Side:エヴァンジェリン


クソ、何処までもしつこい奴等だなコイツ等は!
態々相手にするのも面倒だと、戦略的撤退を選んだが、よもや此処まで徹底的に追いかけて来るとは、幾ら何でもしつこいと言う以外には、称し得ないぞ!

幾ら並の人間と比べれば破格の体力を持っているとは言え、其れは無限ではないからな……何れは限界も訪れてしまうだろう。
それ以上に、一般人でしかないクロノスの消耗もまた問題だ――まぁ、都合10kmを略全力疾走したのだから、体力の限界が訪れても仕方ないのかも知れな
いが、此処で捕まってしまったら、奴等の良い餌になってしまうからな……もう少し踏ん張れクロノス!!

アカデミアの実技担当最強の根性を見せんか!!


「それは、確かに見せたい所だけ~ど、身体の方が付いて行かないの~ネ……わ、私は此処までみたいなの~ネ……」

「んな?ふざけた事を言うな貴様!
 教師であるならば、教師として最後まで根性を見せぬか!!こんな所で終わってしまっては、未練だけが残るだろうが!!其れで良いのか貴様は!!」

「其れはゴメン被りたいけど、身体が色々限界なの~ネ。
 貴女の様に、若い肉体ならば兎も角、私の身体はもう若くはないの~ね……もう、本気でここら辺が限界です~ノ………」


く、オアシスを目前にして此れとは……運がないにも程があり過ぎると言うモノだ。
しかし、私の屍龍だけで如何にかする事も出来ん……そして、私達を追って来ていたモンスターが迫って来る………万事休すか!!


「其れはやらせん…貫け、サイバー・エンド・ドラゴン!!『エターナル・エヴォリューション・バースト』!!!」

「悪いが此処から先は通行止めだ。やれ、Onslaught Jupiter!『ジェノサイドミ―ティア』!!」


――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


と思ったら、強烈な一撃が魔王軍の追撃兵を薙ぎ払っただと!?
しかもこの一撃は極めて強い攻撃……此れはまさか――


「無事だったか?」

「ぎりぎり間に合ったみたいだね。」


お前達だったか、丸藤亮、エド・フェニックス!!――最強クラスのデュエリスト2名と出会えるとは、此れもある意味怪我の功明かも知れんな。











遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX172
『魔王に挑まんとする者達』











Side:亮


「ふひ~~~、本気で助かったの~ネ。
 貴方達2人と出会う事が出来なかったら、私とセニョール・エヴァンジェリンは、魔王軍のモンスターの餌食になっていたかもしれませんの~ネ。」


まぁ、無事ならば取り敢えず大丈夫だろう。
マッタクの偶然とはいえ、俺とエドにとっても2人と合流出来た事は僥倖だった――互いに情報交換が出来るし、戦力の底上げも出来る……そして其れが実
技担当のアカデミア最強教師と、あのカードショップでの住み込みの店員と言うのならば申し分もない。
今回の事も、一瞬の隙を見つければ速攻で終わっただろうからな。


――しかし……

「あの明石遊奈が、魔王の正体だったとはな……流石に驚きは隠せんが、更には遊奈のコピーまで作っているとは、何とも許し難いものがあるな?
 しかも、邪神なるカードを使って勝って悦に浸るとは、想像するのも拒否したいものだ……」

とは言え、魔王が本当に遊奈であるのか否かはこの目で見るまでは信じる心算は無いがな。
それにしても邪神……『神』を従えるデュエリストである遊奈が、魔王となってしまったと証と言うのならば、何とも笑えない冗談としか言いようのないカードだ。

恐らくは、相当に強力なカードだと推測するのだが、実際に戦ってみて如何だった?


「最終的に勝ったとは言え、確かに強力なモンスターであったのは間違いない――恐らく並のデュエリストでは、太刀打出来ずに敗北してしまう位にはな。
 だが、明石遊奈の使っていた限りなく無敵に近い神とは違い、邪神の耐性能力はやや下がっているようだったから、貴様等の様な超一流のデュエリストな
 らば、倒す事は出来るのは無いかと思っている。
 ――が、もしも邪神が神と対を成す存在なのだとしたら、邪神はもう1体存在する事に成るぞ?
 恐らくだが、私の倒したイレイザーがオシリスに、ティラノ剣山が倒したと言うドレッド・ルートがオベリスクに、夫々対応しているのだろう。
 其れを踏まえた場合、三幻神の頂点に君臨する太陽神『ラー』に対応する、最強の邪神が存在して居る筈――そしてその邪神は、ドレッド・ルートやイレイ
 ザーを遥かに凌駕する力を持っているのではないかと、私はそう考えている。」


神に匹敵する凶神か……確かに、戦うのならば相応の覚悟を持ってして挑んだ方が良いのかも知れんな。
何れにしても、この街の惨状を見て分かるように、こんな凶行をこれ以上続けさせる訳にも行かんから、出来るだけ早急に魔王を討たねばなるまい?

魔王が根城としている場所でも分かれば、直接乗り込んで叩き伏せてやるのだが……流石に、そんな場所は分からないからな……さて、どうしたモノか?


