Side:はやて


………此処は……岩に囲まれた砦のような場所――アカデミアやないのは確実やな?……如何やら、精霊世界に無事にやってこれたみたいやね。
まぁ、前の砂漠とは違う場所みたいやけど、皆無事か~?


「何とか……けど、マジでまた精霊世界に来たんだな。」

「荒っぽい方法だったが、成功したなら其れで良しだ……殆ど博打に近い方法だったからな。」


十代と準、其れに翔君と天上院兄妹、剣山君と岬ちゃんは無事やったか……せやけど、カイザーやクロノス先生は何処!?
若しかして、異世界転送の際に、分断されてもうたって事やの!?


せやったら、大変な事やけど、此処は慌てず平常心を保たなあかん――誰かが取り乱してもうたら、其れはあっと言う間に伝染してまうからなぁ?
慌てず騒がず、如何するか……少なくとも、エドとマックとクロノス先生はPDAをもっとるから連絡は取れるはずやから、先ずは連絡を取るのが先決や。



「はやて、そんな悠長な事してていいのかよ!?」

「急いては事を仕損じるやで十代?
 私かて、今直ぐにでも遊奈達を探しに行きたいけど、先ずは自分達がどうなってるかを理解しとかんと、無駄足を増やすだけになりかねんやろ?
 先走って、馬鹿やって、仲間を危険に曝した上で遊奈とヨハン君を助け出したところで、二人ともそんな事は望まんのは十代かて理解出来る筈や。
 せやから、先ずは自分達の置かれてる状況を把握するのが何よりも大事なんや――其処から見えて来る事も有るからな。」

「はやてがそう言うなら、そうかも知れないけどさ……」


まぁ、難しい事言わんと、命の保証がない事はするなって事や。
――ともあれ、精霊世界にやって来た以上は、私等の常識は通じない世界に来たと言う事でもあるから、精々潰されないように頑張らなあかんね。










遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX153
『精霊世界の第二幕の開幕』











んで、連絡を取った結果、エドがカイザーとマックと一緒で、クロノス先生がエヴァちゃんと一緒と来たか……如何考えても不安の欠片もないタッグや。
この組み合わせやったら、早々やられる事は無いと思うし、広大な精霊世界を探索する言う意味では、チームが3つに分かれたのは良かったかもな。


ホンなら、私等は私等のやるべき事を成すだけなんやけど、改めて見ると、此処はホンマモンの砦やな?
其れだけなら兎も角、如何にも此処は治安があんまりよくないみたいやなぁ?……良く良く見ると、何体かのモンスターが奴隷として扱われとるしな!


なんちゅー理不尽な世界や此処は!!
治安も何もないって最悪すぎやで!?……果てさて、ドナイしたもんや――


――ガバッ!!


!!

な、何やいきなり後ろから!?……まさか、何かに取りつかれたーーーー!?



「しー!!!……そんなに驚くなよ、俺だよ!!」


この声は……ヨハン君!!無事やったんやな!!!……まさか、精霊世界に来て早々再会できるとは思っても居なかったでホンマに!!!
けど、ヨハン君が無事や言う事は遊奈も無事なんやろ!?遊奈は何処?何処におるん?


「あ~~~……悪いが、ソイツは分からないんだ……目が覚めたら、砂漠の真ん中におっぽり出されてたからな。
 おまけに、遊奈の姿はなかったのに、何故かそいつ等が俺と一緒に居たんだよ。」


ヨハン君も分からへんのか……
其れは其れとして、ヨハン君が寄越したのは『ジャンク・ライブラリアン』『ヴァルキリー・ジャーナリスト』『エフェクト・ヴェーラー』『天星龍 スターダスト』?

遊奈のデッキの精霊の宿ったカードが何で!?


