Side:はやて


店長がパソコンに映し出した石板には、神を従えた遊奈そっくりの『名も無き女王』の姿が描かれとったけど……其れだけやなく、まさか私達までやと?
名も無き女王と共に描かれてるんは、オーガ・ドラグーンを従えた私と、光と闇の竜を駆る準、そしてジ・アースと共に戦う十代やないか!!

いくらデュエルモンスターズの起源が、古代のエジプトにある言うても、こないな石板があるなんて予想外を超えた予想外やでホンマに!!


「俺だって予想外だったよこんな事は。……だが、コウの奴は冗談ぽいボケはかましても、嘘は絶対に吐かない奴だし、仕事で手を抜く奴じゃない。
 どうやってこの石板を見つけて調べ上げたのかは知らんが、こうして堂々とデータを送ってくるのを見ると、コイツは本物と見て間違いないと思うぜ?」


そらそうかも知れへんけど、やっぱ驚きが尽きへんて。


せやけど、此処に描かれてる人達と、私達が関係あるとしても、私と遊奈に関してはちょっとおかしなことがあるんと違う?
仮に名も無き女王が遊奈で、オーガ・ドラグーンらしき龍を従えた巫女が私だとして、私も遊奈も、元々はこの世界の住人やなかったんやで?

前世で死んだ後に、輪廻転生してこの世界に来た言うのに、この世界の大昔の人物と、何か関係が有ったとかは流石に無理があるんやないやろか?


「確かに無理はあるあろうが、輪廻の輪の理は、あらゆる世界に干渉すると考えれば、その矛盾も説明できるかも知れんぞ八神はやて?」

「エヴァちゃん?……この矛盾を説明できるて……如何言う事やねん?」

「知らん――詳しくは、吉良の説明で納得しろ。」


偉そうな事言っといて、肝心な所は店長に丸投げか~~~~~い!!流石はエヴァちゃんやね!!
まぁ、エヴァちゃんは此れが基本運転やから突っ込むだけ無駄で、徒労に終わるだけやからアレやけど――詳しい説明、お願いしてもえぇよね店長?


「あぁ……だが、コイツは心して聞いてくれよ?」


分かっとるよ……覚悟は、とっくの昔に決めてあるからな!!










遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX152
『更に暴露された予想外の真実』











「迷いはないか……なら話すとするが、遊奈嬢ちゃんとはやて嬢ちゃんに限って言うなら、2人の魂は世界によって転生を先延ばしにされたと言える。
 本当ならば、2人は武藤遊戯と同世代の人物として輪廻転生する筈だったんだろうが――此処で、輪廻の輪の理を超えた事態が発生しちまった。」

「輪廻の輪の理を超えた事態だと?」

「……双六の爺さんが、千年アイテムの一つである『千年パズル』を手に入れ、『名も無きファラオ』の魂をもその手にしてしまったんだ。
 無論其れだけならば何の問題もなかったが、この時すでに『武藤遊戯が千年パズルを完成させる未来』は確定してしまった――其れが問題だった。」


え~~と、つまり如何言う事なん?


「千年パズルには名も無きファラオの魂が閉じこめられていた――三幻神を従える力を持ったデュエリストの魂がだ。
 同時に、遊奈嬢ちゃんの前世とも言える名も無き女王もまた三幻神を従える力を持っていた――あまりにも強い魂が、集う危険性があったんだよ。
 だから輪廻の輪は、遊奈嬢ちゃんと、そしてはやて嬢ちゃんの魂を、一度平行世界に転生させた後に、再びこの世界に転生させたんだろうな。
 そして、その影響で十代の坊主と万丈目の坊主もまた、本来とは生まれてくる時間軸がずれてしまったって訳だ……トンでもない事だけどよ。」


まさか、そんな事が!?
神を操るデュエリストの複数存在を回避する為に、遊奈は別の世界に転生し、其れにつられるように私もまた平行世界に転生した。

で、平行世界での生を終えて、今度はこっちの世界に転生した言う事か……マッタク持って、衝撃の事実も此処まで来ると、笑いを通り越してまうわ。


せやけど、其れを踏まえると、私と遊奈と十代と準が、妙にウマが合うのも納得してまうけどね。
けど店長、遊奈は其れで説明が付くとしても、私と十代と準は如何なんねん?ただ、遊奈につられて転生時期がずれたとかだけじゃ、説明付かんで?