「魔王の、居場所を探してるのか……貴殿達は……」


む?お前は、『戦士ダイ・グレファー』か!
相当にやられているが、大丈夫――ではないな?……この街を護る為に戦ったのだろうが、力及ばずに瀕死のダメージを負ってしまったと言う所か………


「な、情けないが……如何にも、その通りだ……
 身体の頑丈さには自信があったのだが、流石に此処まで壊れるとどうにもならないらしい……だが、此の命尽きる前に、魔王と戦う意思を持った……者達
 と出会える…とは、私の運命も……中々捨てた物でも、ないらしい。
 我が盟友『黒い忍者』が……命懸けで、魔王の居住を突き止めてくれてな……総攻撃を仕掛ける心算だった、んだが……その矢先にやられてしまったよ。
 余りにも……未練が、残る結果だった……が、魔王の居城の情報は、君達に託す事が出来るからね……」


魔王の居城だと!?其れは確かに、極めて貴重かつ重要な情報だ。
……死にゆく者の願い、せめて果たしてやろう――魔王は、必ず俺が、否『俺達』が討伐する事を貴様に誓おう……だから、安らかに逝くが良い。

そして涅槃で見届けるがいい、魔王が倒されるその瞬間をな。


「あぁ……そうさせて貰おう。
 人生此れ闘いだったが、最後の最期で望みを誰かに託す事になるとはな……だが、今の私はとても心穏やかだ。
 魔王を討てなかったのは心残りだが……その遺志を繋ぐ事は出来た……必ずや魔王を倒し、そして世界に平穏と平和を取り戻してくれ……頼んだぞ……」



――シュゥゥゥゥン



消えた…か。


勝利を追い求めてヘルカイザーとなって以降、他者には興味が無く、敗者は負け犬程度にしか思って居なかったが、敗北してなお、意志を次に繋げると言う
気概には恐れ入った……敗北しても、時として其れは次に繋がる道となると言う事なのだろうな。

ならば、表も裏も極めた、サイバー流の正統後継者として、其れを無碍には出来ん。


魔王の居城は、此処から10kmほど南南東に進んだ場所に存在する、砦――その中に存在する城か!

となれば、此処を襲撃して、雑魚を一掃し、幹部クラスは各個撃破、そして魔王を討伐して全てに決着を付けてやるのが最上だろうな。


「だろうな……ここ等で、特攻してみるのも手だろうよ。
 戦力的は此れで充分だからな?……今直ぐやるか、ヘルカイザーこと丸藤良よ?」


無論だ。
何よりも、魔王は俺の相手として不足は無さそうだからな?……魔王には、俺が更なる高みに上る為の礎となって貰うとしよう。


加えて、魔王=遊奈が真実であった場合は、遊奈を元に戻してやるのもまた、アカデミアの先輩としての務めだろうからな……精々やらせて貰おうか!!



首を洗って待っていろ魔王――サイバー流の正統後継者、Dの担い手、アンデッドの支配者、古代の歯車の管理者が、貴様の凶行を止めるべく、直々に出向
いてやる……精々、辞世の句でも考えておくんだな。








――――――








Side:アモン


ついに此処まで来たか……遂に僕がこの世界の支配者になる瞬間がね。
まぁ、魔王の正体には驚いたけど、そんなモノは僕にとっては些細な問題に過ぎない――デュエルを受けて貰うぞ、魔王!!



「ほう?此処まで辿り着くとは見事だなアモン?
 だが、私に挑むなど本気か?――貴様如きでは、準備運動にすらならないんだけれどなアモンよ?」

「準部運動にすらならないかどうかは、僕に勝ってから言うが良い。
 其れに、今の貴様の横暴は目に余るものがある故に、此処で討たせて貰う!!――貴様は、生きていてはいけない人間なんだからな!!!」


「大きく出たな?……ならば相手になってやろう。
 貴様の様な輩に、最大級の絶望を与えるのもまた、この上ない娯楽だからな?……」


下衆が……貴様の野望も何もかも、此処で砕いてやる!!


あの時、お前が僕に渡した『エクゾディア』が、貴様を敗北の冥府に導く呼び水となるんだから!!――精々覚悟を決め、そして後悔するが良い『なぜあの時
エクゾディアのカードを渡してしまったのか』と言う事をな!


「其れは楽しみだな?精々後悔させてみるがいい!!」


言われなくともその心算だ!!


貴様の恐怖による支配も、此処で終わりだ!!
お前には、僕が理想とする世界を構築する為の礎となってもらう!!――行くぞ、魔王!


「こい、アモン・ガラム!!」




「「デュエル!!」」



アモン:LP4000
魔王:LP4000




このデュエルは必ず制して見せる!!


そして、僕は僕の理想の世界を現実にする為にも、この世界の王となるんだ!!!――故に、お前には此処で退場して貰うから覚悟しておくんだな魔王!!

貴様の事は、エクゾディアの焔で、跡形もなく焼きつきしてやるさ!!!――精々、僕の為に散るが良い!!














 To Be Continued… 






*登場カード補足