Side:遊里
さて、始まったわね、クロウにとっての因縁のデュエルが。
普通に考えれば、クロウが負けるなんて言う事は考えられないんだけど、相手がロバート・ピアスンを殺害した犯人って言う事だとしたら話は別だわ。
クロウから聞いた話になるけど、ピアスンはクロウと同じ『BF』デッキだったんでしょ?だとしたら、其れを打ち負かした相手は、クロウにとっても天敵である可
能性が高いと思うんだけど、貴方は如何思うボルガー?
「彼がピアスン殺害の犯人であるのならば、確かに『BF』を扱うクロウには天敵であるだろうとは思う。
だが、長い付き合いの中で、私はクロウの為人は理解して居る心算だよ?……彼は、例え己の天敵が相手であっても怯む事は決してなく、只管に突き進
んで行くだろう?『鉄砲玉』の異名の通りにね。」
「ふん、曲がりなりにも、サテライト時代は遊里に次ぐ、サテライトのナンバー2だったのだから、あの様な愚物に後れを取る事はあるまい。
俺達は、クロウの勝利を信じて待って居れば良い――それが、王者の礼儀とも言えるからな。」
ボルガーもジャックも、クロウが負ける事は考えてないか……ま、其れはアタシもだけどね。
って言うか、旧サテライトで名が知られてた『義賊』鉄砲玉のクロウが、そう簡単に負ける筈がない!!――うぅん、このデュエルは絶対にクロウが勝つわ!
「先攻は貰うよ?」
「く……強引にインを攻めて来やがったか……上等だぜこの野郎!!」
む……如何やら、ファーストコーナーは取られたみたいだけど、そんなモノはハンデにもならないわよ?
クロウとBFの力を、その身をもって味わうと良いわ!!
異聞・遊戯王5D's Turn119
『敵は、黒翼抹殺デッキ』
Side:クロウ
コイツ、俺を相手に先攻を取ってくるとは、中々の腕前じゃねぇか?旧サテライト時代でも、俺から先攻を取る事が出来たのは遊里だけだったんだが、其れ
を踏まえると、コイツのDホイールテクニックは、上級レベルって事なんだろうな。
まぁ、何でも良いぜ、掛かって来やがれ!!
「ならば遠慮なく行かせて貰うよ……私のターン!!『アンチBF-白羽のアルベド』を召喚!!」
アンチBF-白羽のアルベド:ATK1500
アンチBFだと?……何だか嫌な予感がするな?何がって聞かれると困るんだが、兎に角凄く嫌な予感がするぜ、このモンスターからはな。
「カードを2枚セットして、ターンエンドだ。」
「俺のターン!!」
クロウ:SC0→1
???:SC0→1
っと、そう言えば、まだお前の名前を聞いてなかったよな?デュエルをする以上、名を名乗るのは礼儀だろ?
テメェの名前は、是非とも知っておきてぇからよ。
「ふむ……言われてみれば。
ならば、名乗ろう!!私の名前は……アッシュ・ヴァイオレット!!玄鳳龍のカードを手に入れ、世界に羽ばたかんとする者だ」
???→アッシュ
アッシュか……覚えておくぜ、その名前――ピアスンをぶち殺してくれたクソッ垂れの名前としてな!!テメェは絶対に許さねぇ……手加減なんざしねぇぜ!
相手フィールド上にのみモンスターが存在する場合、手札の『BF-暁のシロッコ』はリリースなしで召喚出来る!!
BF-暁のシロッコ:ATK2000
更に、俺のフィールド上に『BF』が存在する時、手札の『疾風のゲイル』と『黒槍のブラスト』を特殊召喚出来る!!
BF-疾風のゲイル:ATK1300
BF-黒槍のブラスト:ATK1700
一気に行くぜ!!疾風のゲイルの効果発動!!相手モンスター1体の攻守力を半分にする!!コイツで、白羽のアルベドの攻守力を半分にするぜ!!
「ふむ、良い効果だね?いや、強力と言っても過言ではないが……残念ながら、その効果は無意味だよ?」
「何だと?……って、なにぃ!?」
アンチBF-白羽のアルベド:ATK1500
疾風のゲイルの効果を受けたってのに、ステータスが半減してねぇだと!?此れは一体如何言う事だなんだよ!?普通に考えて、有り得ねえだろ此れ!
