Side:遊里
待ちに待ってたわこの日を!
今日は、コアな人気を誇りながらも、僅か1ヶ月で販売が打ち切られた、伝説のカップラーメン『レッドアイズ・ブラック・ヌードル』の再販日だわ!
唐辛子を練り込んだ真っ赤な麺と、イカスミ仕立ての濃厚な黒いとんこつスープの組み合わせは正に最強のカップラーメン!!
付属の『後入れ激辛スパイス』を入れる事で、その辛さは更に昇華して、『食べれば口から黒炎弾』のキャッチフレーズも本当になるモノだから。
「要は口から火を噴くほどの辛さと言う訳か……今更かも知れんが、そんな強烈な刺激物を食していると、胃が荒れるぞ遊里?」
「心配ご無用よジャック、アタシの胃袋はオリハルコンとミスリルとドラグライト鉱石の合成物よりも頑丈だから、此の位じゃダメージにならないわ。
って言うか、此の位でダメージ受けてたら言峰麻婆とか、辛さ5倍のカレーとか食す事出来ないからね?」
「その意見に思い切り納得してしまったわ俺は!!」
でしょ?
って言っても、後入れ激辛スパイス入れなければ、チョイ辛のイカスミスープの唐辛子麺に過ぎないから、激辛党じゃなくても食べられるカップラ
ー麺である訳なんだけどさ。
兎に角、今日限りの限定再販だから、取り敢えず5個は確保したい所――
「キシシシシ……これは、美味しそうですね?」
と思ってたら、なんか聞き覚えのある笑い声――って、アンタゴドウィンの部下で、今の副長官である妖怪ピエロ、もといイェーガーじゃないの!
最近見ないと思ってたら、こんな所で出会うなんて、何してんのよアンタ?
異聞・遊戯王5D's Turn142
『重要Mission!妖怪ピエロを捕獲しろ!』
「ゲゲゲ、上条遊里!そしてジャック・アトラス様!!何故此処に!?」
「何故って、限定再販のカップ麺買に来たのよ?一人5個までだから、ジャックにも来て貰ったって言う訳よ――アンタこそ、何してんのよ?」
「随分と姿を見ないと思っていたが、こんな所で会うとはな。
貴様が今どんな状況に置かれているかなど、如何でも良い事だが、治安維持局の副長官と言うのならば、俺達の知らない事……イリアステル
の事を知っている可能性は極めて高い……此処で合ったのも良い機会だ、知っている事を吐いて貰おうか?」
「ひぃ、イイイ、イリアステルゥ!!?そそそ、そんな事をしたら、私の命が無くなってしまうのです!!
此処は、三十六計逃げるに如かず――サラバです!!」
――ボウン!!
のわぁ!?此れは……古典的な手だけど煙玉ぁ!?
しかもかなりスモークが濃く出るように改造してあるわ……これじゃあ、先が見通せないじゃない!!――やってくれるじゃない妖怪ピエロが!
だけど、こんな事をしたって事は、アンタが何か重要な事を知っている事の裏返しでしかないわ……だから、絶対にアンタを捕まえて吐かせる!
アンタが逃げ果せられる可能性はコンマ1%も有り得ないわよイェーガー?
チーム5D'sの包囲網からは逃げられない……其れをその身で味わって貰いましょうかねぇ?
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と言う訳で翌日、妖怪ピエロ捕獲の為の作戦会議――なんだけど、如何して居るのシェリー?其れとミゾグチさんも。
「その作戦、私も一枚かませて貰おうと持ってね。」
「其れは良いけど、なんで?」
「イリアステルの事を調べて行くうちに、現治安維持局副長官であるイェーガーがイリアステルと、何らかの関係を持っている事が判明しまして。
なれば、イェーガーを問い詰めて知っている事を吐かせる事が出来れば、お嬢様のご両親の仇を討つ事も出来ますので。」
「成程ね。」
昨日の反応で何となくそうじゃないかと思ってたけど、あの妖怪ピエロ、やっぱりイリアステルと繋がりがあったのね?
