Side:遊里


先攻は貰うわ、アタシのターン!!

「アタシは『鉄鋼の巨兵』を守備表示で召喚。」
鉄鋼の巨兵:DEF2000


カードを2枚セットしてターンエンド。


「守備力2000…その程度で私に対して壁を張ったつもり?
 此れは今日こそ私がアンタを倒す日かも知れないわね!私のターン!!
 相手フィールド上のモンスターが私のフィールド上のモンスターよりも多い場合、『ヴェルズ・マンドラゴ』は特殊召喚できる。」
ヴェルズ・マンドラゴ:ATK1550


やっぱりヴェルズ…先攻はアタシが貰ったけど、そのモンスターが来たとなると一概に有利とは言えないかな。
まだ通常召喚は出来るわけだからね。


「更に『ヴェルズ・ヘリオロープ』を通常召喚!」
ヴェルズ・ヘリオロープ:ATK1950


イキナリレベル4ヴェルズが2体…来るわね?


「私はヴェルズ・マンドラゴと、ヴェルズ・ヘリオロープの2体のレベル4闇属性モンスターをオーバーレイ!
 オーバーレイネットワークを構築!!エクシーズ召喚、深淵より現れよ『ヴェルズ・タナトス』!!」

『グオォオォォ…!』
ヴェルズ・タナトス:ATK2350



来たわね、ヴェルズのエクシーズ。
まぁ、其れ位して貰わないと楽しむ事は出来ないけれどね――でも、そのエクシーズ召喚がアタシにとっては好機になるのよ?










異聞・遊戯王5D's Turn14
『浸食〜Squeeze〜』










「行き成りのエクシーズは見事だけど、相手のリバースはよく考えておいた方が良いわね?トラップ発動『進撃』
 相手がモンスターをシンクロ召喚、或はエクシーズ召喚した時、デッキか墓地からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する。
 アンタのエクシーズに反応して、アタシはデッキからレベル3の『月夜のシルバー・フォング』を特殊召喚するわ。」

『オォォォォン!!』
月夜のシルバー・フォング:DEF800



「このタイミングで…けどそれが如何したの?
 どっちのモンスターも、ヴェルズ・タナトスの敵じゃない…所詮は時間稼ぎの雑魚よ!
 やりなさいヴェルズ・タナトス!身体が硬い事しか能のない、その木偶の坊を叩きのめしなさい!!『浸食の剣閃』!!」


当然攻撃して来るわよね?
けど、それもまたアタシの狙い、トラップ発動『緊急同調』
バトルフェイズ中にモンスターをシンクロ召喚する!


「戦闘中にシンクロ召喚ですって!?…まさか、進撃で雑魚を召喚したのは…!!」

「真の本命であるこっちに繋げるためよ。
 それと、アタシのデッキに雑魚なんて居ないわ――どのカードもアタシと共に戦ってくれる大切な仲間よ。
 その仲間を雑魚呼ばわりした覚悟は出来ているわよね日堂!」

『緊急同調』の効果で、レベル3の鉄鋼の巨兵に、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!
集いし闘気が、まだ見ぬ未来を指し示す。光射す道となれ!シンクロ召喚、轟け『漆黒魔族ギルファー・デーモン』!!


『オォォォォォ!!』
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200



ギルファー・デーモンの効果によりタナトスの攻撃力は500ポイントダウンするわ。


「だから何?タナトスの効果!オーバーレイユニットを1つ取り除き、タナトスはこのターンモンスターの効果を受けないわよ。」

「知ってるわ…でもギルファー・デーモンの効果は相手の弱体化のみならず、自軍のモンスターを強化する効果も備えてるわよ?
 ギルファー・デーモンが存在する限り、アタシのフィールドのモンスターの攻撃力は300ポイントアップする!」
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500


此れで攻撃力は此方が上ね?
如何するの?此処でターンを終了する?


