Side:はやて


『そう言う訳だから、そっちも気を付けてくれよな?――遊奈のコピーが何処で出て来るか分からないからさ。』


了解や十代。貴重な情報に感謝すんで。
そっちも、無理はせん程度に頑張ってな?……私等が、どんな形であっても動かんと、遊奈を助け出す事は不可能やから、止まらずに進まんとやな!!

それにしても、遊奈のコピーを作り出して、破壊活動を行わせるとか冗談やないからな!!


ドレだけのコピーを作り出したかは知らんけど、出会った瞬間に撃滅していけば、何れは本物に大当たりやから、此処は虱潰しで行くのが妥当やな。


「確かに、虱潰しのローラー作戦は有効だが、一歩間違えば死者を出しかねない――傭兵の経験から、其れは余りお勧めできないが……」


うん、確かに不確定で、其処に本物の魔王が、遊奈が居るとも言いきれないんやけど、だからと言って諦める要素にはなり得ないで!!!
寧ろ、余計に燃えて来たわ……邪神だろうと、ダークシンクロモンスターだろうと、私の無限煉獄が欠片すら残さず、喰らい尽くしたろうやないか!!


若本とのデュエルで、ちょ~~~っとナーバスになってもうたけど、もう大丈夫や。
遊奈を助け出すためにも、精霊世界を魔王の支配から解き放つためにも、私の全力を尽くす――対峙したその時は、覚悟しておくんやな魔王!!

私等の力の全てを集約して、アンタを倒したるで――遊奈の姿をした、腐れ外道風情が!!











遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX168
『El Evangelio y duelo de la oscuridad』











Side:エヴァンジェリン


周囲は鬱蒼とした水没林。
木々の間を流れる水は清らかなようなので、飲む事も出来るだろう――此れからの道中も未だ長いだろうから、水分も補給しておいた方が良かろうな。


「其れは当然なの~ネ、水は生きて行く上で必要不可欠です~ノ。
 しかし乍~ら、吸血鬼は流水が苦手と聞いていました~が、貴女は平気なの~ネ、セニョーラ・エヴァンジェリン?」

「600年も吸血鬼やってると、色々と耐性が付くのでな。
 ニンニク嫌いだけは克服できんが、流水も十字架も大した事は無い――いや、最早太陽の光ですら私を葬る事は出来んさ。」

「それは、最早最強のような気がするの~ネ!」

まぁ、此れだけ長く生きて居れば、其れなりの力と言うモノは身に付くものだ、クロノス・デ・メディチよ
しかしまぁ、予期せぬ場所で予期せぬ相手に会うモノだな?明石遊奈に憑りついた嘗て始まりの魔法使いと呼ばれたラスボス気取りよ。


「む?遠征の帰りに出会うとは、何とも運命的な出会いだな我が娘よ?
 まぁ、遠征に勝利した故に――今此処で争う気はない。此方も無傷とはいかなかったので補給もしたいのでな。
 そうでなくとも、そもそもお前とやり合う心算は無いが、大人しく道を譲る気はないか?」


譲る気などない。そもそも貴様にはやり合う心算がなくとも、此方にはある。
以前の世界では気にも留めてはいなかったが、明石遊奈を良い様に扱われると言うのも、嘗てのクラスメイトとしてはあまり良い気分ではないのでな?

まぁ、この場合は八神はやて辺りが貴様をブチ倒すのが王道と言う所なのだろうが、主役以外がラスボスを叩きのめすと言うのも面白いとは思わんか?


「あくまでも、私と戦う心算か。」

「そう言っているだろう?さて、如何する?始まりの魔法使い(笑)よ?

「良いだろう。自信満々に挑んできたものを、正面から叩き潰すと言うのも私の流儀なのでね。
 ――だが、生憎と私も1人ではなく、兵士を30人程連れていてな?その30人も相手をするというのならば、戦ってやらん事もないが、如何する?」



――ゾロゾロゾロゾロゾロゾロ



つまり、2vs31のデュエルならば相手になると言う事か?……良かろう、所詮他者の身体を乗っ取らずには何も出来ん下衆には丁度良いハンデだ!
所詮貴様のデュエルは、明石遊奈の真似事であり、極めて粗悪な劣化複製でしかないと言う事をその身に叩き込んでやろう。

そして序に、もう一度私の手で貴様を葬ると言うのも一興だからな。


「はい、ちょっと待つの~ネ!
 デュエルで決着を付けるのは問題ありません~が、セニョーラ・エヴァンジェリン、30人の兵士の相手は私が1人で引き受けるの~ネ!!
 貴女は、セニョーラ遊奈を乗っ取っている奴を倒して、彼女を解放してあげるの~ネ!!」


ちょっと待て、30人を1人で相手にするとか本気か貴様!?
幾ら何でも分が悪すぎるだろうが!!


