Side:遊奈


取り敢えず、敵さんの事は分かったとして、此れから如何するよ?
少なくとも始まりの魔法使いをフルボッコにするまでは此処で生活しなきゃならない訳だけど、周りは見渡す限りの砂漠って、ちょっとヤバくね?

幾らアカデミアに備蓄食料があるって言っても、全生徒の分を考えたら持って1週間てとこじゃねーの?……其れを過ぎたら空腹との戦いだっぜ?


「場所が砂漠言うのが最大の難点やな。
 せめて海沿いか川沿いやったら、魚族のモンスターを釣り上げて食糧に出来たかも知れへんのに……!!」

「色々と突っ込みどころがあるが、一体何を食料にする心算だったんだお前は?」

「カードのフレーバーテキスト的に『ジェノサイド・キングサーモン』は食用になる筈や!!
 それから『フライングフィッシュ』や『レインボーフィッシュ』かて調理の方法如何によっては食す事も出来るやろ!後は『非常食』もってこんかい!」

「幾ら何でも無茶苦茶だなオイ!!

「お~~、その手があったか!!」


ジェノサイド・キングサーモンは兎も角レインボーフィッシュはどう調理しても美味くなさそうなのに感じるのは私だけかね?
ぶっちゃけ、食用にするなら『ボア・ソルジャー』とか『暴れ牛鬼』とか『音速ダック』が妥当じゃね?豚と牛とアヒルだし。


「豚の丸焼きにローストビーフに北京ダック……確かにありやな……」

「豚の丸焼きか~~、美味そうだな♪」


でしょ?……まぁ、周りが見渡す限りの砂漠でも、『砂バク』とか、食糧になりそうなモンスターは居るかも知れねーけどね……


「食糧が尽きた暁には……本気みたいだな?」

「生きるためには、他の命を屠る事も是とする覚悟も必要なんだぜ準……出来ればそうなる前に、黒幕ぶっ倒して元の世界に帰りたいけどね。」












遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX142
『帰還と打倒の策はViolence?』











で、最大の問題は黒幕たる『始まりの魔法使い』よ。
そもそもそいつは、私の前世である世界に於いてネギ君にブッ飛ばされたんでしょ?其れが何だってこの世界に居る訳?訳わかんねーんだけど?


「あくまで推測に過ぎんが、ある意味で貴様や八神はやてと同様かも知れんな。
 ぼーやにブッ飛ばされた始まりの魔法使いは、確かにあの世界からは消え去ったが、次元を超えてこの世界に降り立った…多分そう言う事だ。
 そしておそらく奴は、自身の完全復活を目しているのだろうな――デスデュエルを通じてデュエルエネルギーを集めていたのもその為だろう。」


ある意味で転生ってか?
でも、テメェの復活の為に私等のデュエルエネルギーを貪り取るとかふざけんなってんだ!!デュエリストの魂利用しやがって!!

いんや、それ以前にコブラも結局は始まりの魔法使いに操られてたって事だよね?
散々ぱら操って利用して、役目を終えたら捨てるって……人の命をなんだと思ってんのよ、この腐れ外道が!!


「何とも思ってはいないだろうな。
 奴は不滅の存在ゆえ、有限の人の命など『虫けら』程度にしか思っては居ないだろうよ……人の身体を乗っ取るようなクソ野郎なのだからな。」

「……ホンマにクズやなそいつは。
 人の命は有限だからこそ価値がある言うのに、其れを虫けら扱いやと?……不滅やからって神にでもなった心算か?……反吐が出るわ!」

「命は何にだって一つだが……其れを道具扱いするとはな……怒りを通り越して、呆れて物が言えん。」

「ホントにトンでもない奴だぜ……始まりの魔法使いとか言う奴はは、全力でぶっ倒さねぇと気がすまねぇ!!」


だよねやっぱり!
けど、問題はどうやってぶっ倒すかよ。不滅にして不死ってんならデュエルでぶっ倒すだけじゃ多分足りない…存在そのものを消滅させないと――



「此処に居たか!」


ん?どったの三沢?


