Side:遊里


「まさか、過去で初代デュエルキングと共に奴を倒すとは……しかも、お前の話を聞く限りでは、その遊城十代と言うデュエリストも相当なモノだな?
 融合主体でありながら手札が減らず、しかも速攻魔法のマスクチェンジを駆使して、バトルフェイズ中に猛ラッシュをかけるとは、見事としか言えんぞ。」

「其れもスゲェが、神をその目で見れたなんて、羨ましすぎるぜ遊里!!
 てか、この時代で神を実際に拝んだのはお前位だろ!!普通は、雑誌とかでしか三幻神の事は知らねぇんだからな!!本気で、羨ましいぜオイィィ!」

「過去の最強と、更に神まで巻き込んで事態を解決したか……俺的には、其れだけで満足だぜ。」



あはは……私としても、遊戯さんと一緒にデュエル出来るとは思ってなかったし、まさか神が降臨するなんて、完全に予想外だったからね。
でも、最強と名高い初代デュエルキングと融合マスター十代と共に戦ったあのデュエルは、アタシにとっても良い経験だったわ。まぁ、結果論なんだけどさ。

それに、パラドックスだって決して弱くなかった。其れこそ、アタシと遊戯さんと十代が力を合わせて、漸く倒せたくらいだからね。
もしも、違う出会い方をしてたら、間違いなくアタシ達の良いライバルになってたと思う――其れ位に、強いデュエリストだったのよ、パラドックスは。



「お前が其処まで言うとは……実力は確かだったようだな。」

「パラドックスは、間違いなくデュエリストだった。其れだけは言えるわ。」

だからこそ、如何してあんなことをしたのかが気になるんだけどね。
恐らく、アレはパラドックスの単独犯行じゃなくて、背後には何かしらの大きな組織があるのは間違いない――其れを踏まえると、また何かしらの行動を起
こす事は、先ず間違いない……まぁ、負ける心算は毛頭ありませんが。

其れよりも今は、WRGPに向けての準備を、万端整えないとだよね!













異聞・遊戯王5D's Turn116
『治安維持局に突入せよ!!』













と、意気込んで各マシンの調整をしてた訳なんだけど――一体何の御用でしょうかね深影さん?いや、先ず間違いなくセキュリティ関係だとは思うけどさ?



「仰る通りよ遊里さん。
 実は、今日の未明に、匿名でセキュリティ宛にメールが届いたのよ……『治安維持局を爆破する』って言う内容の、至極物騒なメールが。
 勿論、このメールを確認した後に、セキュリティ隊員を総動員して治安維持局を捜索したのだけれど、何処からも爆弾や爆薬は見つからなかったのよ…
 只の愉快犯の悪戯なら其れで良いんだけれど、私には此れが只の悪戯とは思えないの。」



其れは何とも物騒っすね~~~……でも確かに、愉快犯の悪戯にしては、ちょ~~~っと、性質が悪い気がするわね此れは。
実際に爆発物が見つかってないって言う事を考えると、此れは若しかしてダミーなのかも。



「ダミー?」

「こう言った文章を送っておけば、セキュリティは治安維持局の捜索にその人員を当てざるを得なくなるから、そうなると外部からの侵入への防御が手薄
 になってしまうでしょ?――そうなれば、内部に入り込む事は難しくないかもだからね。」

「!!!」



つまり、この文書は最初からセキュリティの警戒を別の方向に向ける為の物だったって事で、言ったら悪いけど深影さん達は其れに乗せられた形ね。
もっと言うなら、入り込んだ連中が局内の非常警報とか弄って、内部の隊員を外に追い出した上でロック掛けてるかもしれないし……って、如何したの?



「か、確認したら遊里さんの言う通りになってたわ……何て言うか、本気で大丈夫なのかしらセキュリティって!?」

「いや、もう駄目なんじゃないかしら?副長官行方不明で、長官は正体不明って時点で、シティの治安を護る組織としては如何なモノかと思うし。
 って言うか、アタシ的には現長官にリコールを突きつけた上で、深影さんを長官に据えたいわ。で、牛尾が実働部隊の隊長やった方が良い気がする。」

「私が長官は兎も角、牛尾さんの様な人がセキュリティを去ってしまったのは本当に悔やまれるわ……って、それどころじゃないわ!!
 って事は、治安維持局は完全に犯人の良いようになってるって事!?」

「まぁ、そうなるわね。」

そいつ等の目的が何なのかは分からないけど、兎に角見過ごせるもんじゃないでしょ。っつ~訳で、チャッチャと行って何とかしてきま~す。
ジャック!……は、今日は防衛戦だったわね。相手はキング・ジャアクとか言うジャックのパチモンだったけど、まぁレッド・デーモンで焼き尽くして終わりね。
鬼柳とクロウも仕事で居ないし……よし、行くわよ衛遊、そして牛尾!!



