Side:はやて


魔王の正体は遊奈やった……それも、飛び切り性質の悪い『闇のデュエリスト』になり果てた遊奈やった。
マイナスレベルのダークシンクロモンスターを操り、他者の命をいとも簡単に散らせる凶悪なデュエリスト……認めたくないって言うのが本音やけど、
こうして目の当たりにした以上は認めるしかないやろな……自分の見た事を、希望的な事で否定したら真実を取り違えてまうからね。

でも、そうだとしても―――!!!


――ガスゥ!!


「ちょ、八神先輩!?」

「なんでや……なんで、アンタが其れほどまでの闇のデュエリストになってもうたんや遊奈!!
 或は、其処まで堕ちる位の心の闇を抱えてたって言うんかアンタは!?……もしそうやったら、其れに気付けんかった私は、親友失格やないか!」

なんでや!何で来ないな事に……なんでや、遊奈ーーーーーー!!!!


「止めろハヤテ!そんな事をしたら、拳が使い物にならなくなるぞ!!
 フレンドがあんな事になった気持ちは分からなくもないが、今は其れを悔やむよりも、此れから如何するかを考える方が大事だろ!?」


ジム……分かっとる……分かってるんや、そんな事は!!
せやけど、頭では分かってても、心が納得せんのや……なんで、如何して遊奈が魔王に………こんなのって、あんまりやないか!!!

オベリスクの力を引き出して、混沌幻魔を撃滅し、そして私等をアカデミアに戻すって言う事を成し遂げた遊奈が、闇の魔王に成るなんて、そんな事!


「だが――!!」

「分かっとるよ……此処は一旦退くが上策やからね……せやけど、次に会ったその時は――魔王を倒して遊奈を取り戻したる!!」

それが、遊奈の嫁たる、私のすべき事やろうからな――!!








遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX164
『三度降臨、その名は若本』











と言う訳で、あの場所から離れて、私等は大陸鉄道で移動中。
魔王の砦から離れるのは、ちょっと抵抗が有ったけど、あそこにいたところで何の案も浮かばないし、鉄道で移動しとれば誰かと合流できるかも知れ
へん上に、色々作戦会議的な事も出来るからなぁ。

「そんで、魔王なんやけど……アレが遊奈であることは間違いないと思うんや、右眉の傷痕と、左右非対称の髪型から見てもな。
 せやけど問題は、何だって遊奈みたいな『心の闇って何?それ美味しいの』を地で行くような底抜けに明るい子が闇に堕ちてしまったかって事や。
 可能性は、結構あると思うんやけど、一体何が有ったんやろね?」

岬ちゃんは如何思う?


「俺っすか行き成り!?……えっと、オベリスクと幻魔の激突で発生したエネルギーに飲み込まれて、一時的に記憶を失い、其処に新たな人格として
 『魔王』が生まれたって言うのが、妥当な所だと思うんだけど……少し無理があるよな此れは?」


確かに、穴は有るけど、これ自体はまずまずの答えや。
プロの傭兵の目からしたら、如何映るか教えて貰って良いやろかオブライエン?傭兵の知識って言うのも、中々馬鹿に出来んものがあるからな♪


「非科学的ではあるが、遊奈の中に巣食っていた闇が、神と幻魔の激突で発生したエネルギーで活性化した可能性も視野に入れておくべきだろう。
 だが、何れにしても、遊奈の中にある何かを吹き飛ばさない限り、魔王を葬る事は出来ないと思うがな。」


成程、傭兵らしい現実的な意見やで。
やったら最後にジムは如何思うんや?


「俺は――『始まりの魔法使い』ってのが遊奈の身体を乗っ取ったんじゃないのかって思ってるぜ。」

「始まりの魔法使いが!?」

アイツは、神の攻撃で吹き飛んだと思ってたけど、もしもそうじゃなかったら、確かに可能性としては有り得ないとは言いきれへんな?