「ノンノン、逆です~ノ!
 ボスを含めた31人を2人で相手にするより~も、ボスは1人が相手をし、残る取り巻きをもう1人が相手にする方が実は効率的です~ノ。
 何故な~ら、仮に取り巻きを倒すのに手間取って~も、ボスを相手にしている方が勝て~ば、其処で部隊は壊滅してしまいますの~ネ!」

「成程………言われてみればさも在りなんか。
 だが、相手は30人も居るのだぞ?勝てないまでも、負けない自信があるようだが――本当に大丈夫か?確かに、貴様は一流デュエリストだが……」

「問題ないの~ネ。この30人からは、デュエリストとしての脅威は感じないの~ネ。
 其れなりに腕は立つかもしれません~が、アカデミアの生徒のレベルで言えば、3年間イエローの中堅だった程度の腕前です~ノ。
 曲がりなりにも『実技教師最強』と謳われた私の敵じゃないの~ネ!!」


成程、三沢大地未満レベルの連中の集まりならば、確かに数が数でも貴様の相手ではないかも知れんな?……ならば其方は任せるぞ、クロノスよ?


「貴女こそ頑張るの~ネ。
 本音を言え~ば、私の手で助け出したい所です~が、確実性を高めるならば、より強いデュエリストが相手をすべきなの~ネ…お願いするの~ネ!」


良かろう……貴様の生徒を思う気持ち、確かに受け取った!!



ククク……成程な、此れが何時ぞや吉良の奴が言っていた『託された思いの力』と言うやつか。確かに身体の奥底から力が湧いてくるようだ!
其れだけに、このデュエルは絶対に負けられんな。


「相談は済んだか?」

「今し方な……貴様の相手は私がする。
 そして、貴様の雑魚の寄せ集めの兵団はクロノスが1人で相手をするそうだ……たった1人に30人が蹂躙されると言うのも、中々壮観だろうなぁ?」

「駒の替えなど幾らでも居るから構わんが、よもや私に勝つ心算とはな?――舐めるなよ、小娘が?」


吠えて居ろ死に損ない。
魔王の覇道は、今日が終焉の日だ!!








――――――








Side:クロノス


さてと、引き受けた以上はキッチリ仕事を熟さないといけないの~ネ。
取り敢えず30人です~が……ふむ、流石に30人を一度に相手をするのは骨が折れるの~で、此処は変則デュエルを提案するの~ネ。


「変則デュエルだぁ?」

「一応聞こうじゃねぇか。」


ゴホン……今回の変則デュエルと~は、言うなれば私が行う『サバイバルデュエル』なの~ネ。
其方から1人が出て私と戦い、私が勝ったらライフとフィールドは其のままに次の相手と対戦……此れを、其方が全員居なくなるか、私のライフが尽きる
まで行うの~ネ。
因み~に、其方には倒された者が伏せておいたカードと、フィールドに残したモンスターは残しておくルールで良いの~ネ。

全体から見た~ら、かな~り其方に有利な条件です~が、如何です~ノ?


「カッカッカ、こいつぁ俺達にとっては好条件この上ねぇが、良いのかい?――こう言っちゃなんだが、俺達は魔王様の部下なんだぜ?
 それも、今し方街を一つ落として来た猛者どもだ……アンタもやるなら、火傷じゃ済まないかもしれないぜぇ?え、『先生』よぉ?」


デュエリストに二言はないの~ネ。
やるならさっさと始めます~ノ……其方の1人目を、選出するの~ネ!!


「良いねぇ?そのイカレ具合は嫌いじゃないぜ『先生』。
 だったら先ずは、此の俺、殺戮の魔獣人こと『ブラッド・ヴォルス』が相手だ!!そして、アンタのサバイバルデュエルは1人目でゲームエンドだぜ!!」

「……弱い犬程良く吼えるとは、マッタク持って良く言った物なの~ネ。
 その自信のほどは、デュエルで示して見せるの~ネ!!!」

「上等だ、やったらぁ!!!」



「「デュエル!!!」」



クロノス:LP4000
ブラッド・ヴォルス:LP4000



先攻は貰うの~ネ!私のターン!!
『古代の機械騎士』を攻撃表示で召喚するの~ネ!


古代の機械騎士:ATK1800


カードを1枚伏せて、ターンエンドなの~ネ!


「攻撃力1800か……下級モンスターとしては中々だが、そんなモンじゃ俺はビビらねぇぜ?俺のターン!!
 手札からフィールド魔法『アドバンス・アドバンスド』!!
 このカードが表側表示で存在する限り、互いのプレイヤーがモンスターをアドバンス召喚する際のリリースは1体少なくなる!!
 つまり、レベル5~6のモンスターはリリースなしで召喚する事が出来るって訳だ!!……そいつを使って、俺が召喚するのはコイツだぜ!!
 来いレベル5の『サイバティック・ワイバーン』!!」
サイバティック・ワイバーン:ATK2500


行き成り攻撃力2500……アカデミア四天王の実力を知ってる私からしたら大して驚く事ではありません~が、そこそこの実力はあるみたいなの~ネ?


