Side:はやて


「何者って、いやだなぁはやて、冗談きつすぎだよ?
 僕だよ、藤原優介だよ。まさかと思うけど、忘れちゃったって言うの?」

「忘れたとは違うなぁ?……そもそも私は、アンタの事なんて知らへん……やけど、アカデミアの生徒の殆どはアンタの事を、まるで最初から居たかの様
 に扱っとる……まぁ、私もやったけどね。」

やけど、煉獄モードを起動した事で、アンタの正体が速攻で分かったで。――アンタは只の人間やない……当たらずとも遠からずってとこやないの?
大人しく吐いた方が身の為やと思うんやけどね。



「僕の力が……!!」

「だから効かへんて。
 そんな催眠術にはかからなない――少し、お話し聞かせて貰おかな?」

「く……!!!」



――カッ!!……バサバサバサァ!!!



って、触れようとした瞬間に、優介の身体が無数の黒い小鳥に分散されたみたいやな……逃げ足の速いやっちゃで間違いなく。
やけど、アレだけの事が出来る言う事は、間違いなく人間やない。

このアカデミアで起きてる一連の事件、如何やら一筋縄では行かないかも知れへんね。











遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX187
『Intelligenz und Besucher』










そう言う訳で、レッド寮の私の部屋。
今此処には、私と遊奈、十代と準、明日香ちゃんとマックに、委員長と雪乃ちゃん、それから剣山君と翔君と岬ちゃん。アカデミアの主力が揃っとるな。



「俺を忘れないでくれ!!」

「あ、居たんか三沢君?」

「気付かなかったぞ?」

「三沢、影薄いから。」


「居たよ!!最初からいたよ!!って言うか、何気に一番ひどいな遊奈!!ある意味で、最も甚大なダメージを受けた気分だぞ!!」



まぁ、其れが今の遊奈やからね。
コホン、其れは其れとして、今回の調査で分かった事を整理しておこうやないの?其れが私達の為すべき事やと思うからな~~。

先ず皆の方は如何やった?



「あぁ、残されていたデッキには、例外なく闇の欠片とでも言うべき闇の痕跡が見て取れたから、其れを浄化した方が良いと思ってな。
 光と闇の竜の力で闇は払ったが、そう言えば藤原は此方を覗うよな仕草をしていたぞ?…アイツは、若しかしたら何か知っているのかも知れんな。」

「俺達がパトロールした、島の西側には、特に何もなかったんだけど、吹雪さんが居た。
 何か、今回の事を自分流に捜査してるとかなんとか言ってたぜ?何か分かった事が有れば、連絡を入れてくれるってさ。」

「兄さんも、独自に捜査していたのね?……言ってくれれば、一緒にやるのに。」

「其処は兄のプライドと言うか、見栄じゃなイ?妹と一緒に捜査するよりも、自分は独自に捜査して何かを掴んだ後に合流した方がカッコいいでしょウ?」

「……兄さんなら、其れ位はやりそうね。」

「フブキだからネ♪
 私の方は、こんな事が起きてるのがジャパンアカデミアだけなのかと思って、アメリカアカデミアをはじめとした、各姉妹校に連絡を取ってみたら、アメリ
 カアカデミアで、1件だけ行方不明者が出ていたわ。」



何やと?其れはちょお聞き捨てならんな?誰やのその行方不明者は?



「デイビッドよ。」

「誰だっけ其れ?」

「去年マックと一緒に留学生として来てたアメリカアカデミアの生徒よ。光の結社の一員になってしまったのが居たでしょう?覚えてないの十代?」

「其れってどんな奴だったっけか明日香?悪いけど全然覚えてねぇんだ。デュエルした記憶もねぇし。」



ま、実際十代はデュエルしとらんしね。てか、僅か半年余りで印象の薄かった相手を完全に記憶の中から消去するとは、ある意味で十代恐るべしやな。
此れも天然デュエル脳の為せる業なのかも知れへんけど……其れは其れとして、確かに其れほど強い印象は無い奴やったけど、アイツもプラネットの
所持者やから、其れが消えた言うんはちょお気に成るな?



「私も気になったから詳しく聞いてみたんだけど、矢張りデッキは残っていたらしいのヨ。
 でも、その中でプラネットである『The Big SATURN』のカードだけが無くなっていたと言う事なノ。」

「其れは何とも臭いなぁ?
 プラネットは、強力な力を秘めたカードやから、其れだけが無くなってるって言うのは只事やないと思った方が良さそうやね。
 委員長と雪乃ちゃんの方は如何やった?」

「私達は、行方不明になった生徒に何か共通点がないか調べてみたのですが……」

「調べてみたら大当たりよ……居なくなった生徒全員が、最近不調でデュエルで思う結果が出せていなかったみたいなの。
 記憶障害の生徒にしても概ね同じね……悩みを持つ者が、姿を消し、或は記憶に障害を抱える結果なの……悩みが有るのなら、私に言ってくれれば
 親身になって相談に乗って、色々アドバイスしたり慰めたりすることも出来るのに……誰も来なかったのは残念だわ…」



あ、久々に雪乃ちゃん発動したわ此れ。
いや、アンタに相談しに行ったら、別の問題が起きそうやから、行かなくて正解やわうん。



「それで、お前の方は如何だったんだはやて?」

「あぁ、私の方はな……妙なデュエリストに襲われたで。」

「何だって!?」

「一体どんな奴なの!?」



一言でいうならオッサンやな。
けど只のオッサンやなくて、SF映画の登場人物が着てそうな頭以外の全身を覆うプロテクトスーツみたいのを纏って、グラサンかけてたわ。
いきなりデュエル挑んできたんで相手にしたったけど、返り討ちにしてやったで。

それと、その場には優介も居たで?



