Side:遊里


さてと……先ずは、チームユニコーンと、チームカタストロフのデュエルから検証するとしましょうか?
スタジアムのカメラに録画された映像は、普通は見る事は出来ないけど。深影さんの伝手を使えば、其れを見る事は容易だからね……シティの政治機関
と、特別な関係を持ってるってのは、こう言う時に役に立つわよね♪



「其れに関しては否定せんが、このデュエルの録画映像を見て何になると言うのだ?
 確かに、2台連続でのマシントラブルは疑うに値するだろうが、その映像に、マシントラブルの原因が映ってると言う保証はあるまい?
 其れ以前に、目に見える原因があるのならば、俺達よりも、まず先に審判団が異常に気付く筈だろう――其れすら成されていないのだぞ、この件は。」



うん……確かにそうなんだけど、チームユニコーンのDホイールを2台立て続けにクラッシュさせた存在が『一般人には認識できない存在』ならば如何?
もっと分かり易く言うなら『闇のカード』って言うのが手っ取り早いけど、もしもチームカタストロフが、闇のカードか或はそれに準ずるカードを使ってたのだ
としたら、観客や審判には分からない……そう言う事にならない?



「……其れは、確かにその通りだな?
 だが、だとすると、チームカタストロフは凄まじい力を秘めた『妙なカード』を使う連中と言う事になる……此れは、一筋縄では行かないかも知れんな。」



かもね。
だけど、連中がどんな力を持ってるとか、そんなのは如何でも良い事だわ――大事なのは、チームカタストロフが、トンでもないカードを使ってデュエルを
穢したって言うその事実よ!!

デュエリストとして、此れは見逃せないから……然るべき鉄槌を、連中に下してやるわ!!












異聞・遊戯王5D's Turn130
『闇の使者?チームカタストロフ』











とは言え、そう簡単にクラッシュの原因が特定できるって事でもない訳で……気が付けば、1時間半が経過してたわ。
鍵はDホイールがクラッシュした瞬間にあると思うんだよね?……何度映像を見ても、其処での動きが不自然極まりなかった――それこそ、行き成りDホ
イールのタイヤの動きが強制的に止まったとしか思えない状態だったからね。

だけど、映像には何も映ってない……其れこそ、再生速度を1/100にしたって言うのに何も映らないだなんて……ドンだけのカードを使ってるのよ!!



「……このままじゃ埒が明かないな――遊里、プリンセス・ヴァルキリアと、ダーク・マジシャン・ガールと、輝天龍 シルバー・ウィンドをデュエルディスクに
 セットして、ケーブルでパソコンと繋いでくれ。
 連中がドレだけの力を使ってるかは分からないが、お前のトリプルエースの力を借りれば、連中のカードの力を超える事は難しくないだろうからな。」



衛遊……其れは、試してみる価値はありそうだわ。
アタシのデッキの中核を成すトリプルエース、シルバー・ウィンド、プリンセス・ヴァルキリア、ダーク・マジシャン・ガールは、夫々が高位の精霊だから、其
の力を使えば、どんな闇のカードの力だって超えられるわ!!

力を貸して、私のエース達よ!!



言われるまでもない……!
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500


この力は、マスターの為に――!
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500


全力全壊でブッ飛ばすだけだって!!
ダーク・マジシャン・ガール:ATK2500



――キィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!




っと、此れは、シルバー・ウィンドとプリンセスとガールをセットしたデュエルディスクを、パソコンと接続した瞬間に、効果が現れたって言う所みたいだね。
映像は、よりクリアになり……そして――



――ガシィィィイィィィィ!!!



「!!何だ今のは!?
 遊里、少し巻き戻して映像を止めろ!!何かがDホイールの車輪の回転を阻害していた!!――はっきりと見えたぞ、其れが!!」

「俺にも見えた……矢張りコイツは、只のマシントラブルじゃなさそうだな………だとしたら、あまりにも満足出来ねぇ事をしてくれたもんだぜ……!!!」



OK……っと、此処ね?
此れは――確かに何かがDホイールの車輪に引っ掛かってるわね?何て言うか、鉤みたいなモノが地面から生えて、Dホイールの走行を妨害してるみ
たいだけど、普通に映像に映らない物だったって事を考えると、ソリッドヴィジョンじゃない……?



