Side:遊里


アイスブリザード・マスターのおかげで猛吹雪の雪原を越える事が出来た訳だけど、その先で行きついた街が、乾いた大地に広がる『ウェスタンシティ』
ってのは、幾ら何でも極端過ぎない?

まぁゲームのデータがバグってる訳だから、雪原の次に砂漠地帯の街ってのはあるのかも知れないけど、此れは幾ら何でも極端すぎでしょうに。
ゲーム内だからアレだけど、現実世界だったら、温度差に耐えきれずに身体が不具合起こすわよ?略間違いなく!!



「さっきまで寒かったのに、一気にクソ暑くなったな。」

「温度まで体感できると言うのは、凄いと思うが、此れはある意味でなくても良かった機能かも知れないな。
 下手に温度を体感した結果、体調不良に陥って、気分を悪くするプレイヤーも居るかも知れないからね?……その辺は応相談かも知れないが。」


うん、アインの言う事も一理あるわ。
過ぎた体感現象は、プレイヤーに悪影響を及ぼしかねないからね?……事が解決したら、それとなく開発者にくぎを打っておいた方が良さそうね。


だけどまぁ、先ずはこの街での情報収集と行きましょうか?
如何にバグってるとは言え、吹雪の雪原を越えて辿り着いたこの街で、何の情報も得られないなんて言う事は、多分あり得ないだろうからね!!











異聞・遊戯王5D's Turn101
『力を示して、道を切り開け』










でもって、情報収集を開始した訳だけど、まさか此処でミスティの名を聞く事が出来るとは思わなかったわね。

話によると、ミスティって言う女性が、十数時間前に北の大地にそびえる魔王城に連れていかれたって事みたい……と言う事は、先ず間違いなく魔王
城って場所にミスティが居る事になるわ。


往々にして、NPCの受け答えは決まり切った定型文なんだけど、固有名詞が出て来た場合は重要なヒントである場合が多いわ。
現実に『誰か』じゃなくて『ミスティ』って、名前を特定して言って来た訳だから、魔王城にミスティが居るのは間違いない――んだけど、問題はどうやって
件の魔王城に乗り込むかよ!

街の人の話だと、空を飛ぶ船が有れば魔王城に行けるって事だったけど、空飛ぶ船なんて何処にあるってのよ?
まさかとは思うけど、其れを手に入れる為のイベントを熟さないといけないって事?……流石は、大型オンラインRPG、簡単には先に進ませてはくれない
って事か……上等よ!!

何が何でも攻略してやるわ。
其れに、重要な情報を持ってるNPCは分かり易い外見で居る事が多いから、其れを探せばきっと――


「見つけたぜ遊里。
 短い髪をオールバックにして、グラサンかけて、黒いコートを纏ったアイツは、誰が如何見ても普通じゃねぇ!絶対、重要情報含有キャラだろアレは!」

「さっきのデーモン閣下にも吃驚したけど、今度はプロレスラーの蝶野正洋さんかい!」

確かに、此れは何か知ってそうだけど、一体此のゲームの開発者は何を基準にNPCのキャラを設定したのやら……ちょっと聞いてみたい所だわ。
でも、取り敢えず何か知ってそうだから話しかけて見るか……あの、スイマセンが……



「ガッデーム!!何だオラァ!!」

「なんで、行き成りキレてんのよ……」

いや、ある意味で其れらしいと言えるけど、人によってはドン引き確定じゃないの此れって?……まぁ、アタシは平気だけどね。プロレス好きだし。
でもって、選択肢だけど……



→魔王城について聞く
  STFと喧嘩キックの真髄について聞く
  デュエル!




なんだろう、この分かり易い選択肢は?
てか、デュエルが表示されるのはデフォルトみたいね此れ?……蝶野さんのデッキがどんな設定になってるのかはメッチャ気になるけど、此処は堪えて
魔王城について何かご存じないですか、黒のカリスマ様?



「魔王城?……あぁ、アレの事か。
 魔王城ってのは、此処から北東の空に浮かんでる浮遊城で、乗り込むのは容易じゃねぇって言われてる、難攻不落の城だ。
 乗り込むには、其処まで行く事の出来る飛空艇が必須だが、どの飛空艇乗りも、キンタマが縮こまっちまって話にならねぇぞ?
 どうしてもあそこに乗り込みたいってんなら、この街を取り仕切ってる『黒蠍ファミリー』を訪ねな――連中の親分に力を示せば、協力してくれる筈だ。」



其れは何とも、分かり易い攻略情報をありがとうございます!!早速向かってみるわ!
それと、今度のドーム大会は絶対に身に行くから、頑張って下さいね!!!!


