Side:遊里


黒蠍の親分である『首領・ザルーグ』に勝った事で、魔王城への飛空艇は如何にか出して貰える事になったんだけど、まさか此れが出て来るとはね…
此れが飛空艇として出て来ると予想してた人、取り敢えず挙手。



「予想できるかこんなの。」

「ある意味では似合っているが、ある意味で予想の斜め上だったよ……まさか『海賊船スカルブラッド号』を持ち出してくるとは、予想して居なかった。」



だよね。まぁ、ある意味で似合ってると言えば似合ってるんだけどさ。
でも、この船が大事にされてるのは間違いないんじゃない?結構年代物の海賊船であるにもかかわらず、船体やマストには劣化の痕がないからね?

此れはつまり、物凄く緻密なメンテナンスをしてた証に他ならないわ――其れだけ、この船は黒蠍ファミリーにとって大事なモノだって言うことだわ。



「コイツは黒蠍の魂と言っても過言じゃねぇ船だからな。
 だが、其れを使って、お前達みたいなデュエリストを魔王城に連れてく事が出来るなんてのは、黒蠍の名にも拍が付くってモンだからな……精々、務
 目を果たさせて貰うぜ?……お前さん達も、精々頑張んな。」

「その言葉、有り難くおけ取っておくわ首領。」

其れに、モンスターとしては微妙な感じだけど、船としてみた場合にはスカルブラッド号は、中々に頼りになる船かも知れないから、突撃するには、ある
意味でバッチリなのかも知れないよね。



「おーし、そろそろ出向するぜ?準備は良いな、嬢ちゃん達!!」

「勿論、何時でも行けるよ首領!!」

「俺も準備万端だぜ!!」

「歪みの元凶、必ず砕いてくれる!」



アインもブランも、気合は充実!!――それじゃあ、そのテンションを維持した状態で、魔王城にカチコミかけるとしましょうかね!!












異聞・遊戯王5D's Turn102
『リベンジャーは、前髪星人?』










それにしても、早い事速い事……一体、今現在でドンだけのスピードで航行してるの首領?どんなに少なく見積もっても、80㎞はかたいでしょ此れ!?



「今現在で、スカルブラッド号の空中航行速度は90㎞って所だ……あと数分も有れば、魔王城に到達できるぜ!」

「其れは何とも頼もしい!
 だけど、予想通りに、お呼びでない雑魚共が現れたみたいだね!!」



『キシャァァァアァ!!』
『ゴオォォォォォ~~~ン!!』
『キシャァァァァァアァァァ!!!』


サファイアドラゴン:ATK1900
アレキサンドライドラゴン:ATK2000
メカ・ハンター:ATK1850
(いずれのモンスターももっさりと滅茶苦茶沢山。)




でも、立ち塞がるって言うなら、蹴散らして進むだけの事よね?……だったら、問題ないわ――頼むわよ『輝天龍 シルバー・ウィンド』!!!



我が道を邪魔立てするならば容赦はせん……覚悟は、出来ているのだろう?
輝天龍 シルバー・ウィンドATK2500



「迎え撃つぜ!!出番だ『鎧殻龍 シェルアーマー』!!」

『グオォォォォォオォォォォォォォォ!!』
鎧殻龍 シェルアーマー:ATK2600




「迫りくる敵を切り裂け!頼むぞ『絶戦士カオス・ソルジャー』!!」

『デヤァァァァァァァアァァァァァ!!』
絶戦士カオス・ソルジャー:ATK300




此れは、期せずしてアタシ達のデッキのエースであるシンクロモンスターの揃い踏みって感じになったわね?
アタシのシルバー・ウィンド、ブランのシェルアーマー、そしてアインのカオス・ソルジャー……此れだけの戦力が揃ったら、マッタク持って全然負ける気が
しないわよ!!魔王城まで、一直線って所でしょ!!

そんな訳で、全速力でブッ飛ばしちゃって首領!
迫りくるモンスター群は、アタシ達で迎撃するから!!



「おうよ!!聞いた通りだチック、限界までスピード上げて突っ込めや!!」

「アイサー!!」




ノリ良いわね、黒蠍ファミリーは?――この一件解決したら、ゲームの開発会社に黒蠍ファミリーは製品版でも是非残して貰うように言っておかないと。


兎に角、今は突き進むのみ!!薙ぎ払え、シルバー・ウィンド!!『シューティング・ストリーム』!!



消え失せろ!