って言うか其れを踏まえると、今の治安維持局の長官は、イリアステルに属する誰かの可能性が高い――と言うより、十中八九そうでしょうね。
OK、力を借りるわシェリー、ミゾグチさん。こう言う作戦は仲間が多い方が良いからね。
「其れじゃあ作戦を話す前に、鬼柳の方は首尾は?」
「問題ねぇな。義村組は全面的に協力してくれるそうだ。
其れこそ、シティのあちこちに組員を配置して、シティの外には逃げられねぇ様にしてくれるってよ――組の自家用ヘリも使ってくれるそうだ。」
「其れは有り難いわね……今度親分さんに、菓子折りもってお礼に行かなきゃ。
クロウの方は如何?」
「言わずもがなだ。デリバリー業やってる俺が知らない道はシティに存在しねぇ。野郎が何処に逃げても、必ず追いかけてやるぜ!!
だけどその為には、アイツに『其れ』をくっつけなきゃならねぇから、しくじんなよアイン?」
「任せておけ、こう見えて射撃は百発百中の腕前なんだ。」
OK、準備は万端ね。
それで作戦なんだけど、此処はオーソドックスなおびき寄せ作戦で行こうと思うの。
前に、アイツが此処に忍び込んでデータ盗んだ時にカップ麺勝手に食ってった事と、昨日の限定カップ麺を買いに来てた事を考えるに、アイツは
無類のカップ麺好きと見て良いだろうと思うのよ?
だから、偽の『新しいカップ麺発売イベント』を行って、アイツをおびき寄せて、そんでもって其処を捕らえるって訳よ。
「おびき寄せ作戦……悪くないとは思うけれど、果たして来るかしら?」
「絶対来るよ。
行方暗ましてる分際で、其れなのに見つかる危険を冒してまで、昨日の限定販売に現れたって事は、カップ麺好きとして外せない物だった言う
事の証明だしね。」
「成程ね。」
アイツなら絶対来るわ。――昨日アタシ達に見つかったのが運の尽きと思って諦めると良いわイェーガー。
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と言う訳で、おびき寄せ作戦開始ぃ!
さぁさぁ、今宵は新発売のカップ麺『コク旨レッド・デーモンヌードル』『エンシェント・フェアリーの愛情カレーヌードル』『濃厚!ブラック・フェザーの
黒豚骨』3種の発売イベントに集まって下さりありがとうございまーす!
試食は元より、即売会も開催しておりますのでどうぞご利用ください!
更に、此れがこのイベントの最大の目玉――『カップラーメンマンとのデュエル大会』!
最強のデュエリスト『カップラーメンマン』とのデュエルに勝利した方には、新発売のカップ麺3種をそれぞれ1ダースずつプレゼント!
「ガッデーム!かかって来いやオラァ!!!!」
あはは、ノリノリね牛尾?
牛尾は巨漢な上に、声も低めだから、イベントでの悪役系キャラにはピッタリだと思って頼んだんだけど、予想以上に嵌ってるわね此れ♪
カップ麺の着ぐるみ着て、露出してる足と腕には、夫々レガースとエルボーガード、で顔にはペイントしてグラサンかけて、髪はオールバック!!
うん、いっそ特撮系の敵として出しても恥ずかしくない出来だわ此れ。
だけど何でペイントがグレー○・ム○?
「ファンなんだよ俺は。」
「其れじゃあしょうがないか。」
さて、イベントが始まった訳だけど、果たして喰いついて来るか……
「では、私が挑戦させて頂きます!合計3ダース、36個のカップ麺は見逃せませんので!!」
って、来たよ!
サングラスで目元隠してるけど、其れで変装した心算なの妖怪ピエロ?ハッキリ言って、その奇妙奇天烈な髪型で丸分かりだって言うのよ!!
アイン!
「合点承知!」
――パスン!
OK、発信機を取り付ける事は出来たわね。
さてと、飛んで火にいる夏の虫、カップ麺に惹かれた妖怪ピエロ、ソロソロ年貢の納め時よ?って言うか、こんな手に引っ掛かるとか馬鹿なの?
「げぇぇぇ、上条遊里!と言う事は、このイベントは……」
「アンタを誘き出してとっ捕まえる為の罠に決まってんでしょ?――まんまと罠に掛かってくれて嬉しいわよ妖怪ピエロ。
さてと、大人しく掴まって貰いましょうか?」
「そ、そうは行かないのです!!」
また煙玉?悪いけど、アタシは同じ手に二度も引っかかるような間抜けじゃないのよ!!どぉぉりゃぁぁ、ランディ・バース!!!!
――カキーン!!
