No Side


 アカデミアの講堂に集まっているのは、3年生の全生徒。
 卒業式を間近に控え、本日は3年生の首席卒業者の発表の日だ。

 尤も、集まった全員が首席は誰であるか分っているようだが…


 「それで〜は、本年度の首席卒業生を発表するの〜ね。
  本年度の首席卒業生〜は……丸藤亮なの〜〜ネ!」

 「「「「おぉ〜〜〜〜!!!」」」」

 集まった生徒の大方の予想通り、首席は『カイザー』こと丸藤亮。
 誰も文句の付けようが無い。

 何せこの1年、カイザーに勝ったデュエリストは只の1人も存在していないのだから。

 其のカイザーも、決して首席である事を威張ったりせず、只静かに結果を聞いているだけ。
 矢張り本物の実力者と言うのは人格的にも確りしているようだ。……何処かの馬鹿に見習って欲しいものである。


 「それで〜は、セニョール丸藤〜は、1週間後の『卒業デュエル』の相手を決めておくの〜ね。」

 「はい、分りました。」

 そしてアカデミアならではの卒業イベント『卒業デュエル』。
 其の年の主席卒業生が、在校生1人を選んでデュエルすると言うもの。

 果たしてカイザーは、アカデミアでの最期のデュエルに誰を選ぶのか?
 卒業生全員が…否、在校生にも其れはとても興味のある事だった。












  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX60
 『帝王の選ぶ相手は…』











 Side:亮


 卒業デュエル…もう其処まできたのか…長いようで短い3年間だったな…。
 だが、だからこそアカデミアでの最後のデュエルは最高の物にしたい。

 …誰を選ぶか?
 吹雪は留年らしいから相手として選ぶ事は出来る…カイザーとキングのデュエルと言うのも悪くないが…

 いや、矢張り選ぶなら今年の1年生からだろう。
 十代、万丈目、裕奈、はやて、三沢に明日香…珍しいくらいの粒揃いだ。

 正直に言うと全員とデュエルがしたい。
 だが、そんな事は不可能だ……ならば誰と…?

 ………迷う事など無いか。
 俺が最も戦いたい相手、そして俺の卒業デュエルの相手に最も相応しいのはお前を置いて他には居ない。


 さて、部屋に居るか?


 「あれ、如何したんですか亮君?」

 「北森先生…いえ、少し用があって…」

 「あ、十代君ですか?だったら今は奥の裕奈さん達の部屋に居るともいますよ?翔君も一緒に。」


 裕奈とはやての部屋にか…デュエルでもしているのか?
 まぁ良い、行けば分るか…ありがとうございます北森先生。


 「いえ…あ、亮君…卒業デュエルの相手は後悔しないように選んでくださいね?」

 「無論、其の心算ですよ。」

 「なら安心しました♪」


 後悔のないように…か。
 後悔などしようも無いな…俺が心から戦いたいと思ったデュエリストを選ぶのだから。








 ――――――








 Side:はやて


 「で、こうすれば相手の意表をつけると思うんだけど如何かな?」

 「うん、良いと思うよ?αの効果をかわした相手には逆に意表を突けると思うし。」

 「せやな、このコンボやったらαを処理されても次に繋がるし、状況如何でβと使い分けも出来るしな。」

 うんうん、翔君も見事なコンボ考えるやないの?
 やっぱり磨けば光るダイヤモンドやったね♪
 今の翔君やったらカイザーとも互角のデュエルが出来ると思うで?


 「お兄さんと?」

 「おう!翔は凄く強くなったぜ!」

 「自信を持ちなよ、翔君は強い!私等が保証するよ♪」


 ホンマに強くなった。
 正直言うと、制裁デュエルの時よりも更に強くなってる。
 語尾に『〜〜っス』って付けなくなったのもその影響やろか?


 「はは…なんか媚びてるみたいだから意識して止めてみたんだけど、変かなぁ?」

 「いや、良いと思うぜ?」

 「実を言うとあの喋り方はあんまし似合ってなかったかな〜…って思うしね。」


 やね。
 せやけど十代の事は『アニキ』って呼ぶのは止めないんやろ?


 「ソレは止められないよ。アニキはアニキだもん。」

 「ま、それはしゃー無いやろな♪」

 十代も兄貴分としてうかうかしてられへんね?


