Side:十代
――ドゴォォォォォォォォン!!
「……此れを防ぐとは……中々やるな?」
「言っただろ、ユベルを舐めるなって。攻守は0でも、ユベルのモンスターレベルは神のカードと同等のレベル10なんだぜ?
サイバー・エンドと、レインボー・ドラゴンが相手だってそう簡単に負けはしない!俺の、一番の相棒を甘く見て貰っちゃ困るぜ、この仮面野郎!」
何よりも、ユベルはその効果で、戦闘では破壊されないからな!!
「遊城十代……流石は歴戦のデュエリストと褒めておこう。
だがしかし、貴様ではこのカードを倒す事は出来ん――出でよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!」
『ぐ……逃げろ、少年――!』
輝天龍 シルバー・ウィンド:ATK2500
!?……な、何だ此のドラゴンは?
攻撃力やモンスターレベルなら、サイバー・エンドとレインボー・ドラゴンの方が上なのに、其れなのにトンでもない力を感じる……しかもこのドラゴン
は、若しかしなくても『精霊のカード』なのか?……声が聞こえたからな。
でも、そうだとしたら、如何して其れだけのカードがコイツの手にあるんだ?
いや、サイバー・エンドや、レインボー・ドラゴンの事を考えると、如何にかして奪ったんだろうな、本来の持ち主から……マッタク許せねぇぜ!!
お前が何者で、何が目的かは知らないが、そんな事は絶対に許さねぇ!絶対にぶっ倒してやるぜ!!
異聞・遊戯王5D's Turn110
『Revival by destruction』
「威勢がいいな?だが、貴様ではこのカードを倒す事は出来ん。
行け、シルバー・ウィンド!『シューティング・ストリーム』!!」
『ぐ……逃げろぉォォォ!!!!』
――キュゴォォォォォ……バガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
『ぐ……な、何て力だ此れは……!』
――ピキ……ピシ……
んな!?う、嘘だろ!?
あのドラゴンの攻撃を防いだユベルに、罅が入るなんて……あのドラゴンは、ユベルをも上回る力を持ってるって言うのか!?…冗談じゃないぜ。
ユベルは、俺のデッキでも最高クラスの力を持ってる精霊なのに、其れが敵わないとなるとどのカードでもあのドラゴンに競り勝つ事は出来ねぇって
事じゃないか……幾ら何でも、コイツはヤバそうだぜ……
クソ、これ以上お前を傷付けさせることは出来ない!!戻ってくれユベル!!
『待つんだ十代!僕を戻したら君が――!!』
「確かにやばいけど、俺が大怪我するよりも、お前が死んじまう方が絶対にダメだ!!だから、今はお前を戻す!!」
とは言っても、コイツを受けきる事が出来るかどうかは、流石に自身がねぇけど……此処は、踏ん張るしかねぇだろ!!!
「そうはさせないわ!お願い『プリンセス・ヴァルキリア』!『ダーク・マジシャン・ガール』!!」
『そうはさせませんよ?』
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500
『てか、シルバーを破壊の為に使うとか、極刑確定だよ白黒仮面!』
ダーク・マジシャン・ガール:ATK2500
――ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!
「!?」
此れは……天使と魔法使いが、ドラゴンの攻撃を防いでくれたって事なのか?
「パラドックス……アンタの好きにはさせないわ!!」
「上条遊里!……赤き竜の力を使って時を超えて来たか――!!」
でもって、俺の前に現れたのは、ライダースーツを着て、バイクに乗った女の人――どうやら、あの仮面野郎と、そしてドラゴンと何か関係がありそう
だけど、一体何者なんだ?
少なくとも、敵じゃあないみたいだけどな……?
――――――
Side:遊里
赤き竜の力で時を超えて、出てきた先では、シルバー・ウィンドが攻撃してる真っ最中だった。
攻撃されてたのは赤い服の男の子で、なんとか自分のカードで防いでたみたいだけど、シルバー・ウィンドの力には及ば無かったらしくて、でもカー
ドを護る為に、自ら攻撃を受けようとしてた。
流石にアレの直撃を受けたら、無事では済まないから、ギリギリでプリンセスとガールを召喚出来て良かったわ。
さて、大丈夫?
「あぁ、助かったぜ!あの魔法使いと天使は、アンタのカードなのか?
だとしたらスゲェな!ユベルでも防ぎきれなかった、あのドラゴンの攻撃を防ぐ所か霧散させちまうんだから!!」
「ガールと、プリンセスは、アタシのデッキの中核を成すトリプルエースの内の二柱だからね。
それに、あのドラゴンも、『輝天龍 シルバー・ウィンド』も、元々はアタシのカード!トリプルエースの中でも最強の1体だったんだから……!!」
「な、なんだってぇ!?
って事は何か、アイツはアンタのカードも奪ってたのかよ!?……トンでもない野郎だぜ!!!」
本気でね。
でも、何はともあれ追いついたわよパラドックス!
