Side:遊里


大会1日目の1回戦は、ムクロの乱入以外は特に何もなく終了。
明日の2回戦に備えて、Dホイールの調整もバッチリ――まぁ、明日はスタンディングかもしれないけどね。

で、時間はまだまだあるから、仲間達と遊んでるんだけど…

「何で居るのよムクロ?」

「ん?いやぁ、俺に勝ったデュエリストだからな…明日の激励にとも思ったんだけどよ――賑やかだな?」

「まぁ、サテライトから来た仲間が居るからね?」

おまけにアカデミア時代の仲間まで集まってきたからね〜〜、そりゃ賑やかにもなるわ。
てか、恵達はアタシの事は疑ってない訳?


「貴女を疑ってる人は少ない……殆どの人が貴女は冤罪だって分かってる。
 でも、彼女の親の持つ権力は途轍もないから、私達じゃ何もできない――ごめん。」

「どれだけ冤罪だって言っても聞き入れてもらえなかったからね……自分の無力さ痛感。」

「いやいや、そんな事までしてくれてたってだけで充分だから。
 そっか…信じてくれてたんだ――ありがとね。本当に、其れだけでも充分だよ。」

他者からの冤罪の訴えも握りつぶしてた訳か…本当に親の権力に物言わせたって事か――大会で当たったら本気で叩き潰してやるわ。
其れに1回戦を見た限りだと、アタシが逮捕される前より強くなってるみたいだけど、其れも所詮は『強いデッキ』使ってるだけみたいだしね。

スタンディングだろうとライディングだろうと、叩き込んであげるわよ――アタシのフィールを骨の髄にまでね。










異聞・遊戯王5D's Turn13
『Have a Breaktime』










「その意気だよ遊里!
 ボク達が目標にしてた遊里の強さ、それをアイツに教えてやって!」

「任せなさいディレ!本よりアタシは優勝をもぎ取るために出ててるんだから、立ちはだかる相手は誰だろうと倒すだけよ。
 それに、優勝しなきゃジャックとも戦えないしね。」

勿論すべてのデュエルで全力は出すけど、アタシの最終目的はジャックとの再戦だから。
絶対王者の、あの魂に響くフィールをもう1度この身で感じるまでは他の誰にも負けられない。

まぁ、ジャックにも勝つ心算だけどね。


「相変わらず言うなぁ、お前さんは。
 絶対王者ジャック・アトラスに勝つなんて自信満々に言う奴なんぞ、シティにどれ位居るんだろうな?」


さてね?
取り敢えず、この部屋に集まってる連中は言うと思うよ――龍亞も男の子なら其れ位の気概は持ってるだろうし。


「うん!今の俺じゃ多分無理だけど…もっと強くなったら、何時かはジャックに勝って見せるよ!」

「出来るかなぁ?龍亞がレベルアップしても、ジャックは更にその上を行くかもしれないじゃない?」

「だったら俺は更に頑張ってその上を行く!」


あはは…うん、その意気や良し!男の子なら目標は高く大きく持たなきゃだめよ。
ムクロも『打倒絶対王者』は諦めてないんでしょ?


「当然だろが。俺の目標はキングになる事だぜ?その為にはジャックに勝たねぇとよ!
 其れにジャックだけじゃねぇ。新たな目標として、お前に勝つ事が追加されたからなぁ?」

「そう言えば、アタシにリベンジするとも言ってたわね?」

そう、此れ位の気概がないとデュエリストとは言えないわよ。
アタシだって昔は随分色んな人に負けたからね――デュエル始めた頃からの成績纏めたら、多分勝率5割くらいじゃない?
ジャックだって絶対王者と呼ばれるようになるまでにドレだけのデュエルをこなして、どれだけ負けたかなんて分からないし。

ま、早い話、常勝不敗は凄い事だけど、勝ってばかりじゃ成長しない。
勝ちも負けも同じくらい沢山経験してこそより高みに登れるって事ね――これ、人生にも大事な事だから忘れちゃダメよ?


