Side:遊里


さてと、猛吹雪の雪原を越えるために必要なカードを入手するためのイベントデュエル。
先ずはアインとアタシで2勝した訳だから、後は3戦目のデュエルをブランが制すれば其処でイベントクリアって言うところだけど、如何見るかしらアイン?


「相手のアマゾネスの剣士は、ゲーム内でフリーデュエルの出来る相手としては、序盤で最高レベルのレベル20だが、その程度ではブランは退かんよ。
 寧ろそれを簡単に砕いて勝利をもぎ取るんじゃないのか?
 ミスティ・ローラのマネージャーとして働く中で、デュエリストレベルも相当に上がっているようだし、今のアイツならこのデュエルは簡単に制する筈だ。」

「まぁ、そうよね。」

ハッキリ言うと、今のブランは(容姿を含めて)以前とは全くもって別人と言っても過言じゃないわよね……いや、見た目は完全に別人28号だけどさ。
でも、其れとは関係なく、ブランから発せられているデュエリストのオーラは、本気になったクロウのオーラに匹敵するくらいに強い。


しかもデッキマスターに選んだのが、エースシンクロである『鎧殻龍 シェルアーマー』って事だから、このデュエルでブランが負ける事だけは無い。



「「デュエル!!」」


ブラン:LP4000
アマゾネスの剣士:LP4000




取り敢えず、イベントデュエルの終焉に相応しい、弩派手なデュエルを期待してるわブラン?――手加減抜きで、フィールを叩き込んでやりなさい!











異聞・遊戯王5D's Turn100
『此れがブランの成長の証』










Side:ブランシュ


さてと、互いにデッキマスターが出そろったところで始めようじゃねぇか?
先攻は貰うぜ、俺のターン!!……コイツはのっけから、中々良い手札が揃ってくれたぜ――ミスティを助けるために、全力でって所だな!!

俺は『コロソマ・ソルジャー』を守備表示で召喚!


コロソマ・ソルジャー:DEF1200


「そして、この瞬間にコロソマ・ソルジャーの効果発動!
 このカードの召喚に成功した時、手札の魚族か水族のモンスター1体を墓地に送り、デッキからカードを1枚ドロー出来る。
 俺は、手札の『サーペント・クラブ』を墓地に送って1枚ドロー!
 更に、『サーペント・クラブ』が墓地に送られた時、デッキから水属性モンスター1体を選択して墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする!」

コイツの効果で、デッキから『甲殻竜 アーマー・シーホース』を墓地に送って2枚ドロー!

「カードを1枚伏せてターンエンドだ。」

「私のターン!『アマゾネスの聖戦士』を攻撃表示で召喚。」
アマゾネスの聖戦士:ATK1700


「アマゾネスの聖戦士の攻撃力は、私のフィールド上の『アマゾネス』1体につき100ポイントアップする。
 更に、アマゾネスペット虎のデッキマスター能力により、私のフィールド上のアマゾネスモンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」
アマゾネスの聖戦士:ATK1700→1800→2300


自身の効果とデッキマスター能力を使って、行き成り上級モンスタークラスを呼び出して来たか。だけど、如何言う訳か全然凄いとか思えねぇ。
つーか、この程度は俺でもミスティでも可能だし、遊里だったら連続シンクロでレベル8シンクロを1ターンで3体とか普通にやってくれるだろうからなぁ…


「マダマダ此れだけではない!手札から装備魔法『アマゾネス首狩りの剣』を発動し、アマゾネスの聖戦士に装備!
 装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップし、貫通能力を得る!」
アマゾネスの聖戦士:ATK2300→2700(貫通効果)


んで、更に攻撃力を上げて貫通効果も付けて来た訳か……確かに、ゲーム序盤のイベントデュエルの相手としては中々楽しめるかもしれないぜ。
製品版が発売されたら、デュエル初心者には打ってつけの強敵として、ビギナープレイヤーを苦しめてくれるかもな。


「アマゾネスの聖戦士で、コロソマ・ソルジャーに攻撃!」


あくまでもプレイヤーが初心者ならだけどな!リバースカードオープン、トラップカード『退く潮と満ちる潮』
俺のフィールド上の水属性モンスターが相手モンスターの攻撃対象になった時に発動!
自分フィールド上の水属性モンスター1体をリリースする事でバトルフェイズを終了し、その後自分の墓地からレベル4以下の水属性モンスター1体を選
択して、守備表示で特殊召喚する!

頼むぜ『甲殻竜 アーマー・シーホース』!!


甲殻竜 アーマー・シーホース:DEF1300


更に俺が水属性モンスターの特殊召喚に成功した事で、手札の『ヨーロピアン・イセシュリンプ』を特殊召喚するぜ!