「元の世界に帰る方法と、始まりの魔法使いを倒す方法を割り出せたから其れを伝えに来たんだよ。
 全てが巧く行けば、帰還と敵の撃滅の両方を一気に行う事が出来るかも知れないんだ。」

「マジかよ三沢!
 良くやってくれたぜ!流石『アカデミア一の頭脳』って呼ばれてただけの事はあるぜ!!」

「今此処でその情報は有り難いモノだ――で、具体的に如何すれば良い?」

「元の世界に帰るには膨大なエネルギーのぶつかり合いが必須になるから、戻るだけならば其れを発生させればいい。
 そして始まりの魔法使いとやらを倒す方法だが……その前に一つ確認させてくれエヴァンジェリン、俺達の敵は肉体を持たない存在なんだな?」

「あぁ、奴は自らの肉体は持たん。
 言わば魂だけの存在で、他者の肉体に乗り移り、其れを支配して活動を続けている――故に不滅だと言うのだ。」

「其れが分かれば十分だ……つまり相手はエネルギー体と言える存在だ。
 ならば、そいつを構成しているエネルギーよりも強烈なエネルギーをぶつけてやれば、理論上は跡形もなく吹き飛ばすことが出来る筈なんだ。」


な~る~~!
相手がエネルギー体なら、より大きなエネルギーでブッ飛ばせって事ね?……何とも分かり易い手段じゃないのよ――力押しは得意だぜ?

けどさ、不滅の存在を吹っ飛ばすとなると相当のエネルギーが必要でしょ?
ぶっちゃけ、私達のエースモンスターの攻撃をぶつけても足りねーと思うんだけど、そのエネルギーは如何すんのよ?


「神と幻魔だよ。
 遊奈、君の持つ神と、アカデミアに封印されている三幻魔の力をぶつければ其れは物凄いエネルギーを発生させる事が出来る筈だ。」

「神と幻魔を!?いやいやいや、其れは流石にリスクの方がでけーって!!
 まして、私の神は未だ全部揃ってねーのよ!?不完全な三幻神と三幻魔をぶつけるのは流石に危険すぎんじゃねーの!?」

「私も同意見や……此れはリスクの方が大きいで?」

「勿論対策は考えているさ。そこで重要になってくるのがヨハンのオーロライトなんだ。
 ヨハンのオーロライトも十代達のエースに負けずと劣らない力を秘めて居る上に、アレはペガサス会長が生み出したオンリーワンのカードだろ?
 その力を持って、神と幻魔のぶつかり合いで生じるエネルギーを制御するんだ。俺達は帰還し、そして敵は倒すようにね。」


ヨハンのオーロライトが要ってことか。
でも、やっぱり難を言うなら最後の神である『オベリスク』も何とか手に入れておきたいとこよね?三幻神が揃えば、作戦はより盤石になる訳だし…


「まぁ、確かに三幻神が揃っとれば心強いけど、ない物ねだりしたってしょうがないやろ?
 其れに、オーロライトの力が必要言うなら、まだ完成してない『オーロライト・ギャラクシー・ドラゴン』かて欲しい所や。今はあるモンでやらんと。」


ですよね~~~。
あ~~~、くっそ~~~!向こうの世界と連絡を取る事が出来ればペガサス会長に直談判するところなのに~~~~!!

まぁ、ないモノはしゃーないぜ……その方向で行きまっしょい!!


「俺のオーロライトが必要なら、協力は惜しまないぜ!!」

「おわぁ、吃驚したぁ!!何時の間に現れたんだよヨハン!!」

「いや、何となく呼ばれてる様な気がしたからな?」


エスパーかアンタは!?
けどまぁ、ヨハンの力が必要ってのは間違いないから、作戦決行の時は頼むよ?頼りにしてっからさ!


