Side:風丸


取り敢えず依頼通りに2人を確保したよ……其れからいがみ合ってた馬鹿2人もね。
報酬をもらおうかしら?


「ご苦労様…だけど、報酬は払えないわね――貴女達は用済みよ、彼等のようにね。」

「なに?…って、岩丸と炎丸!?…美寿知、アンタ…!!」

利用するだけ利用して、必要なくなったらゴミ屑扱い?――やっぱり気に入らないわねアンタは…!
く、邪丸!逃げるよ!!


「逃がさない……貴女達も糧になると良いわ。」

「全力全壊で御断りよこのタコ!!」

「我等は傭兵だが、お前の糧になる心算はないのでな。」


つ〜事で転移!!――どこに出るかは分からないけど、アイツの糧になるよりは遥かにマシだわ。












遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX87
『Kaiser Strike!!』












Side:裕奈


結局、1日中探しても翔君と剣山は見つからなかった。
日没が近づいて来たから一度は戻ってクロノス先生に報告したけど――やっぱ心配だよね?


「せやなぁ…ナンボほどアカデミアの引率教師総出で捜索してくれる言うても、不安はぬぐいきれへんて。」

「一体何が有ったってんだよ翔、剣山…」


兄貴分の十代としては余計に心配だよね。
何事もなければ良いんだけどさ………で、其れは其れとして1つ聞いていい?


「如何した?」

「『如何した?』じゃねーでしょ準!!何で私等レッドは宿泊用のホテルじゃなくて河原でキャンプなのよ!?
 差別待遇か!?もしそうなら裁判所に異議申し立てするわよ、割とガチで!!」

修学旅行で、宿泊場所が野宿同然のキャンプってのは流石に如何なのよ!?
食事は私とはやてが作るから良いとしても、此れは流石にあんまりじゃねーの?


「スマナイの〜ネ……光の結社が宿泊予定だったホテルの全室を抑えてしまったの〜ネ…
 あまりにも急だったので、レッドの皆はキャンプになってしまったの〜ネ……申し訳ない〜の…」


クロノス先生…そういう事だったわけね――だったら先生に非はないから頭を上げてよ。
序に私とはやての特製カレーでも食べてって♪


「感謝しますの〜ネ。」


にしても、ある意味此れは良かったのかなぁ?
つ〜か良かったよね間違いなく?


「良いにきまっとるやろ?初代デュエルキングの遊戯さんが此処に来てくれはったんやから、レッド生かて大喜びや。
 遊戯さんもホンマのデュエリストキングらしく、肩書を鼻に掛けんと気さくな性格やからすっかり馴染んでるみたいや。」


だよねぇ〜〜…初代デュエルキングのネームバリューの凄さを改めて実感したって感じ――まぁ、遊戯は実力も半端ねぇけど。

でさ、遊戯の目から見てレッド生、てか此処にいる生徒のデュエリストレベルはどんな感じ?結構いけてると思うんだけどさ?


「うん、皆凄く強いと思うよ。
 僕や城之内君、海馬君でも君達には簡単に勝つ事は難しいかもしれないよ。」


そりゃ中々の高評価で…でも勝てないとは言わねーわけね?…何時か絶対に『勝てない』って言わせてやるぜ!!

にしてもマジで剣山と翔君は何処に?
いっそこのカレーの匂いに誘われて戻ってきたりしねーかね?


「飢えた野良犬かあいつ等は…」

「あ、でも翔は兎も角として剣山は来るかもしれないぜ?ほら、アイツなんとなく肉食獣っぽいじゃないか?」


あはは、兄貴分に言われてりゃ世話ねーわ。


「相変わらず君達の周りは賑やかだな。…おまけに初代デュエルキングまで一緒だとは驚きだ。」

「あ、エド。」

「昼間はどこに居ったん?てか、ブルー生徒とブルー扱いの留学生は一応旅館取れたんやなかった?まぁ、麗華ちゃん達こっちに居るけど。

「なに、こっちの方が面白そうな気がしただけさ――実際面白そうな事になってるからな。」


まーね。
んで、昼間はどこに行ってたのよ?