赤き竜の力で、アタシもまた時を超える事が出来るようになった……この先、どんな時代に逃げても直ぐに追いついてやるわ!!
「フ……赤き竜の力で時を超えて来るとは予想外だったが、その程度ならば私の大いなる計画の妨げにはならん。
欲を言うならば、此処で遊城十代を葬っておきたかった所だが、まぁいい……計画の最大目的を果たせばその必要もない……サラバだ。」
「あ、ちょっと待てコラ!!」
――シュン!!
んの野郎、また時間移動しやがったなーーーー!?
「消えた……一体、何者なんだよアイツ?」
「知らない。だけど、アタシにはパラドックスって名乗ってたわ……え~~と、遊城十代?さっきパラドックスがそう言ったけど、貴方の名前だよね?」
「おう、其れで合ってるぜ。それで、え~~~~~っと……アンタは『上条遊里』だったか?パラドックスがそう呼んでたよな?」
うん、アタシの名前は上条遊里。宜しくね、十代!
「こっちこそ宜しくな、遊里。……時に、遊里が乗ってきたアレって何なんだ?
バイクみたいだけど、デュエルディスクみたいなのも付いてるし――若しかして、アレに乗ってデュエルをするのか?」
「正解!アレは『Dホイール』って言って、そのまんまバイクとデュエルディスクを合体させたもので、アタシの時代ではあれを使って行う『ライディング
デュエル』が、主流になってるの。」
「へ~~~……って言うか、今更だけど遊里は未来から来たんだよな?」
2021年の未来からね。
奪われたシルバー・ウィンドを取り戻す為に時を超えたけど、本気でやりたい放題ね、あのモノクロ変態仮面は!!
デュエルモンスターズを使って、物理的な破壊を行うとか、ふざけるのも大概にしろって言う所よ!!カードを悪用するなんて、絶対に許せないわ!
「其の通りだぜ遊里!!カードを悪用する奴は絶対に許せねぇ!!――俺もアイツと戦うぜ……一緒に連れて行ってくれよ、遊里!」
「是非もないわ十代。戦力は多いに越した事は無いし、貴方はデュエリストとしては最高クラスみたいだから、味方としても頼もしいしね。」
何よりも、精霊のカードを持ってるって言う時点で、ドレだけカードに愛されてるかが分かるから、そんなデュエリストの助力があるなら心強いわ。
だけど問題は、パラドックスがどの時代に飛んだのかって言う事よ。
アタシが此処に来れたのは、龍可と龍亞が持って来てくれた雑誌のおかげなんだけど、此処からは何処に飛んだかは手探り状態なのよね?
もしも、今よりも過去に飛んだのだとしたら、何らかの影響がこの時代に現れる筈なんだけど……
「だったら、調べてみようぜ?
今よりも過去に起きた事だったら、万丈目グループか海馬コーポレーションのデータバンクに保存されてるから、ソイツを見れば分かる筈だぜ。
……って、待てオイ!マジか此れ!?」
「何か出たの?」
「出たどころじゃないぜ……見てくれよコイツを!!」
此れは古い新聞記事ね?1999年の記事だし。
え~~~っと、なになに『ペガサス・J・クロフォード氏、ヘリコプター墜落事故で死去』って、何じゃこりゃあ!?
ペガサスって言えば、デュエルモンスターズの生みの親じゃない!
其れが死去って……それ以前に、アタシの世界ではペガサスは存命で、まだまだ現役でカードを生み出してるんだよ?……まさか!!!
――キュゥゥゥゥ……
「ネオスのカードが……!」
「カードの絵柄が消える……其れはペガサスが今よりも過去で死んでしまったから……くっそ、其れがパラドックスの真の狙いだったのね!!
だったらやる事は一つ!今よりも過去に戻ってペガサスの死を回避する!!」
「それ以外に、手はないだろうからな!!」
えぇ、絶対に止めなくちゃ!!何が何でもペガサスの死は阻止する!!そうしなかったら、デュエルモンスターズそのものが無くなりかねないしね!
だけど、其れだけの事をするって……アンタは一体何をしようとしているの、パラドックス――!!
――――――
Side:遊戯
いよいよこの日がやって来たね爺ちゃん。亀のゲーム屋主催のデュエル大会が。
普通なら、街の小さなおもちゃ屋のデュエル大会って言うのは、店の常連とかで盛り上がるものなんだけど、この大会の優勝者には、ペガサスから
直々に優勝賞品が授与されるし、更にはペガサスがこの大会の為にデザインした新イラストの『エルフの剣士』が参加賞って言う事も有って、街の
デュエル大会としては、異例の参加者数になってるんだよね?
「此れは流石に予想外じゃったが、逆に嬉しい悲鳴じゃよ。
遊戯がバトルシティを制覇してくれた事も有って、この店も遊戯と神カードを一目見ようと、地方のデュエルファンまで足を運んで来てくれるからの。
カードも良く売れるし、ワシとしては笑いが止まらんわい♪」
「爺ちゃん……マッタク、しょうがないなぁ。」
《ふ、そう言うなよ相棒?
