Side:遊奈


あふ……もう6時か。そろそろ起きねーと、レッド寮の朝ごはんが抜きになっちまうわね。
ほれ起きろはやて~~~!どんな夢見てるのか知らねーけど、何時までもだらしない顔曝して寝てんじゃねーわよ?朝ごはんの支度しよーよ。



「うへへへへ……アカンて……其処はアカンよ遊奈。
 あん……しゃーないなぁ……遊奈の好きにさせたるけど、私の事も楽しませてな~~~~?」

「オベリスク・ゴッドハンド・クラッシャー!!!」



――バキィィィィィィィィ!!!!



「のわぁぁぁっぁ!?行き成り何すんねん遊奈!!って、なんや今のは夢か~~。」



何すんねんじゃないわよはやて!!ぬわ~~に、不埒な夢見てやがるかな此のスットコドッコイが!!
いや、アンタとヤッチマッタ事実があるからアレだけど、夢ん中とは言え、勝手に人とエロい事すんな!事によっては肖像権侵害で訴えるわよ?



「なにぃ、私は悪ないで!!
 私がエロイ夢見てまうのは……遊奈が揉み甲斐のある見事なおっぱい持ってるせいや!!私は、マッタク持って全然悪くないでホンマに!」

「よっしゃいい度胸じゃねーのはやて、もう1発ゴッドハンド・クラッシャー行っとこうか!!」

と、此れはまぁ、私とはやての間ではよくある朝のやり取りであり、同時に平和である事の証でもあるんだよね~~?
はやての悪乗りも其れを分かってるからであって、最終的にはじゃれ合いで終わっちゃうわけだしさ――だけど、此れが出来るのはダークネス
を倒したから。

考えてみると、あの骨野郎を滅してから、もう1週間が経っちまった訳か……と言う事は、レッド寮の朝ごはんを作るのは、今日が最後ね。













遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX222
『此れが最強の卒業式である!』











ダークネスと言う名の骨野郎を倒して早1週間。
だけど、アレから1週間が経った今日は、私達3年生の卒業の日……3年間お世話になったデュエルアカデミアとサヨナラする日って訳だよね。

前世では中学2年生で死んじゃったから、高校の卒業式って言うのは初めてだわ。(中学の卒業式は、現世で体験してるけどね。)
だからと言って感傷に浸る事はないけど、最後の朝ごはんは気合入れていくわよはやて!!其れこそ、レッド寮の在校生が、二度とこのご飯を
食べることが出来なくなる事を悲しむ位のものを出そうじゃない!!



「異論無しや遊奈!前世では小学生から、一家のお母さんやっとったから、主婦の血が騒ぐで!!」

「私も、ず~~~~~っと、お父さんの世話して来たから、主婦の血が騒ぐわ~~~!!!」

「なら、全力全壊やな遊奈さん?」

「全力全壊でしょう、はやてさん。」

んで、私とはやてが気合い入れまくって作り上げた、レッド寮最後の朝ごはんのメニューはと言うと――


・ごはん
・白菜と油揚げとなめこの味噌汁
・納豆とオクラとメカブのねばねば和え
・関西風だし巻き卵
・天然鰯の姿塩焼き



以上5品の和風メニュー!
シンプルかも知れないけど、其れだけに私等の腕が光るってもんよ!!在校生も卒業生も、心して味わいなさいよ?私等が卒業した後で、この
ごはんを食べる事は出来ないんだからね?



「ならばこの味を脳と舌に刻み込む!!!」

「美味い!!美味すぎるぜ此れは!!――此れだけの美味い飯を、アカデミアを巣立つ日に食せたのは、我が人生最大の幸福かも知れん。」

「食えて良かった……我が人生に、一片の悔いなし!!」



って、予想以上に大好評!?
一部で、其処までかって言う感じがしなくもないけど、まぁ満足して貰えたんなら、私等としても作った甲斐があったってモノだわ。
どうやら、アカデミアを卒業する日の朝ごはんは、大好評で大成功だったみたいね♪





――――――んでもって……


あっと言う間に卒業式。つっても、よく有る卒業式じゃなくて、卒業生と在校生での立食パーティみたいな感じね此れ。
勿論、送辞や答辞、学園長の祝辞なんかはあるんだけど、堅苦しくなくてゆる~~~い感じで楽しめるわ。制服着崩そうが、改造制服着ようが
誰も何も言わねーからね。



『ぐぬぬぬ……やっぱ~り、彼方達~と別れるのは嫌なの~~ネ!!離れたくありません~~~ノ!!!
 って、何するの~ネ!私は未だいうべき事が沢山~~~~ありますの~~~ネ!!!』

「卒業してからも遊びに来る言うたのに、まだ未練残っとるみたいねクロノス先生は?強制退場させられてもうたで……」

「まぁ、そんだけ私等に入れ込んでくれてると思えば悪い気分じゃねーけど、最初の頃の嫌味先生と同じ人とは思えねー位に、良い先生になっ
 たよねクロノス先生ってさ。
 てかさ、私等が在籍してた3年間に起きた事件の切っ掛けを作ってくれた無能ハゲより、クロノス先生が校長になった方がいいんじゃね?」

「其れは……少し否定できんな。」

「否定……出来ませんね。」

「否定できないわねぇ……」



でしょ?絶対クロノス先生が校長になった方が良いって!!――後で海馬コーポレーションのHPにアクセスして、直接海馬社長にメールで提
案してみよーかなマジで?