「ブチかませシェルアーマー!『アクアフォール・ハンマー』!!」

『コシャァァァアァァァァアァァァッァアァ!!』


「切り崩せカオス・ソルジャー!『カオスブレード・絶』!!」

『ムオアァァァアァァァァァァアァァァ!!』



――ドゴォォォォォォォォォォォン!!バガァァァァァァァァァァァン!!!ズバァァァァァァァァァァアァァ!!!!



でもって見事なまでに撃滅!
まぁ、其れで終わらずに、次から次へと敵が現れてくれる訳なんだけどね……ったく、うっとおしい事この上ないとはこの事ね。



「マッタクだな。
 だけど、俺達のエースなら此処は突破できるが、一々相手してたら日が暮れちまうぜ?……しかも、時間を喰ったらその分だけミスティだって……!」

「そうね、今は一刻も早く魔王城に辿り着かないとだからね。
 ――だったら、此処は使わせて貰うわ。1枚で、相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全滅させる最強無比の攻撃反応型トラップカードを!!」

「何!?まさかそれは!!」



そのまさかよアイン!!喰らえ、『聖なるバリア-ミラーフォース』!!



――カキィィィィィィン!!バガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



これで、追撃部隊は撃滅!序に後続も、吹っ飛ばしちゃったみたいね。
まぁ、更なる追撃が来たその時は、『ライトニング・ボルテックス』をブチかましてやればいいだけの事だけどね。



「此処でそのカードを……だが、おかげで道が開けたぜ!!」

「おぉし!このまま一気に突っ込むぞ!!!気合いを入れろやお前等ぁ!!!」

「「「「おおぉ!!!!」」」」



うん、やっぱり黒蠍ファミリーは、製品版でも残すべきだわ絶対に。
まぁ、取り敢えず此れで目的地には到着できるだろうから、寧ろ此処からが本番って所よね――








――――――








Side:ブランシュ


遊里が『ミラーフォース』をブチかましてくれたおかげで、何とか魔王城まで辿り着く事が出来たぜ。
黒蠍ファミリーも手を貸してくれてありがとな?



「気にすんな、俺達は俺達のやる事をやっただけだ。
 其れに、お前さん達が魔王を倒したら、今度は此処から地上まで連れて行ってやらねぇとだ――ま、此処でお前さん達が戻ってくるのを待つさ。」

「お頭が認めたんだ、何としても魔王を倒して見せてよ?
 私達が魔王城に導いた戦士達が、魔王を倒したって言う事になれば、黒蠍の名も上げる事が出来るからね――頑張って頂戴。」

「ま、アンタ等なら大丈夫だろ?
 もしも、魔王城の中の罠が凄くてどうしようもない時には、俺に言えよ?『罠外しのクリフ』の名に懸けて、その罠を無効にしてやるからよ。」



そんときゃ頼むぜ。
そんじゃあ、早速魔王城に――


『くはははははははは、よく来たねブラン!そして、忌々しきデュエリスト達よ!!』

「「「!?」」」



乗り込もうとした矢先に聞こえて来た声……此れは、この声は――まさかディヴァインと言う名の前髪!?
そんな馬鹿な……アイツは地縛神に食われ、後で聞いた話だが鬼柳恭介にも叩きのめされたって言う事なのに、如何してお前が此処にいる!



『確かに私の魂は砕かれたが、その欠片が此のゲームに入り込み、私を再構築するに至ったのだよ。
 最早肉体すら持たないが、此れは実に気分が良い――この世界でならば、私は神となる事が出来る!そして私は神として覚醒し、世界を手中に!』





前々から思ってたけど、アホかコイツ?
世界を手中にって、中二病も大概にしろアホタレとしか言いようがないじゃねえかよ。

だが、俺の前に再び現れると言うのなら――いいぜ、やってやるよ前髪星人1号。そして今度こそ、地獄の深淵に叩き落としてやるぜ!!



「その意気や良し!って言いたい所だけど、あからさまな挑発に乗っちゃダメよブラン。
 このバグが、アイツが引き起こしたものだとするなら、アイツは此のゲームの主たるプログラムを掌握してると言っても過言じゃないでしょ?
 って言うか、そうだと仮定すれば、ゲーム開始から此処までのちぐはぐなフィールド設定も説明が付くからね……マッタク、呆れた神様だわ此れは。」

「地縛神に食われ、鬼柳に叩きのめされて尚、データの世界で生きているとは、生き汚いを通り越しているなお前は……マッタク持って潔くない。」



あ~~~…うん、確かに言われてみれば潔さの欠片もねぇなコイツは。しょうがねぇか、前髪だし。



『相変わらず口が減らないが、全ては私の思惑通りに進んでくれたよ。
 コンな身体になった事を生かして、ミスティと共演予定だった2人には、ネットから負の情報を送り込んで、体調を崩させて貰ったのだからね!!』




アレもテメェの仕業か!!……って事は、欠員が出れば、俺が遊里達を頼る事も予想して居やがったな?