「まさか…たかが150ポイント程度の差がなんだっていうのよ?
 そんな物は速攻で凌駕してあげるわ――この速攻魔法『侵略者の激昂』でね!!」


侵略者の激昂!?――何よそのカード…ヴェルズ関連のカードだろうけど、聞いた事がないわ。
ディスクが正しく認識してる以上、違法なオリカって訳でもないみたいだけど…


「侵略の激昂は、発動ターンのみヴェルズの攻撃力を1050ポイントアップして貫通効果を付加するわ。」
ヴェルズ・タナトス;ATK2350→3400(貫通効果)


「1050ポイントって、何その半端な上昇値は?…あ、それでヴェルズの端数処理が面倒くさくなくなるのか?」

2350+1050で攻撃力3400とは中々ね…でも、鉄鋼の巨兵を素材にしたギルファー・デーモンは戦闘では破壊されないわ。
尤も、900ポイントのダメージは受けるけどね。


遊里:LP4000→3100


「ふふふ、先手は貰ったわ!先手を取った方がデュエルの流れを引き込む事が出来るのよね?このまま流れは私が掴ませてもらうわ!」

「高々900ポイントのダメージで随分大きく出たわね日堂?
 この程度のダメージは、ダメージの内にも入らないけど――それとも、この程度のダメージを与えただけで満足なの?」

だとしたら、大したデュエリストだわアンタ。
確かに先手を取れば流れを掴む事が出来る――其れは否定しない。
けど、其れは初っ端から特大級の一撃を喰らわせるなり、弩級のモンスターを複数呼び出したりの圧倒的な状況を作った場合の話でしょ?
エクシーズモンスターが1体のみで、たった900ポイントのダメージで調子に乗れるなんて見事だわホントに。


「マジでムカつくわアンタって…でも、私の本気はまだこんなものじゃないわ!
 カードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズにヴェルズ・タナトスの攻撃力は元に戻る。」
ヴェルズ・タナトス:ATK3400→2350→1850


同時にギルファー・デーモンの効果が適用されるようにもなったから、此れはまた随分と弱体化したわね。
アタシのターン!!

「日堂、1ターン目からのエクシーズそのものは良い手だったけど甘いわ。
 このターンで見せてあげる――本物の『速攻による猛攻(ソニック&アサルト)』、超高速のデュエルって言うものを!」

「速攻による猛攻!?」


アタシは手札の『ギガ・クリボー』を墓地に送り、『THE トリッキー』を特殊召喚!


THE トリッキー:ATK2000→2300


更に、『ジャンク・シンクロン』を通常召喚し、その効果で墓地の『ギガ・クリボー』を特殊召喚するわ。


ジャンク・シンクロン:ATK1300→1600
ギガ・クリボー:DEF400



「一気にモンスターが4体も…!!」

「其れだけじゃないのは知ってるよね?アタシのデェエルの根幹――シンクロ召喚は此処からが本領発揮よ!
 先ずはレベル6の漆黒魔族ギルファー・デーモンに、レベル2のギガ・クリボーをチューニング!
 集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!」

悪しき侵略者よ、貴女達の好きにはさせません!
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
THE トリッキー:ATK2300→2000
ジャンク・シンクロン:ATK1600→1300

ヴェルズ・タナトス:ATK1850→2350



ギルファー・デーモンがフィールドから消えた事で全てのモンスターの攻撃力は元に戻る。
でも、其れは必要経費!ギガ・クリボーはレベル8のシンクロモンスターのシンクロ素材になった時、カードを2枚ドローできる!
そしてプリンセスの効果発動!手札を1枚捨てて、墓地から『漆黒魔族ギルファー・デーモン』を蘇えらせる!


黒き魔族よ、力を貸してください。

『グゥゥゥ!!』
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200


ギルファー・デーモンが再び顕現したことで、アタシのモンスター達は強化され、アンタのモンスターはその力を奪われる!!


プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500→2800
漆黒魔族ギルファー・デーモン:ATK2200→2500
THE トリッキー:ATK2000→2300
ジャンク・シンクロン:ATK1300→1600

ヴェルズ・タナトス:ATK2350→1850


「そ、そんな…たった1ターンで…!!」

「此れこそが速攻ってものよ?でもこれだけじゃない…アタシのフィールドには、まだシンクロの素材が残ってる!!」

「!!」


レベル5のTHE トリッキーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
集いし願いが、天空(そら)を駆け抜ける疾風(かぜ)となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!