「遊奈が、そのカードを置いて何処かに行くとは考え辛い……神の攻撃の余波でデッキから吹き飛ばされてヨハンと一緒に居たと言う所かな?」

「うおぉぉ!?居たんか三沢君!!――アレ、こっちに来る時の一団に居ったっけか?」

「居たよ!ウォーター・ドラゴンを呼び出して次元の扉をこじ開けるのを手伝ったよ!!」


そうやったっけ?正直、他の面子が凄過ぎて認識しとらんかったわ、カンニンな~~~~♪
せやけど、アンタのデュエルの腕前は確かやから、居てくれるんは正直助かるわ~~~。頼りにしてるで紹介欄空白(三沢君)


「お前の頭脳は頼りになるからな……期待してるぞ透明人間(三沢)。」

「遊奈を助け出すために、頑張ろうぜ存在感皆無(三沢)!」

「……なんだろう、普通に名前を言われただけの筈なのに、何故か物凄く腹立たしいと言うか、存在を否定された気がするのは……?」


気のせいやで♪
まぁ、詳しい事は本人に聞けばえぇやろ?――何が有ったか、話してくれるやろ和美ちゃん、本屋ちゃん、エフェクトヴェーラー?


勿論!――って、言いたい所なんだけど、正直私も本屋ちゃんも分からないってのが本音なんだよね?

オベリスクの一撃の余波を喰らって、私達も一時的に意識が飛んでて、気が付いたらヨハンさんと一緒に砂漠に放り出されてたんです。

だからゴメン、私達も遊奈がどうなったのかは分からないんだ……

『グルルルルルルル……』


あっちゃ~~~……まさか和美ちゃん達も知らないとなると、此れは正直難義やなぁ?
せやけど、和美ちゃんの力を駆使すれば、遊奈の足取り位は分かるんと違う?和美ちゃんの情報収集能力は、管理局の裏方も脱帽レベルやしな?


勿論、私に出来る限りの事はしたっての……其れこそ精霊世界中にサーチャーやら何やら飛ばして遊奈の手掛かりを探したよ。
 だけど結果は収穫なし!それこそ、不自然としか言いようがない位に遊奈の事が分からねーのさ……そして始まりの魔法使いもね。


其れはまた……そうなると遊奈の方は地道に聞き込みとかで情報を集めるしかあらへんかも知れへんね。
せやけど、始まりの魔法使いの事が分からん言うのはちょっとアレやな?
オベリスクの一撃で吹っ飛んだなら僥倖やけど、エヴァちゃん曰く『不滅』の存在が、神の一撃を喰らったとは言え、其れで終わったとは思えへんで?


店長が見せてくれた石板の事も有るから余計にな。



まぁ、正直言うなら精霊世界では相当な大規模捜索をせなあかんと思ってたから、行方が分からない事くらいは想定の範囲内ってやつやで。
寧ろこっちに来て早々にヨハン君と再会できた言うのは、運が良かったとしか言いようがないからなぁ?……寧ろ此処からが本番って所やろ!!


んで、其れは其れとして、眼下のこの光景は何やの?
地属性や獣族の低レベルモンスター達が、まるで奴隷のように酷使されとるって、此れは如何言う事や!!


「……精霊世界ってのは、実は結構ピリピリしてて、部族同士の争いってのが結構あるみたいなんだ。
 更に、モンスターレベルがモノを言う部分もあるみたいで、低いレベルのモンスター達を奴隷のように扱う事は珍しくないらしい……嫌な気分だぜ。」


なんや其れ!?
流石に、此れは見逃せへんで!!レベルが上だけって理由だけで、弱者を虐げるなんてのは、絶対に間違っとる!!

私等の目的は遊奈を助け出す事やけど、だからって目的遂行の為に来ないな理不尽を見過ごしていい道理はあらへん!!!
遊奈救出の前哨戦として、此処に捕らわれてるモンスター達を解放してやらな……其れをしなかったら、遊奈を助けても、きっと私等は後悔するから!



