Side:???
「何だよ……何なんだよお前!!そのモンスターは一体!」
「中々の腕前でしたけれど、彼方では無かったようです……此れで、終幕と行きましょう。
○○○○○○で、ダイレクトアタック!『×××××××』!!」
「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」
シティの野良デュエリスト:LP3000→0
中々の腕前でしたが、彼方ではない……彼方程度のデュエリストが、私のマスターである筈がない。
あの時の厄災のせいで、顔を見る事も叶わなかった私のマスター……其れは一体誰なのですか?……私は、貴女に会いたい、そして、貴女と共
に戦いたい。
貴女は何処にいるのですか?……応えて下さい、マイマスター!!
異聞・遊戯王5D's Turn137
『謎のデュエリスト~沈黙の使者~』
Side:遊里
イリアステルとか言う連中の無粋な介入が有ったせいで、WRGPは現在大会を休止状態。
中止じゃなくて休止だから、デュエルレーンとかの復旧が済み次第再開されるって事なんだろうけど、あの下っ端が弩派手に暴れてくれたせいで
レーンは可成りぶっ壊されたから、完全復旧には最低でも1ヶ月はかかるでしょうね……
まぁ、其れだったらそれで、大会が再開した時の為に、チームのマシンを調整しとくだけなんだけど……
「お~い、遊里~~、起きてる?」
「うわ!龍亞!?」
ご、ごめんごめん起きてるよ。
ちょっとうつらうつら来たけど大丈夫……起きてるから。
「なら良いけど……遊里、ちょっと寝不足じゃない?
ちょっと見ただけだと分からないけど、何て言うか、何時もの遊里と違って、ちょっとだけ疲れてるように見えるんだけど……本当に大丈夫?」
「……やっぱ、龍可には分かっちゃうか。」
実を言うと、ちょっと寝不足なのは確かなのよ。最近妙な夢を見るようになってね。
青と白を基調としたローブを纏った銀髪の女の人がデュエルを挑んできて、いざデュエルを始めるって所で、何時も目が覚めちゃってね…しかも、
この夢を見るのは初めてじゃないから、どうしても気になるしね。
「青と白を基調にしたローブを纏った銀髪の女性って……」
「最近噂になってる、謎のデュエリストにそっくりじゃん!!」
…はい?謎のデュエリストですって?其れが、アタシの夢に出て来た女の人と似てるってのは、流石に聞き捨てならないんだけど、如何言う事?
それ以前に、そんなデュエリストが居ただなんて…
「詳しい事は分からないんだけど、夜な夜なこの人にデュエルを挑まれたって言うデュエリストが続出してるみたいなの。
しかも、そのデュエルは何かを試しているみたいで、自分の眼鏡に叶わなかったら、速攻で叩き潰しに来るって言う、凄腕のデュエリストなの。」
「其れは、何ともクレイジーなデュエリストじゃない……!」
しかも何かを試してるって、一体デュエルを挑んだ相手の何を計ってるって言うのかしら?
単純に考えると、強者を求める辻デュエリストって感じなんだけど、件のデュエリストがアタシの夢に出て来た人にそっくりって事を考えると、如何
にもそんな単純な物じゃない気がするわ。
でもまぁ、そんなデュエリストが居るって言うなら、夜道を歩く時は注意しないとね。
「気をつけてよ?遊里はシティ最強のデュエリストなんだからさ!!」
「ちょい待ち、龍亞。アタシが最強だったら絶対王者のジャックはどうなるの?」
「ジャックもシティ最強!だから、チーム5D'sは超最強!最強×最強=無敵!!」
「む、無茶苦茶だよ龍亞……」
まぁ、男の子らしい発想だとは思うけどねぇ。
取り敢えず、この謎のデュエリストの事は心に止めておいた方がいいわね――アタシも修理の仕事が満杯だと、夜の帰宅とか割と普通だからね。
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で、本日の修理の仕事は見事に夜までとなりました!
てか、最後の依頼人、車5台と、イベント用デュエルリング5台と、大小合わせて家電10台って、如何考えても個人修理業に頼む量じゃないわ!
アタシだから何とかなったけど、普通だったら1日じゃ終わらないからね!?
まぁ、遅くなることは予想出来てたから、ニコにアタシの分の晩御飯は用意しなくて良いって言っておいたから其れは大丈夫だろうけど。
でもお腹は減ったから『言峰麻婆麺』でも食べて帰るか――貴女を倒した後でね。
「気付いていたのですね?」
「気付かないとでも思ったの?そんな馬鹿正直なデュエリストのオーラに。」
修理を終えて、家路に着いた辺りからずっと付けてたよね貴女?
銀の長髪に、白と青を基調にしたローブみたいな服……最近巷を騒がせてるデュエリストと見て間違いないかしら?……うぅん、正確に言うなら
カードの精霊さん?
「……良く、私が精霊だと分かりましたね?ちゃんと、実体化していた筈なのですが……」
「確かに実体化してるけど、生憎とアタシは3体の精霊を宿してる身なの。だから、貴女が人間なのか精霊なのか位は、実際に見れば分かるわ。
でも、その精霊がなんだって辻デュエリストまがいの事をしている訳?」
「私が仕えるべきマスターを探して。」
自分が使える主を探してって……如何言う事?