「行くぜ!!サイバティック・ワイバーンで、古代の機械騎士に攻撃!!」

「速攻で上級モンスターを呼び出すタクティクスそのものは悪くありません~が、しかし甘いの~ネ!トラップ発動『マジカルシルクハット』!!
 相手モンスターの攻撃宣言時に、デッキからモンスター以外のカードを2枚選択し、攻撃対象となったモンスターに合わせてシャッフルし、自分フィールド
 状に、裏側守備表示でセットするの~ネ!!」


古代の機械騎士:ATK1800
         ↓
????:DEF0(×2)
????:DEF500



「小癪な……なら、ど真ん中を打ち抜くぜ!!」


――バガァァァァァァァァァァァァァン!!


……ふっふっふ、其れは如何やら当たりだったようです~ノ!貴方が攻撃して破壊したカードは、フィールド魔法『歯車街』!!
このカードが破壊された場合、デッキ、手札、墓地の何れかから『古代の機械』を特殊召喚するの~ネ!!

私はこの効果で、デッキより『古代の機械巨竜』を特殊召喚するの~ネ!!


古代の機械巨竜:ATK3000


「カウンターで3000とかマジかよ!?
 ちぃ、バトルフェイズは此れで終了するぜ!!」


バトルフェイズの終了と共に、モンスター扱いで伏せられていたカードも破壊されるの~ネ。
そして、伏せられていたカードは『歯車街』!!よって、デッキから2体目の『古代の機械巨竜』を特殊召喚するの~ネ!!


古代の機械巨竜:ATK3000


「攻撃力3000が2体ってマジかよ……ちぃ、カードを1枚伏せてターンエンドだ。」


其れでは、私のターンなの~ネ!
私~は、貴方達の発動したフィールド魔法『アドバンス・アドバンス』の効果で、レベル8のモンスターをリリース1体でアドバンス召喚します~の!!

私~は、古代の機械騎士をリリースし~て、私のデッキのエースモンスター『古代の機械巨人』をアドバンス召喚するの~ネ!!


『ゴォォォォォォォォォォォォォォォン!!』
古代の機械巨人:ATK3000



「んな、僅か2ターンで、攻撃力3000の最上級モンスターが3体だとぉ!?……流石に嘘だろコイツは!?」

「嘘じゃなくて現実なの~ネ!!
 そして、まだまだ終わらない~ノ!!永続魔法『古代の機械城』を発動です~ノ!!」

このカードがある限り、アンティーク・ギアの攻撃力は300ポイントアップするの~ネ!!



古代の機械巨人:ATK3000→3300
古代の機械巨竜:ATK3000→3300(×2)



「此れは……そんな、こんな事を平然とやってのけるなんて!!」

「此れが、貴方達と私の違いです~ノ!分かったら、顔洗って出直して来やがれなの~ネ!!」

バトル!古代の機械巨竜で、サイバティック・ワイバーンに攻撃!!


「と、トラップ発動!!」

「無駄なの~ネ!
 古代の機械が攻撃宣言をした場合、ダメージステップ終了まで、相手は魔法・罠カードを発動出来ないの~ネ!!此れは、基本です~の!!!」

「んだとぉ!?」


――ドゴォォォォォォン!!


ブラッド・ヴォルス:LP4000→3200



そして、これで終わりなの~ネ!!古代の機械巨人で、ブラッド・ヴォルスにダイレクトアタックなの~ネ!!『アルティメット・パウンド』!!!


『ムオォォォォォォォォ……ガァァァァァァァァ!』



――ドッゴォォォォォォォォォォォン!!




「ギバガァァァァアァァァァァァァァァア!?」
ブラッド・ヴォルス:LP3200→0




此れで先ずは1人抜き……残るは29体――この調子で勝ち抜いて行くの~ネ!!
さぁ、2人目は誰なの~ネ?誰が来ようとも、私は負けないですの~で、誰が来ても相手になるの~ネ!!それじゃあ、デュエルの続きなの~ネ!








――――――








Side:エヴァンジェリン


ふむ、クロノスの方は問題ないようだな……まぁ、予想はしていたがな。

其れでは、こっちもぼちぼち始めるとしようか?なぁ、始まりの魔法使いよ?


「良いだろう、精々死地に送ってやろう!!」



「「デュエル!!」」




エヴァンジェリン:LP4000
魔王:LP4000




死地に送るか……その言葉、熨斗を付けて貴様に返してくれるわ!!行くぞ、私のターン!!――精々、蹴散らしてくれる……覚悟するが良い!!











 To Be Continued… 






*登場カード補足




アドバンス・アドバンスト
フィールド魔法
このカードが表側表示で存在する場合、互いのプレイヤーがモンスターをアドバンス召喚する際のリリースは1体少なくなる。