「藤原が!?」

「馬鹿な、アイツは俺と一緒に居た筈だぞ!?」



やけど事実なんよ準。
でも、落ち着いて聞いて欲しいんやけど、優介は多分と言うか、間違いなく普通の人間やないで?……私の目の前で消えて見せたからな。

加えて言うなら、アイツは私等に何らかの暗示をかけて『最初から自分が其処に居た』様に認識させてた可能性が高いんや。
変な事聞くけど、1年生の時に優介と何が有ったか覚えとる人はおらへんやろ?



「言われてみれば……アイツと何時知り合ったのか、思い出せんな?」

「居るのが普通って感じだったからな。」

「そう思うように何らかの力で意識を操られてたんや。
 私かて、デュエル後の煉獄モードやったから其れを跳ね返せたくらいやからね……只一つ言える事は、此れは只の失踪事件やないって言う事や。
 其れこそ一歩間違ったら、此れまでにアカデミアで起こったあらゆる事件をも上回る厄介事になる可能性があるからな……気を引き締めんとね。」

「確かに、お前の言う通りだな。
 残されたデッキが、闇に浸食されていたから嫌な予感はしていたが、精霊世界から戻ってきて早々に、また厄介事と来たか……」

「まぁ、最終的にはデュエルで勝てば何とかなるだろうから、大丈夫だと思うけどな♪」

「ソレは確かに、否定できないワ。」



ま、確かに十代の言うように、最終的にデュエルで如何にかなるって言うなら、其れほど大変やないのかも知れへんけどね。
せやけど、謎のデュエリストにしても、優介にしても未知の相手なのは間違いないから、戦う事になったその時は初っ端から全力で行った方がえぇな。



――Pipipipipipi



と、何やねん?
呼び出し?……呼び出し主は校長から……一体何の用やろか?取り敢えず行ってみるか~~~?なにか、有益な情報が得られるかも知れへんしな。



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と言う訳でやってきました学園長室。
そんで、何の用やの鮫島学園長?



「態々呼び出して済まないね。
 実は、先程私の方にある人から連絡が入ってね……君達にその人と会って貰いたいんだ。と言うか、彼等の方から君達との面会を望んで来てね。」

「私達に会いたいって言う人が居るやと?」

「其れは誰?」

「……其れはこの場では明かさない様に言われて居てね……現場に行かないと分からない様になっているのですよ。
 ですが、君達の知らない相手ではありませんと言う事は申しておきましょう。――会えば分かるでしょうが、君達のよく知る人物ですよ彼等はね。」



まさかの面会者か~~。名指しで指名とはやってくれるやないの。
遊奈の抑揚のないドストレートな問いに、少しばかり気圧された学園長やったけど、伝えるべき事は確りと伝えてくれたわな。

まぁ、誰かは知らんけど、態々御指名頂いたんやから、会ってやろうやないの?皆も異論はないやろ?



「おうよ!勿論だぜ!!!」

「虎穴に入らんずば虎児を得ずと言うからな……多少危険はあるだろうが、自ら飛び込まねば収穫は得られないだろうからな。」

「異論はないわ、行きましょウ。」

「もしも危険物が待っていたのなら、叩き潰すだけ。其れで全てが終わるから。」



よっしゃ、全会一致やな!!……遊奈が微妙に物騒やけどね。
でもまぁ、トンでもない危険物が待っとったら、デュエルで、或は物理的に撃滅すれば無問題やからなぁ?……取り敢えず、会うだけ会ってみよか?

そんで鮫島校長、件の相手は何処で待っとるん?



「あ、あぁ……其れは――」



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まさか、こんな場所を指定して来てたとは思わなかったで……何だって、アカデミア島の北側の突端部分を指定してくんねん!!
割と開けた場所ではあるけど、あの付きだした突先は今にも折れそうやないか!!こんな、島の極地に人を呼び出すなんて、どんな神経しとるんやろ?



「間違いなく人格破綻者。或はその予備軍。」

「今の遊奈は、本当に容赦ないわネ。」



ドストレートに物を言うからな、今の遊奈は……否、元々ストレートにモノを言う性格やったけど、ストレートなモノ言いに一切の加減無しやからね今は。
それだけに言われた側には、直球で突き刺さる訳なんやけど――今の遊奈の言葉の槍は、突き刺さってくれたか?私等を呼び出してくれた人達には?



「いや、実に効いた。
 流石に人格破綻者と言われるとは思っても居なかったから、今の一撃は老体には堪えたわい。」

「マッタク容赦がないな……果たして、戦ったところで勝てるかどうかは分からないな。」



!!私等を呼び出したのはアンタ等やったんんか!!
私達の知る相手言う事で、予想はしとったけど本当に来るとは思ってなかったで――影丸理事長、そして斎王!!

アンタ達が出て来たって言う事は、如何やら今回の件は、マジでガチで、本気の本気の全力全壊で、相当にヤバイ感じの事やって事なんやろうな……



「……大丈夫、何とかなるから。」

「遊奈……」

――そやな、何とかなるな。
せやったら、聞かせて貰おか、影丸理事長、そして斎王……アンタ達が、今何を思って私達の目の前に現れたのかをなぁ?包み隠さず吐いて貰うで!














 To Be Continued… 






*登場カード補足