「私は、ある人物に仕える事が決まっていて、マスターに会えるのを楽しみにしていました。
ですが、あの厄災――ゼロ・リバースによって、其れは叶わぬ事となり、私自身も瓦礫の中に埋もれてしまい、その機会は永遠に失われたと思
って居たのですが、つい最近瓦礫が取り除かれ、私はこうして自由に動く事が出来るようになったのです。
なので、今再び我がマスターに出会う為に、そしてマスターに仕える為に、乱暴な方法であるとは分かっていますが、デュエルを挑んで見極めさ
せて頂いているのです。」
「成程ね…」
彼女も、ゼロ・リバースの被害者だったって事か。
シティの人々だけじゃなく、カードの精霊にまで被害を与えてたとか、ゼロ・リバースの巻き起こした被害は、本気でトンでもないモノなのよね……
でもまぁ、そう言う事なら、相手になってあげるわ!
アタシが貴女のマスターか如何かは分からないけど、少なくとも貴女の眼鏡に叶うであろうデュエリスであるって事は自負してるからね。
何よりも、アタシはシティの絶対王者と実力を二分にすると謳われてる無敵女帝……誰が相手だろうと、負ける気は毛頭ない!全力で来なさい!
「不躾なデュエルを受けて下さったことに感謝します。」
「気にしなさんな、売られたデュエルは買うのが礼儀!デュエルは大事だ、デュエリストの礼儀だ!古事記にだってそう書かれている!!」
「……まさか、嘘でしょう?」
「うん、嘘♪まぁ、ノリも大事だからね。
だけど、デュエルでは一切手加減しないよ!!!行くよ!!」
「「デュエル!!」」
遊里:LP4000
謎のデュエリスト:LP4000
先攻は貰うわ!アタシのターン!!
『幻想の闇魔導師』を召喚し、その効果で、手札のレベル1チューナー『ライティ・ドライバー』を特殊召喚する!
幻想の闇魔導師:ATK1500
ライティ・ドライバー:DEF100
でもって、速攻魔法『手札断殺』!手札を2枚捨てて、その後デッキからカードを2枚ドローする!!
そして、其処から更にライティ・ドライバーの効果発動!手札断殺の効果で墓地に捨てた『レフティ・ドライバー』を特殊召喚するわ!!
レフティ・ドライバー:DEF300
墓地から特殊召喚されたレフティ・ドライバーのレベルは3となる!
レフティ・ドライバー:Lv2→3
「レベル4の幻想の闇魔導師と、レベル3となったレフティ・ドライバーに、レベル1のライティ・ドライバーをチューニング!
集いし願いが、天空を駆け抜ける疾風となる。光射す道となれ!シンクロ召喚、飛翔せよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!」
『誰が相手でも、全力を尽くすのみ!!』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
先攻ターンは攻撃できないから、カードを1枚セットしてターンエンド!
「私のターン。
手札から、魔法カード『パラレル・レベル・シンクロ』を発動。
相手フィールド上のモンスター1体を選択し、選択したモンスターのレベルと同じになるようにデッキか手札からチューナーとチューナー以外のモ
ンスターを特殊召喚します。
私はデッキから『サイレント・マジシャンLV4』『サイレント・ソードマンLV3』そして、チューナーの『エフェクト・ヴェーラー』を召喚。」
サイレント・マジシャンLV4:ATK1000
サイレント・ソードマンLV3:ATK1000
エフェクト・ヴェーラー:DEF0
「そして、レベル3のサイレント・ソードマンLV3と、レベル4のサイレント・マジシャンLV4に、レベル1のエフェクト・ヴェーラーをチューニング。
静寂と沈黙が、未来への扉を導く。シンクロ召喚『静寂の魔導師-サイレント・マジシャン』。」
『…………』
静寂の魔導師-サイレント・マジシャン:ATK3500
「!?」
此れは…呼び出されたシンクロモンスターは、正体不明のカードの精霊と同じ姿!?――って言う事は、若しかして!いや、若しかしなくても…!
「行きます。サイレント・マジシャンで、シルバー・ウィンドに攻撃。『サイレント・バーニング』。」
「シルバー・ウィンドの効果をシルバー・ウィンド自身に適応!
この効果で、シルバー・ウィンドはこのターンは破壊されず、攻撃力が500ポイントアップするわ!!」
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500→3000
「ですが、ダメージは受けて頂きます。」
「それはまぁ、仕方ないか……流石に戦闘ダメージまでは防げないからね。」
遊里:LP4000→3500
だけど今ので分かったわ。
貴女は、貴女自身が呼び出した『静寂の魔導師-サイレント・マジシャン』の精霊ね?
貴女のマスターが誰であるのかは兎も角として、先ずはこのデュエルを制さない事には始まらないでしょうからね……彼女の眼鏡に叶わなかった
ら、アタシも瞬殺されるだろうからね。
「私が何の精霊であるかまで見極めるとは……貴女は、此れまで戦って来たデュエリストとは一線を画すデュエリストの様ですね。」
「己惚れる訳じゃないけど、シティでもトップクラスのデュエリストであるとは自負してるわ。」
だから、全力で行かせて貰うわ!!
そして、貴女を倒して、正しい持ち主の下に戻してあげようじゃない?……カードは、持つべき者が使ってこそ、その力を発揮できる訳だからね!
全力で付き合ってあげるよ、サイレント・マジシャン!!
貴女の持てる力を全て持って、掛かってきなさい?――アタシは其れを粉砕するから!!――精々楽しいデュエルにしようじゃない!!
このデュエルも、勝たせて貰うわ!!
To Be Continued… 
登場カード補足
パラレル・レベル・シンクロ
通常魔法
相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターのレベルと同じになるように、デッキか手札からチューナー1体と、チューナー以外のモンスターを特殊召喚する。
「パラレル・レベル・シンクロ」は、1ターンに1度しか発動出来ない。
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