「お前ならそう言うと思ったぞはやて!
 遊奈救出の前哨戦だ!此処に捕らわれている連中を解放してやろうじゃないか!」

「困ってる人達を助ける……へへ、HEROの出番だぜ!!」



おぉ?思ったよりもノリノリやなぁ?
まぁ、虐げられてる人達を見て見ぬふりなんて出来る筈がないからなぁ?――先ずは景気付けに一発弩派手にやったろうやないの!!



「其れは良いんだけど、どうやって解放する心算なのはやて?」

「見たところ、此処をしきっとるのは鳥獣族モンスターみたいやから、先ずは此処の照明をシャットダウンして明かりを奪う。
 鳥獣族やったら鳥目やろうから、突然暗くなれば何も出来なくなる筈――其処を突いて、奴隷扱いされとる連中を解放するって所やな。」

勿論照明をシャットダウンするだけやなくて、この一団を仕切ってる奴を倒して、指揮系統を麻痺させなあかんのやけどね。

シャマル、連中の指揮官的な奴は誰か分かるか?



え~~~と……はい、照明塔の下に居る『バードマン』が指揮官みたいです。



バードマン……レベル4で攻撃力1800を誇る鳥獣族の下級アタッカーが指揮官か……其れの相手をする人が必要やな?
いや、此処はいっその事、私が出張って――


「よし、バードマンの相手は僕が引き受けよう!」

「吹雪さん!?」

「後輩を一番危険な所に向かわせるって言うのは、流石に先輩として如何かと思うから、彼の相手は僕に務めさせてくれくれないかな?
 格好を付ける訳じゃないけど、幾らダブりだとは言っても僕にも先輩としての誇りと言うかそう言うモノがあるからね……任せて貰えないかな?」


そら、吹雪さんの実力やったら大丈夫やと思いますけど、ホンマにえぇんですか?
精霊世界のデュエルは、現実世界のデュエルとはちゃいます……多分、命懸けのデュエルになると思いますよ?


「なら尚の事、その初戦を君達にやらせる訳には行かないよ。
 年長者の使命として、ドレだけの危険があるのかを前もって調べておく事は大事だからね?……大丈夫、僕は簡単にはやられないさ!!」



吹雪さん……分かりました、バードマンの方はお願いします!
せやったら、十代と剣山君は、吹雪さんがバードマンの注意を引きつけてる間に、照明塔を上って照明を破壊!
モンスターを召喚したら気付かれてまうから、ちょおキツイかも知れへんけど、自分の力で塔をよじ登って照明を破壊してや?


「おう、任せとけはやて!!」

「大船に乗ったつもりで居て欲しいザウルス!」


うん、任せるで?
で、残りのメンバーは照明が消えたと同時に突撃して、奴隷にされとる人達の解放や……ほな、準備はえぇか!?


「「「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」」


遊奈救出の前哨戦となる、このミッション――先ずは成功させなアカンね!








――――――








Side:吹雪


さてと、バードマンの相手役を引き受けた訳だけど、どうやって接触をしたモノだろうね?
出来れば穏便にと行きたい所ではあるけど、十代君と剣山君が照明を破壊したら、どの道穏便になんていかないだろうから、此処は正面から行くか。

頼むよ『真紅眼の遡刻竜』!バードマンに攻撃だ、『刻炎弾』!!


『ギャオォォォォ!!』
真紅眼の遡刻竜:ATK1700



――ドオォォォォォォォォォォン!!



「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!?……な、何者だ!!」

「さぁね?……十代君風に言うなら、弱き者を虐げる悪を倒しに来た正義の味方って言うところかな?
 まぁ、何れにしても君からしたら、僕は紛れもない『敵』って言う事になるだろうねぇ?――そんな敵を前にして、君は如何する心算かなバードマン?」

「貴様……見たところ人間の様だが、如何して精霊の世界に居るのかは問わないで置いてやる。
 だが、この私に牙を剥き、刃を向けたと言う事は戦いの意思があると判断する――ならば、デュエルで貴様を葬るだけの事だ!!」


