Side:はやて


デュエルアカデミア……戻って来た。確かに戻って来た……其れは間違いようもない。
デュエルゾンビにされとった生徒も元に戻ったみたいやし、始まりの魔法使いの気配も感じへん……やけど……それやけど、こんな事ってないやろ!!

確かに大局的に見れば、私等はアカデミアごと元の世界に戻ってこれて万々歳やって言えるかも知れへんけど、此処には遊奈とヨハンが居ない――!

あの2人は……特に遊奈は、私達を帰還させるためにあそこに残ってもうた……私等の為に人柱になる道を選んだ――選ばざるを得なかったんや!!

確かにそのお蔭で、私等は戻ってこれたで?……せやけど、大切な仲間の犠牲の上に生き長らえて、其れに何の意味があるんやねん!!
何で、如何して……前世に続いて今度もまた遊奈が犠牲にならなアカンの!?神様ってのは、そんなに遊奈の事が嫌いなん!?


こんなの……こんなのあんまりやないか!!


それとも、神様は私の事が嫌いなんか!?
前世で、なのはちゃん達を奪って……今度は遊奈を私から奪うって言うんかい!!――やったらふざけんな、このアホンダラ!今直ぐ遊奈を返せや!


「はやて………」

「大切な人を失うのは、一度で充分や……お願い……遊奈を此処に戻して……戻してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」










遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX151
『予期せぬ結果と、予期せぬ真実』











「……落ち着いたかしラ、ハヤテ?」

「うん……ゴメンなマック、取り乱してもうた――もう大丈夫やで。」

「ソウ?無理はしちゃダメヨ?」


うん……無理はせぇへんよ……やけど、遊奈とヨハンを精霊世界に置き去りにしたままには出来へん――もう一度、あっちに行って2人を救わなアカン。
多分、一流のデュエリストのエースモンスターを多数呼び出して、攻撃を集中させれば精霊世界への扉は開ける筈かやらね……


「そうなのか?だったら早速行こうぜ!!」

「勿論や!!……と言いたい所やけど、其れはアカンで十代。
 乗り込む前に、準備を万端整えへんとトンでもない事になりかねん……先ずは、乗り込む準備を整えるのが先決や!3日……其れ位は使わんとね。」



「3日か……少しばかりキツイが、今から頼めば多分大丈夫だろう。」


ほえ?店長!?……頼むって、何を?


「知り合いに、少しばかり色々とあらゆる事を調べて貰おうと思ってな……今からなら、多分3日後には調査の結果が明らかになる筈だろうよ。」


色々とあらゆる事を?……其れは、ドナイな事や?


「そいつは当日までシークレットだ嬢ちゃん………と言うか、結果が来るまでは俺もマルで分からねぇってのが本音だからな。」


そうなん?……まぁ、何でもえぇわ――情報は有って有り過ぎる事は無いからなぁ?
遊奈とヨハンをこっちに帰還させるための手掛かりになるモンやったら、どんな情報であっても、取りこぼさないように目を光らせとかなアカンからね!!

ほな、そっちは頼むわ店長――期待してるで?


「あんまり期待されると、アイツにプレッシャーがダイレクトアタックなんだが……まぁ、最低限の期待には応えてやるさ。」


うん、宜しくお願いするで店長!!
遊奈とヨハンは、必ず私達で精霊の世界から帰還させてみせるで!!








――――――








Side:店長


まさか、こんな結末が待ってるとは思わなかったが……物語は第一部の幕が下りたって所か?
なら、第二部の幕を上げるための準備ってのを確りとしとかねぇとな……特に『情報』ってのは、何よりも行動を起こす際に大事になるもんだからな。


――Lululululululululu……ガチャ。


『よぉ、如何した吉良?』

「元気そうだなコウ?……ちと仕事を頼みたいんだが、お前今何処に居る?」

『何処って……エジプトだけど?』


……実に良いタイミングで其処に居てくれたもんだが、なんだってそんな所に居るんだお前は!?
デュエルモンスターズの起源でも拝みに行ってるのか!?遺跡発掘か!?それとも、イシュタール姉弟に謁見か!?其れとも只の観光かオイ!!


『俺より強いデュエリストを求めて旅してたら、何時の間にかこんな所に来ちまったって所だな♪』

「お前の行動力には驚きだよ……」

『まぁ、デュエルが俺を呼んでるのでね!……んで、仕事だと?』


あぁ、エジプトに居るなら尚の事都合が良い。
どんな手を使ってでも構わないんだが、古代エジプトの遺跡に遊奈嬢ちゃんとはやて嬢ちゃん、其れから万丈目と十代の坊主が居ないか調べてくれ。
去年アカデミアのジェネックスで会ったあの嬢ちゃん達の事だ……そう言えば分かるだろ?