違法なプログラムで無効にしたって訳でもないだろうから、モンスター効果やら何やらで回避したんだろうが……
「クククク…白羽のアルベドが表側表示で存在する限り、相手フィールド上の『BF』モンスターの効果は無効となる!
詰まりは、この効果で疾風のゲイルの効果を打ち消したと言う訳さ――納得していただけたかな?」
「アンチBFってのはそう言う事かよ……BFに対するピンポイントの効果――確かに強力で、俺やピアスンにとっては最大の天敵ってのも認めてやるぜ。
だがな、効果が無効になった程度じゃ、BFの黒き翼は折れないぜ!!俺は、レベル4の黒槍のブラストに、レベル3の疾風のゲイルをチューニング!!
黒き烈風よ、世界を駆け抜け、漆黒の力となれ!シンクロ召喚、陣風一閃『BF-蒼天のムサシ』!!」
『ムオォォォォォォォォ!!』
BF-蒼天のムサシ:ATK2500
蒼天のムサシは、通常の攻撃に加え、俺のフィールド上に存在するムサシ以外の『BF』の数だけ攻撃する事が出来る!つっても、テメェのモンスターの効
果で、その能力は封じられちまってるけどな。
だが、蒼天のムサシも、暁のシロッコも、攻撃力はテメェのモンスターを上回ってるからな?ソイツを倒せば、ムサシの連続攻撃でお前はお終いだ!!
「行くぜ!暁のシロッコで、白羽のアルベドに攻撃!『ダークウィングスラッシュ』!!」
「迷わず攻撃してくるとは、鉄砲玉の異名は伊達じゃないと見えるね?ならば私は、永続トラップ『策略の毒薬』を発動。
モンスターが効果破壊された場合、破壊されたモンスターのコントローラーに、破壊されたモンスター1体に付き500ポイントのダメージを与える。」
「地味に厄介な効果だが、其のカードで暁のシロッコの攻撃を止める事は出来ねぇぜ!!」
――バガァァァァァァァァァァァァァァッァアン!
「見事だが、白羽のアルベドが『BF』モンスターと戦闘を行う事によって発生する私への戦闘ダメージは0になる。
そして、このカードが『BF』モンスターとの戦闘によって破壊された場合、そのモンスターを破壊する!!!」
「なんだとぉ!?……シロッコ!!」
「そして、策略の毒薬の効果が発動する。」
クロウ:LP4000→3500
コイツ、面倒なコンボを仕掛けて来てくれるじゃねぇか?
だが、此れでテメェのフィールドはがら空きだ!!俺も500ポイントのダメージを受けたが、テメェにはその5倍のダメージを叩き込んでやるから覚悟しろ!
BF-蒼天のムサシで、ダイレクトアタック!『黒刃一閃』!!
「そうは行かないよ?
私が『BF』モンスターからダイレクトアタックを受ける時、手札の『アンチBF-白雲のニクス』を特殊召喚出来る。そしてこのモンスターは『BF』モンスター
との戦闘によっては破壊されないモンスターだ!」
アンチBF-白雲のニクス:DEF1000
「更に白雲のニクスもまた、『BF』の効果を無効にする力を持って居る!!」
――!!マジかよ!!
コイツは、完全に『BF』に対するアンチデッキを組んでるって言うのか?……此れじゃあ、俺のモンスターじゃアイツを倒す事は出来ねぇじゃねぇか!!
黒槍のブラストや、アームズ・ウィングなら貫通効果を持ってるが、その効果もアンチBFの前では無効になっちまう……分が悪い所の騒ぎじゃないぜ!!
だが俺は諦めねぇ!攻略の糸口は有る筈だからな。ターンエンド。
「私のターン!」
クロウ:SC1→2
アッシュ:SC1→2
「私は、チューナーモンスター『アンチBF-陽光のサンシャイン』を召喚。」
アンチBF-陽光のサンシャイン:ATK1000
此処でチューナー?……つー事はシンクロ召喚だろうが、シンクロのアンチBFを呼び出すってのか?だとしたら、益々分が悪い――否、悪い所じゃねぇぜ!