 「へへ〜、負ける気なんて無いけどな!」

 「む、いつかアニキに勝ってみせるからね!!」

 「おう!楽しみにしてるぜ!」


 良い関係やねこの2人も。



 ――コンコンッ



 「あり、お客さん?は〜い、ちょっと待って〜。……どちら様?……って、カイザー!?」

 「は!?カイザーやと!?」

 「失礼する。」


 いや、えぇけどドナイしたの?
 まぁ、狭いけど座ってや、お茶出すから。


 「いや、長居はしないから良い、心遣いだけ貰っておく。」

 「そうなん?やけど、こんなオンボロ寮に態々何の用なん?」

 昭和初期建築のアパート並みの年季があるでレッド寮は。


 「此れは此れで味がある。まぁ、ソレは良い……俺は卒業デュエルの相手を指名しに来た。」

 「「「「卒業デュエル…!!」」」」


 もうスグやったな。
 其の相手を指名しにレッド寮に…やと?

 カイザーが己の相手をレッドから選出する――面白いやないの。
 誰を指名するつもりや?

 勿論この場の4人の誰もが、相手するなら勝つ気で行くで?


 「無論そう来なくては面白くない。」

 「ま、全力全開は基本でしょ♪」

 「あぁ、其の通りだ。」


 当然やな。
 して、誰をアカデミアのラストデュエルの相手に…?


 「俺が戦いたい相手は沢山いる。
  十代、万丈目、裕奈、はやて、三沢に明日香……他にも戦ってみたい相手は居る。
  今年の1年生は特に粒揃いだった……だが、俺のアカデミアでのラストデュエルと考えた場合、相手は1人だけだ。
  ……翔、俺は卒業デュエルの相手にお前を指名する!」

 「えぇ!?ぼ、僕を!!」

 「おぉ!スゲェな翔!カイザー直々の指名だぜ!」

 「流石はカイザー、粋な指名するじゃん♪」


 ホンマや。
 確かにカイザー的には、兄として弟の成長は卒業前に見ておきたいやろね。
 どないする、翔君?


 「アカデミアでの最後のデュエルの相手――僕でいいの?」

 「お前でいいんじゃない、お前『が』良いんだ翔――俺はお前とデュエルがしたい。
  正直に言うと、俺はお前が此処まで成長するとは思っていなかった……お前の性格はデュエリスト向きではなかったからな。」


 あ〜〜…確かに入学当初やとそうかもね。
 えぇもん持ってるのに、ビクビク自信が無さそやったもんね?


 「事実、入学したばかりの頃のお前は、何時も十代の後ろに引っ込んでいた。
  が――あの制裁デュエルからお前は変わった、真の意味でデュエルを楽しむようになっていたな。
  ソレに伴い、デュエルの腕も昔のお前からは考えられないほどに上がっている。
  アカデミアを去る俺への手向けに、お前の成長と成長した力を俺に見せてくれないか、翔。」

 「だってさ、如何する翔君?てか、聞くまでもないよね?」

 「裕奈さん……分ったよお兄さん、僕が卒業デュエルの相手になる!」


 よう言ったで翔君!
 直々の御指名受けたデュエルを断るなんて選択肢はありえへんからね。


 「ありがとう、翔――卒業デュエルまであと3日……最高の戦術で挑んで来い。」

 「うん。でも、やる以上は負けないよ、お兄さん!」

 「あぁ、俺もだ。…3日後を楽しみにしているぞ、翔。」


 デュエルとなったら兄弟でも手加減不要や。
 こら面白そうや!……あ、もう帰るんカイザー?


 「用件は済んだからな。………少し扉の建付けが悪いな、直してもらうように言っておこう。」

 「あ、どうもご丁寧に〜〜。」


 …カイザーはイケメンで良い人なんやけど、ちょ〜〜〜っと人と感覚がずれてる部分有る気がするな〜〜。
 まぁ、総じて天才はそないなもんか…

 「にしても、此れは大舞台で行き成り超大物とのデュエルやな翔君。」

 「うん。でも、僕は全力でぶつかるよ。お兄さんも其れを望んでるから!」

 「おぉ、其の意気だぜ翔!」

 「どうせだったらマジで勝って、カイザーの称号も奪っちゃおうか♪」


 私も含めて、もうデュエルモードや。
 翔君の実力は既に上級レベル、カイザー相手にだって引けを取らないはずや。

 「ほな、今日の晩御飯の時に翔君が卒業デュエルで戦う事をレッドの皆に伝えへんとね。」

 「だね、レッド総出で翔君を応援だっぜ!!」

 「頑張れよ、翔!!」

 「うん!!」


 これは盛り上がるデュエルになりそうや!