「牛尾は分かるが、俺もなのか?」

「衛遊なら、治安維持局のロック解く事も出来るでしょ?アタシも出来るけど、其れが出来る人間が複数いた方が二方向から攻められていいのよ。」

「そう言う事か……分かった。」

「俺は……まぁ、言うまでも無く犯人確保の為だろ?
 任せときな、セキュリティに居た頃は、局内の柔道や空手の大会で負けた事はねぇからな、余程のバケモンじゃない限りはどうにかしてやるさ。」



うん、お願いするわね。
それじゃあ、レッツゴー!!




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と言う訳で治安維持局到着~~!



「到着~~~!じゃねぇだろ!!何処の世界に、治安維持局の正面玄関をDホイールでぶち破って突入する奴がいるってんだ!!」

「目の前に居ますが何か?」

「開き直るなよなオイ!!!」

「だが、問題なく内部に入り込めた訳だから、結果オーライと言う事にしておこう牛尾。
 其れに、Dホイールが突っ込んだ位で割れるようなガラスを正面玄関に使っている治安維持局の方が問題なんだ。こう言う場所は防弾ガラス位は使わ
 ないと、安全性が確保できないぞ。」

「其れを言われたらそうなんだけどよ……」



まぁ、固い事言わないって事で。尤も、正面玄関突き破られた事で、非常用のシャッターが下りちゃったから、犯人を如何にかするまでは誰も入る事が出来
ないし、アタシ達も出れなくなっちゃったんだけどね。

さてと、問題は此処から如何行くかよね?

上に続く2つの階段の内、東側はシャッターが下りてて進行不可だけど、西側は開いたまま……何となく、開いたままの西側は罠の匂いがプンプンするん
だけど、こっちの道の方に魂が騒ぐわね?……間違いなくこっちには、戦う気でいるデュエリストが居るわ。

「こっちの空いてる方からはアタシが行くわ。牛尾と衛遊は東側をお願い。そのロックも、衛遊なら外せるでしょう?」

「あぁ、問題ない。」

「だが、お前さんは1人で大丈夫なのか?」



大丈夫よ、こっちから感じるのはデュエリストの気配だけだから、粗野で粗暴な無頼漢は居ないでしょう。アタシの気配察知能力は悟○並みだしね。
もっと言うなら、先に待ち受けてるのがデュエリストって言う事なら、デュエルで如何にか出来ると思うから♪



「デュエル万能説か!!」

「確かにデュエルで如何にかなるなら、お前がそっちに進むべきだな。」

「そして納得したぁ!?」



全てはデュエルの結果次第だからね。
だから大丈夫よ牛尾、アタシはそう簡単に負ける程弱くないし、寧ろ挑んできた相手を返り討ちにしてあげるわ!!つー事で、東側は任せたわ、2人とも!



「其処まで言われたら、何も言えねぇか……お前さんなら大丈夫だろうが、くれぐれも気を付けろよ?」

「分かってるって。」

それじゃあ、犯人を確保した後でまた会いましょう?――此処からが、メインイベントだからね!








――――――








Side:衛遊


此処は此れをこうして、そして此処を弄れば………よし、ロック解除だ。此れで先に進めるな。



「ったく見事なモンだねぇ?遊里の技術力もスゲェと思ったが、お前さんはそれ以上だな衛遊?
 まさか、こうも簡単に治安維持局のロックを外して見せてくれるとは、流石に予想外だったぜ……若しかして、お前さんは凄腕のハッカーじゃねぇのか?」

「如何だろうな?ハッカーと言われたらそうかも知れないが、俺は俺の能力を悪用した覚えはないぞ?」

「だろうな。
 こんな事を言ったらアレだが、お前さんは自分の力を悪事に使う事が出来ないタイプだ。――其れだけに苦労も多いだろうがな。」



……当たっているな。確かに俺は俺の力を悪事に使う事は出来ないからな。
っと、此処の扉も解除出来たか――って、お前は!!!