「ガッデーーム、オラァ!!I'm 蝶野!!」

「だから、何でキレてんだよ?其れと知ってるよ。」

「そう言う仕様なんだろうなきっと……」


間違いなくそうだろうから、そう言う物だと割り切るが上策だよブラン、アイン。
でも、黒蠍ファミリーって、間違いなく『黒蠍団』だよね?で、その親分て言うとザルーグか……果たして、どんなキャラ設定がされているのやら……

まぁ、先ずは黒蠍ファミリーとやらを……探す必要は無さそうね。
街の中心部の方に、赤地に黒の蠍が刻印された旗が見えるから、恐らくはあそこが黒蠍団のアジトがある場所でしょ?


「だろうな。てか間違いねーだろ?」

「では、早速向かうか。」



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・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



んで、歩く事10分、アジトに到着。
ごめんくださーい、どなたかいらっしゃいますか~~~~~!?


「……何か用か?」


応対してくれたのは『剛力のゴーグ』ね?
カードイラストから巨漢だとは思っていたけど、まさか此処までとは……どんなに少なく見積もっても、身長は210cmはあるわねアレは。


「あぁ、アンタ等の親分に頼みがあって来たんだ。」

「私達の仲間が魔王城に連れ去られてしまって、何とか助けに行きたいから魔王城まで飛空艇で送り届けて欲しいのだが、頼めるだろうか?」

「……ちょっと待ってろ、お頭に相談して来る。」


OK、イベントは始まったみたい。
ゴーグが奥に消えると、直ぐにザルーグと他の黒蠍の面々が出て来たからね。



「ゴーグから話は聞いたが、魔王城に乗り込もうなんざ本気か?
 今までも魔王城に乗り込んだ奴等は居たが、生きて帰って来た奴は一人も居ねえ……其れでも乗り込むってのかい?」

「当たり前だ!ミスティは俺の大事な仲間なんだ、助けねぇ訳には行かねぇだろ!!」

「俺のじゃなくて、俺達のだぞブラン?
 兎に角、彼女は私達の大切な仲間だから、何が何でも助け出したいんだ――其れに、私達はミスティを助けて生きて戻る心算だ。絶対にな。」

「ほう?娘っ子にしちゃ良い覚悟だ。うちのミーネにだって引けを取らねぇって所だな。
 だが、だからと言って『はいそうですか』と船を出してやる訳にゃいかねぇのは、流石に分かるだろ?
 その覚悟と、お前さん達の腕前がどれ程のモノかを見せな。代表者1名が俺とデュエルして、見事俺に勝って見せろや!!」


うん、ザルーグは典型的な任侠キャラに設定されてるみたいね。本気で『親分』て感じがするし。
でもまぁ、デュエルで力を示せって言うなら容易い事よ?………そのデュエルは、アタシが受けるわザルーグ親分?


「お前さんが相手か……良いだろう!」


「ちょ、良いのかよ遊里!?」

「お前ならば大丈夫だと思うが……相手の実力は未知数だぞ?」


大丈夫よ。てか、相手の実力が未知数なんてデュエルではよくある事よ?――余程の有名人でもない限り、初対戦の相手の実力は未知数な訳だし。
そんな訳で、此処は任せて貰うわ、アイン、ブラン。


「まぁ、アンタなら何も不安は無いから良いけどな。」

「サクッとやってしまえ遊里。」



オーライ、速攻でやっちまいましょう!

「其れじゃあ行くよ、ザルーグ親分!アタシのデッキマスターは『ダーク・マジシャン・ガール』!」

「俺のデッキマスターは、『沼地の魔神王』だ!」


黒蠍じゃない?
さっきのアマゾネスは、アマゾネスデッキだったけど、必ずしもデュエルモンスターズのモンスターが、己の属するカテゴリーのデッキを使うって訳でもない
のかな?―-まぁ、そっちの方が面白いけどね。

沼地の魔神王って言う事は、融合メインの戦術かな?……此れはワクワクして来たわ。



「「デュエル!!」」



遊里:LP4000
首領ザルーグ:LP4000




先攻は貰うわ、アタシのターン!!
アタシは『幻想の闇魔導師』を召喚し、その効果で、手札からレベル1のチューナーモンスター『メタルクリボー』を特殊召喚する!