 ――――――








 Side:裕奈


 つー事で、あっという間に時は経って卒業デュエル当日〜〜。
 調子は如何よ、翔君?


 「バッチリ!驚くくらい気持ちが……何て言うか、高揚してるんだけど冷静みたいな…よくわかんないや。」

 「取り合えず変に緊張してる事は無いみたいやね――思いっきり行ってきや。」

 「手加減無しの全力だぜ、翔!」

 「うん!今の僕の全力を、お兄さんにぶつけてくる!」

 「OK、良い気迫!行っといで!」

 「うん!!」


 良い表情だね〜。
 さてと、私等は観客席行こうか?


 「せやな、店長やエヴァちゃんも来てるんやろ?」

 「おう、昨日店行ったら店長もエヴァも見に来るって行ってたぜ!」

 「エヴァちゃんもすっかりデュエリストだねこりゃ…」

 ま、良いけどさ。




 っと…うっわ〜〜〜観客席凄いね此れ。
 事前に席確保しとかなかったら座れなかったんじゃない?

 「まぁ、カイザーのラストデュエルともなれば誰も見逃す筈無いか。」

 「当然やろな。」


 流石はカイザー…
 さてと、私等の席は…あ、此処だ此処!


 「見送りは終ったか?」

 「万丈目!お前なんで来なかったんだよ?」

 「アイツは在校生の代表だが、レッドの代表でもある……なら、レッド生だけで送り出してやった方が良い。
  俺は観客席から声援を送らせて貰う。」


 う〜〜ん…別に気にしないで来てくれて良かったんだけど、準なりのレッドへの気遣いかにゃ?
 けど、翔君の応援してくれるんだ?


 「アイツは今年の1年生の中では一番成長率が大きい、其れがカイザー相手に何処までやるか、正直楽しみだからな。
  ……一部のブルーの生徒は、カイザーがレッドから相手を選出したのが堪らなく気にいらんらしいが…」

 「あ、やっぱり居たかそう言うのは…」

 「まぁ、デュエルが終る頃には何でカイザーが翔君選んだか理解できるやろ……多分。」


 だと良いけど。

 お、そろそろ始まるみたいだね!
 オーロラヴィジョンも起動して、気分も盛り上がるねこりゃ!


 其れで〜は、此れより本年度の卒業デュエルを始めるの〜ネ!
  卒業生代表は、アカデミアのカイザー!オベリスクブルーの丸藤亮!
  対する在校生代表は、其のカイザーの弟にしてオシリスレッドの成長株、丸藤翔なの〜ネ!



 レッドの成長株って…中々高評価じゃんクロノス先生も♪
 さぁて、どんなデュエルになるかにゃ?



 「此処に立った以上は、兄弟で有る事は関係ない。互いに最高の戦術をぶつけるだけだ。」

 「分ってるよお兄さん……いや、カイザー亮!」


 おぉ!!お兄さんじゃなくてカイザーって呼んだよ!


 「こら翔君も完璧やる気やな!」

 「くぅぅ…早く始めてくれ〜〜!!」


 十代の気持ちは私も分るぜ!
 ワクワクしてきたよ!








 ――――――








 Side:亮


 俺の事をカイザーと呼ぶか…ふ、其れで良い翔。

 「始めるか!行くぞ翔!」

 「行くよ、カイザー!!」


 「「デュエル!!」」


 亮:LP4000
 翔:LP4000




 卒業デュエルでは、先攻後攻は在校生が選ぶ事ができる。
 お前はどちらを選ぶ、翔?


 「僕は当然先攻を選ぶ!」

 「良いだろう。ならばお前のターンからだ、来い!」

 「僕のターン!『サーチロイド』を守備表示で召喚!」
 サーチロイド:DEF1400


 「先ずは此れでターンエンド。」


 先ずは下級モンスター…名前からしてサーチャーか?

 だが、俺はそれくらいでは臆さないぞ、翔。

 「俺のターン。…『サイバー・フェニックス・ツヴァイ』を召喚。」
 サイバー・フェニックス・ツヴァイ:ATK1600


 更に永続魔法『サイバネティック・フュージョン・ファクトリー』を発動。
 俺のエクストラデッキからサイバー・ドラゴンを融合素材にしたモンスター1体を選択して発動。
 選択した融合モンスターの素材となるモンスターをデッキから墓地に送り、次の俺のターンのスタンバイフェイズに選択したモンスターを融合召喚する。

 俺はデッキから3体のサイバー・ドラゴンを墓地に送り、次のターンに『サイバー・エンド・ドラゴン』を特殊召喚する!