「く!!見つかったか!!
 でも、此処で捕まる訳には行かない……どきなさい!!!」

「誰がどくかよ!!寧ろ撤退するのはお嬢ちゃんの方だぜ?……どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁ!!!」

「え?きゃぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」




――ドガァァァァァァァァァァァアァン!!



「見事な一本背負いだな牛尾。満場一致の白旗判定で一本勝ちだ。」

「まぁ、コイツは俺の得意技だからな。」

「……く……まさか、こんな事になるとは……少し、甘く見ていたわ。」



で、牛尾に倒されたコイツは……シェリーじゃないか。
以前に遊里と戦ったデュエリスト……ノーコンテストに終わったが、あのまま続けて居た場合、或はあのデュエルは彼女が…少なくとも並の相手じゃないな。

だが、何でお前はこんな事をしたんだ?
治安維持局は、シティに於ける最高権力……其れに刃向ったら、お前の身だって無事では済まないかもしれないんだぞ?



「……此処に、私の両親の形見であるカードがあるからよ。」

「形見のカードだとぉ?」

「えぇ……より正確に言うのならば、お父様が私の為に作ってくれたカードがね。
 お父様とお母様が、何者かに殺された時に、そのカードも失われてしまったけど、10年近くかけて、其れが此処にあると言う事を突き止めたわ……だか
 ら、其のカードを取り戻す為にも、誰にも私の邪魔はさせない。」



形見のカードか……なら、此処から先のロックは俺が解いてやるから、目的の物を手に入れよう。
危険を承知で此れだけの事をしたって言う事は、お前にとってそのカードは命と同等の価値のあるカードなんだろうからな……絶対に取り戻すべき物だ。



「お、オイ!良いのかよ衛遊!?」

「カードはデュエリストの半身と行っても良い存在だからな。そして其れが両親の形見のカードともなれば尚更だ。
 其れだけのカードが、何故此処に保管されていたのかは分からないが、本来持つべき者が居る以上、保管庫の肥やしにしておく理由の方がないだろ。」

「それは……まぁ、確かにそうかも知れないけどよぉ………」

「……私としては有り難い事だけど、本当に良いの?」



問題ない、大丈夫だ。――だから、取り戻そう、君の大事なカードを。








――――――








Side:遊里


さてと、西側の階段を上る事3階分、如何やらここがボスステージみたいね?
先の道はシャッターで閉ざされてる上に、フロアにはデュエルディスクを装備した、ナイスミドルのデュエリストがスタンバってる訳だしね……一応聞いとくけ
ど、アンタが侵入者の1人で良いのかしら?



「如何にも。
 私は『ミゾグチ』。シェリーお嬢様の執事兼、私的ボディガードです……以後お見知りおきを。」

「って、シェリーの護衛!?」

となると、侵入したのはシェリーって事?……無茶にも程があるでしょうに!!
此処までは巧く行ってたけど、一歩間違ったらその時は、強制捕縛の上に打ち首になってたかも知れない訳だからね……でも此処から先に進むには…



「もしも此処から先に進みたいと言うのならば、此処で私を倒す以外には方法はありません……さて、どういたしますか?」

「デュエルで道が開けるって言うなら、其れをやるだけの事よ。
 其れに、デュエリストである以上、デュエルを避けて通る事は出来ないから……貴方の最高の戦術で来なさいミゾグチ!アタシが其れを粉砕するわ!!」

「矢張りそう来ますか……お嬢様の予想通りですね。
 ですが、我がデュエルは不撓不屈不退転のデュエル故に、激しい物となりますが……其れでもやりますか?」



悪いけど、ドレだけ激しいデュエルであっても、其れがジャックを超えるとは思えないから、全然負ける気がしねぇ訳よ?って言うか、勝つ気満々だしね。
だから、此処は押し通らせて貰うわよミゾグチ?



「委細承知……だが、此処から先は通さぬ!!」

「無理を通して道理を蹴っ飛ばす!!一般的な道理なんてアタシには全く関係ないしね!!!!」

「ならば、いざ尋常に……」

「勝負!!」

其れじゃあ行くわよミゾグチ!!



「「デュエル!!」」


遊里:LP4000
ミゾグチ:LP4000




何が有ろうとも、アタシは前に進む……その為にも覚悟して貰うわよミゾグチ!!
このデュエルに勝つのはアタシ……解錠覇王のデュエルタクティクスが、どれほどであるのかという事を、その身を身って教えてあげる!そして、シェリーの
元に行かせて貰うわ!!

行くわよ、アタシのターン!!












 To Be Continued… 






登場カード補足