幻想の闇魔導師:ATK1500
メタルクリボー:ATK300




最初から飛ばしていくわよ?アタシはレベル4の幻想の闇魔導師に、レベル1のメタルクリボーをチューニング!
集いし絆が、此処に新たな力を誘う。光射す道となれ!シンクロ召喚、羽ばたけ『ヘル・カースド・ドラゴン』



『ガァァァァァァァァァァァァァ!』
ヘル・カースド・ドラゴン:ATK2000




メタルクリボーをシンクロ素材にした事により、ヘル・カースド・ドラゴンの攻撃力と守備力は200ポイントアップするわ!


ヘル・カースド・ドラゴン:ATK2000→2200


「カードを1枚伏せて、ターンエンド。」

「行き成り上級のシンクロモンスターとは中々に魅せてくれるじゃねぇか嬢ちゃん?
 なら、俺も全力を出さないと失礼ってとこだよな?……上等だ、俺の全力を見せてやらぁ!!俺のターン!!!」


さて、何が来るのかな?
ヘル・カースド・ドラゴンは、相手がドラゴン族じゃない限りは戦闘で破壊される事は先ず無いけど、恐らくザルーグは其れを超えて来るでしょうね……


「俺は沼地の魔神王のデッキマスター能力を発動!
 1ターンに1度、ライフを1000ポイント払う事で、手札またはフィールド上から融合素材となるモンスターを墓地に送り、モンスターを融合召喚する!
 俺は手札から、『デス・モスキート』『カゲトカゲ』『アックス・ドラゴニュート』の3体を墓地に送ってデッキマスター融合!
 出でよ、『ブラック・スコルピオン・ドラゴン』!!」

『キシャァッァァアァァァァッァァァ!』
ブラック・スコルピオン・ドラゴン:ATK3900
首領ザルーグ:LP4000→3000




此れは、デッキマスター能力を駆使して、1ターンでの超大型モンスターと来たか。
攻撃力3900で、しかもドラゴン族って、此れはヘル・カースド・ドラゴンじゃあ耐えられない相手よね……流石は黒蠍団の親分と言った所かしら?



「相手が誰であろうとも、俺は手を抜かねぇ!!
 やれ、ブラック・スコルピオン・ドラゴン!ヘル・カースド・ドラゴンを蹴散らせ!!『スコーピオン・デス・フレイム』!!」


――ゴォォォォォッォオォ!!


遊里:LP4000→2300



かは……此れは中々に効いたわ……流石は黒蠍団の親分、他のキャラの放つフィールとは比べ物にならないんじゃないかしら?
だけど、アタシだって転んでも只では起きないからね?

リバースカードオープン、トラップカード『魂の綱』
アタシのモンスターが破壊された時、ライフを1000ポイント払って、デッキからレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する!
さぁ、出番よ『暗黒のバフォメット』


暗黒のバフォメット:ATK1400
遊里:LP2300→1300



そして、暗黒のバフォメットの効果で、デッキからチューナーモンスター『光速の幻獣王ガゼル』を特殊召喚するわ。


光速の幻獣王ガゼル:ATK1500


「大ダメージを受けながらも、己のライフを削って展開して来るとは、中々肝が据わってるじゃねぇか?
 だが、俺のブラック・スコルピオン・ドラゴンは簡単に超えられるモンスターじゃねぇ……カードを1枚セットしてターンエンドだ。」

「アタシのターン!」

アタシは、チューナーモンスター『月夜のシルバー・フォング』を召喚!


月夜のシルバー・フォング:ATK1200


「今度はこっちの番よ!アタシは、レベル4の暗黒のバフォメットに、レベル4の光速の幻獣王ガゼルをチューニング!
 集いし星の瞬きが、聖なる力を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り込め『プリンセス・ヴァルキリア』!!」

私の出番ですね?
プリンセス・ヴァルキリア:ATK2500



うん、頼りにしてるわよプリンセス!

「光速の幻獣王ガゼルが、暗黒のバフォメットと共にレベル8以上のシンクロモンスターのシンクロ素材となって墓地に送られた時、アタシの手札は6枚
 になる。
 そして、更にプリンセス・ヴァルキリアの効果発動!1ターンに1度、手札を1枚捨てる事で、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。
 アタシはこの効果で、墓地の『幻想の闇魔導師』を特殊召喚する!」
幻想の闇魔導師:ATK1500



そして、レベル4の幻想の闇魔導師に、レベル3の月夜のシルバー・フォングをチューニング!
集いし破竜の魂が、破壊の剣士を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、切り崩せ『龍滅剣士 バスター・ブレイダー』!!



龍滅剣士 バスター・ブレイダー:ATK2600



でもって、デッキマスター『ダーク・マジシャン・ガール』を、デッキマスター特殊召喚!