 「2ターン目で、サイバー・エンドが…!」

 「全力でと言う約束だからな、一切の手加減はしない!
  バトル!サイバー・フェニックス・ツヴァイで、サーチロイドを攻撃!『ナパーム・ショット』!」

 サーチロイドを焼殺!


 「…!サーチロイドの効果発動!
  サーチロイドが戦闘で破壊されたとき、デッキから攻撃力1500以下の『ロイド』1体を手札に加える!」


 矢張りサーチャーだったか。
 何を手札に加えてくるのか…


 「僕はデッキから『ターボロイド』を手札に加え、そしてこの瞬間、ターボロイドの効果発動!
  このカードがカード効果で手札に加わった時、デッキからターボロイド以外の攻撃力1500以下の『ロイド』1体を手札に加える事が出来る!
  この効果で、デッキから『ステルスロイドU』を手札に加える!」

 「!!」

 このコンボは…!!
 成程な、ソリッドの召喚に必要な素材モンスターを超高速で揃えるサーチコンボ。
 自分のデッキの要となるモンスターを速攻召喚する為のコンボか、見事だ。

 さて、問題は翔の手札だ。
 ストライクロイドが手札にあるのならば次のターンでαを召喚してくる筈。
 更に其のαが、次の俺のターンに現れるサイバー・エンドに破壊されても返しのターンでβを召喚することで反撃できるか…

 今の俺の手札に攻撃無効のカードは無い…最悪の場合は2600のダメージは覚悟するか。

 「ターンエンド。」

 「僕のターン!『シールドロイド』を守備表示で召喚!」
 シールドロイド:DEF2000


 「カードを1枚セットしてターンエンド。」


 ソリッドの召喚をしてこなかった?
 ストライクはまだ手札に無かったのか…

 ならば此処は一気に攻める!俺のターン!

 「このターンのスタンバイフェイズに『サイバネティック・フュージョン・ファクトリー』の効果発動!
  出でよ『サイバー・エンド・ドラゴン』!!」

 『キシャァァァァ!!!』
 サイバー・エンド・ドラゴン:ATK4000




 「来たー、サイバー・エンド!!」
 「やっぱしカイザーはハンパネェ!!」




 …盛り上がっているな。
 ならば、其の熱を冷まさないデュエルをしなければ申し訳ない!

 「サイバー・フェニックス・ツヴァイの効果発動。
  俺のフィールドに、サイバー・フェニックス・ツヴァイ以外の『サイバー』が存在する時、相手の魔法・罠カード1枚を破壊できる。
  この効果で、其のリバースカードを破壊する!」

 「……流石はカイザーだね…けど、ここは僕が読み勝ったよ!」


 なに?


 「フェニックスの効果で破壊されたカードは、トラップカード『フェイクガレージ』
  セット状態のこのカードが破壊されたとき、デッキからレベル4以下の『ロイド』1体を手札に加える!
  僕はこの効果で、デッキから『ストライクロイド』を手札に加える!!」

 「此れは…!!ふ、まんまとお前の策に嵌められたと言う訳か…。
  ならば其の借りは盛大に返しておこう!サイバー・エンド・ドラゴンで、シールドロイドに攻撃!『エターナル・エヴォリューション・バースト』!!」

 『カアァァァァ!!!』


 ――ズガァァァァァン!!




 シールドロイドは守備表示だが、サイバー・エンドには貫通効果がある。
 超過分2000のダメージを受けてもらうぞ。


 翔:LP4000→2000
 「く…うわぁぁ!…けどシールドロイドは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されないモンスターだ!
  其れに守備力は2000、フェニックス・ツヴァイじゃ倒せないよ!」

 「限定的な戦闘耐性か…カードを2枚セットしサイバー・フェニックス・ツヴァイを守備表示にしてターンエンド。」
 サイバー・フェニックス・ツヴァイ:ATK1600→DEF1200


 次のターン、翔は間違いなくソリッドαを呼び出す。
 だが、果たしてお前の狙い通りに行くかな?