「アレだけのエネルギーが発生した、その中心部に遊奈は居たんだ、その膨大なエネルギーの余波を受けて、気を失っても不思議はないだろ?
 で、其の気を失っている状態の時に始まりの魔法使いに身体を乗っ取られ、遊奈の人格は深層心理の奥底に閉じこめられてしまったとしたら……」

「確かに、遊奈みたいな底抜けに明るい奴が、暗黒の魔王になってもおかしくないって訳か……」


ヨハンも納得しとるし、確かに其の線が濃厚なのかも知れへんね。
何れにしても、魔王を倒して遊奈を取り戻すには、魔王を全力のデュエルでブッ飛ばす以外に方法はないって言う事なんやろうな。


尤も、そのデュエルも始まりの魔法使いが遊奈を乗っ取ってる以上、簡単なデュエルに成るとは思えへんのよ――何よりも、魔王が使った黒いシンク
ロモンスター……マイナスレベルのダークシンクロモンスターって言うのが、ドンだけの力を持っとるのか皆目見当もつかへんしな。


「攻撃力3000のモンスターですら、一撃で葬り去る力がある訳だからな……少なくとも、並大抵のモンスターじゃねぇ事は確実だと思うぜ八神先輩。
 しかも、姉御のデッキはローステータスのモンスターを特殊召喚するギミックが多彩だから、最上級のレベル12でも、ステータスが低ければ速攻で
 出てくる可能性は滅茶苦茶たけぇし、さっきのデュエルみたいにボルヘジなんかを合わせれば、速攻でダークシンクロ可能だからな……」

「正体不明の未知のモンスター……ある意味で、三幻魔を相手にするよりも厄介かも知れないぜ。」


マッタクやな。
其れと三幻魔で思い出したけど、もしもホンマに遊奈に始まりの魔法使いが乗り移ってるなら、三幻魔の存在も視野に入れとかなアカンね?
召喚条件がアレやから、出てくる可能性は低いかも知れへんけど、出てきたその時は三幻魔がシンクロ進化する可能性とて0やない訳やしな。

こう考えると、遊奈の救出は色々問題山積みやね………だからと言って、諦める気は毛頭ないけどな!!!
寧ろ、前世で機動六課設立する際に沸いた問題に比べれば、この程度のモンは乗り越えてナンボや!!オカシナ状態を、正常に戻したるわ~~!


「その意気だぜはやて!」

「先ずは、気持ちがないとやからな!
 って、オカシイと言えば、この列車って私等以外に客は居らんの?……幾ら何でも、大陸縦断鉄道の利用客が私等5人だけって、変やないか?」

「言われてみれば……確かにオカシイな?」


やろ?――な~~~~~んか、唐突に、物凄く嫌な予感がして来たで此れ……


――チャララララ~~ン。チャラララ~~ン。


ん?車内放送か?


『ぶるぁぁぁぁぁぁ……どぅおぉやらぁ、気ぃが付いたようだぬあぁ、八神はぁやとぅえぃ。
 そうどぅぁ、くぉの列車ぬぃはぁ、貴様等以外の客は乗ってはいぬぁい……事の真相を知りたくぇれぶわぁ、6号車の屋上までくるがいぃ~~~!』


って、まさかの若本ボイス!?
しかも、私の事を知ってるって事は……まさか、アイツが精霊世界に来てるって事か!?あの『腐れ若本』の見本みたいな奴が!!


「八神先輩、今のは!!!」

「如何やら、私等と遊びたいアホタレが、この列車に乗り込んでたみたいやね……折角お誘い受けたんやから、受けたろうやないの!!」

「なら俺も行くぜ!」

「俺も同行させて貰う。」

「此処は皆で行くのが上策だろうからな。」

「勿論、俺も行くからな八神先輩!」


そう来ると思ったで?なら皆で行こか!!
一流クラスのデュエリストが、コンだけ居れば、相手が誰だろうとも少なくとも負ける事だけはあらへんからな!!若本に、目に物見せたろやないか!