出番ですね?頑張ります!!
ダーク・マジシャン・ガール:ATK2500


頼りにしてるわよガール?
続いて、ダーク・マジシャン・ガールのデッキマスター能力発動!
1ターンに1度、手札を1枚捨て、デッキから魔法カード1枚を選択して手札に加える事が出来る!アタシはこの効果で、デッキから『融合』をサーチ!!

そして魔法カード『融合』発動!
フィールドのダーク・マジシャン・ガールと、龍滅剣士 バスター・ブレイダーを融合!!
集いし魔導と剣閃が、破龍と聖騎士の力を呼び起こす。光射す道となれ!融合召喚、斬り裂け『超魔導剣士-ダーク・パラディン・ガール』!!


この力、行けます!!
超魔導剣士-ダーク・パラディン・ガール:ATK2900


ダーク・パラディン・ガールの攻撃力は、互いのフィールドと墓地に存在するドラゴン1体につき600ポイントアップする。
アタシと貴女のフィールドと墓地のドラゴンは合計3体!よって攻撃力は1800ポイントアップして4700となるわ!!


超魔導剣士-ダーク・パラディン・ガール:ATK2900→4700


「こ、攻撃力4700だとぉ!?」

「まだまだ、其れだけじゃないわよ?
 ダーク・パラディン・ガールの更なる効果発動!1ターンに1度、ライフを1000ポイント払う事で、相手フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モ
 ンスター1体の攻撃力を0にする!」

「なにぃ!?」
ブラック・スコルピオン・ドラゴン:ATK3900→0
遊里:LP1300→300


これで終わりよ!
超魔導剣士-ダーク・パラディン・ガールで、ブラック・スコルピオン・ドラゴンに攻撃!斬り裂け『超魔導次元斬』!!


「さ、させるかよ!トラップ発動『魔法の筒』
 これでダーク・パラディン・ガールの攻撃はお前に撃ち返される!!」

「あま~~い!!ダーク・パラディン・ガールの3つ目の効果発動!
 相手がカード効果を発動した時、手札を1枚捨てる事でその発動と効果を無効にして破壊する!よって、魔法の筒は無効化されるわ!!」

「ぬわんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


悪いけど、こんな所で立ち止まってられないから、本気で行かせて貰ったわ。――やっちゃえ、ガール!


は~~い♪どぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!



――ズバァァァァァァァァァァ!!!



「グワァァァァァァァァァァァァァ!!!」
首領ザルーグ:LP3000→0



アタシの勝ちね!
如何?此れなら実力にも納得してくれたでしょ親分さん?



「おう、充分過ぎる程堪能させて貰ったぜ。
 確かに、其れだけの腕が有れば、魔王城に乗り込んでも生きて戻ってこれるかも知れねぇな……良いだろう、気に入ったぜ!飛空艇を出してやる!
 そうと決まれば善は急げだ!!テメェ等、さっさと飛空艇の発進準備をしやがれ!!
 この俺を、首領ザルーグを倒した嬢ちゃん達を何としても魔王城に送り届けるぞ!そいつが出来なかったら、其れは黒蠍の名折れと思いやがれ!」

「「「「了解ですお頭!!」」」」


如何やらこれで、魔王城への足は確保できそうね。
って言うか、ザルーグが仁義を重んじる任侠キャラで良かったわ~~~……そうじゃなかったら、デュエルで勝っても船出して貰えなかったかもだし。

でも、魔王城に行く事が出来れば、ゴールは近いかな?
ミスティを助け出して、こんな事をやった奴を叩きのめして、そんでログアウトすれば万事解決な訳だからね!!



さぁ、先ずは魔王城に乗り込むわよ!!













 To Be Continued… 






登場カード補足




ブラック・スコルピオン・ドラゴン
レベル11    闇属性
ドラゴン族・融合/効果
闇属性のドラゴン族+闇属性の爬虫類族+闇属性の昆虫族
このカードは融合召喚でしか特殊召喚出来ない。このカードは戦闘で破壊される以外の方法ではフィールドを離れず、相手の魔法、罠カードの効果を
受けない。このカードが戦闘によって破壊された場合、自分は手札が6枚になるようにデッキからカードをドロー出来る。
ATK3900    DEF3400





デッキマスター能力補足



ダーク・マジシャン・ガール
1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動する。デッキから魔法カード1枚を選択して手札に加える。
この効果は、自分の先行1ターンでは発動出来ない。



沼地の魔神王
1ターンに1度、ライフを1000ポイント払って発動する。
自分のフィールドまたは手札から、融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、エクストラデッキから融合モンスター1体を特殊
召喚する。この特殊召喚は融合召喚とする。