「Dホイールに物理的干渉をしてる事から考えて、恐らく私の様に『カードのモンスターを実体化』する事が出来るのかもしれないね…不可視の状態で。」

「いやいやいや、流石に其れは無いでしょアイン?
 アインは存在が色々不思議で、今更何が出来ようと驚かないけど、チームカタストロフの面々を見なよ?そんな能力が有るようには見えないでしょ?」

「見てくれだけならばやられ役の三下……某世紀末救世主に攻撃されて、謎の断末魔と共に爆散する役割だな。」

「いや、某最強のサイヤ人に蹴散らされるフリーザの戦闘員だろ?」

「メンドクサイから、RPGのグラフィック使い回しの雑魚敵で良いんじゃない?」

「其れだ!ナイスだぜ龍亞!!」

「……成程、其れならば私のような事が出来る筈もないか。
 と言うか、こんな不正がなかったら、ファーストホイーラーのアンドレが3人抜きして終わっていたと言う訳だね?…デュエリストとしては三流以下か。」



言いたい放題ですこと……まぁ、概ね事実だから、否定する気も無いけどね。
でも、だからこそあの鉤の持ち主が気になるわ――ねぇブレオ、試合で連中が使ってたカードが何か分かる?生憎と、画面には映ってないから分からい
のよ。



「其れなんだが……妙なんだ。
 アンドレとのデュエルが始まった時、連中は後攻で『ヒドゥン・ナイト-フック-』ってモンスターを召喚して来たんだが、ソイツはフィールドには姿を現さ
 ず、アンドレが次のターンでサファイア・ユニコーンで攻撃した瞬間に、Dホイールがクラッシュしちまった……ジャンの時も同じだったんだ。」

「其れは何とも臭いわね?」

ヒドゥン・ナイト-フック-……そのモンスターの一部って言う所か、あの鉤は。
でも、問題は、どうやって物理的干渉をしたかよね?フィールで衝撃を与える事は出来るけど、フィールではあんな事は不可能だし……



……此れは…闇の力か……?

えぇ、決して小さくない闇の力を感じます。

何処で手に入れたかは知らないけど、闇のカードを公然と使うとか、コイツ等は真面な神経の持ち主じゃないよ遊里!!



闇のカードって、マジなの!?
闇のカードと言えば、ダークシグナー達が使ってた地縛神やダークシンクロだけど……流石に其処までではないとは言え、チームカタストロフは、闇のカ
ードを使っているって言うの!?



間違いなかろうな……しかも、闇の力そのものでは地縛神に及ばなくとも、このカードからは、連中の負の力をひしひしと感じるからな。
 何処で手に入れたかは知らないが、連中は只のチンピラではないだろう。



でしょうね……にしても、闇のカードを使っての不正行為か――



――バキィィッィィィィィィィィィィィィィン!!!




良い根性してるじゃない、チームカタストロフ。

「うわ、スチール製の机がひん曲がった!!」

「うむ……相当キレているようだな、遊里よ?」



当たり前でしょ?
デュエルは正々堂々が基本だってのに、闇のカードなんかを使って、物理的に相手を走行不能にして勝利を得るなんて、そんな連中はDホイーラーの風
上にもおけないわよ!!

何よりも、こんなふざけた連中にやられたチームユニコーンが不憫でならないわ!!
――コイツ等は、正面から問答無用の手加減なしで叩きのめしてやろうじゃない!!其れこそ、二度とカードに触れる気が起きない程に徹底的にね!

チームカタストロフとの試合は二日後……精々、今の内にお祈りでもしておくと良いわ!!








――――――








Side:アイン


ふぅ……さっきの遊里は鬼気迫るものが有ったな?
心の底からデュエルを愛するが故に、チームカタストロフの闇のカードを使った不正を許す事が出来ないのだろうなきっと。
よしんば大会の運営委員会に訴えた所で、証拠不十分で取り合って貰えないのは目に見えているからね?……ならば、己の手でケリを付けるだけか。

まぁ、私としても、連中のような輩は見ていて腹立たしいから、この手で撃滅してやろうじゃないか?
クロウと鬼柳のDホイールの修復率は、8割と言った所だから、次の試合も私が出る事になるだろうからな――だから、もう少しレーンを流して行くか……



――ガキィィィィィィィィィィ!!!



「!?」

此れは……行き成りDホイールが止まった!?まるで、アンドレ達の時の様に!!
……まさか、チームカタストロフの連中、今度は試合前から仕掛けて来たって言うのか!?……だとしたら、鬼柳とクロウのDホイールをあんなにしたの
も、若しかして連中が!!



……と、其れは其れとして、急停止したDホイールから投げ出されて、此のままコンクリートの地面に叩き付けられたら、幾ら私でも脱臼や骨折は免れな
いな……ならば、頼むぞ『混沌帝龍-終焉の使者-』!!



『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
混沌帝龍-終焉の使者-:ATK3000



――ポスッ



ふぅ……何とか混沌帝龍にキャッチして貰って、コンクリートとのコンニチワは回避できたか。
だが、操縦者を失ったDホイールは?遊里が作ってくれた、私のリインフォースは!?



――キキキィィィィィィィィーーーー!!!ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァァァン!!



「あ……あ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

そんな、只横転するだけじゃなく、其のままスリップしてレーンの壁に激突して爆破炎上だなんて……折角遊里が、私の為に作ってくれたDホイールが!

其処までして勝ちたいのかチームカタストロフ!!
その勝利への渇望は大したモノだと思うが、こんな方法を使って勝利を得ようとするなど、お前達はクズだ……否、比較するにもクズに失礼極まりない!

これで、次の試合は遊里とジャックの2人で挑む事になってしまったが、あの2人には如何なる小細工も通用しないぞ?
私達チーム5D'sとのデュエルが、貴様等の終焉だ――!!