俺達の頑張りが爺ちゃんの為にもなってるんだから、此処は素直に喜んでおこうぜ?》
其れは分かってるよ、もう一人の僕。
此の大会だって、爺ちゃんが張り切って、ペガサスと交渉した結果の末に実現できたものだからね?…其れだけに、盛り上がって欲しいと思うよ。
《そうだな……って、何か大きな力が近づいて来てるぜ相棒!!
此れは……攻撃力だけならオベリスクにも匹敵するデュエルモンスターズのモンスターか?……コイツは一体………!!!》
「大きな力……其れも、オベリスクに匹敵するだけの力って!!」
『ゴォォォォォォォォォォォォォン!!』
サイバー・エンド・ドラゴン:ATK4000
『グオォォォォォォォォォォォォ!!』
究極宝玉神レインボー・ドラゴン:ATK4000
!!……ま、まさかあのドラゴンがそうなの!?
そんな、そんな馬鹿な事って――
――キィィィィン……ドゴォォォォォォォォォン!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
《ぐあぁぁぁぁ!!……爆風でこれ程とは……大丈夫か、相棒!!》
うん、僕は大丈夫だよ、もう一人の僕。
多少は瓦礫が体に当たったけど、気にする程の物じゃないし、多分城之内君ならこの程度の事なら気合で何とかしちゃうだろうからね。
《確かに、城之内君なら気合で何とかしそうだぜ。――だが、コイツは……!!》
無視できない被害だよね?
特に店は粉々……そうだ、爺ちゃん!爺ちゃんは無事なの!?無事なら返事してよ、爺ちゃんーーーーーーーーー!!
返事がない……まさか!!!
《相棒……其れはまさか!!》
「こ、此れは……!!」
瓦礫の中から突き出した、1本の腕……此れはまさか、爺ちゃんの?
って言う事は爺ちゃんは……そんなの、そんなの嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!爺ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!
「はいはい、歴史のバットエンドは認めないーーー!!」
「少しだけ時をさかのぼるぜ!!」
え?
――ズギュゥゥゥゥゥゥン!!
………こ、此処は大会が始まる前の店の前?
「アンタの読みが当たったわね十代?まさか、遊戯さんが現役の時代とはね?」
「最初に遊里の所に来て、次に俺の所って事を考えたら、次はきっと遊戯さんの所だと思っただけさ――まぁ、大当たりだったけどな♪」
君達は?……もしかして、君達が僕を此処に?
「その通りだよ遊戯さん。
信じられないかもしれないけど、アタシと十代は、今よりも未来からやって来たの……世界を破壊しようとしてるとしか思えない仮面野郎を追って。
ギリギリのタイミングだったけど、何とか間に合って良かったわ。」
「ネオスのカードにもイラストが戻ったからな……今からなら、如何にか手を打つ事が出来そうだぜ。」
やっぱり君達が……助かったよ、ありがとう。
だけど、其れとは別に、なにかトンでもない事になってるみたいだね?――一体何があったのか、良ければ聞かせて貰えるかな?
「良いも悪いもないですよ遊戯さん……寧ろ、貴方にこそ聞いて貰いたい事だからね。」
「僕にだからこそ……其れは責任重大だね。」
――遊里&十代説明中
成程、君達は未来のデュエリストだったんだね――それが、パラドックスと言う相手を倒す為に手を組んだって言う事で間違いないかな?
「大体それでOKっす。」
「アイツの目的は絶対に認められない!!!認める事は出来ねぇんだ!!」
確かに、過去を破壊する事で新たな何かを得るなんて事は絶対に間違ってる――だったら、僕だって黙ってられないよ。
君達と一緒にパラドックスを見つけ出して、そして倒す――何よりも、爺ちゃんを死なせない為にも!!
「一緒に戦ってください遊戯さん!」
「アタシ達と共に、未来を、世界を護りましょう!」
うん、是非もないよ十代君、遊里!!
僕達の世界は、僕達の力で護る……其れこそが大切な事だからね!!――僕に出来る事なら、どんな事でもするよ!!
《言うじゃないか相棒。
――だが、過去の破壊による未来の創生は、絶対に認める事は出来ないから、何としてでも過去の破壊を阻止しようぜ相棒!》
是非もないよもう一人の僕!!
歴史を改変して世界を破壊するなんて絶対に認められないよ。
――だったら僕は、その破滅を食い止めるために動くだけ……君の事も頼りにしてるよ、もう一人の僕!
《任せな相棒!!お前の思いも何もかも、俺が全て受け継いで、こんな事態を引きおこした奴に届かせてやるぜ!!》
うん!何が何でも、過去の破壊は阻止しなくちゃだからね――僕の持てる力の全てを持ってして、止めて見せる……僕達の名に誓って絶対にね!
To Be Continued… 
登場カード補足
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