Side:ジャン


まさかお前がやられるとはな……俺のシュミレーションでは、お前がジャックに勝つ確率は8割以上だったんだが、其れを覆されるとは予想して居なかった。
ジャックの強さは、俺のシュミレーションをも上回っていたのだろうか……如何だったアンドレ?



「ジャックの強さは、俺達の予想を遥かに超えているぜジャン……刷り込みの為に俺が使ったパワーデッキとは、比べ物にならない程の『真のパワーデッキ
 』って言うのを見せつけられたよ。
 勝てると思ってたのに、結果はこのざまだ……完敗と言うより他はないよ。」

「其処までか……」

絶体王者の名は伊達ではないと言う事か……だが、アンドレを倒す事は出来てもブレオに対しては如何だろうな?
攻撃に重点をおいた貴方のデッキは、ブレオのデッキとの相性は最悪に悪いからな……何処まで出来るかを見せてもらおうか?



「行くぜ、俺のターン!!」



取り敢えず、ブレオの最強最悪の戦術に対して如何挑むかを、見せて貰おうとしようか?――最後に勝つのは俺達だし、チームに勝利を齎すのが俺の役
目だからな。

初戦黒星は痛いが、ここから挽回していけばいいだけの事だからな――このデュエルに勝つのは俺達だと言う事を忘れるなよ、チーム5D's………!!












異聞・遊戯王5D's Turn125
『価値ある敗北と屈辱の勝利』













ジャック:LP2900   SC2
煌魔龍 レッド・デーモン・カオス:ATK3300
富豪王 ヘル・グリード:DEF0


ジャン:LP4000    SC2
サファイア・ユニコーン:DEF1800



Side:ジャック



正直な事を言うなら、第一デュエルは、ダメージこそ受けたがあまり面白いと言えないデュエルだったな。
確かに『天才』と称されるだけあって、プレイングタクティクスは悪くなかったが、奴の戦術からは何も感じる事が出来なかった……魂の強さも何もかにもな。

その程度では、俺に勝つ事など不可能だと知れ!修業をし直してくるが良い!!



「其処まで言ってやるなっての……アイツのガラスのハートが粉々になっちまうっての……」

「心はガラス……良い響きだな。」

だが敢えて言おう、敗者に情けは必要ないと!!寧ろ、情けを掛けるのは相手への最大級の侮辱!だから貴様にも、俺の本気と言うモノを見せてやる!
其れを超えると言うのならば遠慮は要らん!貴様も全力を持って、かかってくるが良い!!



「その心算だぜ!!俺のターン!!」


ジャック:SC2→3
ブレオ:SC2→3



「アンドレがサファイア・ユニコーンを残してくれたおかげで、行き成り全力で行く事が出来そうだな?
 俺は、チューナーモンスター『ホワイト・ジャッカロープ』を召喚!」
ホワイト・ジャッカロープ:DEF1000


「そんじゃあ行くぜ?レベル6のサファイア・ユニコーンに、レベル1のホワイト・ジャッカロープをチューニング!
 空に走る閃光が、赤き稲妻となりて大地に降り立つ。シンクロ召喚!出番だぜ『ルビー・バイコーン』!!」

『フィィィィィィィィン!!』
ルビー・バイコーン:ATK2500



「ルビー・バイコーンのシンクロ召喚に成功した時、互いにデッキからカードを2枚ドローする。」

「ほう?この状況で俺の手札を増やすとは、余程自信が有ると見えるが、貴様のモンスターでは、新たな力を得たレッド・デーモンを倒す事は出来んぞ?
 更に、レッド・デーモン・カオスの効果で呼び出されたヘル・グリードは、戦闘及び相手のカード効果では破壊されん。元よりヘル・グリードは、1ターンに1
 度だけ戦闘では破壊されんモンスターだがな。
 何れにせよ、チューナーを破壊する心算で攻撃表示で出したのだろうが、当てが外れたな?」

「あら?そんな効果が有ったの?……ソイツは当てが外れたぜぇ。
 まぁ、攻撃できないんじゃしょうがねぇか……カードを3枚セットしてターンエンドだぜ。」

「俺のターン!!」


ジャック:SC3→4
ブレオ:SC3→4




フィールド上にレベル7以上のシンクロモンスターが存在する場合、手札の『竜人王 ルード・カイザー』は特殊召喚出来る!!