『あぁ、ちょいとあっただけだが覚えてるぜ?ありゃあ全員良いデュエリストになるだろうさ。
 だけど、何だって其の4人の痕跡をエジプトの遺跡に?……まさかとは思うが、そいつ等が古代エジプトに関係してたとか言わないよな?』


そのまさかだ。
特に遊奈嬢ちゃんは其の線が濃厚なんだよ――なんてったって、武藤遊戯の象徴たる『三幻神』を、シンクロ化したとは言え全て従えてるんだからな。
序に言うなら、ちょいとしたごたごたで遊奈嬢ちゃんが行方知れずになっちまってな…それを探しに行く前に、知っておきたいんでね。


『三幻神を!?……そいつは確かに、調べてみる価値はあるな?そうなると、他の3人も何かあるかも知れないって事か?
 で、探しに行く前に必要な情報であると――OK、任せときな!……だが、まさかタダ働きとは言わないよな?』

「報酬は50万。更に、双六爺さんに頼んで、遊戯とデュエルして貰えるようにする――コイツで如何だい?」

『破格な報酬だが、其処まで積まれたらやるしかねぇな?上等だ、可能な限りの事を調べつくしてやる。
 明日の夕方には粗方調べ終わるから、そん時にまた連絡するぜ――ったく、何時ものことながら、お前の周りには厄介事が尽きねぇな吉良よ?』

「確かにそうだが、刺激的と思えば如何と言う事は無いさ……調査の方、頼んだぜダチ公?」

『オウよ!大船に乗った心算で居ろや親友!』



マッタク持って、こう言う事に関しては頼りになる。持つべき者は友だな。


――で、如何したエヴァ?何か言いたそうだな?


「単刀直入に言うぞ吉良――コウも含めてだが、何者だ貴様等?
 一介のカードショップ店主と、放浪デュエリストでは済まんぞ……貴様と奴の実力、そしてこの独自の情報網……一般人とは言い難いのだがな?」

「何者かと言われても、俺は俺でコウはコウさ。それ以上でもそれ以下でもない。
 敢えて言うなら、アイツとはガキの時分からの付き合いで、アイツはガキの頃から調べ物が得意だったとしか言いようがないね。
 だがまあ、確実に言える事は、俺もアイツも脳味噌がカードで出来てるレベルの『デュエル馬鹿』って事さ――十代の坊主に負けず劣らずの……な。」

「フン……まぁ良い、貴様が何者であろうと私に直接の関係は無いからな。
 だが――明石遊奈が古代エジプトと何か関係があったと言うのは、正直興味があるな?……奴が何故、三幻神を従えたのかも気になるしな?」


そいつはコウが明らかにしてくれるだろうよ。
そして、俺の勘が正しけりゃ、はやて嬢ちゃんと、万丈目と十代の坊主もまた古代エジプトと、或はそれ以前からの関係であったかもしれないからな?

そいつを知り、理解する事であの子達の力は更に強くなると俺は思ってる。
遊奈嬢ちゃんとヨハンの坊主を助けるために、もう一度精霊世界に行く以上は、今以上のレベルアップは必須だろうからな……


「成程な……で、貴様は行くのか?」

「今度はパスだな、店を空ける訳にも行かんからな……若い者に任せて、三十路過ぎのオジサンは結末を見届けさせて貰うさ。」

大体にして、出張った所で俺の出番はないだろうしね。
俺が出来るのは情報を渡してやるだけだ……其処から先は、若い奴等の領域さ。

裏方として出来る事はやってやる……だから、ちゃんと遊奈嬢ちゃんとヨハンの坊主を、精霊世界から連れ帰って見せな……次代を担う決闘者達よ!








――――――








――3日後



Side:はやて


帰還してから3日、ただいま私と十代と準、其れから翔君と剣山君とマックと岬ちゃんと、天上院兄妹と三沢君と、ジムとオブライエンが食堂に集合中。
何でも店長が、調べて貰った事を明らかにするらしい……はて、何を調べたんやろうなぁ?


「おし、全員揃ってるな?……先ず最初に言っときたいんだが、此れから俺がお前さん達に話す事は絶対に他言無用で頼む。」

「他言無用とは、普通やないな?……其れほどのモンなんか、店長の得たモンは?」

「其れほどの物……だな。――まぁ、見てみれば分かるさ。
 コイツは、古代エジプトの遺跡なんだが、この壁画をよく見てみな……何か気付かないか?」


相当な凄い情報みたいやけど、この壁画が何か?……此れは、古代のデュエルの模様やろか?
やけど、その中で特に目を引くのは壁画上部に描かれた『三幻神を使役する、左右非対称の髪型の名も無き女王』や!――此れは遊奈やないの!?


「正解だはやて嬢ちゃん。……この壁画に描かれてるのは遊奈嬢ちゃんなのさ。
 時代的には名も無きファラオの後の時代だろうが、其れでもかの女王には神を操る力が有った――その魂が遊奈嬢ちゃんには受け継がれてるんだ。
 だからこそ、シンクロ化したとは言え遊奈嬢ちゃんは三幻神を従える事が出来たんだ……神に認められた存在だった訳だからね。」


なんと!?此れはまた衝撃の事実発覚や!!
遊奈が、名も無きファラオの後で政権を引き継いだ女王の魂を継ぐ存在やったなんて、予想外にも程があるわアホンダラ!!


「だが事実だ。そして其れだけじゃない――今度はコイツを見てくれ。」


ほへ?
切り替わったパソコンの画面に映し出されたのは、新たな壁画やけど――こ、これはどんな冗談や!?流石に笑えんで店長!!


「冗談な訳ないだろう?……俺だって驚いてるんだ。」


冗談やないって……だけど此れは、さっきの遊奈以上に衝撃的やで!?

だって、石板に描かれてたのは『煉獄の龍を従える巫女』『マァトの羽根の化身を操る神官』『英雄と心を通わせた神官』。


その姿はまるで、自身のエースモンスターを呼び出した、私と準と十代の姿であると言っても過言やないものやった――















 To Be Continued… 






*登場カード補足