Side:遊里


さてと、ピアスン殺害の下手人も無事に逮捕されて、そしてクロウもシグナーの証である決闘龍『玄鳳龍 ブラック・フェザー』を手に入れて調子は鰻登りね。
加えて、ボルガー&カンパニーが、Dホイールの整備やら何やらに協力してくれることが決定して、そのお蔭でアタシ達のDホイールも調子は上々だわ。

準備は着々と進んでるから、後はWRGPを待つばかりね!!



「WRGP……世界を相手にした大舞台だが、そんな事は俺には関係ない!!相手が誰であろうとも、俺は負けん!!
 俺は絶対王者……常に、幾多のデュエリストの先を行く存在でなのだからな!!世界中の猛者が相手であっても、俺のフィールで蹴散らしてくれる!!」

「世界中の猛者が相手……そう来なくちゃ面白くねぇ。
 どんな奴が、どんなデッキが出て来るかは分からねぇが――精々、俺を満足させてくれよな!!

「この鉄砲玉のクロウ様が、そう簡単にやられると思ったら大間違いだぜ!!世界のデュエリストが相手でも、俺は絶対に負けないぜ!!」



ジャックも、鬼柳も、クロウも、やる気は充分ね♪――って、鬼柳は煉獄発動してるから、ちょ~~~っと、怖いけどね。
お~~い、鬼柳、目の色反転してるから、落ち着け~~~。一歩間違えば、ダグナーみたいになってるから。まぁ、鬼柳らしいと言えば、らしいんだけどね。



「それで、チーム名は如何するの遊里?」

「WRGPに参加するなら、チーム名が必要だからさ……決まってるんでしょ、チーム名?」



勿論決めてあるわよ龍可、龍亞。

WRGPに参加するアタシ達のチーム名、それは―――『チーム5D's』よ。












異聞・遊戯王5D's Turn121
『結成!チーム5D's!!』













「チーム5D's……!!」

「カッコイイ!!凄くカッコイイよ遊里!!これ以外にはないって言う感じのチーム名だぜ!!!」



そう言って貰えると、嬉しいわよ龍亞。
こう言っちゃなんだけど、ジャックをはじめとした野郎共はネーミングセンスが皆無だったから、必死で頭ひねって、知恵を分子レベルで捻り出して考えたチ
ーム名なのよ此れ。



「因みに、ジャック達が考えたチーム名って?」

「『絶対王者と仲間達』(ジャック案)、『チームサティスファクション(要約:満足組)』(鬼柳案)、『絶対無敵最強チーム』(クロウ案)……流石に無いでしょ?」

「あ~~~……確かにないね。満足組は特に無い感じがするわ。」

「それで、遊里の5D'sなんだね。
 でも、5D'sって如何言う事?単純に考えると『5つのD』って事になると思うんだけど……」



あ~~、其れはね………



「ドラゴン、デストロイ、ダークネス、デスティニー……そして、誰からも好かれる遊里ちゃんで5つのDだ。」

「待てやこら!!何言ってんのよ衛遊!!
 いや、4つ目までは兎も角として、5つ目は何!?ネタか!?ネタだったら盛大に突っ込むし、本気だったら、垂直落下DDTの刑に処すわよ!?」

「お前は誰からも好かれると思っていたのだが、違うのか?」

「って、ネタでも本気でも無く素で言ったんかーーーい!!性質が悪い事この上ないわ!ボケるなら、ボケと分かるテンションで言え!素で言うな!」

「?」



あぁ、此れは絶対に分かってねーわね……天然て恐ろしいわ。


んん!衛遊が言ったのは冗談で、5D'sのチーム名の由来は此れ――アタシ達の腕に刻まれた、赤き竜の痣よ。
アタシ、ジャック、鬼柳、クロウ、そして龍可で、合計5つの竜の痣があるでしょ?
其処から、竜の痣を持つ5人――5 persons with a bruise of dragonsを縮めて『チーム5D's』って言う事。納得していただけたかしら、龍亞?



「うん。アレ?でもそうなると俺ってチームメンバーから除外?」

「そんな筈が無かろう。
 お前も龍可も、Dホイーラーではないから大会に出場する事は出来んが、チームのスタッフとして宇里亜や衛遊、牛尾と共に確りと働いて貰う心算だ。」

「ボルガーの所からも、何人かスタッフ寄越してくれるって事だったから、そんなに忙しくはならねぇだろうけどな。」



つまりそう言う事。
裏方のスタッフって言うのは、メンバー交代の際に、フィールドに残ったカードの移し替えや、コース上のDホイーラーにボードで指示を伝えたり、マシントラ
ブルでピットインしたマシンの状態チェックとか、出場選手以上にやる事が沢山あるから、人手は多い方が良いのよ。

そう言う事だから、龍亞も立派なチーム5D'sの一員よ♪



「よっしゃー!!頑張るよ俺!!」

「その意気や良しね。」



――ピンポーン



ん?誰だろう?