「レベル3の白雲のニクスに、レベル3の陽光のサンシャインをチューニング。
白き閃光が、黒き翼の力を奪う。闇を払え!シンクロ召喚、現れよ『アンチBF-閃光のスパーク』!!!」
『ハァァァァァァァァ!』
アンチBF-閃光のスパーク:ATK2300
「閃光のスパークは、『BF』モンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずにそのモンスターを破壊する、最強の黒羽の殲滅者……BFデッキを使う君
にとっては、最大の天敵とも言うべきモンスターさ!!
そして、勿論『BF』モンスターの効果は無効にさせて貰うよ。」
マジか!?……てか天敵どころじゃねぇだろ此れ!?
コイツの前では、俺のBFは一方的に破壊されちまうし、しかもソイツは効果破壊だから、策略の毒薬の効果で俺に効果ダメージが発生する――だからと言
ってモンスターを召喚しなかったらダイレクトアタックが飛んでくる……完全にBF封じの戦術だぜ。
「バトル。閃光のスパークで、蒼天のムサシに攻撃!『バイスブラスター』!!」
――バガァァァァァァァァァァァン!!!
くそ、幾ら攻撃力が高くても、戦闘を介しての効果破壊じゃ、攻撃力が意味を成さないぜ……しかも、俺のモンスターが一方的に破壊されて、しかもダメージ
を受けるのも俺だけだからな――幾ら『BF』のアンチデッキとは言え、インチキ効果も大概にしやがれってんだ!!
クロウ:LP3500→3000
だが、コイツはヤバイ……このままじゃジリ貧確定だぜ――!
「私は此れでターンエンド。」
「俺のターン!!」
クロウ:SC2→3
アッシュ:SC2→3
俺は、手札からスピードスペル『Sp-オーバー・ブースト』を発動!このターンのエンドフェイズにスピードカウンターを1にする代わりに俺のスピードカウン
ターを4個増やす!
クロウ:SC3→7
更に、スピードスペル『Sp-天よりの宝札』を発動し、互いに手札が6枚になるように、デッキからカードをドローするぜ!!
……よし、このカードなら行ける!!
「俺はチューナーモンスター『BF-上弦のピナーカ』を召喚!」
BF-上弦のピナーカ:ATK1200
更に、俺のフィールド上に『BF』が存在する時、手札の『BF-残夜のクリス』は特殊召喚出来るぜ!!
BF-残夜のクリス:ATK1900
レベル4の残夜のクリスに、レベル3の上弦のピナーカをチューニング!
猛禽を操る漆黒の鷹匠よ、黒き羽を纏め上げ疾風を呼べ!シンクロ召喚、現れろ『BFT-漆黒のホーク・ジョー』!
『ムオォォォォォォ!!』
BFT-漆黒のホーク・ジョー:ATK2600
「レベル7の上級シンクロモンスターの速攻召喚は見事だけれど、そのモンスターの効果もまた無効になる上に、閃光のスパークの餌食でしかない。
君では私に勝つ事は出来ないんだよ?……ロバート・ピアスンが、私を倒す事が出来なかったようにね!」
確かにそうかも知れねぇが、だからと言ってデュエルを途中で諦めるなんて言う選択肢はないぜ?きっとピアスンだってそうだったはずだからな。
どんなにカッコ悪くても、無様でも、俺は絶対に諦めねぇ!!!地べたに這いつくばっても、泥水啜っても生き延びて、そんでもって最後に勝ってやるぜ!
カードを1枚セットしてターンエンドだ!
クロウ:SC7→1
「其処まで行くと、ある意味で尊敬に値するよ……私のターン!」
クロウ:SC1→2
アッシュ:SC3→4
「『アンチBF-白霧のミスティ』を召喚!」
アンチBF-白霧のミスティ:ATK0
「白霧のミスティが『BF』モンスターと戦闘を行う事によって発生する戦闘ダメージは相手が受ける。
白霧のミスティでダメージを反射し、そして閃光のスパークの効果を使えば、お前のライフは0となり私の価値が確定するのだ!!此れで終わらせる!」
コイツは……確かに大ピンチなのは間違いねぇな。
――なら、せめて聞かせてくれよ……テメェは何だってピアスンを殺しやがったんだ?――コイツはオフレコだから、キッチリと話して貰うぜ!!