竜人王 ルード・カイザー:ATK1800



更に、『ヒュージ・スフィア』を通常召喚する!



ヒュージ・スフィア:DEF100



「貴様程度の腕では、絶対王者の足元にも及ばないと言う事を知るが良い!
 レベル1のヒュージ・スフィアと、レベル5の竜人王 ルード・カイザーに、レベル1の富豪王 ヘル・グリードをチューニング!
 天頂に輝く死の星よ、地上に舞い降り生者を裁け!シンクロ召喚!切り刻め『天刑王 ブラック・ハイランダー』!!」

『ムオォォォォォォォォ……!!』
天刑王 ブラック・ハイランダー:ATK2800



ヘル・グリードがレベル7以上のシンクロモンスターの素材となった事で、俺はデッキからカードを1枚ドローする!!
さぁ、覚悟は良いな?我がデッキの中核を担う煌魔龍と天刑王が揃った今、絶対王者の力は最大に発揮される!最大のフィールで消し飛ぶが良い!!!

「バトル!天刑王 ブラック・ハイランダーで、ルビー・バイコーンに攻撃!『デス・ポーラ・スレイ』!」

「おぉっと、だったら此処でリバースカード発動!永続トラップ『攻撃命令の代価』
 相手がモンスターの攻撃を宣言した場合、相手はデッキの上からカード5枚を墓地に送る!!ブラック・ハイランダーの攻撃宣言の代価を払って貰うぜ!」



デッキのカードを5枚も……!!
だが、攻撃は続行される!消え去れ、ルビー・バイコーン!!



――ズバァァァァァァァァァァ!!!



ブレオ:LP4000→3700
「ガハッ……此れが、絶対王者のフィールかよ……流石に効いたぜ。
 だが、この瞬間にルビー・バイコーンの効果発動!このカードが相手によって破壊された時、相手のデッキの上から5枚のカードを墓地に送る!!」

「何だと!?」

これで一気にデッキのカードが10枚も削られたと言う訳か……貴様、デッキ破壊が目的だな?
ヘル・グリードも処理できなかったのではなく、敢えて処理しなかったのだろう?ドロー効果を使わせた方が、デッキ破壊の効果が増すからな?
其れを踏まえれば、ルビー・バイコーンのシンクロ召喚時の効果も頷けると言うモノだ。結果的にはデッキのカードを減らす事が出来る事になると言う訳か。



「其れだけじゃないぜ?永続トラップ『獣の輪廻』!!
 攻撃力2000以上の獣族モンスターが戦闘で破壊された時、ダメージステップ終了後にフィールド上に特殊召喚される!来い『ルビー・バイコーン』!」
ルビー・バイコーン:DEF2000


「更に永続トラップ『バーサーカー・バレッジ』
 このカードが存在する限り、相手フィールド上の攻撃表示モンスターは、必ず攻撃を行わなくてはならない!!さぁ、攻撃してきなレッド・デーモン!!」



此れは……ループコンボか!
獣の輪廻でルビー・バイコーンを蘇生させながら、バーサーカー・バレッジの効果で攻撃を強要し、攻撃命令の代価とルビー・バイコーンの効果で相手のデ
ッキを削り取る……恐ろしいコンボだ。

レッド・デーモン・カオスは、対象を選ばない効果には耐性が無いからな……攻撃するしかあるまい!『アブソリュート・フォース・ブレイク』!!