「「「は〜〜い!」」」

「うん、良い返事。」

「貴女は、サテライトでも人気者…?」

「まぁ、遊里だからね。何時の間にか周りに人が集まるんじゃない?人徳よ人徳。
 …にしてもさぁ、なんでゴドウィン長官はいきなりこんな大会開こうと思ったんだろね?」


ひなた?
そう言われてみると確かにそうね……しかも態々サテライトの住民にまで参加を呼び掛けて来るなんて…

ジャックともう1度戦えるかもしれないって事で気にも留めてなかったけど、改めて考えると妙ね?


「うん。ひなたの言うとおりかも。
 シティのデュエルって、大概キングのデュエルばっかりで、相手も強い人はあんまり居なかった。
 この大会みたいに強い人が集って、その中の1番とキングがデュエルするなんて、今までの流れだと信じられないよ。」

「ゴドウィンには何か思惑がある…?」

大会開催とは別の目的が?
力のあるデュエリストを集めて――って、其れだとムクロに焼かれた蟲とか、アタシを嵌めたボケナスが出場してる説明がつかないか。


「その2人は…やられ専門の雑魚…」

「相変わらず、淡々とした口調で毒吐くわね恵は…」

やられ専門てのはちょっと否定できないかもだけど。
ん〜〜〜……まぁ、あれこれ詮索するのはアタシの分野じゃないわ。

ゴドウィンが何か企んで大会を開催したとしても、アタシは優勝してジャックと戦うだけ。
それ以外は二の次よ。


「流石は生粋のデュエリスト――明日の2回戦、期待してるからな?」

「任せなさい弥生!明日もバッチリ勝ってみせるから。」

多分2回戦も、組み合わせはランダムシャッフル方式で来るだろうから相手は不明だけどね。
明日も頼むわよ、私の相棒達!








――――――








Side:ゴドウィン


フフフフフ……予想以上の反応ですね。
上条遊里に龍可君――どちらのデュエルエナジーも素晴らしい強さと輝きを放っています。

更にジャック同様に『赤き竜』の力を受け継いだ者の証である『決闘竜』のカードを所持する者達。
龍亞君の『鉄鋼龍』は判断に迷うところなので、今回は外しましたが――もしそうであるなら、其れもまた善し。

龍可君は負けはしたものの、1回戦のデュエルで大きく成長した筈。
そして上条遊里――彼女の優勝を阻むものはないでしょう。

大会を制し、より強くなった状態でジャックとのデュエルを行えば、そのデュエルエナジーに呼応して彼等は『シグナ―』として覚醒する筈。
何れにせよ、この大会そのものが、私の目的を果たすためのモノですからね…役者には表舞台で踊っていただきましょう。

「とは言え、彼女にはより強くなって貰わねば困りますが――さて2回戦で誰をぶつけるべきか…
 ふむ――そう言えば彼女は……ふ、利用させてもらうのですから、せめて過去の清算くらいはさせてあげるとしましょう。」

そうなるとその他の組み合わせは――まぁ、他は本当にランダムシャッフルでも構いませんね。
どうせ、如何シャッフルしても遊里と決勝を戦うデュエリストは、梶木、孔雀、ボマーの何れかに限定されるわけですから。


さてと、後は明日の遊里の相手である彼女に贈り物でもしておきますか。
正直彼女如きでは遊里に瞬殺されて終わりでしょうからね。


大会を盛り上げる意味でも、少しは頑張って貰わなくては面白くありませんから。
此れは明日が楽しみです…フフフフフフ…








――――――








Side:遊里


と言う訳で、大会2日目!
今日もファーストデュエルにはならなかったな〜〜…ファーストデュエルは孔雀麗か〜。
相変わらず華麗なデュエルね――ベスト4に1番乗りするのは彼女ね。


「ハーピィズペット竜で、ワーム・キングに攻撃!『セイント・ファイアー・ギガ』!!」

「どわぁぁぁぁ!!!」
LP:200→0


はい決着〜〜。
『フィールド上でハーピィレディ』として扱うモンスターを並べて攻撃力3200のペット竜で快勝ね…お見事。


『決まった〜〜!!ベスト4進出1番乗りは孔雀麗〜〜!!真に舞うが如き、華麗なデュエルだったぞ〜〜〜〜!!!』


本当にその通り。
彼女とのデュエルも楽しめそうだわ――当たるかどうか分からないけど。


『さぁ、ドンドン行ってみよう!!2回戦のセカンドデュエルは〜〜〜!?一体誰が選出されるのか〜〜〜!!!』


残るは6人だけど………へぇ、そう来る?


