Side:はやて


カイザーからの連絡を受けて、指定の場所まで来たんやけど……此れは何?突っ込むべきなんか?寧ろ突っ込み待ちかエヴァちゃん!
そうやったら、関西人魂をバーニングソウルして、クリアマインドになった挙句に全力で突っ込むで!突っ込み返しが出来ん程に突っ込むで!?



「少し落ち着けはやて……興奮し過ぎだ。」

「いや、興奮し過ぎやあらへんで準!!
 あのカイザーが、何が有ったかは知らへんけど、エヴァちゃんに膝枕されとるんやで!?此れを突っ込まずして何に突っ込めって言うんやコラァ!!!」

「はやて、面白れぇ♪」



其れは褒め言葉やで十代。
取り敢えず、何がどうなってそんな状況になってるのか根掘り葉掘り聞かせて貰おうやないか?……話さないって言う選択肢は存在しないで?



「貴様は取り敢えず落ち着け。何でもいいからとにかく落ち着け。目の色が反転して微妙に怖いから落ち着け。
 少なくとも貴様が想像しているような事は何もない。言うなれば、邪神の毒気に中てられてしまったカイザーを介抱していただけの事だぞ?」

「そうなん?……此れは深読みし過ぎたわ。
 やけど、邪神の毒気に中てられたって、大丈夫なんかカイザー!?……無理したらアカンよ?」

「いや、大丈夫だ……大分回復したからな。
 それに、俺にはお前達に伝えねばならぬ事も有るから、邪神の毒気程度でくたばる訳にも行かん……何よりも、俺の意地に懸けてな。」



己の意地に懸けて……其れだけの情報をカイザーは得てるんやな?
やったら、先ずは其れを聞かせてもろてもえぇかなぁ?――其れが魔王を打ち倒して、遊奈を取り戻す為の重要なピースになるかも知れへんからね――!











遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX178
『帝王の思いは次代に継がれる』











ほな、聞かせて貰えるかカイザー?アンタの得た情報って言うモノを。



「あぁ……先ず、魔王が遊奈である事は間違いないだろう。――始まりの魔法使いとやらに乗っ取られているとは言え、その容姿は遊奈その物だった。
 加えて、デュエルのタクティクスそのものは決して悪くなかった。もしも魔王その物の実力が遊奈と同レベルだったら、相当な脅威だったかもしれん。
 ――だが、奴は遊奈のレベルには達していない。故に貴様等ならば、誰が挑んでも勝つ事は難しくないだろう……普通のデュエルであったのならばな。」



その言い方やと、普通のデュエルやない……若しかして『邪神』の事やろか!?
十代からの又聞きとは言え、邪神が神に匹敵する力を有しているって言う事は分かっとる……まさか、其れとも戦ったんかカイザー!?



「あぁ、戦った……だが、敗北してこのありさまだ……マッタク『カイザー』が聞いて呆れる無様な姿だがな。
 まぁ、其れは如何でも良い――今お前達が知るべきは、邪神は3体存在していると言う事だ。強力な効果を秘めた邪神がな。」



「邪神……剣山が倒したドレッド・ルート…」

「次いで、私が倒したイレイザー。」

「そして俺が敗北したアバター……この3体を持ってして、邪神は成り立っているのだ。
 が、ドレッド・ルートとイレイザーに関しては其れほどの脅威ではない……最大の問題は最強の邪神である『アバター』に他ならないだろうな。」



カイザーが此処まで言うとは、相当なモンなんやな『邪神-アバター』言うのは?
と言うか、三段階劣化した遊奈な魔王であってもカイザーを下したって言う時点で、邪神の名に恥じないトンでもモンスターなんやろうけど……



「カイザーが其処まで言うとは、相当な物なのだろうが、一体何者なんだアバターと言うのは?
 アバターとは『化身』『映し身』と言う意味がある事を考えると、モンスターのステータスか、或は効果をコピーする能力があるんじゃないかと思うんだが…」

「ふ……見事な洞察力だな万丈目。流石は、俺が在学中『1年四天王の頭脳』と称されていただけの事はある。」

「……そないな二つ名がついとったんかい準には……」

びっみょーに厨二臭がする二つ名ゆえに、呼ばれた方からしたら黒歴史モンかも知れへんね。
せやけど、準の予想は当たり言う事なんやなカイザー?



「正解と言う訳ではないが、限りなく正解に近い予測だと言って良いだろうな。
 邪神-アバターの驚愕の能力、其れは――あらゆる効果を受け付けず、そしてその攻守力は、常にフィールド上に表側表示で存在する、最も攻撃力の高
 いモンスターの攻撃力に1ポイントを加えた数値となる!」

「何やとぉ!?」

「へ?効果を受け付けないってのは凄いけど、1ポイント上回るって凄いのか?」



凄いに決まってるやろ十代!召喚時の効果で1ポイント上回った数値が固定攻撃力になるなら兎も角、常に1ポイントを上回るんやで?
其れこそ、あの海馬社長の青眼の究極竜ですら、邪神-アバターの前では無力と化すんや……絶対に超える事の出来へん1ポイントの壁のせいでな…



「――そうか、常に1ポイントだけ上回るから、例え攻撃力が1万のモンスターであっても、邪神の攻撃力は1万1ポイントになるから勝てないのか!!
 しかも、効果をも受け付けないって、其れじゃあ本気で無敵のモンスターじゃないか!
 遊奈の神を手に入れたて言っても、そんな無敵モンスターが居るんじゃ幾ら何でもヤバすぎだろ!?召喚をさせなければ良いのかも知れないけど……」

だが、何処かに攻略法は有る……そうなんだろうカイザー?