「ルビー・バイコーンは守備表示だから俺の受けるダメージは0!
 そしてルビー・バイコーンと、攻撃命令の代価の効果でデッキから合計10枚のカードを墓地に送って貰うぜ絶対王者!!」



ちぃ……此れで俺のデッキは残り8枚か。
大分追い詰められたな……だが、デッキ破壊などと言う姑息な戦術では、チーム5D'sを倒す事など出来ん!!
レッド・デーモン・カオスの効果で、墓地からチューナーモンスター『ダーク・リゾネーター』を特殊召喚する!!



ダーク・リゾネーター:DEF300



「同時に、獣の輪廻の効果で、ルビー・バイコーンを特殊召喚するぜ。」
ルビー・バイコーン:DEF2000



ちぃ、小賢しい真似をしてくれる!!カードを1枚セットしてターンエンド!!



「俺のターン!」



ジャック:SC4→5
ブレオ:SC4→5




「とは言っても、何もしなくても、アンタは次のターンでデッキが無くなってお終いだからな……ターンエンドだ。」



……図に乗るなよ雑魚が?確かにこのターンで俺のデッキは無くなってしまうが、其れで絶対王者を倒したと思うな!!
寧ろ貴様に教えてやろう、ドレだけの策を巡らそうとも、絶対王者の魂に触れる事は叶わぬとな!!此の俺の魂に触れる事が出来るデュエリストは、世界
広しと言えども、遊里只1人だけだ!!

俺のターン!!!


ジャック:SC5→6
ブレオ:SC5→6




俺は手札から、スピードスペル『Sp-受け継がれる力』を発動!
俺のスピードカウンターが5個以上ある時、モンスター1体リリースし、リリースしたモンスターの攻撃力を他のモンスターに譲渡する!
この効果でブラック・ハイランダーをリリースし、その攻撃力2800ポイントを、レッド・デーモン・カオスの攻撃力に上乗せする!魂の継承を甘く見るなよ!!


『グオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!』
煌魔龍 レッド・デーモン・カオス:ATK3300→6100




「こ、攻撃力6100!!だ、だがルビー・バイコーンは守備表示だから、俺にダメージは通らないぜ!!!」

「阿呆が、俺が其れを分かっていないとでも思っていたか?リバースカードオープン!永続トラップ『最終突撃命令』!!
 このカードの効果で、フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示となる!当然、貴様のルビー・バイコーンもな!!」

「く……!!」
ルビー・バイコーン:DEF2000→ATK2500



喜ぶが良いブレオ、貴様に勝利をくれてやる……屈辱の勝利をな!!
カードを3枚セットし、バトルだ!!煌魔龍 レッド・デーモン・カオスで、ルビー・バイコーンに攻撃!!『アブソリュート・フォース・ブレイク』!!


『バオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!』



――バガァァァァァァァァァァァッァアッァァァァァァァァァアッァァァァァン!!



「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!だが、ルビー・バイコーンは蘇る!!」
ブレオ:LP3700→100
ルビー・バイコーン:ATK2500




レッド・デーモン・カオスの効果で、墓地の『発掘王 ブラッド・フィング』を攻撃表示で特殊召喚!



発掘王 ブラッド・フィング:ATK0



「カードを1枚セットして、ターンエンドだ!」
煌魔龍 レッド・デーモン・カオス:ATK6100→3300



「俺のターン……」


ジャック:SC6→7
ブレオ:SC6→7




さぁ、ターンエンドを宣言するが良い。その瞬間に貴様の勝利が確定するのだからな。
精々誇るが良い、この絶対王者、ジャック・アトラスに勝利したのだからな!!貴様の名声は大きく上がる事だろう!絶対王者に勝ったデュエリストとして!



「あ……あ……そんな、こんな勝利なんて、そんな!!――クソ、カードを2枚セットしてターンエンド!!」

「俺のターン!!」


ジャック:SC7→8
ブレオ;SC7→8




だが、俺はデッキからカードをドローする事が出来ない故に、デュエルを続ける事が出来んから、ここでリタイアだな。
胸を張れブレオ!貴様は、遊里ですら成し得なかった絶対王者に勝利すると言う偉業を成し遂げたのだ!その勢いで、次のデュエルも頑張るが良い!!