他者の亡骸に取り付く邪念か――滅ぶべきだな。
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→2800


「上級シンクロが3体…けど、その召喚にチェーンしてタナトスの効果発動!
 オーバーレイユニットを1つ消費して、モンスター効果を受けない!!」
ヴェルズ・タナトス:ATK1850→2350


此処でその効果をね…さて、攻撃の前に手を揃えておかないとね。
アタシは手札から魔法カード『同調報酬』を発動。
アタシのフィールドにレベル6以上のシンクロモンスターが2体以上表側で存在する時、カードを2枚ドローする。

うん、良い引きだわ。

「さてと…覚悟は良い日堂?アレだけ吹いてくれたんだからこの攻撃くらいは耐えきってくれるんでしょう?
 バトル!!漆黒魔族ギルファー・デーモンで、ヴェルズ・タナトスに攻撃!!『ギルファー・ブレイズ』!!」


――ゴォォッォ!!



「うあぁぁあぁ!!?な、たった150ポイントでこの衝撃……!」
日堂:LP4000→3850


此れが真のフィールって言うものよ……尤も、此れでもまだ半分程度だけどね。


「これで…くぅ…でも舐めないでよね!私は強いのよ!トラップ発動『浸食の反撃拡大』!!
 私のフィールド上の『ヴェルズ』が戦闘で破壊された時、デッキ及び手札からレベル4以下の『ヴェルズ』を可能な限り特殊召喚するわ!
 来なさい『ヴェルズ・アザトホース』『ヴェルズ・サンダーバード』『ヴェルズ・オ・ウィスプ』『ヴェルズ・ケルキオン』『ヴェルズ・カストル』!!」
ヴェルズ・アザトホース:DEF1950
ヴェルズ・サンダーバード:DEF1050
ヴェルズ・オ・ウィスプ:DEF2050
ヴェルズ・ケルキオン:DEF1550
ヴェルズ・カストル:DEF550


!!此処で5体のヴェルズ――成程、大口叩く程度にはレベルアップしたって事か。
このままだと次のターンで、ランク4のヴェルズエクシーズが2体並ぶわね…ならここはダメージが通らなくとも攻撃するのが上策!
プリンセス・ヴァルキリアで、ヴェルズ・アザトホースに攻撃!『デュランダル・ブレイザー』!!


――ズバァァ!!


続いて、輝天龍 シルバー・ウィンドで、ヴェルズ・カストルに攻撃!『シューティング・ストリーム』!!


――ドガァァァン!!!


ふぅ、此れで取り敢えずは…とは言っても素材が2枚のエクシーズは呼ばれる可能性がある訳だけど…
アタシはカードを2枚セットしてターンエンド。


「ふふふ、矢張り流れは私に有るのよ!私のターン!!
 私は、ヴェルズ・サンダーバード、ヴェルズ・オ・ウィスプ、ヴェルズ・ケルキオンの3体をオーバーレイ!
 オーバーレイネットワークを構築――さぁ、現れなさい!世界を終焉に導いた龍が闇へと堕ちた禍々しい存在よ!エクシーズ召喚!『ヴェルズ・ウロボロス』!!」

『シャァァアッァァアァァ!!』
ヴェルズ・ウロボロス:ATK2750→2250


来たわねウロボロス…だけど、強力なモンスターでもギルファー・デーモンの効果の下ではアタシにはその爪は届かない。
まぁ、ウロボロスの効果でギルファー・デーモンを処理したところで、攻撃対象になったシルバーかプリンセスは、シルバーの効果で守られて逆に返り討ちだけどね。


「何処までその余裕が続くか見ものだわ!
 ウロボロスの効果発動!オーバーレイユニットを1つ取り除き、ギルファー・デーモンを手札に戻す!!」

「当然そう来ることは予想していたわ!トラップ発動『ダビデスター・バインド』
 相手モンスター1体を守備表示にして、表示形式の変更とモンスター効果を封じるわ!」


ヴェルズ・ウロボロス:ATK2250→DEF1950


折角狙ったのに残念でした〜〜、次頑張りなさい。


「おのれぇぇ…私はカードを1枚伏せてターンエンド!」

「アタシのターン!!」

ふぅ、所詮アンタは強力なカードに頼り切った二流半だったみたいね――このターンで決着をつけるわ!
漆黒魔族・ギルファーデーモンで、ヴェルズ・ウロボロスに攻撃!!『ギルファー・ブレイズ』!!!