「スミマセーン、シロネコムサシですけど、上条遊里さんのお宅で宜しいですか?」

「宅急便……ご苦労様、此処で合ってるわよ。」

「毎度どうも~~!ボルガー&カンパニー様から、上条遊里様宛にお荷物が届いていますので、此方にサインか印鑑をお願いできますでしょうか?」

「はいはい……此れで良いかな?」

「はい。は~~いどうも!!」



ボルガーの会社から荷物って何だろう?取り敢えず開けてみればわかるわよね。――ってこれは……中々粋な事をしてくれるじゃないボルガー!!
チーム名が決まったら教えてくれって言ってたのはこう言う事だったのね。

箱の中に入っていたのは、『チーム5D's』のロゴが入ったスタッフジャンパーと、同じロゴが入ったチームのデュエルジャケット!!
しかも、アタシとジャックのは、何時も使ってる奴にロゴが入っただけだけど、鬼柳とクロウのは、2人の為に新たにデザインされたモノだからね――此れは、
最高のプレゼントよ!!



「ボルガー&カンパニーの社長め、中々に粋な事をしてくれる。――此れは、何としても優勝するしかあるまい!」

「元よりその心算だったけど、此処までやって貰ったら、絶対によね!!」

その期待には応えるのがデュエリストって言うモノだしね!!

アタシ達は、絶対に勝つ!!並みいる強豪を軒並み倒して、WRGPの初代王者になる!!――チーム5D's、全力全壊で驀進するわよ!!



「「「「「「「「おぉーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」




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それから数日後、WRGPの予選リーグの組み合わせが発表された――予選リーグの初戦は、世界的に活躍してるデュエルチームの『チームユニコーン』だ
ったけど、相手にとって不足は無いわ。

何度かテレビでデュエルを見た事が有るけど、一度デュエルしてみたいって思っていたから、そう言う意味では願いが叶ったと言えるわね。

だけど、現在進行形で、問題が発生しちゃったのよね~~……



「俺達を妨害しようとして、態と飛び出して来たんじゃないのか?」

「チゲェって言ってんだろ!!まさか、あのタイミングで飛び出してくるとは思ってなかったんだよ!!
 つーか、こっちが一方的に悪いような言い方してやがるが、そっちの方こそ、コースに出て来る時には走行中のDホイールに注意を払うべきだろうが!」



予選開始前のトライアル走行で、クロウが初戦の相手であるチームユニコーンの選手と接触事故を起こしちゃって、其処で相手方と一悶着。
幸い、接触した選手――ブレオは掠り傷程度で済んだんだけど、チームリーダーであるらしい眉無し男……ジャンが因縁を付けて来たのよね。

勿論、態とじゃなくて、タイミングが最悪に悪かっただけに起こった事故だから、クロウも反論してる。――てか、クロウの方が正論言ってるよね此れって。



「其れでも文句があるって言うなら、弁済額を提示しやがれ!!お前等の言い値で弁済しようじゃねぇか!!」

「必要ないな。俺達程のチームともなれば、スポンサーが違うから弁済して貰う必要などない。」

「ふざけんよ?そんだけ言っておきながら、弁済の必要はねぇだと?
 テメェの方からいちゃもん付けて来て其れはねぇだろ?――序に言っとくと、俺達のスポンサーには、世界でもトップクラスの企業が付いてるからな!!」



だけど、此れは何処まで行っても話し合いでの決着は望めそうにないから――此処はデュエリストらしく、デュエルで白黒はっきりさせるってのは如何?
アタシが、そっちの代表とデュエルをする――彼方達のトライアルタイムを潰す事になるけど、悪い提案じゃないと思うわよ?

アタシが勝ったら弁済、彼方達が勝ったら弁済無しって言う条件で如何?
この条件なら、クロウと貴方の主張も満たせる筈よ。



「此れなら確かに良いかもな――だったら、頼んだぞアンドレ。」

「OK.、任された。」



如何やら受けてくれたみたいね――尤も、其処でチームのエースであるアンドレを使ってくる辺り、結構本気なのかも知れないけどさ。
だけど、アタシは負けないわ!!

「行くわよアンドレ?」

「あぁ、良いデュエルにしよう!!」



「「ライディングデュエル、アクセラレーション!!」」



ファーストコーナーは……って、予想以上に速いわねアンドレ!!ボルガーの会社で調整して貰ったマシンをも上回るとは、予想外だったわ。
少し悔しいけど、ファーストコーナーはアンドレが制したから、アンドレのターンからね。



「「デュエル!!」」



遊里:LP4000  SC0
アンドレ:LP4000   SC0



「俺のターン!
 モンスターを裏守備でセットし、カードを1枚伏せてターンエンド!!」



先ずは様子見なのかな?……だったら、こっちから攻めさせてもらうわ!!アタシのターン!