「おう!任せときな!――ん?誰か来るぞ?」


誰か?……アレはえ~と……確かイエロー生徒の『田中康彦』だったかな?
どったの康彦、私等になんか用?だったら手短に済ませて欲しーんだけどさ?


「……………」

「田中君?お~~い、私の声聞こえとるか~~~?」

「……………」


待ってはやて、何か様子がオカシイ!
何か目つきが怪しいし、私等の事をちゃんと認識してるかどうかも疑わしいぜ!……まさかコイツ、始まりの魔法使いに操られて――!!


「……デュエル………俺と……デュエルしろ。」


間違いない、コイツは始まりの魔法使いの手先になっちゃってる!
んの腐れ外道が……アカデミアの生徒まで自分の手駒にする気かよ!!

多分デュエルでぶっ倒せば正気に戻るんだろうけど……だったら上等だ、相手になってやるぜそのデュエル!!


「待て明石遊奈、このデュエルは私が預かる!」

「ほえ?エヴァちゃん?」

「貴様と八神はやて、遊城十代と万丈目準はアカデミア防衛の要だ、其れをこの程度の雑魚とのデュエルで消耗させる事は出来ん。
 貴様等のデュエルの腕前は私の其れを遥かの凌駕しているからな?コイツ程度に発揮してやる事も有るまい?……コイツ如き、私で充分だ!」


エヴァちゃん!――OK、其れなら任せるぜ!!
だけど、エヴァちゃんだってデュエリストとしての腕は一流なんだから負けてくれるなよ?アンデッドを総べる真祖の姫のデュエル、見せて貰うぜ!








――――――







Side:エヴァンジェリン


始まりの魔法使い……外道はトコトン外道か。
よもやアカデミアの生徒を操って手駒にするとはな――マッタク持って反吐が出る。私を人で無くした事を考えても、アイツは真の外道畜生だな。

しかもその生徒を刺客として送り込むとは、嫌味と皮肉を最大限に含んで言うが、マッタク持って良い性格をしているモノだ。


まぁ、デュエルで決着が付くと言うのならば分かり易いがな。
先ずは私達の前に現れた雑兵を撃滅してやるとしよう……覚悟は良いな操り人形が!!


「「デュエル!!」」


エヴァンジェリン:LP4000
康彦:LP4000




「あう……俺………先攻。」


先攻が欲しいのか?……良かろう、先攻は貴様に譲ってやる。
どうせ勝ちが確定して居るデュエルだ、其れ位は譲ってやる……だが、精々私を楽しませてくれよ?不完全燃焼のデュエルでは物足りないからな。


「俺のターン……『ゴブリン突撃部隊』を攻撃表示……」
ゴブリン突撃部隊:ATK2300


「カードを1枚セットしてターンエンド。」


初手から攻撃力2300のモンスターか……だが、その程度は威嚇にもならんわ!!
魅せてやろう、本物のデュエルと言うモノを!!私のターン!!……此れは行き成り良いカードを引いたな?…このデュエルは此処で終わりだ!


「な……に?」

「手札から魔法カード『屍龍の目覚め』を発動!
 手札を1枚捨て、ライフを半分払う事で、デッキか手札から『バーサーク・デッド・ドラゴン』を召喚条件を無視して特殊召喚する!!
 冥府の底から蘇れ、死してなお生き続ける闘争本能で全てを喰らい尽くせ!!降臨せよ屍龍…『バーサーク・デッド・ドラゴン』!!」

『キュゴアァァァァァァァァァァァァァ!!』
バーサーク・デッド・ドラゴン:ATK3500
エヴァンジェリン:LP4000→2000



更に装備魔法『巨大化』をバーサーク・デッド・ドラゴンに装備!
私のライフが相手よりも低い場合、装備モンスターの攻撃力は2倍になる!!

私のライフは2000で、貴様のライフは4000……よってバーサーク・デッド・ドラゴンの攻撃力は倍化し、その攻撃力は7000ポイント!!


