遊里:LP4000   SC2
暗黒龍騎士 ガイア・ロード:ATK2600

アンドレ:LP4000   SC2
神獣王バルバロス:ATK3000




Side:ジャック


こうも手も無く、バルバロスの効果を発動して来たアンドレのデュエルタクティクスは侮れない物があるが、フィールドを壊滅させられながらもライフを削られ
ず、返しのターンでレベル7のシンクロモンスターを呼び出した遊里のタクティクスはそれ以上だろう。

普通に戦えば、良いデュエルになったのだろうが……このデュエル、何かが引っ掛かるな?
そもそも、予選の初戦で当たる相手チームからのデュエルを受けるとは一体如何言う心算なのだ?遊里が提案したとは言え、普通ならばデータを取られる
と言う事で拒否しそうなものだが……其れを受けるとは……

まさか、コイツ等は、初めからこのデュエルになる事を想定した居たと言うのか?
態とコースに飛び出して接触事故を誘発し、其の後で、保証と弁償云々で此方に難癖をつけて、デュエルでの決着を提案させ、そのデュエルから遊里のデ
ータを得ようと言うのか!?

だとしたら、完全に乗せられた格好だが、遊里が其れに気付いていないとは思えん。
――だとしたら、遊里も分かっていてデュエルを仕掛けた可能性が高いな?……何れにしても、このデュエルが予選の第1試合に影響するのは間違いなさ
そうだ。

尤も、貴様等が如何なる手段を講じようとも、勝つのは俺達『チーム5D's』だと言う事に変わりはないがな。

まぁ、精々この前哨戦で刻み込むが良い――上条遊里と言う、俺が認めた最強デュエリストのデュエルタクティクスの深さと、大きさと言うモノをな!!












異聞・遊戯王5D's Turn122
『Duel of an information competition』













Side:遊里


「フィールドを壊滅させたと思ったら、キマイラの効果で壁を用意し、返しのターンでレベル7のシンクロモンスターを呼び出してくるとは、噂以上だな遊里?
 だけど、ガイア・ロードの攻撃力は2600……バルバロスには及ばないぜ?」

「期待には応えられたようで何よりだわアンドレ。
 それで……確かに今のままじゃあ、攻撃力2600のガイア・ロードは、攻撃力3000のバルバロスには及ばないかもだけど――其れは如何かな!?」

「なに?」



墓地の『月夜のシルバー・フォング』のモンスター効果発動!
墓地のこのカードをゲームから除外する事で、次のアタシのスタンバイフェイズまで、アタシのフィールド上のシンクロモンスターの攻撃力は800ポイントアッ
プする!!『ハウリングムーン』!!



『ムオォォォォォォォォ!』
暗黒龍騎士 ガイア・ロード:ATK2600→3400(月夜のシルバー・フォング効果)




「攻撃力3400!!」

「これで、攻撃力はバルバロスを上回ったわ!!
 バトル!!暗黒龍騎士 ガイア・ロードで、神獣王バルバロスに攻撃!!『ドラグネス・シェイパー』!!」



――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



アンドレ:LP4000→3600

「ぐあぁぁぁ!!……これは、中々に良いフィールじゃないか!流石に、無敵女帝の名は伊達じゃないな?だが、俺だって簡単にはやられないぞ?
 俺のフィールド上の、獣族、鳥獣族、獣戦士族の何れかが戦闘によって破壊された時、手札の『復讐鬼獣ブラッド・グリズリー』を特殊召喚出来る!」

『ガオォォォォォォォォォォ!!』
復讐鬼獣ブラッド・グリズリー:ATK3000



バルバロスを倒したと思ったら、カウンターで又しても攻撃力3000が……流石に『天才』と呼ばれるだけはあるわね?
でも、只バルバロスを倒しただけじゃないわよ?暗黒龍騎士 ガイア・ロードのモンスター効果発動!!
ガイア・ロードが相手に戦闘ダメージを与えた時、3つの効果の中から1つを選んで発動する!!
1つ目の効果は、デッキからカードを1枚ドローする。2つ目の効果は、デッキからレベル4以下のモンスターを特殊召喚する。そして3つ目の効果は墓地の
モンスター以外のカードを1枚選択して手札に加える。
アタシは、1つ目の効果でデッキからカードを1枚ドローするわ。――カードを1枚セットして、ターンエンド。



「俺のターン!!」



遊里:SC2→3
アンドレ:SC2→3




「此れは良いカードを引いたな?
 俺のフィールド上に存在するモンスターが、獣族モンスター1体のみの場合、手札の『超獣王キング・ベヒーモス』を特殊召喚する事が出来る!!」

『グガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
超獣王キング・ベヒーモス:ATK3000




また攻撃力3000のモンスターだけど、其れって確か自身の効果でしか特殊召喚出来ないモンスターよね?条件も限定的過ぎるって言うのに、其れをこ
の局面で出してくるとか、引きが良いと言うか何と言うか……