『2回戦セカンドデュエルの組み合わせが決まった〜〜!!
 次なるデュエルは、上条遊里vs日堂亜弓!!サテライトの女帝と、アカデミアの侵略者の激突だ〜〜〜!!!』


まさか、アイツが2回戦の相手とはね――過去を清算しろって事?
まぁ、サテライト暮らしは悪くないし、サテライトの仲間達との日々は楽しいけど……冤罪吹っかけてくれた事には礼をしておかないとね。


「おい遊里、アイツは…」

「大丈夫よ牛尾……アイツにだけは何があろうとも負けないわ――アタシのデュエリストの誇りに懸けてね。」

「けどよぉ…お前さんに冤罪かぶせたような奴だ、正直何して来るか分からねぇだろ?」

「けっ、心配無用だろ牛尾の旦那よぉ?
 コイツの目標は絶対王者だ……冤罪吹っかけるような下らねえボケに負ける奴じゃねぇ――俺等はただ応援してやりゃ良い。」


まぁ、そんな感じ…は、良いんだけど――ムクロ、その一団は何?


「俺が率いてるデュエル集団『スカル・フレイム』の面子よ!
 気合い入れろよ?俺に勝ったって事で、こいつらもテメェに優勝してほしいって願ってんだからよ?」

「そうなの!?」

「ムクロのアニキに勝ったんだ!絶対優勝してくれよ!!」


言われなくてもその心算!


「いっそ絶対王者にも勝って!!」


それも、目標よ!


「姉御って呼んでもいいっすか!?」


え゛?…まぁ、別に良いけど…
ふぅ…更にこれだけの応援やら何やら貰ったら、もうアタシに負けは無いわよ?

アタシに掛ける皆の期待とかそう言うのが大きければ大きいほどアタシは強くなれる。
期待を背負った人間は強いのよ?

だから安心してなさい牛尾――あのボケナスに本当のデュエルってものを教えてやるから!


「…だな――ま、よくよく考えりゃ、お前さんが負けるような相手じゃねえな。
 だがな、コイツだけは言っとくぞ?――冤罪ふっかけれた借りは、万倍にして返してやれや!」

「万倍?…温いわ、どうせやるなら億倍よ!!」

全力全壊で叩きのめす!


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「来たわね遊里…此れだけの観客の前でアンタを叩きのめせるかと思うと、それだけで気分が高揚して来るわ。」

「誰に向かって口を利いてるの日堂?
 アタシの記憶が確かなら、アンタは只の1度もアタシに勝ったことはなかったはずだけど?」

其れで居ながらアタシを叩きのめす?面白い冗談ね――M-1グランプリにでも出てみたら?優勝出来るかもしれないわよ?


「本当にムカつくわねアンタって――そうやって人の事見下してさ!」

「心外ね?アタシはデュエリストには敬意を払うわよ?
 ただ、自己研鑽を怠って、只強いカードにだけ頼って戦うような奴は敬意を払うに値しないと思ってるだけよ。」

そう、ちょうどアンタみたいな奴にはね。
大体、他人を見下してるのはアンタの方でしょうが――自分がトップスである事を鼻にかけて、ドレだけの人に見下した発言したのやら…

でも、其れも今日まで。
アタシの本気で、二度とそんな態度が取れないようにしてあげるから感謝しなさい?


「…余裕ぶって…!絶対潰してやるから!!」

「なら、其れをデュエルで証明するべきね。」

御託は此処まで――デュエリストならカードで語りなさい?
行くよ!


「「デュエル!!」」


遊里:LP4000
亜弓:LP4000


それで、知ると良いわ――本当のデュエルがどんな物かって言うのをね…!!













 To Be Continued… 






登場カード補足