Side:万丈目
「貴様……我等が魔王様の軍勢と知っての狼藉か?只では済まんぞ!!」
「死の覚悟は出来ているのだろうな?――我等は、命乞いに応じてやるほど優しくはないぞ?」
ふん、口だけは一丁前だな……魔王軍の兵士とは言え、末端の末端に過ぎない雑魚共が――魔王の部下と言うだけで偉そうに振舞うとは恐れ入るな?
聞いた話では魔王は相当の実力者らしいが、だからと言ってその手下が同じように強いかと言えばぞれは絶対に否だ。
まして、貴様等の様に下卑びた笑みを浮かべながら、下衆な行為をする連中の実力などたかが知れていると言うのが世の常だからな――精々選べ、大人
しくお前の知っている事を話すか、それとも俺達に跡形もない位にボコボコにされるのかのどちらかをな!!
「誰が選ぶかそんなモノを!!」
「いい気になるなよ小僧……我等魔王軍の強さを、その身をもって知るが良い!!」
やってみろ、出来るならばな!
貴様等程度の実力では、俺のドラゴンに勝つ事は出来ないと言う事を、骨の髄にまで叩き込んでやる!!――精々覚悟をしておくんだな!!
遊戯王×リリカルなのは×ネギま 夜天と勇気と決闘者 GX171
『夫々の地点で夫々に……』
Side:明日香
「バトルよ。ブリザード・プリンセスで、地獄詩人ヘル・ポエマーに攻撃!」
「どわばらぁぁぁぁぁ!?」
魔王軍兵士伍:LP500→0
「ウォーター・ドラゴンで、攻撃力が0になったヘルフレイム・エンペラーに攻撃!『アクアパニッシャー』!!
「いってれぼあぁぁ!?」
魔王軍兵士参:LP2000→0
「黒龍の雛を墓地に送り、手札から『真紅眼の黒竜』を特殊召喚!
更に魔法カード『黒炎弾』!……を2枚発動!!消し飛べ『黒炎弾弐式』!!」
「先攻1Killだとぉ!?」
魔王軍兵士八:LP4000→1600→0
そんなこんなで、魔王軍兵士とのデュエルが始まった――流石に数が多いから、万丈目君だけじゃなくて私達も加勢した訳だけど、何て言うか歯応えがなさ
すぎるわね?……これじゃあ、1年生の時によく見かけたブルーと言うだけで偉ぶってた連中と大差ないわね。
まぁ、私達の相手は魔王軍でも末端の存在なんだろうけど、其れにしたって実力が低すぎるわ――兄さんの相手には少々同情するけれどね。
でもそれ以上に――
万丈目:LP4000
光と闇の竜:ATK800(効果4回使用)
バーニングドラゴン:ATK2500
魔王軍兵士拾:LP2000
魔王軍兵士拾弐:LP1800
万丈目君が強過ぎる。
私達とは違って、一度に2人を相手にしていながら万丈目君はマッタク持って危なげがないわ。
相手のカード効果を絶妙のタイミングでカウンターしつつ、上級のドラゴンをこうも手も無く召喚してくるタクティクスには目を見張るものがあるわ――兄さん
と、三沢君は如何思うかしら?
「強いね彼は。お得意の上級ドラゴン速攻召喚のギミックも生きているし、早々負ける事はないと思うよ?」
「俺も吹雪さんと略同意見だな。
なんて言うか、最後に見た時よりも今の万丈目は相当に力を増しているように見える――いや、実際に増しているんだろうな。
今の万丈目には、俺が『対万丈目用デッキ』を作って挑んだとしても勝てるかどうか怪しい所だな……ドレだけレベルアップしたんだ万丈目は!?」
まぁ、ジェネックスの途中から行方をくらました三沢君じゃ万丈目君の成長は分からなくても仕方ないわね。
だけど、万丈目君のレベルアップには、間違いなく十代、はやて、遊奈の存在が大きくかかわっていると思うわ――万丈目君の場合はジュニアチャンピオン
の肩書が付いて回るから、良くも悪くもアカデミアでは進んで戦おうって言う相手は、私を含めて極少数だったもの。
だけど、高等部に上がってからは、十代、はやて、遊奈って言う自分に勝るとも劣らないデュエリストが常に傍にいた。
それが、万丈目君の地力の底上げに繋がったんでしょうね――暇があれば、4人でデュエルをしていたみたいだしね。
「行くぞ、バーニングドラゴンでダイレクトアタック!『バーニングブレス』!!」
「掛かったな阿呆が!!
