょ?モーメントエクスプレスに乗り込んで、連中が持ってるデータを残らず吸い出してやるわ!!
だから、覚悟しておきなさいモーメントエクスプレス……無敵女帝が、アンタ達の後ろ暗い裏取引の実態を明らかにしてやろうじゃないの!!!
悪いけど、アタシ達が突入したその時に、アンタ達はトップ企業から、底辺企業になるから、其れを覚悟しておく事ね!!
To Be Continued… 
登場カード補足
クリムゾン・ヘル・サーペント
通常魔法
自分フィールド上に「レッド・デーモン」シンクロモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
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