Side:遊里


と、言う訳で、歴戦の強者であろうデュエリスト、十代と遊戯さんの2人と協力体制を結ぶ事が出来たわ……何て言うか、この時点で負ける気が全然
しないのは、きっと気のせいじゃないわよね、うん。

ともあれ、最優先事項は、ペガサスの死の回避。
数刻先の最悪の未来を鑑みるに、あの悲劇の後でペガサスが葬られたであろうことは想像に難くない……だったら、ペガサスを予定通りに此処に来
させなければ良い訳で、到着を遅らせて、その間に事態を何とかすれば良いと言う訳ね。



ほらほら、さっさと逃げなよ!

な~~~~んか、物凄く悪役な気分~~~。

まぁ、最悪の未来を回避するためとは言え、一般市民を攻撃すると言うのは、まごう事なき『悪役』その物ですからね。



そんでもって、大会を延期させるために、アタシのプリンセスとガール、十代のユベルが、集まっていた市民に対して無差別攻撃を敢行!!
威力を抑えてあるから、怪我する事は無いんだけど、行き成り地面が爆発したりすれば、間違いなく驚いて逃げるだろうから、この場の人払いをする
って言う意味では、この上なく良い作戦だわ。



「そっか、大会その物が延期されれば、ペガサスも予定の時間には此処に来ないから、その死を回避する事も出来るって言う事なんだね?」

「ユベル達が頑張ってくれてるから、その効果は覿面だぜ!――此れなら、何となるかも知れないぜ!」



まぁ、少なくともペガサスの死は回避できた筈だよ?
だけど、あの変態白黒仮面をブチ倒さない限りは、きっと根本的な解決にはならない筈だからね……次に会ったら、決着を付けないとよね絶対に!












異聞・遊戯王5D's Turn111
『Bond beyond the dimension』










時に遊戯さん、ペガサスの方には連絡って入れてあるんですかね?



「一応携帯電話の方にメールは送っておいたよ?
 『ちょっとトラブルが有ったから、大会の開始は1時間遅れる』って。了解する返信メールも来てるから、多分大丈夫だと思う。」

「何時の間に……流石に、抜かりないっすね。」

「流石は遊戯さんだぜ!!」



いやマッタク、何時の間に連絡入れていたのやら……見事な判断力と行動力です遊戯さん。流石は、初代デュエルキングの名は伊達じゃないわ。
でも、本番はきっとこれからだよね。

アイツの計画では、ペガサスは今日この時間には死んでいるはずだったのに、今は其れが生きている――其れを知れば、アイツは絶対に此処に現
れるであろう事は想像に難くないからね……まぁ、寧ろ望むところだけどさ。



「そう言えば、十代君と遊里さんは未来から来たんだよね?未来でも、デュエルは盛んなのかな?」

「勿論ですよ遊戯さん!
 なんてったって、デュエリストを育てる為の『デュエル・アカデミア』って学校が有る位ですから!!因みに俺の服は、其処の制服なんですよ~♪」



でも、今はまだ何もないから、世間話に花を咲かせるってのも良いかもね。てか、遊戯さんと話す機会なんてシティじゃ絶対に在り得ないし。
てか、アカデミアって十代の時代には既にあったんだ……昔の男子の制服って、そんなデザインだった訳ね。



「デュエリストの為の学校……そんなモノがあるなんて、相当にデュエルは世間に浸透してるんだね。」

「そりゃもう凄いですよ?
 アタシの時代になると、警察組織まで犯罪者摘発の手段としてデュエルを使ってますし、アタシの時代ではそろそろ世界大会も近いですからね?」

「す、凄いね其れは……デュエルディスクの方も、僕が使ってるのとはだいぶ違うみたいだし。」

「俺のはアカデミアの支給品です。俺のは赤だけど、所属クラスによって色も違うんすよ。」

「アタシは、元々はアカデミアの支給品を使ってたんだけど、今は自作のを使ってるって所ですね。」

「「自作!?」」



ジャンクパーツから組み上げた自作です。もっと言うなら、アタシの乗ってたDホイールだって廃品から組み上げた自作品ですから。



「遊里スゲェ!!」

「此れだけの物を自作で……海馬君がこの場に居たら、KCの技術部にスカウトしてたかも知れないよ。」

「あ~~~……確かに、廃品から自作ってのは、自分でも良くやったとは思いますけどね?牛尾には『オメェ本気で何者だ?』って言われましたし。」

「牛尾?……若しかして『牛尾哲』?」



そうですけど、知ってるんですか遊戯さん?



