Side:亮


事前に手に入れておいた『ファイヤーウィング・ペガサス』を駆って、魔王の居城に辿り着いた訳なのだが、エドでもエヴァでも構わん、俺はこの居城の一体何
処に、何処から突っ込みを入れればいいんだ?

弩派手に装飾された城は未だ許容できるとは言え、此れでもかと言う位に電飾が施された外部城壁と『魔王の城』と書かれたネオン看板は、ハッキリ言って
趣味が悪いどころの騒ぎではない――其れ以前に、己の存在を秘匿する気がないのか魔王は?



「奴に常識を求めるのが間違いだ丸藤亮。
 奴は、己の目的の為に、私から人の生を奪った外道……私達の常識など通じない相手だを思って居た方が良いぞ?そうじゃないと精神的に疲れるしな。
 加えて、奴には凄まじいまでの『自己顕示欲』がある故に、此の過度な装飾も、まぁある事だろう?」

「そう言われてしまうと反論が出来んがな。」

だが、自己顕示欲か……確かに、此の過度な装飾はそうなのかも知れんな。
歴史を紐解いても、力を持った者がその力を誇示する為に、派手なモノを作るのはよくある事だ――金閣寺などは、その代表と言っても過言ではあるまい。

しかし、問題は始まりの魔法使いに、己の力を誇示するだけの力が備わっていたかと言う事に尽きるだろうな。


遊奈を乗っ取っているのならば、最低でもAランクのデュエリストであるのは間違いないだろうが、其れとは別に、城の内部からは言いようのない位に強烈な
『闇の力』を感じる……まさかとは思うが、誰かとデュエル中なのか魔王は?


まぁ良い、今交戦中の相手が魔王を倒せれば其れで良いし、無理だった場合には、俺達が尻拭いをしてやる――精々、己の全力を持ってして挑むんだな。











遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX173
『幻の召喚神vs魔王&幻魔』











Side:アモン


行くぞ魔王!
此処でお前を倒して、僕は新たな世界の王となり、この世界を争いも格差もない理想の世界に造り変える!!――その為にも、消えて貰うぞ魔王よ!!


「上等だ……お前が私に挑むとは予想外だったが、挑まれたならば粉砕するのが礼儀だろう?
 貴様の持てる戦術の全てを持ってして私に挑んでくるが良い!」


言われるまでもない!
僕の全身全霊を持ってしてお前を倒すぞ魔王!僕のターン!!……此れは、此の手札は……如何やら、勝利の女神は僕に微笑んだようだな。

僕は手札から魔法カード『封印されし宝札』を発動!
デッキから『封印されし』と名の付くモンスターを2体まで墓地に送り、墓地に送った枚数分のカードをデッキからドローする。
僕はデッキから『封印されし者の右腕』と『封印されし者の左足』を墓地に送って、カードを2枚ドローする!


「態々エクゾディアのパーツを墓地にだと?」

「解せないか?……だが此れで良い!
 僕は『封印されしエクゾディア』を守備表示で召喚する!」
封印されしエクゾディア:DEF1000


更に、封印されしエクゾディアをリリースし、『召喚神エクゾディア』を攻撃表示で特殊召喚する!!来い、幻の召喚神よ!!


『ゴォォォォォォォォォォォォォ!!』
召喚神エクゾディア:ATK?



召喚神エクゾディアの攻撃力は、僕の墓地の『封印されし』と名の付くモンスターの数×1000ポイントとなる。
僕の墓地の『封印されし』モンスターは3体だから、今の攻撃力は3000と言った所か。


召喚神エクゾディア:ATK?→3000


「ほう?初手から攻撃力3000と来たか、中々の大盤振る舞いだな――其れ位して貰わねば楽しめないと言うモノだが。」

「此れを前にしても平然としているとは大したものだが、その余裕がいつまで続くか見ものだな?
 更に僕は魔法カード『手札抹殺』を発動!互いのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた枚数と同数になるようにデッキからカードをドローする!」

「手札の入れ替えだと?」


只の入れ替えじゃない。
此れで僕の墓地には新たに『封印されし墓標の守護者』『封印されし魔導書の番人』『封印されし神殿の巫女』の3体の『封印されし』モンスターが送られた!
つまり、召喚神エクゾディアの攻撃力は更に3000ポイントアップして6000ポイントとなる!!