「更に、墓地のバルバロスと、手札の『神機王ウル』をゲームから除外し、『獣神機王バルバロスUr』を特殊召喚する!!」

『ゴルルルルルルルルル……』
獣神機王バルバロスUr:ATK3800



「更なる大型モンスター…!!
 此れだけの攻撃力のモンスターを、こうも簡単に3体も揃えるとは、見事よアンドレ。」

「女帝から称賛の御言葉を貰えるとは光栄だ、全力を出した甲斐があったって言うもんだからな。
 でも、そのせいで大分手札を使ってしまったから、このカードを発動させて貰うぜ?スピードスペル『Sp-スピード・ドロー』
 俺のスピードカウンターが1個以上ある時、俺のスピードカウンターを任意の数(最大3個まで)取り除き、取り除いた数だけカードをドローする。
 俺は3個のスピードカウンターを全て取り除き、デッキからカードを3枚ドローする!!」
アンドレ:SC3→0



更には手札補充まで……本当に見事なんだけど、でもこれで確定だわ――アンドレは本来のデッキを使っていない。
あくまでも予想だけど、天才と謳われるデュエリストが、こんな力一辺倒のパワーデッキを使うとは思えないし、パワーデッキを使うにしても、ジャックみたい
に『技巧を凝らした上で、最上級のパワーを叩き出す』様なデッキでなければ、プロの世界では通用しないと思うしね。

ブレオの飛び出してきたタイミングが妙だと思ったし、ジャンがやたらと突っかかってくるから、何かあると思ってたけど如何やらビンゴみたいだわ。
そうなると、アタシがデュエルを提案しなくても、向こうからデュエルを提案して来たかも知れないわね。――全ては計算の上って事なのかも知れないけど。



「さてと、此れで俺のフィールドは最強モードだ!
 バルバロスUrは戦闘ダメージを与えられないがガイア・ロードを倒すには充分な攻撃力だし、残る2体のモンスターの攻撃力の合計は6000だから、この
 ターンのバトルが全て成立すれば俺の勝ちって言う事だな?
 悪いが勝たせて貰うぞ?バトル!獣神機王バルバロスUrで、暗黒龍騎士 ガイア・ロードに攻撃!『閃光裂波弾』!!!」



確かにこのターンのバトルが全て成立すれば、アタシのライフは0になる。
だけど、そうは問屋が卸さないわよアンドレ?――何よりも、今『攻撃』って言ったよね?



「言ったが、其れが何か?」

「その攻撃は命取りだって言う事よ!!
 リバースカードオープン!トラップカード『聖なるバリア-ミラーフォース-』!!
 ミラーバリアが攻撃を跳ね返し、相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全滅させるわ!!」

「なにぃ!?」



――バガァァァァァァァァァァァァァン!!!



此れで貴方のフィールドは壊滅したわ、アンドレ!!!



「まさかミラーフォースとはね………だが、壊滅ってのは言い過ぎじゃないか?
 俺のフィールド上の獣族モンスターが効果で破壊された時、ライフを1000ポイント払い、『森の住人グリーン・バブーン』を特殊召喚する!!」

『ガルルルルル……』
森の住人グリーン・バブーン:ATK2600
アンドレ:LP3600→2600



グリーン・バブーンを手札に呼び込んでた訳か……攻撃力はガイア・ロードと互角だけど、互いにモンスターが1体のみの状況で相討ちは有り得ないから、
追撃は無いでしょうね。



「俺は、此れでターンエンドだ。」

「アタシのターン!!」



遊里:SC3→4
アンドレ:SC0→1



暗黒龍騎士 ガイア・ロード:ATK3400→2600


此れは……此処でこのカードをドローするとは、これ以上相手の策に付き合う必要はないって言う掲示とも取れるわね……まぁ、実際にソロソロ終わりにし
ようかと思ってたのは事実だから、このカードをドロー出来たのは有り難いけどね。

「アタシはカードを1枚セットし、ターンを終了するわ。」

「あれ?何らかの効果でガイア・ロードを強化して攻撃してくるかと思ったんだけど、此れは予想が外れたなぁ?
 だけど、そっちから来ないなら俺から行かせて貰うぜ?俺のターン!!」



遊里:SC4→5
アンドレSC1→2




「手札からスピードスペル『Sp-スピード・エナジー』を発動!!
 このカードの効果により、グリーン・バブーンの攻撃力は、俺のスピードカウンターの数×200ポイントアップする!!
 俺のスピードカウンターは2個だから、グリーン・バブーンの攻撃力は400ポイントアップするぜ!!」

『ゴガァァァァアァァァアァ!!!』
森の住人グリーン・バブーン:ATK2600→3000




「バトルだ!グリーン・バブーンで、暗黒龍騎士 ガイア・ロードに攻撃!『ハンマークラブ・デス』!!」

「悪いけどその攻撃は通さないし、このターンでこのデュエルは終わりよ!
 トラップ発動『ジャッジメント・デイ』!!フィールド上のモンスターを全て破壊し、互いに破壊したモンスターの攻撃力の合計値分のダメージを受ける!!
 この効果でガイア・ロードとグリーン・バブーンを破壊し、その攻撃力の合計値――5200ポイントのダメージを受けるわ!!」

「なんだとぉ!?」



――バガァァァァァァァァァァァァァァン!!!