「シャマル、度々で悪いけど、頼むで?」

は~~~い♪


んでもって、毎度お馴染みの万能魔法『旅の鏡』で、一気に指定の場所まで瞬間移動や!!



「ほう……面白い技どぅぁなぁ?」

「声の主はやっぱりアンタやったか、腐れ若本――基、元セブンスターズ『タイタン』!!!」

インチキな闇のゲームの末に闇に飲まれ、セブンスターズとして復活し、そしてその末に私に再び闇に突き落とされたアンタが、まさか生きてたとは…


「ムッハァ~~!セブンスターズとして敗れた私はぁ、気が付けぶぁくおぉの精霊世界に来ていたのどぅあぁ。
 暫くは根無し草として、各村の雇われ用心棒的な事をしていたのどぅあがぁ、今は魔王の部下としとぅえぇ暮らしているのだ。
 まぁ、魔王が貴様の親友たる『明石遊奈』だと言う事には驚いとぅが、これはこれどぅえ何とも面白い事になりそうではあるからぬぁ?」


面白い事か……そんな事言うて、本音は私にリベンジしたいだけやろ?
成り行きで魔王の部下になったのはホンマかも知れへんけど、アンタは心の奥底で私へのリベンジを果たさなあかんと思ってるのは確実――アンタの
性格を考えれば、2度も自分に苦汁を舐めさせた小娘を、生かしておくなんて事が出来る筈はないからなぁ?

どや、当たらずとも遠からずやろ?


「その通りどぅあ……魔王の考えなど、わぁたしぬぃは如何でも良い事だ。
 どぅあが、私は、貴様を倒さぬ限り満足は出来そうにないのだ八神はやてぇぇい!――この渇きを癒やすためにも、私とのデュエルに応じて貰う!」


上等や……アンタが魔王の部下って言うなら、色々とO・HA・NA・SHI出来そうやからなぁ……アンタの知ってる事、洗い浚い吐いて貰うでタイタン!!


「やるのかよ、八神先輩!?」

「やり過ごす事は出来へんからね……無限煉獄の恐ろしさ、三度その身に刻み込んだるわ!!」

でもって3度目の正直――今度こそ、その魂魄を地獄の深淵に叩き落したる……覚悟は出来とるやろな、この腐れ若本がぁぁ!!!


「覚悟など既にできている……でぇは、始めるとしようか、敗北が=死となる、文字通り命懸けのデュエルをぉぉぉ!!!」

「死の覚悟も、死を相手に与える覚悟も出来とるで――ほな、行くで!!」



「「デュエル!!!」」


はやて:LP4000
タイタン:LP4000




「先攻はもらうぅ……わぁたしのトゥアーン!私は、『DW-セルRide1』を召喚!!」

『キエェッケッケッ!』
DW-セルRide1:ATK1800



「カードを2枚セットしてターンエンドだ。」


DW……『ダーク若本』ね……相変わらずネタ満載のデッキみたいやけど、此処は全力で行かせて貰うで!私のターン!!!


「この瞬間に、永続トラップ『Wの洗礼』を発動。
 このカードが存在する限り、『DW』または『WV』と名の付くモンスターをコントロールして居ないプレイヤーはスタンバイフェイズ毎に700ポイントのダメ
 ージをうけるぅ!早速ダメージを受けて貰おうかぁ!!!」


はやて:LP4000→3300


く……専用カードを使っての効果ダメージコンボか……毎ターン700言うのは安くないダメージやけど、その程度で私に勝てると思ったら大間違いや!
幸いにして、私も最初から最高の手札が揃ったからなぁ……行くでタイタン!!