召喚神エクゾディア:ATK3000→6000


加えて、今の手札入れ替えで、『封印されし者の左腕』と『封印されし者の右足』が手札に来た。
ならば、僕のターンであと3ターン召喚神エクゾディアを護り切れば、僕の勝ちは確定すると言う訳だ。

「カードを1枚セットしてターンエンド。そしてエンドフェイズに召喚神エクゾディアの効果発動!
 自分のターンのエンドフェイズ毎に、墓地の『封印されし』モンスター1体を手札に加える!この効果で『封印されし者の右腕』を手札に加える!!」
召喚神エクゾディア:ATK6000→5000


あと2ターン…!!


「成程、サルベージ効果を利用してのエクゾディアか……悪くない戦術だ。
 墓地のサルベージ効果で攻撃力は下がるとは言え、今現在で攻撃力5000を誇り、効果を受け付けないと言うのは厄介かも知れんが、其れだけだ!!
 宣言しよう、貴様がエクゾディアを完成させる事は無い――そして貴様は、私に負け、絶望と後悔の闇に沈み込むとな。」

「何だと?」

「ククク……まぁ、このデュエルで分かる事だがな。私のターン!!
 私はチューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚し、その効果で墓地の『ソニック・ウォリアー』を守備表示で特殊召喚する!」
ジャンク・ウォリアー:ATK1300
ソニック・ウォリアー:DEF0



「そしてこの瞬間に速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動!
 このカードの効果により、デッキから新たに2体の『ソニック・ウォリアー』を特殊召喚する!!」
ソニック・ウォリアー:DEF0(×2)


此処でそのカードを……召喚神はこの効果では特殊召喚出来ないモンスターだから仕方ないが、この布陣はもしや……魔王が遊奈の戦術を使い熟せるの
だとしたら、何とも有り難くない布陣だな。


「私はレベル2のソニック・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
 集いし星が、黒き力を呼び起こす。闇へ誘う道となれ!シンクロ召喚、出でよ『ジャンク・ウォリアー』!!」

『トゥアァァァァァァ!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300



ジャンク・ウォリアー!遊奈のデッキの切り込み隊長と切り札を兼任するシンクロモンスターか。
コイツの効果は確か、シンクロ召喚時に、自分フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計値分だけ攻撃力を上昇させると言うモノだった筈…そ
の為に、此れだけ展開したのか。
だが、2体のソニック・ウォリアーの攻撃力を加えたところで、攻撃力は4300、召喚神エクゾディアの敵ではないな。


「慌てるなアモン。
 ソニック・ウォリアーが墓地に送られた時、自分フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力を500ポイントアップさせる事を忘れるな。」
ソニック・ウォリアー:ATK1000→1500(×2)


な!?……と言う事は、まさか!!


「そう、2体のソニック・ウォリアーの攻撃力の合計値は3000!
 そして、ジャンク・ウォリアーの効果発動!シンクロ召喚成功時に、自分フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計値分、己の攻撃力を上昇
 させる。『パワー・オブ・フェローズ』!」

『ムオォォォォォォォ!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→5300



馬鹿な……こうも簡単に召喚神を超えて来るとは!!……伊達に、明石遊奈の身体を乗っ取っていると言う訳ではないと言う事か。
だが、召喚神を破壊してくれるのならば逆に都合が良い
僕が伏せたカードは『エクゾディアの解放』。僕のフィールド上のモンスターが相手モンスターに攻撃される事で破壊された場合、墓地の『封印されし』モンスタ
ーを可能な限り手札に加える事が出来る。
召喚神が破壊された瞬間に此れを発動すれば、僕の手札にエクゾディアが完成し、そして勝利が確定する故、300ポイント程度のライフなどくれてやるぞ。


「さてと、攻撃!の前に、全ての準備をしておくか。
 先ずは魔法カード『強引なる蘇生術』を発動。相手の墓地のモンスターを2体まで選択して相手フィールド上に特殊召喚し、その後この効果で特殊したモン
 スターの数までデッキからカードをドローする。
 私はお前の墓地から『封印されし者のエクゾディア』と『封印されし者の左足』を強制蘇生し、デッキからカードを2枚ドローする。」


封印されし者のエクゾディア:DEF1000
封印されし者の左足:DEF500
召喚神エクゾディア:ATK5000→3000



!!!此れは、此れじゃあエクゾディアは完成させられないじゃないか!!
まさか、読まれているとでも言うのか、僕の戦術が!?