「そう言えば、姉御と八神先輩は卒業したらどうすんだ?万丈目先輩はプロに行くらしいけど……」

「プロリーグにスポット参戦しつつ、後進の指導をしようかって思ってるわ岬。
 スポットを浴びる舞台で、華々しく活躍するって言うのも良いかもしれないけど、次世代のデュエリストの育成をして行かないと、デュエルは衰
 退の道を歩むかもしれねーからね?」

「やから、次世代の育成に少しでも貢献できたらって思てるんよ。」



と言う訳。
てか、私とはやて以上に、アンタは如何すんのよ十代?聞いた話だと、可成りの企業からプロ契約の話があったって言うのに、其れを全部蹴っ
たらしいじゃないのよ?
有力企業と契約を交わしてプロリーグに参戦すれば、ファイトマネーでガッポリだから、金銭的な不自由はないって言うのになんで?



「プロも良いかな~って思ったんだけど、俺はそう言う舞台で戦うよりも、ワクワクするデュエルを求めてあっちこっち旅するのが合ってる気がし
 て、其れで全部断ったんだよ。
 プロリーグの強豪も良いけど、誰も知らない隠れたデュリストとのデュエルって言うのはワクワクするからな!!!」



ったく、何とも十代らしい選択だわね此れは。
だけどねぇ十代、その選択を納得してない人ってのは居るもんなんだぜ?その辺の事って、考えてた?



「え?考えてないけど?」

「だろうと思ったわよ!!」

予想はしてたけど、予想通りかい十代!!
いやまぁ、確かにアンタはプロリーグで活躍するよりも、世界中を駆け巡ってデュエルを求める方が性に合ってるのかもしれないけど……そうな
ると、黙ってない方が一人いるんだよねぇ此れが?



「なんだ、貴様はプロに来ないのか十代?」

「その心算はないぜ万丈目?」



其れは言わずもがな準!
準は、卒業後にプロリーグに進む事を決めてて、プロの世界で十代と戦う事を望んでたんだけど、その相手がプロには進まないとなれば黙って
られるはずもないわ此れは。
となると、多分――



「という事は、貴様と次に戦う事が出来るのは、何時になるか分からんと言う訳だな?
 なら十代、俺は今此処で貴様にデュエルを申し込む!アカデミアでの3年間の集大成となるデュエルの相手は、貴様以外有り得んのでな!」

「おぉ?卒業式で万丈目とか……願ってもないデュエルだぜ!!」



まぁ、こうなるわな。
十代と準は、最高の親友同士であると同時に、最高のライバル同士でもあるから、互いに『負けたくない』気持ちがメッチャ強いんだよね~~?
おまけに、今日までの戦績は互いに25勝25敗の五分だから、卒業の日に星で上回りたいって言う気持ちがあるのかもしれねーわ。

だけど、十代と準がデュエルするとなれば、其れは在校生だけじゃなくて、私等卒業生でもワクワクするってのよ!!
その証拠に、あっという間に十代と準の2人を中心とした人だかりが出来た訳だからね?……確かにこのデュエルは、注目の一番だからね!



「おぉ!十代先輩と万丈目先輩のガチンコデュエルか!コイツは見ものだぜ!!」

「重量級のドラゴンをいとも簡単に連続召喚する万丈目先輩と、融合を手足の如く操る十代先輩……どっちが勝つんだ此れはぁ!?」

「あらあら、何方が勝つかなんて其れは如何でも良い事よ?
 大事なのは、何方が勝とうとも、このデュエルは最高の無いようになるという事だけ……ウフフ、理解できたかしら、在校生の坊や達……♡」

「「「「ぶふあぁ!!!」」」」

「あらあら、行き成り倒れて困った坊や達だ事。」

「いえ、100%貴女のせいですからね雪乃さん?」



……まぁ、卒業式の場で雪乃んがお約束をかましてくれた訳ではあるけどさ。



「十代君と万丈目君……最高のライバル同士の最高のデュエルは、この僕、天上院吹雪が審判を務めさせて貰うとしよう!
 2人とも構わないかな?」

「カイザーの双璧と謳われ、キングと呼ばれた貴方が、俺達のデュエルを裁くと言うのならば寧ろ光栄な事だ。……良いな、十代?」

「おう!異論はないぜ、万丈目!!!」



其れは兎も角として、何と審判は吹雪兄ちゃんか!
え~~~っと、明日香、アレは良いの?何時もなら明日香が止めそうなモンだと思うんだけどさ?