『グオガァァァァァアァァァ!!!』
バーサーク・デッド・ドラゴン:ATK3500→7000(巨大化装備)




「攻撃力7000……スゲェよエヴァ!!まさか1ターン目からこんなモンスターを呼び出すなんて!!
 しかも攻撃力が7000もあるなら、このターンのバトルが成立すれば1ターンキルだ!……やっぱ、エヴァンジェリンもハンパ無いぜ!!」

「いよっしゃ~~~!やっちまえエヴァちゃん!!
 最強最大の屍龍の一撃で、操られてる奴の目をばっちり覚ましてやって!!」


言われるまでもないわ!!
覚悟は良いな三下!バーサーク・デッド・ドラゴンで、ゴブリン突撃部隊に攻撃!『フェイル・デッド・ブレス』!!


「トラップ発動『聖なるバリア-ミラーフォース』………此れで全滅……」


なにぃ、ミラーフォースだとぉ!?


……とでも言うと思ったか小童が!!
ミラーフォースなどおそるるに足らんわ!!手札から速攻魔法『我が身を盾に』を発動!
ライフを1500ポイント払い『フィールド上のカードを破壊する効果』を無効にして破壊する!このれで貴様のミラーフォースを無効にしてくれる!!


エヴァンジェリン:LP2000→500


「そんな馬鹿な……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
康彦:LP4000→0


ふん……この程度では相手にならん。
だが、コイツを倒したからと言って、其れで終わりと言う訳には行かんようだな………


「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」


「うぇ~~い、如何にもヤバそうなのが色々現れたんですけど……此れ如何したもんだ?」


一々デュエルで突破していては無駄に時間を費やすだけだ――我等のエースモンスターで吹き飛ばしながら突破するぞ!!遅れるなよ貴様等!


「誰のモノ言ってんだいエヴァちゃん!私等が遅れる訳ね―でしょうが!行くぜ『天星龍 スターダスト』!!」

『ゴォォォォォォォォォォォォ!!』
天星龍 スターダスト:ATK2500


「この程度の相手、障害にもならへんわ!!纏めて吹き飛ばす……出番や『煉獄龍 オーガ・ドラグーン』!!」

『グオォォォォォオォォォォッォォ!!』
煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000


「貴様等に私怨はないが、此処は道を開けて貰うぞ!来い『光と闇の竜』!!」

『フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!』
光と闇の竜:ATK2800



「俺達の邪魔はさせないぜ!!頼むぞ『E・HERO ジ・アース』!!」

全てを此処で吹き飛ばす!!
E・HERO ジ・アース:ATK2000


「此処を切り抜けないとだよな……力を貸してくれ『オーロライトの姫騎士 アルトリウス』!!」

此れは……分かりました、我が剣で全てを吹き飛ばします!
オーロライトの姫騎士 アルトリウス:2600


揃いも揃ってエースモンスターを呼び出すか……そう来なくてはな!!
行くぞ!道を開けろ雑魚共!!貴様等如き一々デュエルで相手をするのも面倒くさいわ!!――其処で地面に這いつくばっているが良い!!


――バガァァァァァァァァン!!


「「「「「「「「「「たわらばぁぁぁぁぁあ!!」」」」」」」」」」


ふん、操り人形如きが私達に勝てると思うなよ?

だが、アカデミアの生徒を手駒にするとは、予想以上の外道だな始まりの魔法使いよ?
貴様の事は必ずや滅してやる……私では無理だろうが、アカデミアの四天王+αが貴様を滅する!精々首を洗って待っているが良いわ!!












 To Be Continued… 






*登場カード補足




屍龍の目覚め
通常魔法
手札を1枚捨て、自分のライフを半分払って発動する。
自分のデッキか手札から「バーサーク・デッド・ドラゴン」1体を選択し、召喚条件を無視して特殊召喚する。