――ボウン
「煙玉を打ち返したぁ!?」
「こう言っちゃなんだけど、アタシはシティのバッティングセンターで、全球ホームランの記録もってるから、此れ位は雑作もない事よ?」
「きぃぃぃぃぃぃぃぃ!!ならば此れを喰らいなさい!」
――カッ!!
今度は閃光弾!
だけど、生憎とこっちはサングラスも用意してたから、目暗ましにはならないわ!待ちなさい、妖怪ピエロ!アタシ達からは逃げられないわよ!!
ブッ飛ばされてお縄になるか、お縄になってブッ飛ばされるかの二者一択……どっちか選びなさい!!
「其れは結果が同じでございます!!結局一択ではないですかぁ!!」
「貴様に選択肢があると思っているのか、この雑魚が!!」
「色々と酷過ぎる!?……ですが、かくなる上は――とう!!!」
――ギュオン!!
気球で空に逃げたか……だけどそう来るのは予想済みよイェーガー!!
此方上条遊里、上空の義村組員聞こえますか?
『OK、良く聞こえてるぜ遊里さん!』
「ターゲットが上空に逃げたのを視認。
逃がす訳には行かないので、発砲を許可します。気球だけを撃ち抜いて撃墜してください。」
『了解!機銃機動!!
このマシンガンの辰さんから逃げられると思うなよ妖怪ピエロ?――喰らいなぁ!!!!』
――ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
「にょわぁぁぁぁぁぁ!?」
うわーお、何処で手に入れたかは知らないけど、流石は世界最強の戦闘用ヘリ『アパッチ』……機銃の連射速度がハンパ無いわね。
まぁ、気球を落とすにしては、少々過剰戦力だったのは否めないけど、此れで妖怪ピエロは確保できるわ!!
でもあの高度から落ちたら、流石に死んじゃうから、お願いしますミゾグチさん。
「お任せを……でや!!」
――ポス
ナイスキャッチ!
そして此れで、妖怪ピエロは確保完了!!――さて、もう逃げられないわよイェーガー?
アンタが望むなら、此処に居る全員とデュエルして、1勝でも出来たら解放してあげてもいけど――アンタ如きがアタシ等に勝てると思ってるの?
この面子の中では、一番実力が下の龍亞でも、アンタの倍は強いわよイェーガー?……無駄な抵抗はしない方が身の為よ?
それでも戦うって言うなら相手にはなるけど……さて、如何する?
「こうなっては仕方ありません!かくなる上は……って、アレ?」
「探しモノは此れかな?」
「な、何時の間に!?」
何かしようとしてみてたみたいだけど、ご覧の通り、其れに必要なリモコンはアインが一瞬で奪い取らせて貰ったから、アンタの切り札は無いわ。
それでもまだ無駄な抵抗をするの?――其れなら其れで、アタシ達も手荒な手段に出ざるを得ないんだけど……
「止めろー!パパを虐めるな!!」
「な、何をしているのです!危険だから隠れていなさい!!」
此処でお子様登場!?
イェーガーをそのまま子供にしたような風体から、聞くまでもないかも知れないけど、此の子ってアンタの子供なのイェーガー!?
ってか、アンタ結婚してる妻子持ちだったの!?アンタが結婚してたって言う事の方が驚きだわアタシは!!
だけど其れを踏まえると、イェーガがイリアステルと繋がってたのは家族の為なのかも知れないわね?
今回の偽イベントに簡単に引っ掛かったのも、無類のカップ麺好きなだけじゃなくて、家族の食料を確保しようとしていたと考えれば合点が行く
部分もあるからね。
でも、だからこそ、知りたいわ、アンタとイリアステルが如何言う関係であるのかをね。
「これ以上の茶番は不要――話してくれるわよね、イェーガー?」
「仕方ありません…貴女達にだけ伝えておきましょう――我が、イェーガー一族とイリアステルの関係と言うモノを…私の今の立場と言う物を。」
やっぱりイリアステルと関係が有ったのねイェーガー。
なら聞かせて貰おうじゃない――アンタ達の一族とイリアステルが如何関わっていたのかという事を………嘘偽りなく全てをね!!!
因みに、嘘情報流したら、その瞬間に『ゴールドクラッシュ』する心算だから、その気で居てね?
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!誠心誠意をもって、真実のみを語らせて頂きますのです!!」
良い心掛けね妖怪ピエロ。
なら、吐いて貰いましょうか、アンタが知り得るだけのイリアステルの事を、包み隠さず全てね!!
To Be Continued… 
登場カード補足
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