ヨーロピアン・イセシュリンプ:1000



「こ、此方の攻撃を無効にするだけでなく、一気に2体のモンスターを並べるだと!?
 ……見事な物だ、先の2人も含めてアマゾネスの戦士にスカウトしたいくらいだぞ?だが、私とて攻撃を止められて只では終わらない。
 私のターンに相手がモンスターを特殊召喚した時、手札から『アマゾネスの隠れ兵』を特殊召喚出来る!」
アマゾネスの隠れ兵:DEF1500


「そして、このカードが存在する限り、相手はこのカード以外のアマゾネスを攻撃する事は出来ん。
 カードを1枚セットしてターンエンドだ。」


へぇ?中々やるみたいじゃない?――だけど、其れで俺を止める事は出来ないぜ!!俺のターン!!
アーマー・シーホースの効果発動!
自分のターンに1度、フィールド上のこのカードをリリースし、手札から水属性モンスター1体を特殊召喚する!来い『甲殻砲兵ロブスター・カノン』


『ギシャァァァアァッァ!!』
甲殻砲兵ロブスター・カノン:ATK2200



「ロブスター・カノンの効果発動!このカードを手札から召喚、特殊召喚した場合、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスター1体を選択して破壊し、
 相手に500ポイントのダメージを与える!この効果で破壊するのは、当然『アマゾネスの隠れ兵』!
 撃ち抜けロブスター・カノン!『ハイドロ・ブレイカー』!!」


――バシャッァァァァアァ!!!


「く……!」
アマゾネスの剣士:LP4000→3500


続いて俺は『浅瀬のニンフ』を守備表示で召喚!


浅瀬のニンフ:DEF300


「浅瀬のニンフの召喚に成功した時、墓地の水属性チューナー1体を効果を無効にして特殊召喚出来る!来い『サーペント・クラブ』!!」
サーペント・クラブ:DEF800(効果無効)


「そのモンスターはコロソマ・ソルジャーの効果のコストとして墓地に送った!!
 そうか、初手での墓地肥しと手札の入れ替えも、全てはこの展開に持って行くためだったと言う訳か!!!」


その通り!
行くぜ、俺はレベル3のヨーロピアン・イセシュリンプとレベル3の浅瀬のニンフに、レベル1のサーペント・クラブをチューニング!

「冷たき氷の鎧を纏いし絶海の使者よ、己が聖域を侵す者に荒海の裁きを下せ!シンクロ召喚!轟け『甲殻海龍 アームド・リヴァイアス』!!」

『ガァァァァァァァァァァァァァ!!』
甲殻海龍 アームド・リヴァイアス:ATK2500



「氷の鎧を纏った海龍!?」

「此れは……以前のブランのデッキにはなかったモンスターだわ!」



アレから俺もレベルアップしてるって事だぜ遊里?
新たなカード、新たな戦術……日々色々と考えて来たからな――アームド・リヴァイアスのモンスター効果発動!!
このカードのシンクロ召喚に成功した時、ライフを500ポイント払い、デッキから通常魔法カード1枚を選択して手札に加える事が出来る!
俺は、ライフを500ポイント払って『融合』のカードを手札に加えるぜ。


ブランシュ:LP4000→3500


「此処で融合だと?」

「解せないか?……だったら今こそ、俺のデッキの新たな戦術を見せてやるぜ!!
 手札から魔法カード『融合』を発動!俺のフィールドのアームド・リヴァイアスとロブスター・カノンを融合!
 幾多の魂混じりし水棲生物よ、潮渦巻て新たなる力と生まれ変わらん!
 融合召喚!現れ出でよ、甲殻纏いし合成生物『甲殻合獣ガリデス・キマイラ』!!」

『ゴシャァァァァァァァァ!!』
甲殻合獣ガリデス・キマイラ:ATK2800


ガリデス・キマイラの効果は、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが居ないと無意味だが、其れでも攻撃力はアマゾネスの聖戦士を越えた!
行くぜ、甲殻合獣ガリデス・キマイラで、アマゾネスの聖戦士に攻撃!砕け散れ『キメラティック・ハイドロポンプ』!!


「く…そうは行くか!トラップ発動『アマゾネスの弩弓隊』!!
 このカードの効果で、お前のモンスターの攻撃力は500ポイントダウンし、アマゾネスに必ず攻撃しなくてはならない!!
 中々に見事な戦術を見せてくれたが、少しばかり及ばなかったようだな?」


……其れは如何かな?


「なに?」

「確かに此のままだったらやばかったけど、コイツの効果を忘れるなよな?
 鎧殻龍 シェルアーマーのデッキマスター能力発動!1ターンに1度、自分フィールド上の水属性モンスターが受ける効果を無効にする!
 此れにより『アマゾネスの弩弓隊』の効果は無効となり、ガリデス・キマイラの攻撃力は其のままで、アマゾネスの聖戦士に突撃するぜ!!!」


――ドッガァァアァァァッァァァアァァン!!!