「死に行く者への手向けとして教えてやろうかな?
当時、ロバート・ピアスンが新たなモーメントエンジンの開発に尽力していたのは知っていたけど、同時に資金不足であるって言う事も聞き及んでいた。
彼の技術は素晴らしいと思ったので、『玄鳳龍』のカードを担保にする事を条件に資金援助を申し入れたんだけど、其れは拒否されてしまった。
私はトップスの企業の代表だったのだけれど、まさか資金援助を拒否されるとは思って居なかったら、其れなりのショックは受けたさ……だが、それ以上に
此方の資金援助を断ってまで手放したくない『玄鳳龍』がドレだけのカードであるのか知りたくなったのさ。
だから、その力を知るためにピアスンにデュエルを挑んだんだ……だが、そのデュエルでも私は終始圧倒されていた――だからこそ使ったのだ、あのカー
ドを、呪われしシンクロモンスター『ブラッド・アポカリプス』を!そして私は勝った!勝ったんだ、ピアスンに!!玄鳳龍のカードは入手出来なかったが、奴
を葬れたのは、良い成果だと思っているよ――そして、お前もピアスンの後を追うんだ、クロウ・ホーガン!!」
「成程な……其れが真実って事か――ふざけるのも大概にしろって所だぜ!!」
だったら尚の事負けられねぇ!!
リバースカードオープン、トラップカード『デルタ・クロウ-モンスタージェノサイド』!!
俺のフィールド上に『BF』が存在する時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する!!
コイツの効果で、お前の2体のアンチBFモンスターを叩き潰してやった!更に『策略の毒薬』の効果で、ダメージを受けて貰うぜ!!
「貴様!!!」
アッシュ:LP4000→3000
「ハ!興奮するのにはまだ早いぜ?テメェはこんなモンじゃ済まさねぇからな――徹底的にぶっ倒してやるぜ!!」
俺のデッキは、お前のデッキとは相性最悪かも知れねぇが、そんなモンは気合と根性と、デュエリスト魂で如何とでもやってやる――覚悟を決めやがれ!!
ピアスンの無念、今此処で、俺がキッチリと清算してやろうじゃねぇか!!
To Be Continued… 
登場カード補足
アンチBF-閃光のスパーク
レベル6 光属性
天使族・シンクロ/効果
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが「BF」モンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずに相手モンスターを破壊する。
このカードが表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する「BF」モンスターの効果は無効になる。
AT2300 DEF2000
アンチBF-白羽のアルベド
レベル4 光属性
天使族・効果
このカードが「BF」モンスターと戦闘を行った場合に発生する、自分への戦闘ダメージは0になり、ダメージステップ後にこのカードと戦闘を行ったモンスター
を破壊する。
このカードが表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する「BF」モンスターの効果は無効になる。
ATK1500
アンチBF-白雲のニクス
レベル3 光属性
天使族・効果
自分が「BF」モンスターから直接攻撃を受ける時、手札のこのカードを特殊召喚出来る。このカードは「BF」モンスターとの戦闘によっては破壊されない。
このカードが表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する「BF」モンスターの効果は無効になる。
ATK1000 DEF1000
アンチBF-陽光のサンシャイン
レベル3 光属性
天使族・チューナー
このカードが相手によってフィールドを離れた場合、デッキからカードを1枚ドローする。
このカードが表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する「BF」モンスターの効果は無効になる。
ATK1000 DEF1000
アンチBF-白霧のミスティ
レベル1 光属性
天使族・効果
このカードが「BF」モンスターとの戦闘を行う事で発生する自分への戦闘ダメージは、全て相手が受ける。
このカードが表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在する「BF」モンスターの効果は無効になる。
ATK0 DEF0
デルタ・クロウ・モンスタージェノサイド
通常罠
自分フィールド上に「BF」と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
自分フィールド上の「BF」と名のついたモンスターが3体のみの場合、 このカードは手札から発動できる。
策略の毒薬
永続罠
フィールド上のモンスターが、カード効果によって破壊された場合、破壊されたモンスターのコントローラーは、破壊されたモンスター1体に付き500ポイント
のダメージを受ける。
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