「お前にエクゾディアのカードを渡したのを誰だと思っているんだ?他でもないこの私だろう。
 ならば、お前がどんなデッキを組み、どんな方法でエクゾディアを揃えて来るかなど容易に想像が付くと言うモノだ――つまり貴様の戦術は浅いと言う事だ。
 取り敢えず、私に挑んだ事を後悔しろ!
 ジャンク・ウォリアーで、召喚神エクゾディアに攻撃!『スクラップ・フィスト』!!」



――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



「ぐわぁぁぁあぁぁぁ!!……ば、馬鹿な……」
アモン:LP4000→1700


「此れが現実だ、カードを1枚セットしてターンエンド。」


ほざけ、僕は既にお前の尺度では計る事の出来ないデュエリストになって居る……この程度のライフダメージなど、寧ろ丁度良いハンデだ。
僕の本気を見せてやるぞ魔王!僕のターン!!…よし、このカードならば行ける。

恐らく、どんな方法を使おうとも、魔王が僕にエクゾディアの完成をさせないのは目に見えている……なら、奴が想像し得ないエクゾディアの新たな戦術を使う
だけの事だ。

僕は手札の『封印されし者の左腕』と封印されし者の右腕』と『封印されし者の右足』、そしてフィールド上の『封印されし者の左足』『封印されしエクゾディア』の
5体を墓地に送り、手札の『幻の召喚神エクゾディア』を攻撃表示で特殊召喚する!!


『ゴォォォォォォォォォォォ!!!』
幻の召喚神エクゾディア:ATK0



幻の召喚神エクゾディアは、僕の墓地にエクゾディアパーツが全て揃って居る時、戦闘及びカード効果によっては破壊されず、ゲームから除外されない。
更に、墓地にエクゾディアが揃って居る場合、このカードの攻撃力と守備力は10000ポイントになる!


幻の召喚神エクゾディア:ATK0→10000


「此処で攻撃力10000とは、此れは予想して居なかった。
 前言を撤回しよう、お前はお前でエクゾディアを進化させているようだな。」


当然だろう?ただ、特殊勝利を狙うだけがエクゾディアではない筈だからな。――そしてこの攻撃が通ればお前は終わりだ魔王!!
バトル!幻の召喚神エクゾディアで、ジャンク・ウォリアーに攻撃!!『終末の業火エクゾード・オーバーフレイム』!!!


「だが甘い!トラップカード『くず鉄のかかし』
 此れでエクゾディアの攻撃は無効にさせて貰う!!……そう簡単に勝てるとは思わぬ事だな。」

「ち……しぶとい奴だ。
 まぁいい、攻撃力10000の幻の召喚神を超える事は容易じゃないからな……僕は此れでターンエンドだ。」

仮に幻の召喚神が破壊されても、其れがトリガーとなって『エクゾディアの解放』が発動し、僕の勝ちが確定する……大丈夫だ、何処にも死角はない!!


「私のターン……さて、そろそろ終わりにするとするか。
 私はチューナーモンスター『ジャンク・ロイド』を召喚。」
ジャンク・ロイド:ATK0


終わりにするだと?出来る物ならばやってみろ!……と言いたい所だが、この布陣での新たなチューナーとなるとそうも言って居られないな?
一体どんなシンクロが呼び出されると言うのか……


「ジャンク・ロイドのモンスター効果発動。
 ライフを500ポイント払う事で、手札のモンスター1体と、フィールド上のジャンク・ロイドをゲームから除外して、モンスターをシンクロ召喚する。」