「私は手札から、魔法カード『クリティウスの牙』を発動!手札の『インフェルニティ・ブレイク』を墓地に送り、トラップ融合モンスターを特殊召喚する!
 無限煉獄に、名も無き竜の思いが駆け巡る!!特殊融合召喚!舞い上がれ、『インフェルニティ・ストライク・ドラゴン』!!」

『グオォォォォォォォォォォ!』
インフェルニティ・ストライク・ドラゴン:ATK2700


「カードを2枚セットし、バトルや!!
 インフェルニティ・ストライク・ドラゴンで、DW-セルRide1に攻撃や!!『インフェルノ・ストライクフレイム』!!」


――ゴォォォォォォォォォォ!!


タイタン:LP4000→3100

「ぶるあぁぁあぁ!?……流石に、やってくれるな八神はやてぇぇい……此れは倒し甲斐もあると言うものどぅあぁ!
 DW-セルRide1が、戦闘によって破壊された場合、デッキか手札から『DW-セルRide2』を特殊召喚出来る!!……来い、我が分身よ!!」


DW-セルRide2:ATK2300


此処でセルの第2形態に来たか……ターンエンドや。


「私のトゥアァァァァァァアァァン!!!」


はやて:LP3300→2600


この瞬間にトラップ発動『インフェルニティ・インフェルノ』
手札を2枚まで捨て、デッキから『インフェルニティ』と名の付くモンスターを捨てた手札の数だけ墓地に送る。
手札の『インフェルニティ・デーモン』と『インフェルニティ・ビートル』を墓地に送り、デッキから『インフェルニティ・ネクロマンサー』と『インフェルニティ・リベ
ンジャー』を墓地に送るわ。


「それぐわぁ如何したぁ!わぁたしは、DW-セルRide2を墓地に送り『DW-セルRide3』を特殊召喚!!」

『此れが、完全体どぅあぁ!』
DW-セルRide3:ATK3000


で、此処で完全体の御登場か……このデュエルは、思った以上に激しい物になりそうや……やったら、尚の事このデュエルには勝たないとな!!!


来るならこいや……格の違いという物をその身に刻み込んだるわ!!


「ブワァトルゥ!!セルRide3で、インフェルニティ・ストライク・ドラゴンに攻撃!『超必殺かめはめ波ぁ』!!!」


何とも強力な一撃やけど、其れは通さへん!トラップ発動『煉獄の停戦協定』!!
私の手札が0で場に『インフェルニティ』もしくは『煉獄』と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に、相手のバトルフェイズを強制的に終了や!


――バキィィィン!!!


「バトルフェイズの強制終了だとぅおぉ!?……姑息な手をぉ……私はカードを1枚セットし、此れでターンエンドどぅあぁ!」


姑息かどうかは、自分の目で確かめろや……何れにしても、アンタに未来はないで?
此れから生まれるであろう、超完全体も何もかも、私の力で――無限煉獄の力を持ってして撃滅したるわ!!……覚悟は良いな、腐れ若本が――














 To Be Continued… 






*登場カード補足




DW-セルRide1
レベル4    闇属性
爬虫類族・効果
このカードが戦闘によって破壊された場合、デッキか手札から「DW-セルRide2」を1体選択して特殊召喚する。
ATK1800    DEF1200



DW-セルRide2
レベル6    闇属性
爬虫類族・効果
このカードは「DW-セルRide1」の効果によってのみ特殊召喚出来る。このカードは戦闘によって破壊されない。
ATK2300    DEF2100



DW-セルRide3
レベル8    闇属性
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上の「DW-セルRide2」1体を墓地に送った場合にのみ特殊召喚出来る。
このカードは戦闘によっては破壊されず、1ターンに1度だけ、相手のカード効果によっては破壊されない。
ATK3000    DEF2500



煉獄の停戦協定
通常罠
自分の手札が0枚で、自分フィールド上に「インフェルニティ」または「煉獄」と名の付くモンスターが存在する場合に発動できる。
相手の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。



Wの洗礼
永続罠
このカードが表側表示で存在する限り、「WV」または「DW」と名の付くモンスターをコントロールして居ないプレイヤーは、互いのスタンバイフェイズ毎に
700ポイントのダメージを受ける。