遊里:SC0→1
アンドレ:SC0→1




相手フィールド上にのみモンスターが存在する時、手札の『ジャンク・フォアード』は特殊召喚出来る!!



ジャンク・フォアード:ATK900



「更に、チューナーモンスター『月夜のシルバー・フォング』を召喚!!」
月夜のシルバー・フォング:ATK1200



レベル3のジャンク・フォアードに、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!
集いし風に秘めた思いが強固な壁を撃ち砕く。光射す道となれ!シンクロ召喚、突き崩せ『有翼幻獣 キマイラ・ガイスト』!!

『ウガァァァァァ!!!』
有翼幻獣 キマイラ・ガイスト:ATK2100



バトル!!有翼幻獣 キマイラ・ガイストで、伏せモンスターに攻撃!!『キマイラ・インパクト・チャージ』!!



「く……だが伏せたモンスターは『素早いモモンガ』!!
 その効果で、俺のライフは1000ポイント回復し、同名カードをデッキから2枚まで裏守備で呼び出す!!」
アンドレ:LP4000→5000
裏守備モンスター×2




「更にトラップカード『魂の綱』!!
 ライフを1000ポイント払い、デッキからレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する!!現れろ『ジェネシック・ワーウルフ』!!
ジェネシック・ワーウルフ:ATK2000
アンドレ:LP5000→4000



一気に3体のモンスターか……アタシは此れでターンを終了するわ。



「俺のターン!」


遊里:SC1→2
アンドレ:SC1→2




「俺は2体の守備表示モンスターと、ジェネシック・ワーウルフの3体リリース!!現れよ、『神獣王バルバロス』!!」

『グガァァアァァ!!』
神獣王バルバロス:ATK3000




「3体のモンスターをリリースしてバルバロスをアドバンス召喚した時、相手フィールド上のカードを全て破壊する!!」



――バガァァァァン!!!



此処でバルバロスの効果か……だけど、キマイラ・ガイストが破壊された時、アタシの墓地からキマイラ・ガイストのレベルと同じになるように、墓地からモン
スターを特殊召喚する!!

頼むわよ『月夜のシルバー・フォング』『ジャンク・フォアード』!!


月夜のシルバー・フォング:DEF800
ジャンク・フォアード:DEF1500




「ライフは削らせてくれないか……だったら先ずは、厄介なチューナーから処理させて貰う!!バルバロスで、シルバー・フォングに攻撃!!」



チューナーを狙ったのは悪くなかった――だけど、其れだけじゃあ足りないわ!!
ステータスの差が合って、シルバー・フォングは破壊されたけど、ジャンク・フォアードは残ったしね。――何れにしても、このままじゃ終わらないわよ!!



「流石に簡単には行かないな……俺は此れでターンエンドだ。」

「アタシのターン!!」



遊里:SC2→3
アンドレ:SC2→3




此れは、良い引きだわ。
アタシは手札から、スピードスペル『Sp-エンジェル・バトン』を発動!!デッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる!!

そしてアタシは、チューナーモンスター『ライティ・ドライバー』を召喚!!



ライティ・ドライバー:DEF300



ライティ・ドライバーの効果発動!
1ターンに1度、墓地の『レフティ・ドライバー』を特殊召喚出来る!!



「何時の間にそのカードを……そうか、エンジェル・バトンの効果で、そのモンスターを墓地に送っていたのか!!」



そう言う事よ!!現れなさい『レフティ・ドライバー』!そして、墓地から特殊召喚されたこのカードのレベルは3となる!!



レフティ・ドライバー:DEF100    LV2→3



「行くわよ?レベル3のジャンク・フォアードと、レベル3になったレフティ・ドライバーに、レベル1のライティ・ドライバーをチューニング!!
 集いし思いが、新たな希望を照らし出す!光射す道となれ、シンクロ召喚!!天を翔けよ『暗黒龍騎士 ガイア・ロード』!!」

『ムオォォォォォォォォォォォォ!!』
暗黒龍騎士 ガイア・ロード:ATK2600



やるからには徹底的にやってやるわ!!――そして知るが良いわ、リーグ戦初戦の相手が、ドレだけの力を持って居るデュエリストであるのかをね!!
何を企んで居たのかは知らないけど、このデュエルはアタシが勝たせて貰うわ!!――遅れないで付いてきなさいよ、アンドレ!!














 To Be Continued… 






登場カード補足