「特殊シンクロだと!?……一体何を呼ぶ気だお前は!?」

「決まっているだろう、貴様を絶望の淵に叩き落すモンスターだ。
 私は手札の『幻魔皇ラビエル』と、フィールド上のチューナーモンスター『ジャンク・ロイド』をゲームから除外してチューニング!
 集いし黒き星が、幻魔の力を呼び起こす。闇へ誘う道となれ!シンクロ召喚、全ての命を刈り取れ『幻魔真皇 ラビエル』!!」

『グオアガァァァァッァァァァ!』
幻魔真皇 ラビエル:ATK5000
魔王:LP4000→3500


馬鹿な……三幻魔のシンクロモンスターだと!?
しかもこの方法なら、幻魔の面倒な特殊召喚をしなくとも、即時シンクロが可能となる――だが、攻撃力10000には及ばない筈だ!!


「其れはあくまでも普通のデッキならばだろう?悪いが、私は普通でなくてね……ふむ、取り敢えず冥土の手向けに良い事を教えてやろう。
 幻魔真皇 ラビエルの攻撃力は5000ポイントだが、ラビエルはシンクロ召喚に成功した時、自分フィールド上のこのカード以外のモンスターの攻撃力の合計
 値分だけ攻撃力をアップする!
 ラビエル以外の私のフィールド上のモンスターの攻撃力の合計値は8300!よって、幻魔真皇 ラビエルの攻撃力は13300!!」



幻魔真皇 ラビエル:ATK5000→13300



「こ、攻撃力13300ポイントだとぉ!?……そんな馬鹿な…そんな、そんな事がある筈がない!!
 僕は最強のデュエリストになった……其れなのに負けるなんて、そんな事が認められるか!!僕は……僕はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「如何に悔やんでも、此れが現実ゆえ、己の敗北を受け入れよ。
 幻魔真皇 ラビエルで、幻の召喚神エクゾディアに攻撃!!『天界蹂躙滅殺拳』!!」

『ゴアァァァァアァッァァアッァァアァァ!!!』


――ドゴォォォォォォォォン!!



「ぐ……どわあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!」
アモン:LP1700→0


そんな馬鹿な……魔王に反抗しても、コイツを倒せば全てが丸く収まった筈なのに……土壇場でこんな事に……だが貴様の思うようにはならんぞ?
必ずや貴様を倒すデュエリストが現れ、そして貴様を打ち倒す――精々その時が来るのを待っているが良い。



地獄で待っているぞ魔王……精々、己のプラン通りに事が進む事を祈ってやる――だが、お前は支配者にはなれない……絶対にな!!
貴様の命運は敗北と死……其れだけは、絶対に変えようのない事だからな……精々覚悟を決めておくんだな!!



――シュゥゥン!








――――――








Side:亮


闇の波動が消えた?……デュエルが終わったと言う事か。
だが、場内にはまだ魔王の部下が健在なのを見る限り、魔王は負けなかったと言う事か……だが、其れならば其れで問題はない。

魔王を倒すのはこの俺だからな。


精々首を洗って待っていろ魔王。

貴様の部下を全て打ち倒し、そして貴様を倒して遊奈を取り戻す――そして貴様には、死の安息をくれてやるぞ魔王…否、始まりの魔法使いよ!!


表裏を融合した、真のサイバー流の力、篤と味わって貰おうか!!

貴様の凶行の数々には、この俺が終焉の幕を下ろしてやる!――終わりまでの僅かな時間を、精々楽しむが良い……下賤なる屑に相応しい姿でな!













 To Be Continued… 






*登場カード補足



封印されし宝札
通常魔法
デッキから『封印されし』モンスターを2体まで墓地に送って発動する。
自分は、墓地に送ったモンスターの数まで、デッキからカードをドローする。



強引なる蘇生術
通常魔法
相手の墓地のモンスターを2体まで選択して発動する。
選択したモンスターを相手フィールド上に特殊召喚し、自分はこのカードの効果で特殊召喚したモンスターの数までデッキからカードをドローする。



エクゾディアの解放
通常罠
自分フィールド上のモンスターが、相手モンスターの攻撃によって破壊された場合に発動できる。
自分の墓地から「封印されし」モンスターを可能な限り選択して手札に加える。