「其れを説明する為に必要になるのが、海馬瀬人の存在だ。
 彼もまた神を従えるデュエリストであり、古代エジプトの石版に、前世の姿であろう『神官セト』が描かれている――王の友も存在して居たって事だ。
 其れがつまりは、はやて嬢ちゃん達の転生時期のずれになるわけさ。王の友も、適度な数を超えてしまうと、世界が許容できなくなるんだろ。」


社長の存在もまた関係して来るとは、ホンマに予想外の事だらけやで!!


ん?でもそうなると、アインスは其の頃の私等と会ってたんと違うの?
遊奈や十代達とはまるで初対面みたいな反応やったけど……その辺は、如何なんアインス?


如何と言われても、私はその頃の主や遊奈達と会った事はありません。
 いえ、それどころか、私の魂を宿した石板は、アテムの死後に王墓に封じられ、その後呼び出される事も有りませんでしたので……


そうなん?やったらしゃーないけど。
でも、もしもこの石板がモノホンやったとしたら、逆に謎が残る――何だって、こないな石板が今の今まで、古代エジプト展とかに出て来なかったんや?


「其れはな、コウによれば名も無き女王の時代は『歴史から抹消された歴史』って事らしい。この石板を見つけたのも奇跡に近かったらしいからな。」

「歴史から抹消された歴史だと?」

「其れって、如何言う事だよ店長?」

「其のままの意味だ。この女王と、その友達が治めていた時代の古代エジプトの歴史は、表の歴史からは抹消されてるんだよ。
 そんなモンを調べ上げたコウの能力はドレだけだと、小一時間ほど問い詰めたい気はするが――まぁ、其れに付いて彼是言うのは止めておこう。
 だが、抹消された理由は何となく想像が付く……女王と、その友が相手をしている奴を見てみな。」


女王と仲間達の敵?……え!?
な、何や此の姿は!?石板やから幾分ディフォルメされとるとは言っても、このローブを目深に纏ったとしか言いようのないコイツの姿は――!!


「ククク……そっくりだろう?『始まりの魔法使い』に?」

「そっくりどころか、まんまやで此れ!!
 其れに、コイツが従えとる3体のモンスターは……『万物の化身』『抹殺の大蛇』『恐怖の根源』って言うのは、一体……」

「其れに付いては分からんが、この石板は歴史のある出来事を描いているのだから、そいつ等は神を持って挑む程の相手だったと言う事だろ。
 まぁ、此処に描かれてるコイツが、あの始まりの魔法使いと同じかどうかは分からんが、マッタクの無関係ではないと思っておいた方が良いな。
 だが、この戦いは名も無きファラオとゾークの戦い以上の物であり、歴史として伝える事には差し支えたんだろう…だから記録がないんだ。」


成程なぁ……ある意味で『因縁の相手』ちゅう訳か。
やけど、それやったら尚のこと遊奈とヨハンを助けに行かなアカン!!

オベリスクの一発で、奴さんがぶっ飛んでくれたなら其れで良いけど、そうやなかったら遊奈とヨハンに、アイツの魔の手が伸びるかも知れへんやろ?


「その通りだ……最悪の場合、遊奈嬢ちゃんはこの『名も無き女王』と同じ運命を辿っちまうかもしれないからな。」

「同じ運命だと?…如何言う事だ店長!!」

「コウからの石版の説明には、こんな事も書かれているんだよ。
 『神を持って、悪しき者と対峙した女王と仲間達は、奮闘するも押し切る事は出来ず、女王は己の命を投げ出して敵を討った』ってな。
 遊奈嬢ちゃんの性格を考えたら、もしも始まりの魔法使いが生きてるとなったら、同じ選択をしちまうかもしれない……だろ?」


!!!!
た、確かにそうかも知れへん……前世でも遊奈は『最後に勝つ為』に自らの存在を差し出した部分が有るからな……その選択をしかねへん!!


「と言うか、場合によっては確実に選択するだろうなアイツは……」

「姉御は、誰よりも『漢気』を持った『女侠客』って感じだからな……」


……岬ちゃん、其れ本人に言ったらアカンからね?
褒め言葉の心算であっても、要約すれば『任侠心全開の女ヤクザ』とか言われたら、ちょ~~~~~っと、へこむからな?