『あぁ、勿論予想していた。
 何れにせよ、君達は攻めて来るんだろう?……ならば、魔王城を統べる存在として、君達にプレゼントを送ろうじゃないか――受け取ってくれ給え。』




――キィィィィィン…!!



此れは二股の道?



『この道の片方は、私の玉座へと直通している。
 そしてもう一方の道の先には、捕らえたミスティ・ローラが居る……さて、如何するかね?』


「聞くまでもないでしょ?
 アンタに連なる道には、アインとブランが向かうわ――でもって、ミスティの所にはアタシが向かう……其れで万事解決でしょ?」



確かに、遊里がミスティの救出に向かってくれるってなら、俺もあのクソッ垂れとのデュエルに集中できるぜ!!!!
ならそっちは任せたぜ遊里!!ミスティを……俺の姉貴分の事を、宜しく頼むぜ!!!



「任せなさい!ミスティの事は、此の遊里さんが、見事助け出して見せるからね!」




『如何やら話がまとまったようだが、簡単に攻略できるとは思わぬ事だ。
 特に、ミスティ・ローラをとらえた牢獄の番人には、私がネットをさまよう中で見つけた魂の欠片を再生した物だからね?……精々楽しむが良いさ。』



糞野郎が……俺とアインがテメェの下に辿り着いたその時が、テメェの命日だからな!!覚悟しやがれ!!
俺とアイン、海と混沌がテメェの下らねぇ野望を、ブチ砕いてやる!!――精々、道化を演じる準備位は、しておいてくれよ?そうじゃなきゃ面白くねぇ!


そう言う訳だから、そっちは頼むぜ遊里!!



「オーライ!そんじゃあ、ラストミッションを開始しましょうかね!!」

「応……!やってやるぜ!!」

待ってろよミスティ、直ぐに助け出してやるからな!!








――――――








Side:遊里


さてと、アタシはブラン達とは違う、ミスティが幽閉されているであろう場所に向かってる訳だけど、マッタク持って雑魚モンスターが出る事出る事……環
境状態最悪じゃないのよ!!まぁ、負けないけどさ。



でもって、そんなこんなで、そろそろ目的地。
この先にミスティが捕らわれて居る筈なんだけど――




――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!





「まぁ、そう簡単には救出させてはくれないわよね?」

ミスティの居る場所を目前にして、何か出て来たみたいだから、此れを撃破しないと先に進めないって言うところね……上等よ。寧ろRPGでは王道よ!
さて、中ボスは誰なの?



「………………」

「え?……ウソでしょ?」

だけど、現れたこの人は……白髪をオールバックにして、髭を携えた厳つい顔のこの人は――若しかして『海馬瀬人』の養父の『海馬剛三郎』!?

まさか、ディヴァインが言っていた『ネットをさまような中で見つけた魂の欠片』ってコイツの事!?



「小娘が……此れより先に進むと言うのならば、この私を倒してからにするが良い――此処から先は、弱者の進めぬ世界だからな。」

「先に進みたいなら、デュエルで勝てってか……上等じゃない!寧ろこの上なく分かり易い――アンタを倒すわよ、海馬剛三郎!!!」

「威勢の良い事だ……やってみるが良い、出来る物ならばな!!」



出来るかどうかじゃなくて、やるかどうかなんだけど。この際それは不問にしとくわ。
だけど、このデュエルは、絶対に負けられないモノだからアタシが勝つ!!――準備は良いわね、剛三郎!!



「私の最強デッキの前に散るが良い!出でよ、我がデッキマスター『召喚神エクゾディア』!」

「其れは、お断りだわ!!行くわよ、デッキマスター『プリンセス・ヴァルキリア』!!」



「「デュエル!!」」



遊里:LP4000
剛三郎:LP4000




そして知りなさい、ずっと死んでたアンタと、常に己を研磨して来たデュエリストとの間には、埋めようのない差があるって言う事をね――――!!

アタシとアンタの違いと言うモノを、文字通り魂に刻んでやるわ……覚悟は良いわね、亡霊デュエリスト『海馬剛三郎』!!










 To Be Continued… 






登場カード補足