「ユベル!?」



此れは此れは、なんや久しぶりやなぁユベル?
まぁ、私かてカイザーがただ邪神の事を教えるだけで終わるとは思ってなかったけどなぁ……てか、今更やけど、男と女のどっちなんやねんユベルは……



「十代の精霊か……あぁ、確かにアバターは限りなく無敵のモンスターと言っても良いだろうが、俺は、お前達3人が力を合わせれば倒せると思っている。
 万丈目のドラゴン、十代のHERO、そしてはやての無限煉獄……その力が集えば、アバターであっても攻略する事は出来る筈だ。
 そして、俺の勘が正しければ、邪神攻略の鍵を握っているのは、お前だ十代。」

「え、俺?」

「そうだ。
 万丈目のドラゴンは『力』の象徴、遊奈とはやてのシンクロは『進化』の象徴と言っても良い……そして十代、お前の得意な融合は『可能性』の象徴だ。
 単体ではそれ程強力ではないHEROは、融合によってその真価を発揮できる……その『可能性』の力こそが、邪神攻略の鍵となる筈だ。」



可能性……言い得て妙やな。
加えて、十代は暗黒界とのデュエルで、相手フィールドをも巻き込む最強の融合カードである『超融合』を入手しとるから、確かに重要な鍵かも知れへんね。

まぁ、なんにせよアバターを攻略できるかどうかが遊奈を取り戻せるか否かに直結するって言う事だけは良く分かったで。
って、何を良い顔しとんねんカイザー?



「いやなに、頼もしいと思ってな。
 俺が得ていた情報など、魔王攻略に直接的な効果は何もない――にも拘らず、お前達の顔には、たったこれだけの情報でも充分だったと言わんばかり
 の表情が浮かんでいるのでな……矢張り俺の目もまだまだ曇ってはいなかったのだと思ってな。」

「カイザー……そんな事はないぜ!
 邪神の能力を知ってるのと知らないのじゃ全然違うからな!!!アンタが、俺達に伝えてくれた情報、無駄にはしないぜ!!」

「あぁ、俺達で魔王を打ち倒して見せるさ。」

「そして遊奈を取り戻す……それが、私等に課せられた最重要の使命やからな!!」

「……そうだ、其れで良い。
 俺一人では倒せなかった邪神であっても、お前達の絆が有れば必ず超える事が出来るだろう……見事魔王を討伐して、遊奈を助け出して見せてくれ。」



あぁ、やったるでカイザー!
遊奈を乗っ取った魔王は絶対にぶちのめす!!これ以上、遊奈の身体を使って好き勝手はさせへんからな!!!








――――――









Side:遊奈


うん、大体どうなってるのかは理解できたっぽいね。
大体予想はしてたけど、私は私の意思で私の身体を動かす事は出来ない……始まりの魔法使いとか言うクソッ垂れに乗っ取られてるみたいだからね。

加えて、コイツは好き勝手に破壊活動を繰り返して……本気で人でなしだわコイツ!!

でも、心が私じゃないとは言っても、此れは私がやったと言っても間違いじゃない……こんな、非道な行為を……!!

多くの街を襲って滅ぼし、更にはカイザーまでをも喰らおうとした……人でなしここに極まれりなんてモノじゃない……此れじゃあ只の冷血生物じゃないよ!



こんな事を思っちゃいけないんだろうけど、いっその事、私の心が死んじゃえばよかったのかも知れないわ。
私の心が死んでしまえば、こんな思いはしなくて済んだのかも知れないから。……だったら、私は―――






――遊奈





!?……え?今のは…今の声は、はやて?
何処に居るの?居るなら返事をしてよ!!私の声に応えてよ……こんな所に居るのは、もう嫌なのに、自分では如何する事も出来ないから辛いよ………



だからお願い……助けて!!

私の力だけじゃもうダメなんだ……だからこそ、はやて達の力でコイツをブッ飛ばして――!!


十代、準……そしてはやて――頼んだよ。








――――――








Side:十代


そんなこんなで、やって来たぜ『最果ての宮殿』……この奥に魔王が、遊奈が居るんだよな。



「あぁ、恐らくはな。」

「てか、先ず確定やろ……ホンマにふざけ腐った奴やで魔王ってのはな!!
 遊奈を取り戻すだけのみならず、コイツを完膚なきまでにフルボッコにしたい思ってる私は、相当にバトルジャンキー化しとるのかも知れへんのやけどな。」




ま、まぁ、ちょいと物騒なイメージだけど、確かに其れは重要だからな。
だけど、俺達が此処に来たのが運の尽きだぜ魔王……何が有ろうとも、テメェは俺達が打っ倒すぜ!!


そして、その上で遊奈を取り戻す!!


待ってろよ遊奈……もうすぐ助け出してやるからな!!
















 To Be Continued… 






*登場カード補足