「知ってるも何も、僕の学校の不良系風紀委員長の先輩だよ。
 僕としては、あまり良い思い出のある人じゃないんだけど、君の時代だと悪い人じゃないのかな?」

「口調は荒いけど、頼れる兄貴分的な好漢ですよ?旧市街地に住んでる人達からは『牛尾の旦那』とか『牛尾のアニキ』って慕われてますから。
 てか、実を言うと、アタシに吹っかけられた冤罪を、真っ先にオカシイと思ってくれたのが牛尾だったし、取り上げられたアタシのデッキを取り戻して、
 当時は無法地帯そのものだったサテライトにまで届けてくれましたから、アタシにとっても年の離れたアニキって感じなんですよ。」

「人も変われば変わるものなんだね……でも、良い人になってるみたいで安心したよ。」



遊戯さんが此処まで言うって、若い頃のアンタは一体何をしてたのよ牛尾?――シティに戻ったら、聞いてやろうっと。



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「へ~~~、万丈目君にジャック君か、君達のライバルも凄い人達なんだね?
 でも、良いライバルがいるって言うのは、自分の励みにも成るから、如何なる分野でも欠かせない物じゃないかな?
 良いライバルがいるからこそ、負けじと切磋琢磨して更なる高みを目指す事が出来る……僕には海馬君、十代君には万丈目君、遊里さんにはジャ
 ック君が居るようにね。」



んでもって、何時の間にかトークも盛り上がって、ライバル論にまで来ちゃったよ此れ。
まぁ、確かに良いライバルがいるってのは、成長には欠かせないわよね絶対に。アタシも、ジャックの存在がなかったら、サテライト最強で終わってた
可能性も充分にあるからね。






「談笑とは、余裕だな貴様等……」

「「「!!!!」」」


そんな中で、漸く現れたわねパラドックス?
アンタはこの時代でペガサスを殺す心算で居たみたいだけど、其れはこうして阻止させて貰った…なら、後はアンタをぶっ倒すだけ!覚悟は良い?



「赤き竜の力で、私が来るよりも先に此の時代に到達して、ペガサスの死と言うシナリオを回避したか……忌まわしい事だが、見事と言っておこう。
 だが、其れもまた無駄に終わる。
 私の目的はデュエルモンスターズの抹殺……今此処で貴様達を倒し、そしてペガサスを亡き者にするのが私の成すべき事!!」



デュエルモンスターズの抹殺ですって?……ふざけた事言ってんじゃないわよ、此のモノクロ変態仮面!!
アンタの目的が何であるかなんて言う事を聞く心算はないし興味もない。――けど、アンタのやろうとしてる事は、絶対に認める事なんて出来ない!



「認めて貰おうと等思ってはいない。だが、未来を救う為には、この方法しかないのもまた事実。
 ならばやるしかあるまい!!貴様等を滅し、デュエルモンスターズを抹殺する事で、私の大いなる計画は完遂されるのだ。」

「ふざけんな!貴様のやってる事は、只の破壊だ!!
 どんな大義名分が有ろうとも、ペガサス会長を殺してデュエルモンスターズを抹殺する……そんな事は、絶対に認められないぜ!!!」

「過去のマイナス面を取り除く事で、未来をよりよい物にするって言う事は確かに可能なのかも知れないけど、だからって誰かの命を犠牲にするのは
 絶対に間違ってる!!
 それでも、其れを推し進めるって言うのなら、僕は君を討つ!!」



仮面野郎が何か言ってるけど、十代も遊戯さんも退く気は毛頭ないか……ま、其れはアタシもだけどさ。

だけど、此処でアタシ達が何を如何言おうとも、アンタが考えを改めるなんて言う事はあり得ないと思うから、だったら実力行使で、やってやるわ!!