トラップ発動『聖なるバリア-ミラーフォース』!!これで、お前のモンスターは全滅だぜ!!!」
「……其れは如何だろうな?俺のドラゴンの魂は簡単には朽ちんぞ!!
光と闇の竜の効果発動!!このカードが破壊され墓地に送られた時、俺のフィールド上のカードを全て破壊し、俺の墓地のモンスター1体を蘇生させる!
深淵の闇より蘇れ『フェルグラントドラゴン』!!」
『グガァァァァァァァァァァァァァ!!』
フェルグラントドラゴン:ATK2800
「そしてフェルグラントドラゴンの効果発動!
このカードが墓地から特殊召喚された場合、自分の墓地のモンスター1体を選択し、このカードの攻撃力を選択したモンスターのレベル×200ポイントアップ
させる!!
俺は、光と闇の竜を選択し、レベル×200ポイント……1600ポイントの攻撃力をフェルグラントドラゴンに上乗せする!!」
『グオォォォォオォォォ!!』
フェルグラントドラゴン:ATK2800→4400
「こ、攻撃力4400だとぉ!?」
「其れだけではない!!速攻魔法『逆鱗』発動!!
俺のドラゴン1体を選択して発動!!選択されたドラゴンは、このターンのみバトルフェイズ中に2回攻撃が可能になるのだ!!」
「ぬあぁに!?」
「嘘だろぉ!?」
「覚悟は良いな雑魚共……戦う力を持たない者を襲った事を地獄の奥底で後悔するがいい!
フェルグラントドラゴンで、ダブルダイレクトアタックだ!!纏めて、消し飛べ――そして、二度と俺の前にその姿を現せるな!!」
『ガァァァァァァァァァァァアッァァァァァァ!!!』
――ギュイィィィィィィィィン……ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
「「ひでぶわぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!」」
最早名前表記も面倒な雑魚達:LP0
其れがこの結果と言う訳ね――今の万丈目君に勝つのは、私や兄さんでも難しいかもしれないわ。
それ程までに彼は強くなって居る……アカデミア四天王と謳われる4人の内で、最もプロに近いデュエリストは、貴方かも知れないわね万丈目君――!!
――――――
Side:万丈目
ふぅ、此れで全てか……タクティクスは雑魚そのものだったが、数で掛かってこられると存外迷惑と言うか厄介だったな。
まぁ、数に負けるような柔なデュエリストではない心算だから、明日香君達と協力して、纏めて撃滅してやった次第だが………君は大丈夫か?
「は、はい!大丈夫です。寧ろ、危ない所を助けて頂きありがとうございました!!
っと……私はユウナ・エリクシルって言います――改めてお見知りおきを!!」
!!遊奈だと――いや、落ち着け……この子が遊奈である可能性はゼロじゃないが、彼女は恐らく違う筈だ……遊奈が大増殖したら其れは其れでホラー
以外の何物でもないからな。
其れは其れとして、何故君の街は襲われたんだ?
こう言っては失礼だが、見る限りでは魔王が特別欲するような物があるとは思えないだが―――
「確かに其の通りなんですけど、魔王はどうやら『ユウナ』の名を冠する者を狙っているみたいです。
現に、私も『ユウナ』の名を持っているが故に彼等に襲われた訳ですからね――ただ、何で魔王が『ユウナ』を狙っているのかは分からないんですけど…」
『ユウナ』を狙っている?……其れは少しばかり聞き捨てならんな?
魔王は=遊奈だと言う事を考えると、単なる偶然と片付ける事は出来ん――まさかとは思うが、魔王は己以外のユウナをこの世界から抹消しようとしている
とでも言うのか?己が唯一の『ユウナ』となる為に!!