 「僕のターン……行くよカイザー!
  僕は手札の『ストライクロイド』『ターボロイド』『ステルスロイドU』の3体を墓地に送って合体させる!
  チェンジソリッドα!!変形合体『ソリッドロイドα』!!」

 『トォアァァア!』
 ソリッドロイドα:ATK2600


 「来たか、ソリッドロイド…!」

 「僕だって当然全力だよ!αの効果で、サイバー・エンドの攻撃力を自身に上乗せする。」


 矢張りそう来るか。
 だが、甘いぞ!速攻魔法『融合解除』
 此れで、サイバー・エンドを3体のサイバー・ドラゴンに分離、対象を失ったαの効果は不発だ。


 サイバー・エンド・ドラゴン:ATK4000
         ↓
 サイバー・ドラゴン:DEF1600
 サイバー・ドラゴン:DEF1600
 サイバー・ドラゴン:DEF1600




 「やっぱりαの効果は読まれてたよね――けど、僕も効果が読まれてるとは思ってた!」

 「読まれている事を知りながら敢えて召喚したというのか?」

 「そうだよ、読まれている事が分ってたから僕にはその先がある!
  手札から魔法カード『ソリッド・リターン』を発動!
  僕のフィールドの『ソリッド』をエクストラデッキに戻し、デッキから『ロイド』1体を手札に加える!」

 「な!αを戻してのサーチカードだと!?」

 此れが真の狙い?
 …!!いや、違う。
 αがフィールドから消えた事で翔は新たなソリッドを呼び出す事ができる!


 「ソリッド・リターンの効果で、デッキから『モビルロイド・エクシア』を手札に加える!
  そして此れが僕の真の狙い!墓地のステルス、ターボ、ストライクの3体をデッキに戻して合体させる!」

 「デッキに戻す、だと?」

 βじゃないのか?


 「チェェェェェジソリッドΣ!変形合体『ソリッドロイドΣ』!!」

 『ウオォォォォォォ!!』
 ソリッドロイドΣ:ATK2500


 ソリッドロイドΣ!?
 そうか……翔、お前は今この時も成長を続けているんだな…


 「ソリッドロイドΣは特殊召喚したターンのみ相手モンスター全てに攻撃できる!
  行くよ!ソリッドロイドΣで、3体のサイバー・ドラゴンとサイバー・フェニックス・ツヴァイに攻撃!『ソリッド・スラァァァッシュ』!」



 ――バガシュゥゥゥゥ!!!



 「く…!!」

 1ターンで俺のモンスターが全滅するとは…!


 「Σの効果!相手モンスターを戦闘で破壊した場合、相手に200ポイントのダメージを与える!
  このターンにΣが戦闘破壊したモンスターは4体!よって800ポイントのダメージを与えるよ!」

 「俺のモンスターを一掃したのみならずバーンダメージまでか…!」
 亮:LP4000→3200


 …ふふふ…ふふふふふ……いいぞ翔、最高だ!
 如何やらお前は俺の予想を遥かに超える成長をしているようだな?


 「僕は僕1人の力で成長したわけじゃないよ。
  アニキに万丈目君、裕奈さんにはやてさん――他にも沢山の人達が居たから成長できたんだ。
  だから僕は負けない!ううん、僕は勝つよカイザー!!」

 「俺に勝つ…か。良いだろう、やってみせろ翔!」

 どうせなら勝つだけでなく、俺からカイザーの称号を奪ってみせろ!

 お前の中にあるデュエリストとしての無限の可能性を、見せてもらうぞ翔!













   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 ソリッド・リターン
 通常魔法
 自分フィールド上に表側表示で存在する「ソリッドロイド」と名の付く融合モンスター1体をエクストラデッキに戻す。
 自分のデッキから「ロイド」と名の付く機械族モンスター1体を選択して手札に加える。



 サイバネティック・フュージョン・ファクトリー
 永続魔法
 自分のエクストラデッキから「サイバー・ドラゴン」を素材にした融合モンスター1体を選択して発動する。
 選択した融合モンスターによって決められた融合素材モンスターをデッキから墓地へ送り、
 次の自分のターンのスタンバイフェイズに選択した融合モンスターを特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。
 このカードがフィールドを離れた場合、このカードの効果で特殊召喚した融合モンスターを破壊する。
 このカードの効果で特殊召喚した融合モンスターが破壊された場合、このカードを破壊する。



 フェイクガレージ
 通常罠
 フィールドにセットされたこのカードが破壊されたとき、
 自分のデッキからレベル4以下の「ロイド」と名の付く機械族モンスター1体を選択して手札に加える。