「ぐぅ!!!」
アマゾネスの剣士:LP3500→3400


そしてコイツで終いだ!手札から速攻魔法『融合解除』
コイツの効果で、ガリデス・キマイラを、融合素材となったアームド・リヴァイアスとロブスター・カノンに分離するぜ!!


「何だとぉ!?」



甲殻合獣ガリデス・キマイラ:ATK2800
           ↓
甲殻海龍 アームド・リヴァイアス:ATK2500
甲殻砲兵ロブスター・カノン:ATK2200




「此れは……アマゾネスの戦士たる私が負けると言うのか……!!」

「まぁ、其れなりには楽しめたけど、アンタは俺の敵じゃない。
 これで終わりだぜ!!アームド・リヴァイアスとロブスター・カノンでツープラトンダイレクトアタック!!吹き飛べ『深淵のアビス・パニッシャー』!!」


――キイィィィィィィィィィィィィン……バゴガァァァァァァァァァァアァァァァン!!!!


「ぐ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!」
アマゾネスの剣士:LP3400→0(Over Kill)


俺に勝ちたいなら、最低でも龍亞位の実力は身につけてくれよな?
幾ら序盤の強敵に設定されてるとは言え、その程度じゃ相手にもならないからな――まぁ、おかげで雪原を越える為のカードはゲットした訳だけどな。


アイスブリザード・マスターのカード、確かに貰い受けたぜ!








――――――








Side:遊里


何て言うか、ブランは私と戦った時よりも一皮剥けたみたいね?実に見事なデュエルだったわ。
まさか、新たに融合戦術を組み込んでくるとは思わなかったけど、其れを使い熟して『融合』から『融合解除』に繋ぐ、『融合最強戦術』まで見せてくれた
訳だから、新しいデッキの錬度は中々に高いのかも知れないわ。


ま、取り敢えず、此れで雪原を越える事が出来る訳なんだけど――頼むわよ、ブラン?


「任せな……頼むぜ『アイスブリザード・マスター』!!」

『ハァ!!』
アイスブリザード・マスター:ATK2500



「この雪原を越えたいんだが、力を貸してくれないか?」

『御意に……クリスタルシェル!』


――バキィィィィィィン!!



此れは、アタシ達の周囲を氷の障壁が包み込んだ!?
確かに此れなら、猛吹雪の中でも吹雪をシャットダウンできるんだろうけど、どうやって移動しろって言うのよ?


『雪原を越えるまで、私が皆様を飛行魔法を使ってお連れしますので、如何か心配なさらずに。』


って、ブリザード・マスターは飛行魔法も使えたの!?
――と言う事は、猛吹雪の雪原も、氷の障壁で守られた状態でなら越える事が出来るって言う事ね……其れでブリザード・マスターが必要な訳か。

だけど、この雪原を抜ける事が出来れば、次の展開が待ってるだろうから、此れを越えない事には話にならないからね。


欲を言うなら、此の吹雪を超えた先にあるかも知れない街やら何やらでミスティに関する何らかの情報を得たい所だわ。
せめて何処に要るのか位は分からないと、助けたくても助ける事が出来ない――だけど、救出できなかったなんて言うのはバッドエンドだから、そのル
ートに進む心算は毛頭ないわ!!

鬼柳じゃないけど、見事ミスティを助け出して、満足しようじゃない?


「異論なしだ、遊里。」

「元より助け出せなきゃ、俺はミスティのマネージャー失格だからな!!」


OK、良いノリよ2人とも。


一体何処の誰がこんな事をしたかは知らないけど、喧嘩売った相手が悪すぎたわね?
デュエリストレベル暫定オーバーSのデュエリストに喧嘩を吹っかけた事を後悔させてあげるから、精々首を洗って待っていなさい!!













 To Be Continued… 






登場カード補足




アマゾネスの隠れ兵
レベル4    地属性
戦士族・効果
自分のターンに、相手がモンスターを特殊召喚に成功した時、手札のこのカードを特殊召喚出来る。
このカードが表側表示で存在する限り、相手はこのカード以外のモンスターに攻撃できない。
「アマゾネスの隠れ兵」は自分フィールド上に1体しか存在できない。



アマゾネス首狩りの剣
装備魔法
「アマゾネス」と名の付くモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップし、相手の守備表示モンスターを攻撃した場合、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値分の戦闘ダメ
ージを相手に与える。



退く潮と満ちる潮
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターが攻撃対象になった場合に発動できる。
自分フィールド上の水属性モンスター1体をリリースしてバトルフェイズを終了する。
その後、自分の墓地からレベル4以下の水属性モンスター1体を選択し、守備表示で特殊召喚する。





デッキマスター能力補足



鎧殻龍 シェルアーマー
・1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターが受ける、相手のカード効果を無効にする。



アマゾネスペット虎
・自分フィールド上に表側表示で存在する「アマゾネス」と名の付くモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。