だとしたらふざけているにも程があるが、其れだけに見過ごす事は絶対に出来ん!!
何よりも、俺の友にして好敵手たる遊奈に、これ以上の愚行と蛮行を重ねさせて成るモノか!!――魔王の暴走は、この俺が直々に喰いとめてくれる!!
「本当ですか!?」
「無論だ……男に、デュエリストに二言はない!
必ずや魔王を打ち倒して友を救い出し、この世界を魔王の支配から解放すると約束しよう!!」
「お願いします!!――魔王の支配からこの世界を救ってください!!
――っと、其れと此れを持っていて下さい!!きっと魔王討伐の役に立つはずですから!!」
此れは……このカードは、遊奈の持つ三幻神の一柱である『天竜神 オシリス』じゃないか!?――一体何処でこのカードを……と問いただすのは無粋か。
恐らくは、同じユウナの名を冠する者に、三幻神がバラケタと言う事なのだろうな……となると、残る2つの神もまたユウナの名を冠する誰かが持っている可
能性が高いな……とは言え、其れが早々見つかるとも思えないがな。実際に、暗黒街に捕らわれたユウナは神を所持しては居なかった訳だし。
だが、此れで三幻神が魔王の下に在る可能性はなくなったと言う事だ。
天空の神は俺の手中に収められているわけだから、魔王の下に三幻神が揃う事だけは無くなった――だが、其れだけに魔王軍の暴走は理解出来ん。
遊奈を乗っ取った存在は唯一無二の『ユウナ』となって、一体何を目論んでいるんだ、この精霊世界で――
――――――
Side:カイザー
此処で魔王軍が暴れていると言う事を知ったのが30分前だが、まさか、此処まで襲った街を壊すとはな……此れはまるでゴーストタウンと言っても過言では
ではないのだが、何ともコメントし難いな。
「確かに此処までの戦力を有している魔王軍は脅威かも知れないが、諦める気はないんだろう亮?
――だったら、迷わずに進め、僕も力を貸すからな。」
その時が来たら、改めて頼むぞ。
しかし本当に何もない場所だが――ん?
「この猪武者ども、如何して我等を襲って来る!!少なくとも私はなにもしておらんぞ!!」
「ワタ~しだって何もしてないの~ネ!!精々、うっかりと魔王軍の前を通り過ぎてしまっただけの事なの~ネ!!」
「誰が如何考えても其れが原因だアホタレガァァァァ!!」
「ペペロンチーノ!?そうでしたーの?――って言うか横切っただけで死刑って、何処の江戸時代なの~ネ!!」
まさかクロノス先生とエヴァンジェリンが現れるとはな――だが、ある意味では好都合だな。
この2人のデュエルタクティクスは戦力として申し分が無い訳だし……だがまぁ、今この時は助けてやるとするかエドよ?
「それ以外の選択肢はないだろう亮。犠牲が出て最終的に悲しむのは遊奈だろうからな――僕達は可能な限り犠牲を出さない様に戦うだけだ。
そう言う意味では、お前は最高の相棒だ――来い『D-HERO The Onslaugt Jupiter』!!」
『ムオアァァァァァァァァァァァァ!!』
D-HERO The Onslaught Jupiter:ATK?
Jupiterか……ならば俺はこれ以外には有り得んだろうな――出でよ、サイバー流極意『サイバー・エンド・ドラゴン』!!
『ゴガァァァァァァァァン!!』
サイバー・エンド・ドラゴン:ATK4000
D-HERO The Onslaught Jupiter:ATK?→4000
これこそが、我等の最強の陣。
クロノス教諭とエヴァンジェリンに襲い掛かった事を精々後悔するが良い――そして知れ、ヘルカイザーとエド・フェニックは、敵に対しては何処までも冷酷に、
そして酷薄に成る事が出来るダークヒーローであると言う事をな!!
To Be Continued… 
*登場カード補足
逆鱗
速攻魔法
自分フィールド上のドラゴン族モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターは、このターンのバトルフェイズのみ、2回攻撃する事が出来る。
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