けどまぁ、遊奈やったらその選択を迷わずするやろね。
如何に粋がった事言うても、いざ自分の命を懸ける場面に出くわすと、大体は躊躇するモンやけど、遊奈は迷わずカードを切る事が出来るからなぁ…

其れが、前世の更に前世から来とる言う事なら逆に納得やけどね。



「ふ……」

「む……何やねん店長、そないな笑みもらして?若造の無謀な考えとでも思っとるんか?」

「いや、そうじゃない……感心したのさ、お前さん達の肝っ玉のデカさにな。
 此れだけの常軌を逸した情報を得たら、普通人は混乱し、困惑し、ともすれば己のすべき事を見失いかねないが、お前さん達はそうじゃないらしい。
 マッタク、破格の報酬でコウに仕事を依頼した甲斐も有ったってもんさ。
 だが、エヴァが言うには、始まりの魔法使いは他者を乗っ取る力が有るらしいから、場合によっては遊奈嬢ちゃんやヨハンの坊主が――」


かも知れへんけど、その時は一発打ん殴って元に戻したるだけやろ?
そんでもって、その上で乗っ取ってた弩アホをぶちのめせば、其れでゲームエンドや――何も難しい事はあれへんよ、この面子やったらな!!!


「…だろうな……なら、俺から言う事はもう何もない!
 再び精霊世界に渡り、見事ダチ公を救い出して見せな……お前さん達なら、絶対に出来る筈さ!!其れとはやて嬢ちゃん、コイツを持って行きな。
 コウの奴が『偶然見つけた』とか言って、エアメールで寄越したカードだが、お前さんなら使いこなす事が出来る筈だろうからな。」


此れは…このカードは『クリティウスの牙』!?
嘗て海馬社長が使ったて言う、伝説のカード………其れが今此処に有るとは――有り難く拝領するで店長!!
コウさんにも、有り難く使わせて貰うって伝えといてや!!


「あぁ、分かった。」

「頼むで♪」

遊奈とヨハンを助けるためなら、私はどんな力でも受け入れる――例えそれがトンでもなく強大で危険な力であってもな!!!

もう、大切な人を失うのは沢山や……遊奈もヨハンも必ず助け出して見せるで!!無限煉獄の名に誓って、必ずな!!



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んで、再び精霊世界に行くためには、膨大なエネルギーが居るって事なんだけど、まさかクロノス先生と、エドとカイザーが参戦するとは思わなかった!
まぁ、この追加戦力は有り難いけど……なして、参戦を決めたん?


「愚問なの~ネ!大事な生徒が命懸けの事に挑もうとしているその時に、尻尾を巻いて逃げだす事なんて出来ないの~ネ!」

「俺としては、事象の行く末を見極めたかったのだ。」

「君達には、色々と世話になったからね……その礼さ。」


理由は三者三様やけど、この面子が戦力に加わってくれるなら何とも頼りになるで!!


此れだけの戦力が有れば、精霊世界であっても、怯む事はありえへんわ!!
ほな行くで!皆の力を集結して、もう一度精霊世界に出向いて、遊奈とヨハンを助けだす!!!―――異論は認めへんからね!!!!


「おう、そんな心算は毛頭ないぜ!!」

「やるべき事を成す…其れだけだ。」


せやな…ほな行くで!!来い『煉獄龍 オーガ・ドラグーン』!!


『グガァァァァアァァァァァァァァァァァガァァァァアァァァァァァァァァァァ!!!』
煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000



「遊奈を助けるための力を俺にくれ!頼むぜ『E・HERO ネオス』!!」

力を合わせよう!
E・HERO ネオス:ATK2500


「次元の壁を打ち抜け……『光と闇の竜』!」

『グガァッァァァァァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
光と闇の龍:ATK2800



「ふん……力を貸してやる。来い『バーサーク・デッド・ドラゴン』!!」

『グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
バーサーク・デッド・ドラゴン:ATK3500


エヴァちゃんまで参戦して、此れはもう絶対無敵やな!
これ以外にも、マックに麗華ちゃんと雪乃ちゃん、カイザーとエドとクロノス先生、岬ちゃんと剣山君と翔君にジム君とオブライエン君、果ては天上院兄妹
の力までも加わるんやから、此れはもう最強やろ!!

此れは、この面子でしくじったら、其れこそ一生モンの笑い者や……必ず救い出して見せるで遊奈、ヨハン!!



さぁ、もう一度精霊世界に殴り込みかけたろうやないか!!!














 To Be Continued… 






*登場カード補足