遊里:LP4000→0
アンドレ:LP2600→0




と言う訳で、このデュエルは目出度く引き分けね♪



「ライフ的には無傷だったのに、何で引き分けを……?」

「さて、何でかしらね?――その理由は貴方達が一番良く分かってるんじゃないかしら?……相手の手に乗ってあげる程、アタシはお人好しじゃないし。」

「!!!」



まぁ、其れは其れとして、引き分けだったんだけど如何するの?
この際だから、此処はアタシ達が半額弁済して、残る半額はそっちが自前って言うので如何かな?其れなら、引き分けの時の条件としては妥当でしょ?



「確かに其れが妥当だな……その方向で調整しよう。――次は大会で会おう……楽しみにしている。」



えぇ、アタシも楽しみにしているわ。





「よもや引き分けとは、完全に予想外だったが……遊里、何故本気を出さなかったのだ?
 お前が本気を出せば、アンドレ程度のデュエリストなど恐れるに足らんだろうに、何故手心を加えあまつさえ引き分けと言う幕引きをした?理由は何だ。」

「理由は簡単よジャック――ムザムザ相手にアタシの情報を渡してやる義理は無いし、相手の偽情報を鵜呑みにしてやる義務もないからね。
 今のデュエルは、恐らくアタシのデータを得る事と、アタシ達にアンドレの間違ったデータを刷り込む事が目的だったと思うのよ――ともすれば、アタシがデ
 ュエルを提案するところまで織り込み済みだったのかもしれないわ。」

兎に角、チームユニコーンは、アタシ達のデータを得ようとしていたのは間違いないと思うわ――だから、アタシも本気は出さなかった。
アレ位の布陣なら、シルバー・ウィンドと、プリンセスと、ガール――アタシのデッキのトリプルエースを召喚すれば突破する事なんて訳ない事だけど、其れじ
ゃ相手の思う壺だから、敢えてそれをしなかったのよ。



「って事は、ブレオが飛び出して来たのは態とって言う事かよ……情報収集は確かに大事だが、やり方がキタねぇぜ!!!」

「デュエルの前から戦いは始まっていると言う事か……」



ま、そう言う事ね。――逆に言うと、WRGPがドレだけ凄い大会なのかって言う事を物語ってる訳だけさ。
だけど兎に角、初戦の相手であるチームユニコーンは油断ならない相手だって言う事だけは間違いないわ!!――アタシのデータはあんまり収集されなか
ったけど、アタシ達も相手のデータを得られた訳じゃないからね。



「其れが如何した!!このチームには絶対王者たる俺と、無敵女帝であるお前が居るのだ!誰が相手であろうとも負けは有り得ん!!
 其れ以前に、天上覇王、地上覇王、解錠覇王の三覇王が一堂に集っているのだ――そもそも敗北と言うモノが有り得ないと言っても過言ではない!!
 寧ろ、如何なる手段でも使えるだけ使うが良い!!どんな手を使おうと、俺達を倒す事は不可能だと、思い知らせてやるだけの事だ!!!」



だよね。――アタシ達は絶対に負けない!!狙うは優勝只一つだからね!!








――――――








Side:ジャン


まさかの相討ちだったせいで、上条遊里の情報は得られなかったが、アンドレがパワーデッキの使用者と言う事は擦り込めただろう。
ならば、俺達は其れを踏まえた上で戦術を構成すれば良い――チームデュエルは勝つ事が全てであり、勝つ為には己を犠牲にする事も厭わないからな。

WRGPの予選1回戦――悪いが、勝たせて貰うぞチーム5D's!!













 To Be Continued… 






登場カード補足




復讐鬼獣ブラッド・グリズリー
レベル8    闇属性
獣族・効果
このカードは通常召喚出来ない。自分フィールド上の獣族、鳥獣族、獣戦士族モンスターの何れかが戦闘によって破壊された場合に特殊召喚出来る。
この効果で特殊召喚したこのカードは、戦闘によっては破壊されない。
ATK3000    DEF2000



超獣王キング・ベヒーモス
レベル8    炎属性
獣族・効果
このカードは通常召喚出来ない。自分フィールド上に存在するモンスターが獣族モンスター1体のみの場合、このカードを手札から特殊召喚出来る。
このカードが相手の攻撃によって破壊された場合、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
ATK3000    DEF2200



Sp-スピード・ドロー
スピードスペル
自分のスピードカウンターが1個以上ある時に発動できる。
自分のスピードカウンターを任意の数取り除き(最大3個まで)、取り除いたスピードカウンターの数だけデッキからカードをドローする。



ジャッジメント・デイ
通常罠
フィールド上の全てのモンスターを破壊し、互いに破壊したモンスターの元々の攻撃力の合計値分のダメージを受ける。
このカードに対して、自分はチェーン出来ない。