『決着ーーー!!
 しかし、この結果はジャックがブレオに勝ちを譲ったと言っても過言ではない結果…絶対王者が敗北を選ぶとは考え辛いが、此処は敢えて自ら退き、セ
 カンドホイーラーに託したのか~~!?』




最終的にチーム5D'sが勝てば、俺の勝ちにもなるのでな。
何よりも、チーム戦に於いては、後続を仲間に任せて敢えて敗北を選ぶ事も重要になって来るからな……この敗北は、チームの勝利の為のモノだ。



「お疲れジャック!絶対王者のデュエル、見せて貰ったわ!」

「その魂、今度は私が受け継がせて貰う!!」



ふ、行ってくるが良いアインよ。
奴のデッキ破壊コンボは厄介だが、攻略のためのカードはフィールドに残しておいたし、貴様ならば瞬殺も可能だろう……力の差と言うモノを見せてやれ!



「あぁ、行って来る!!」



行ってこい!貴様の強さを奴等の魂に刻み込んでやるが良い!!








――――――








Side:ブレオ


クソ!クソ!!クッソーーーーーーーーー!!!
確かに俺は最高の戦線を構築したが、ジャックは其れを受けつつ、俺に大ダメージを与えた上で敗北を選択しやがった……俺に屈辱の勝利を渡す為に!

今のデュエルは、誰が如何見たって、ジャックが俺に勝ちを譲ったとしか思えねぇよ……実際そうなんだけどさ。
だけど、こんな屈辱に塗れたまま終わるかよ!!次のデュエルで俺の力を見せてやる!!残りライフ100でも、出来る事はあるからな!!



「ならばその足掻きを見せて貰おうかブレオ?……私も手加減はしないから、思い切りやろうじゃないか?」



お前はセカンドホイーラーのアイン!!
情報が全く無いから未知の相手なんだが……やってやるよ!!残りライフは100だが、アンタには負けないからなアイン!!!



「……お前では私に勝つ事など出来ないよ……身の程を知るが良い!!」

「其れはやってみればわかる事だ!!!俺の力を見せて得やるぜ!!――準備は良いか?」



「「デュエル!!」」


アイン:LP4000
ブレオ:LP100




このデュエルは絶対に勝つ!!
後味の悪い勝利を喰らったが、ヤッパリ勝利は最高の状態で味わいたいからな……状況は是対不利だが、やってやるさ、力の限りな!!













 To Be Continued… 






登場カード補足




ルビー・バイコーン
レベル7    炎属性
獣族・シンクロ/効果
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードのシンクロ召喚に成功した時、互いにデッキからカードを2枚ドローする。
このカードが相手によって破壊された時、相手のデッキの上から5枚のカードを墓地に送る。
ATK2500    DEF2000



ホワイト・ジャッカロープ
レベル1   光属性
獣族・チューナー
このカードはレベル5以上、またはランク4以上のモンスターとの戦闘によっては破壊されない。
ATK0    DEF1000



Sp-受け継がれる力
スピードスペル
自分のスピードカウンターが5個以上ある時に発動できる。
自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、自分フィールド上のモンスター1体を選択する。
選択したモンスター1体の攻撃力は、 発動ターンのエンドフェイズまでリリースしたモンスターカードの攻撃力分アップする。



攻撃命令の代価
永続罠
相手は攻撃宣言をした場合、デッキの上からカード5枚を墓地に送る。



獣の輪廻
永続罠
自分フィールド上の、攻撃力2000以上の獣族モンスターが戦闘で破壊された場合、ダメージステップ終了後にそのモンスターを特殊召喚する。



バーサーカー・バレッジ
永続罠
このカードが表側表示で存在する限り、相手はバトルフェイズをスキップできず、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは、攻撃しなくてはなら
ない。