「愚かな……破滅の未来を回避する術は此れしかないと言うのに、態々其れを拒むとはな。
 だが、貴様等が、私の計画完遂の最大の障害である事もまた事実……其れを此処で取り除くも、また一興か。」

「だったらデュエルよパラドックス!!此処で決着を付けようじゃない!!」

「良いだろう、望むところだ。」



っと、仮面を外した……って、中々のイケメンじゃない?ジャックには数段劣るとは言えども。
そんだけのイケメンなら、変な仮面で素顔隠す事も無かったんじゃないのかねぇ?……その辺如何思うよ、パラドックス?



「私もそう思ったが、仮面を付けて行けと煩い奴が居てな……仕方なしにと言う所だ。」

「……アンタ、実は意外と苦労してるんだな?」

「仮面をして行けって言った人に、猛烈に抗議してもきっと罰は当たらないと思うな、絶対に。」



仮面は実は本意じゃなかったんかい!!
って言うか、今のパラドックスの言い方だと、此れはパラドックスの単独行動って言う事じゃなく、組織的な物と見た方が良さそうだわ……面倒ね。

じゃなくて、アンタの事は、此処で叩きのめすわ、パラドックス!!

「アタシ達の未来を、アンタの好きにはさせない!!」

『コォォォォォォォォォォォォォォォ!!』



赤き竜!力を借りるわ!!



「お前を打っ倒す事に、ワクワクして来たぜ!!」

覇王の力を、アイツに見せてやると良いさ十代。



十代も、目の色がルビーとエメラルドのオッドアイになって、全力って所ね?――となると遊戯さんもきっと……



相棒、此処は俺が行くぜ。

「もう一人の僕……うん、此処は任せるよ!」

あぁ、やってやるぜ!!



――キュゴォォォォォォォオォォォォォォォオォ!!!



「俺は、人の命を踏み台にする未来など認めない!!」



首から下げられたペンダント――千年パズルが光ったと同時に、遊戯さんがデュエルモードに切り替わった!!
さっきまでの遊戯さんは、親しみやすい人柄だったけど、デュエルモードになった遊戯さんからは、まごう事なき『王者』としてのオーラを感じるわ!!

これが、初代デュエルキングの本気のオーラ……燃えて来るじゃない!
この人と一緒にデュエル出来るなんて、一生ものの幸福だわ!!……そして、絶対に負ける事だけは有り得ない!!


未来を護る為に、過去を護る為に、そして何よりもアンタに奪われたシルバー・ウィンドを取り戻す為にも、アンタを打っ倒すわパラドックス!!



「望むところだ、やってみるがいい!」


「望み通りやってやろうじゃない――後悔するなよ、パラドックス!!!」

「俺達を簡単に倒せると思ったら、大間違いだ!――って言うか、俺達が負ける筈がないぜ!!」

「パラドックス、お前は俺の敵じゃないぜ!!」



十代も、遊戯さんも言うね~~?完全同意するけどさ。――アタシ達に勝てるもんなら勝ってみろってんだパラドックス!!
アンタの最高の戦術で挑んできな……アタシ達が其れを粉砕するわ!!――行くわよ?



「「「「デュエル!!!」」」」



遊戯&十代&遊里:LP4000
パラドックス:LP4000




アタシのシルバー・ウィンドを奪い、更に過去を破壊すると、随分と好き勝手やってくれたみたいだけど、その代償は此処で払って貰うわ変態仮面!
って言うか、アタシ達を敵に回した事を、精々後悔すると良いわ!!








――――――








Side:ジャック


む……此れは、少しばかり世界崩壊のスピードが遅くなったか?……恐らく遊里が過去で何かを成したのだろうな。
赤き竜の力で過去に飛んでなお、お前はお前の生き様を示すか……其れでこそ、上条遊里だ――元凶を仕留めて、全てを元通りにしてしまえ。


ふ……精々狂った過去など破壊してしまえ!其れがきっと、お前の新たな一歩にもなるだろうからな!


思い切りやって来るが良い――お前が負ける等と言う事は、万が一にも想像出来ないモノではあるがな!!
だから、必ず戻ってこい遊里……お前が居ないと、此のコンドミニアムも音がなさすぎて耳が変になりそうだからな?……帰還を待っているぞ遊里!












 To Be Continued… 






登場カード補足