「斎王に会ってきたんだよ……一体何を考えてこんなことをしているのか聞く心算だったんだが――真意は聞く事が出来なかった。
 ただ『私を友と思ってくれているのなら、最後まで見ていてくれ』としか言わなかったよ。
 正直、今の斎王のしていることは異常だが、だとするとアメリカを発つ前の僕に力あるデュエリストの発掘を頼んだのは一体何だったんだろうな?」

「何それ?意味わかんねーっての。斎王ってば二重人格だったりするわけ?」

「そんな事はないと思うんだが、今の斎王と僕の知ってる斎王は随分と違う感じがするのは否めないな。」


エドでも良く分からないんだ…まぁ、何れ分かるっしょ。


『Captain.』

「ん?どないしたレイジングハート。」

『It comes.』


へ?来るって何が?


『I don't knwo.Unknown…』


正体不明…でもレイハが感じ取ったって事は一般人じゃねぇわよね。
って、ちょっと待って何あの光!!!ほら、あの橋の下の方!!


「!!転移魔法やないのアレ!?或はそれに限りになく近い何かや!!…まさかアレの事かレイジングハート!」

『Maybe.』


何だってのよマッタク……果たして鬼が出るか蛇が出るか。
興味持って皆で集まっちゃうのは仕方-ねーよね〜〜、気になるし。


「ふぅ…取り敢えず逃げおおせたわね…」

「何処だ此処は?」

「童実野町のとある河原やで?序でに只今デュエルアカデミアのオシリスレッドがキャンプ中や。」

「「デュエルアカデミア!?」」


な〜〜に驚いてる…てか何て言うかどう見ても『堅気』の目じゃねーわねアンタ等?
若しかして、デュエリスト狩りでもしてて、警察に見つかって離脱ってか?何にしても転移魔法的な何かで移動してくる辺り普通じゃねぇ!!


「んな事はしてないわよ…アタシ等は所謂『デュエル屋』――金で雇われる傭兵よ。
 ある奴に頼まれて仕事をしてたんだけど、そいつが土壇場でアタシら斬り捨てようとしたから逃げてきたのよ…そいつから貰った能力でね。」

「因みに、約束の報酬は前金すら貰っていない!」

「「「「「うわ〜〜〜〜…」」」」」


最悪っすねその雇い主って…堅気じゃねーだろうけど、何か哀れになってきたわ此れ。カレーでも食べる?


「「いただきます!!」」


うし、ガッツリ食うが良い!
って、レイハまだ何かあるの?


『Caution.Emergency.』

「「は?」」


――ヴン…


!!なに?空中に映像が……誰だこの巫女さん?


「「美寿知!!」」

「なんだ、知り合いか?」

「さっき言った俺達の雇主だ…!」


マジで!?…何しに来たって、考えるまでもねーわね…取り逃がした傭兵を始末しようっての!?


『逃げられると思ったか風丸に邪丸……その力は私が与えたモノ――追跡など容易だ。
 私の手から逃れる事など不可能よ…』


「なんだと!?ぐ……ぐあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「邪丸!!」


!!!オッちゃん!?……消えた…如何言う事よ!!
ちょっと、巫女おばさん何をした訳!?幾らなんでも消す事ないでしょう!!


「……君は自分が何をしたか分かってるの?」

「へ?遊戯?」

「「「遊戯さん?」」」


なんか…えと、確実に怒ってるよね?


「君は人をなんだと思ってるの?彼が消えたのが何を意味するかは分からないけど、其れが間違ったことだっていうのは分かる。
 それに君は彼等の雇主なんだよね?彼等は君の依頼を失敗した訳じゃないんでしょ?其れなのに何で!!」

『ほう?武藤遊戯…初代デュエルキングが居るとは驚きだ……そうだ、良い事を思いついた!
 風丸、遊戯を倒せ――そうすれば闇の神復活の糧となった者達を解放し、契約の3倍の報酬を払おう。』



あ〜〜〜…馬鹿かこの巫女おばさんは…そりゃ遊戯の怒りを加速させるだけだって。
火に油?寧ろ火にガソリンだっての。
それに風丸だっけ?コイツだって一度は自分を斬り捨てようとした雇い主に従う事なんて…


「その約束、絶対守れよ?」

「受けるのかおい!!!」

あ〜〜…傭兵ってのはやっぱ金なわけね…
如何するの遊戯?


「僕と戦いたいって言うならそのデュエルは受けるよ……だけど、人の命を道具としか見ない奴なんて僕は絶対に認めないぜ!!」

「「デュエルモードきたー!!!」」

「「「「「遊戯さんの生デュエルが見れるぞ!!!!」」」」」



あはは…期せずして大盛り上がりだわ此れ。
まぁ、伝説の最強デュエリストのデュエルが生で見れるとなれば当然かにゃ〜〜?