――――――








Side:遊里


え~~~……何が起きたのかを簡単に説明すると、レーンを流してたアインがチームカタストロフと思われる連中から妨害を受けて、Dホイールが大破。
幸いアインに怪我は無かったけど、チームカタストロフとの試合に参加するのは無理と………ふざけんなオラァァァァ!!!!

「何処までふざけてんの連中は!!Dホイーラーの風上に置けない所か、連中にはデュエルする資格すらないわ!!
 此れはもう、試合前にカチコミかけて、チームカタストロフを物理的に叩きのめしても良いよね?かめ○め波で、吹き飛ばしても全く問題ないよね!?」

「いや、流石に其れは大問題だろう……と言うか、出来るのか?その世界一有名な必殺技が…?」

「アタシは無理だろうけど、アインなら多分出来ると思う!!」

「うん、やろうと思えばできるな。」



って、本気で出来たーーーー!!!


……と、鬼テンションは此処までにして、アインのリインフォースが大破したのは痛いわね……チームカタストロフとの試合は、アタシとジャックの2人で出
る事を考えておいた方が良いかも。



「いや、そうはさせねぇ。」

「あぁ、俺達だけじゃなく、アインにまで試合外で手を出してきたってのは見過ごせねぇからな……俺とクロウも、今度の試合にエントリーさせて貰うぜ?」

「えぇ!?ちょ、ちょっと待ってよ?
 クロウと鬼柳のDホイールは、あまりにも派手に壊れたから修理に手が掛かって、漸く8割の修理が終わったって言う所なのよ!?
 普通に走る分には問題ないけど、相手のフィールを受けたり、何時もみたいなアクロバティック走行をしたら、機体が持たないかもしれないわ!!」

「だとしてもだ!!
 こんだけ好き勝手やってくれた連中に、一矢報いないまま終わったとあっちゃ、鉄砲玉のクロウの名が廃るぜ!!」

「俺も、此のままじゃ満足出来そうにねぇからな……」

「~~~~~!!!」

……OK、分かったわ。
だけど、今も言ったように2人の機体は8割ほどの回復率だから、無理は禁物――精々1ラウンドが限度だと思って。
負けた時は言わずもがな、勝った場合でも、直ぐに次のDホイーラーにバトンタッチして!そうじゃないと、本当にDホイールが使い物にならなくなっちゃう
から!!



「其れ位なら了解だぜ!!
 俺のブラックバードをぶっ壊してくれた礼を、10倍にして返してやんぜ!!」

「クソッ垂れ共が相手じゃたかが知れてるだろうが……精々俺を、満足させてくれよな!!」



其れを知った上で、やる気は充分か……なら、頼りにしてるわよクロウ、鬼柳!!
デュエリストの魂も、Dホイーラーの誇りも忘れてしまったチームカタストロフに、本物のDホイーラーの最強のフィールを叩き込んでやろうじゃない!!



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と言う訳で、試合当日!!
予選リーグ最終戦って言う事もあって、観客席は満員じゃないの?其れこそ『超満員札止め』の垂らしを出さないといけない感じだわ此れ。

でも、此れだけ観客が集まった大舞台で、負ける事は出来ないよね?



「当たり前の事言ってんじゃねぇ!
 元より俺達は勝つ気でデュエルに臨んでんだ……相手が何者であろうとも、其れを超えて行くだけだぜ!!」

「だよね。」

さて、本日のオーダーは、ファーストホイーラーにクロウ、セカンドホイーラーに鬼柳、ラストホイーラーにジャックの布陣。
私がラストホイーラーを務める心算で居たんだけど、ジャックに『連中は無敵女帝が出張る相手でもあるまい?絶対王者が相手になってくれる!!』って
半ば強引に、オーダーが決まったんだよね。

ま、此の布陣なら負ける事は先ず無いだろうけどね。

「だけど、連中の使う闇のカードの力は未知数だから、くれぐれも注意してねクロウ?」

「おうよ!!
 この鉄砲玉のクロウ様は、闇のカード如きには屈さないぜ!!」



そっか……なら、ファーストデュエル、頼むわよクロウ!!



「おう!任せときな!!
 チームユニコーンの仇、取ってやろうじゃねぇか!!」



言うが早いか、クロウはスタート地点に陣取り、チームカタストロフのファーストホイーラーであるヘルマンもスタート位置に出て来たわね?
このデュエルが只で終わるとは思えないけど、鉄砲玉の力を連中に刻み込んでやりなさいクロウ!!



「行くぜ!!」

「行くぞ………」



「「デュエル!!」」



クロウ:LP4000   SC0
ヘルマン:LP4000    SC0




このデュエル、どんな展開になろうとも、アンタ達が勝つ事だけは絶対にないわよ、チームカタストロフ?
カードを裏切り、闇の力に手を出してしまった己の愚行を、此の試合で精々後悔して貰おうじゃない?――アンタ等に待ってるのは断罪だけだよ!!













 To Be Continued… 






登場カード補足