――バガァァァァァン!!!



ヴェルズ・ウロボロス焼殺!!
止めよ、シルバー・ウィンド、プリンセス・ヴァルキリア!!2体でダイレクトアタック!!



――ズゥゥン…



!?
なに、この揺れは…!!あれ、だけど客席は全く驚いてない?――どういう事?


――ゴゴゴゴゴゴゴ…


「あははは…そうか、お前を受け入れれば私は強くなれるのね?
 なら良いわ…遊里に勝てるって言うなら、私は悪魔だろうとなんだろうと契約を結んで〜〜〜〜〜!!!」


何あの黒い霧!!
日堂の体に吸収されて…消えた?


「くくク…こレは、良い身体ヲ手に入れタ……しばし、退屈しのギにでも、なって貰うカ…」

「!!…アンタ、日堂じゃないわね?」

明らかに喋り方がオカシイ…誰?一体誰なの!?


「誰ダろうナ?まぁ、イズレそれを知る時がル…その時には…アウバァァァアッァァッァァ!!」


!!拙い、此れじゃあ日堂の身体が持たない!!
幾ら因縁があるって言っても、目の前で誰かが如何にかなるなんて…


「トラップ発動『ヴェルズ・謁見の間』
 私ノフィーるドの『ヴぇルズ』が戦闘で破壊されタとキ、墓地の『ヴェルズ』を全てゲームから除外することで最強のヴェルズを特殊召喚できる。
 ふふふ…げ¥gヴぇらばわぁぁあぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ちょっと…!!まさか日堂はヴェルズに喰われたって言うの?
其れだけに精神が…!!!


「!!『ータヒリ・アデ・ズルェヴ』ヨレワラア…メズシニシノクソンア、イナハイクス、ムユアヲチミノビロホガイカセ」

『グガァァァァァ!!!』
ヴェルズ・デア・リヒター:ATK???


この独特の喋り方は、ヴェルズ・ヘリオロープのフレーバーテキストと同じ…!!
日堂、アンタ――本気でヴェルズの闇に喰われたって言うの!?

笑えないわね流石に――


何でこんなことになったのかは分からないけど、このデュエルで勝たないと拙そうねアタシも――そして日堂自身もね…













 To Be Continued… 






登場カード補足



同調報酬
通常魔法
自分フィールド上にレベル6以上のシンクロモンスターが2体以上表側表示で存在する場合に発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。



侵略者の激昂
速攻魔法
エンドフェイズまで、自分フィールド上に表側表示で存在する「ヴェルズ」と名の付くモンスターの攻撃力は1050ポイントアップし、
相手に守備表示モンスターを攻撃した時、攻撃力が守備力を超えていればその数値分の戦闘ダメージを相手に与える。



進軍
通常罠
相手がシンクロモンスターをシンクロ召喚、またはエクシーズモンスターをエクシーズ召喚した時に発動できる。
デッキか手札からレベル4以下のモンスター1体を選択して自分のフィールド場に特殊召喚する。



浸食の反撃拡大
通常罠
自分フィールド上の「ヴェルズ」と名の付くモンスターが戦闘で破壊された場合に発動できる。
デッキ、または手札からレベル4以下の「ヴェルズ」と名の付くモンスターを可能な限り特殊召喚する。



ヴェルズ・謁見の間
通常罠
自分フィールド上の「ヴェルズ」と名の付くモンスターが戦闘で破壊された場合に発動できる。
自分の墓地の「ヴェルズ」と名の付くモンスターを全て除外し、デッキか手札から『ヴェルズ・デア・リヒター』1体を選択して特殊召喚する。