デュエルでか……まぁ、四の五の言うよりも分かり易と言えば分かり易いかな?
だけど、自慢じゃないけど僕も嘗てはカイザーと並び称される『キング』と呼ばれたデュエリストだ――正直言って、君に負けてあげる心算は毛頭ない。

其れに、此れは大事な作戦の前哨戦とも言える戦いだから、何としても負ける事は出来ないから、滅多に出さない本気を出すよ?
亮ですら、本気の本気を出した僕との勝率は五分だった……簡単に勝てるとは思わない事だね。


「優男がほざくな……私に挑んだ事を後悔させてやる!!」

「是非とも、させて欲しい物だね。」


「「デュエル!!」」


吹雪:LP4000
バードマン:LP4000



「先攻は貰うぞ!私のターン!!手札から魔法カード『サモン・ストーム』を発動!!
 ライフを800ポイント払い、手札からレベル4以下の風属性モンスターを特殊召喚する!来い『暴風小僧』!」
暴風小僧:ATK1500
バードマン:LP4000→3200



「そして、暴風小僧をリリースし、『神鳥シムルグ』をアドバンス召喚!!」
神鳥シムルグ:ATK2700


ふむ……1ターン目から上級モンスターの展開とは中々やるね?
しかも、シムルグの効果を考えると行き成り僕は1000ポイントのダメージを喰らう事になるからね。


「カードを2枚セットしてターンエンド!そしてエンドフェイズにシムルグの効果発動!
 互いのエンドフェイズ毎に、互いに1000ポイントのダメージを受ける……但し、此のダメージは自分がコントロールする魔法と罠で軽減できるがな。
 受けるダメージは、自分がコントロールする魔法・罠1枚に付き500ポイント軽減される!よって私の受けるダメージは0だ!!!」


吹雪:LP4000→3000


何とも厄介な効果だけど、君は其れで優位に立った心算かな?
だとしたら、甘すぎるよ?……僕のターン!!!――よし、来い『黒竜の雛』!!


黒竜の雛:ATK800


そして、黒竜の雛を墓地に送りその真の姿を今此処に顕現する!!来い『真紅眼の黒竜』!!


『グオォォォォォォォォォ……!!』
真紅眼の黒竜:ATK2400


「レッドアイズだと!?……闇属性のドラゴンの中でも極めて強い力を秘めたドラゴンが、貴様の僕だと言うのか!?
 だが、如何に高位のドラゴンであろうとも、モンスターのステータスとしてはシムルグの方が上――その程度では敵ではないぞ!!」


確かに、攻撃力2400のレッドアイズでは、攻撃力2700のシムルグには敵わないかもしれないね。
だけど、基本ステータスだけでは決まらないのがデュエルモンスターズだって言う事を忘れちゃダメだよバードマン?
僕は手札から装備魔法『レッドアイズ・フォース』を発動して、真紅眼の黒竜に装備!装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする!


『グオォォォォォォォ……!!』
真紅眼の黒竜:ATK2400→3400(レッドアイズ・フォース装備)


「こ、攻撃力3400だと!?」

「この程度で驚くようじゃマダマダだけど、取り敢えず此れがこの戦いの真のゴングを打ち鳴らす一撃だ!!
 バトル!真紅眼の黒竜で、神鳥シムルグに攻撃!!!焼き尽くせ『ダーク・メガ・フレア』!!!!」



――バガァァァァァァァァァァァアン!!!


「ぐわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!」
バードマン:LP3200→2500



悪いけど、僕は君のような人に手加減が出来るほど優しくはないんだ。
自分より力のない者を虐げて来た報いを、今此処で受けて貰うぞバードマン!!――精々数えて貰おうかな、君が犯した『罪』と言う物をね!!














 To Be Continued… 






*登場カード補足





サモン・ストーム
通常魔法
800ライフポイントを払って発動する。 手札からレベル4以下の風属性モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。



レッドアイズ・フォース
装備魔法
「レッドアイズ」と名の付くモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
装備モンスターは自分のターンのバトルフェイズのみ、このカード以外のカード効果を受けない。