んじゃあ、頼むぜ遊戯!
陰湿な巫女おばさんと、金の亡者の傭兵にモノホンのデュエルってやつを教えてやってよ!


「任せておけ裕奈!美寿知、風丸……お前達に本当のデュエルって言うものを見せてやるぜ!!」


あはは…デュエルモードだと敬称もなくなるんだよね遊戯って。

けどまぁ、巫女おばさん…アンタは馬鹿だね。
ハッキリ言うよ――傭兵じゃ遊戯の足元にも及ばないぜ!

画像は消えちゃったけど見てんでしょ?……精々見ると良いよ、天下無敵、史上最強のデュエリストのデュエルってものをさ!!








――――――








Side:万丈目


遊戯さんと傭兵のデュエルか……期せずして、此処にいる連中は最高のデュエリストのデュエルを見るに至ったわけか。
果たして風丸が何処まで食らいつけるかと言うところだが…少なくとも遊戯さんが負ける事だけは無いだろうな。


だが、この妙な感じは何だ?
デッキの『光と闇の竜』が教えてくれる――風丸のデッキに隠された『邪悪な存在』を。
十代とはやて、裕奈…店長やエヴァも感じ取っているかもしれん。


コイツは、若しかしたら翔と剣山の失踪とも関係があるかも知れないな…
まぁ、何にせよ遊戯さんが勝ったら風丸を問いただすだけだが…


「「デュエル!!」」


遊戯:LP4000
風丸:LP4000


始まったか。
頼むぞ遊戯さん、そいつに勝ってくれ――其れがきっと2人を探す手掛かりになるからな。


「先攻は貰うぜ!僕のターン!…『サイレント・ソードマンLV3』を攻撃表示で召喚!」
サイレント・ソードマンLV3:ATK1000


「カードを1枚セットしてターンエンド。」


先ずは下級1体を召喚か…低ステータスを攻撃表示と言う事はあのカードが狙いか…


「アタシのターン!手札から魔法カード『サクリファイス・メイジ』を発動!
 アタシのフィールド上にモンスターが存在しない場合に発動!アタシのフィールドに『供物トークン』1体を守備表示で特殊召喚する!」
供物トークン(星1・闇・アンデッド):ATK0


対して風丸はトークンの生成…上級モンスターのアドバンス召喚か!


「アタシは供物トークンをリリースし、現れろ『風帝ライザー』をアドバンス召喚!!」

『ウオォォォォォ!!』
風帝ライザー:ATK2400


ライザーだと!?
アドバンス召喚成立時にフィールドのカード1枚をデッキトップにバウンスする『帝』の強力モンスター!
幾らなんでも一手目でこれを出されたら…


「ライザーの効果発動!アドバンス召喚成立時に、フィールド上のカード1枚をデッキトップにバウンスする。
 この効果でその伏せカードをデッキトップに戻すわ!」

「…悪くない手だな…だが甘いぜ!速攻魔法時の跳躍(ターン・ジャンプ)!!
 僕のフィールド上の『サイレント・ソードマンLV3』をリリースし、デッキか手札から『サイレント・ソードマンLV7』を召喚条件を無視して特殊召喚するぜ!」

『はぁぁぁぁあぁ!!』
サイレント・ソードマンLV3:ATK1000
            

サイレント・ソードマンLV7:ATK2800


その効果を掻い潜って、沈黙の剣士を最強レベルに進化しただと!?
何と言う…俺自身身をもって知った事だが、此れが初代デュエルキングのデュエルタクティクスか…

此れならば、奴のデッキから感じた『邪悪な存在』が出て来ようとも問題にすらならんな。


尤も遊戯さんと実際に対戦した俺達以外のアカデミア生徒が、遊戯さんの本当の凄さを知るのはこの後だったんだがな…














 To Be Continued… 






*登場カード補足



サクリファイス・メイジ
通常魔法
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合にのみ発動できる。
自分フィールド上に「供物トークン」(星1・闇・アンデッド・攻守0)1体を特殊召喚する。



時の跳躍(ターン・ジャンプ)
速攻魔法
自分フィールド上に表側表示で存在する「サイレント・ソードマンLV3」1体をリリースする。
自分のデッキか手札から「サイレント・ソードマンLV7」1体を選択して自分フィールド上に召喚条件を無視して特殊召喚する。