「大丈夫よ、今日の兄さんはエンタメモードじゃなくて、デュエルモードになっているから。
 エンタメモードの兄さんだったら止めてるけど、デュエルモードの兄さんは、絶対にふざける事はないから、審判としては問題ないですもの。」

「デュエルモード……なら大丈夫やな。」

「だね。」

ブルー最強のドラゴン使いと、レッド3強の一角である融合使いの、アカデミアラストデュエルが審判キングの下で行われるって、此れはアカデミ
アの卒業式に相応しい最高のイベントじゃんよ!
どっちが勝とうとも、此れは最高のデュエルになるのは間違いねーわ!








――――――








Side:万丈目


十代がプロに来ると言うのならば、プロの世界で存分にとも思ったが、そうでないと言うのならばこの場で思い切りやる以外はない。
アイツの目的を聞く限り、この機を逃したら次は何時デュエル出来るか分からんからな?……だからこのデュエル、俺の持てる全ての力を出し
切って貴様に挑むぞ十代!



「おう、俺も全力で行くぜ万丈目!!負けないからな!!」

「勝つのは俺だ!!」


「「デュエル!!」」


万丈目:LP4000
十代:LP4000




先攻は貰うぞ、俺のターン!
手札から魔法カード『トレード・イン』を発動。手札からレベル8の『フェルグラントドラゴン』を墓地に捨て、デッキからカードを2枚ドローする。
更に『竜の霊廟』を発動し、デッキから『サイバネティック・ドラグーン』を墓地に来る。そして、墓地に送ったサイバネティック・ドラグーンは通常
モンスターのドラゴンだから、更にデッキからドラゴンを墓地に送ることが出来る。
俺はデッキから『巨神竜フェルグラント』を墓地におくる。
そして、『巨竜の守護騎士』を攻撃表示で召喚する!


巨竜の守護騎士:ATK500



「攻撃力500…?いや、モンスター効果か!!」

「その通りだ十代。
 巨竜の守護者の召喚に成功した時、手札か墓地のドラゴン1体を此のカードに装備できる。
 そして、ドラゴンを装備したこのカードの攻守力は、装備したドラゴンの攻守力の半分の値をそれぞれの数値に加える。
 俺は墓地の『フェルグラントドラゴン』を装備し、巨竜の守護騎士の攻守力を、それぞれ1400ポイント上昇させるぞ!!」
巨竜の守護騎士:ATK500→1900(フェルグラントドラゴン装備)



「攻撃力は大した事ないけど、可成り墓地を肥やしたな……流石だぜ万丈目!!」

「ふん、貴様と戦うのならば、初手からこれくらいの大盤振る舞いをせねば、到底デュエルになりそうにないのでな。
 凡百なデュエリストなら、初手で此れだけの展開をされたら委縮するが……貴様はそうでは無いだろう十代?本気で来い!!
 カードを1枚セットしてターンエンドだ。」

「おう!行くぜ、俺のターン!『E・HERO バブルマン』を守備表示で召喚!」
E・HERO バブルマン:DEF1200


「バブルマンの召喚に成功した時、俺のフィールド上にバブルマン以外のカードがなければ、デッキからカードを2枚ドローする。
 ……コイツは良いカードを引いたぜ!行くぜ万丈目、魔法カード『マスク・チェンジ』!!コイツでバブルマンを『M・HERO』に変身させるぜ!
 来い、『M・HERO アシッド』!!」
M・HERO アシッド:2600



「アシッドの効果発動!
 このカードの特殊召喚に成功した時、相手の魔法・罠カードを全て破壊し、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウ
 ンするぜ!!」



矢張り1ターン目から仕掛けて来たか……寧ろそう来なくては面白くはないからな!
アシッドの効果にチェーンしてカウンタートラップ発動『竜の絆』
相手がカード効果を発動した時、デッキか手札からレベル4以下のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!俺はこのカードの効果で、デッキ
から『メタルアーマードドラゴン』を守備表示で特殊召喚するぜ!


メタルアーマードドラゴン:DEF2000
巨竜の守護騎士:ATK1900→500→200


メタルアーマードドラゴンが表側表示で存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃出来ない。
アシッドの効果で魔法と罠を一掃してからの大ダメージを狙ったんだろうが残念だな?易々と、貴様の思い通りにはさせん!!



「そう来なくっちゃな!!
 お前との本気のデュエルは、マジでワクワクするぜ万丈目……まだ始まったばかりだけど、ワクワクが止まらねぇ!もっともっと楽しもうぜ!」



言われるまでもなくその心算だ。
貴様との決着戦であるのは当然として、アカデミアでの最後のとなるこのデュエルは、心の底から楽しんで、そして最高の結果を得たいからな。

俺のドラゴンと貴様のHERO、そのどちらが強いのか、此処で雌雄を決してやる!!












 To Be Continued… 






*登場カード補足





竜の絆
カウンター罠
相手がカード効果を発動した場合に発動できる。
デッキからレベル4以下のドラゴン族モンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する。