Side:エヴァンジェリン


飛ばされた先が、デュエルモンスターズの精霊世界とは、何とも愉快な事だな?
見渡す限り一面の砂漠だというのには少々参るが、だからと言ってへこたれるほどの事でもない……寧ろ精霊世界等実に楽しめそうではないか!


だが、其れは其れとして、見逃せない事も有るにはあるのだがな……


「エヴァンジェリンさん、聞きたい事が有るんだけど良いか?」

「ジャッカル岬か……私に答えられる範囲で良ければ何でも聞くが良い。
 が――貴様の聞きたい事など分かり切っている、私と――『奴』の、明石遊奈とコブラのデュエルの直後に現れたアレの事だろう?違うか?」

「!!……その通りだ。
 アイツは一体何者なんだ?途轍もないトンでもないモノを感じたが――エヴァンジェリンさん、アンタとは古い知り合いなんだろ?」


私の予測が正しければ、古い知り合いであると言えなくもないが、確信がなくてな。
だが、奴が私の予想通りの相手であったとしたら、此れは相当に面倒な相手である事は間違いなかろうな……其れこそ難易度は最上級クラスだ。


ともあれ、詳しい事は明石遊奈達が戻って来てからだ。





尤も、今この場で感じる嫌な予感は、到底拭い去る事が出来ないモノの様だがな……一体、何が起きようとしているのだろうな……












遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX139
『精霊世界で思わぬ再会?』











Side:十代


予想はしてた、大体の予想はしてたんだけど……



「その程度か……つまらんな。」
万丈目:LP3000
光と闇の竜:ATK1800
レア・ゴールドドラゴン:ATK2500



「くぬ………貴様ぁ!!!」
タイタン:LP2000



圧倒的に万丈目が強過ぎるな此れ。
タイタンだって決して弱くないけど、後攻1ターン目で呼び出された光と闇の竜を突破出来ずにずるずるとライフを失って、残りライフはあと半分だ!

光と闇の竜の事も考えて、万丈目は通常モンスターの上級ドラゴンを追加戦力で呼び出したってのも大きいよな。
光と闇の竜も無効効果も、あと2回使えるんだ……このまま押しきっちまえ!!


「俺はカードを2枚セットしてターンエンド。」

「私のターン!!……手札から魔法カード『ブラック・ホール』を発動し、フィールド上のモンスターを全て破壊する!!」

「無駄だ……光と闇の竜の効果で、ブラック・ホールは無効となる!!」
光と闇の竜:ATK1800→1300


「更に魔法カード『精神操作』!!」

「無駄だと言っている!!!」
光と闇の竜:ATK1300→800


どんなに強力な効果であろうと、光と闇の竜の前ではその力は発揮しきれないってっ事だぜ!!
けど、アイツも其れ位は分かってる筈だから……目的は光と闇の竜の弱体化って所か。攻撃力は800まで下がって無効能力も使えなくなったし。


「此れで光と闇の竜の効果はもう使えまい!
 如何に最強クラスのドラゴンとは言え、攻撃力800で効果も使えぬとなれば恐れる存在ではない!此れで全ての準備は整った!!」

「ほう?……ならば御託を並び立てていないで掛かって来い。光と闇の竜は簡単には攻略出来んと教えてやる。」


だよな!
確かに、光と闇の竜は最大級に弱体化させられたけど、其れだけで万丈目を倒せるなら誰も苦労はしないぜ?最強の竜使いの力を見せてやれ!


「行くぞ!私は墓地の5体の岩石族モンスターをゲームから除外し、『メガロック・ドラゴン』を特殊召喚する!!」

『ガオォォォォォアァァァァァ!!』
メガロック・ドラゴン:ATK?



「メガロック・ドラゴンの攻撃力は、特殊召喚の際に除外した岩石族モンスターの数×700ポイントとなる。
 私が除外したモンスターは5体!よって攻撃力は、その700倍の3500ポイントとなる!!」

『グオォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
メガロック・ドラゴン:ATK?→3500



攻撃力3500!!コイツを呼び出すのが目的だったのか!……アレ?だとしても光と闇の竜をあそこまで弱体化させる必要ないよなぁ?
無効能力使わせなくても、攻撃力3500なら倒せるし、そうすれば万丈目のフィールドは壊滅するって言うのに……何でだ?


「此れが私の切り札だ!手札から魔法カード『岩盤崩落』を発動!
 このターン、私の岩石族モンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、相手に破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!
 このカードの効果と戦闘ダメージで、貴様は終わりだ!!」


そのカードを有効にするためだったのか!!
光と闇の竜がやられたら、戦闘ダメージ2700の効果ダメージ2800で一撃必殺が成立しちまうじゃないか。決まればの話だけどさ。


「バトルだ!メガロック・ドラゴンで、光と闇の竜に攻撃!!『インフィニティ・ガイア・フォース』!!」


この攻撃が通れば、万丈目は終わりだけど………


「まぁ、通ればね?」

「通ればなぁ?」

「通ればなの~ネ。」


どうにも通るとは思えないんだよなぁ……てか、寧ろ万丈目はこの展開を望んでたみたいだしな?


「たった1ターンで攻撃力3500のモンスターを呼び出し、尚且つ一撃必殺のコンボを仕掛けてきた点だけは褒めてやる。
 だが、光と闇の竜が破壊された時の効果があるにも拘らず、上級モンスターと伏せカードを出した事に疑問はなかったのか?」

「なに!?」

「光と闇の竜は、破壊された時に俺のフィールドを壊滅させる代わりに墓地のモンスターを復活させる。
 だが、ディスアドバンテージの方が大きいのは火を見るよりも明らかだからな……フィールド上に大量のカードを出すのは愚の骨頂でしかない。
 其れでも尚、俺が2枚のリバースカードを出した事に疑問すら感じなかったのか?だとしたら、貴様は所詮二流だタイタン!!」


やっぱり万丈目は仕込んでたんだな?
タイタンが、光と闇の竜を弱体化させて来る事まで考えてデュエルを組み立ててたのか!やっぱり万丈目はスゲェ!オベリスクブルー最強だぜ!


「光と闇の竜が貴様如きに攻略できると思うなよ?リバースカードオープン、速攻魔法『禁じられた聖杯』
 このカードの効果で、光と闇の龍の効果を無効にし、攻撃力を400ポイントアップする!!」

『キョアァァァァァァアァァァ!!!』
光と闇の竜:ATK800→3200(効果無効)


「此処で攻撃力を……だが、攻撃力はメガロック・ドラゴンの方が上だ!」

「其れは如何かな?リバースカードオープン!トラップカード『巨竜の勅命』
 俺のフィールド上にレベル7以上のドラゴン族モンスターが存在する場合、次の俺のターン終了まで相手モンスターの効果を無効にする!
 此れにより、メガロック・ドラゴンの効果は無効になり、攻撃力は0のモンスターになり果てる!
 そして、光と闇の竜の効果が無効になって居る今、このカードの効果を阻害する事はない!!」

「ば、馬鹿な!!」
メガロック・ドラゴン:ATK3500→0


「上級モンスターの召喚に浮かれすぎたな?其れが貴様の敗因だ!
 光と闇の竜よ、メガロック・ドラゴンを返り討ちにしろ!眩い閃光の前に吹き飛ぶが良い!『シャイニング・ブレス』!!!」


――ゴバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!



「そ、そんな馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
タイタン:LP2000→0


「この程度では、肩慣らしにもならん……俺に挑んだ事を、精々後悔するんだな!」


ハハ……終わってみれば、万丈目はコスト以外のライフ減少はない、事実上のパーフェクト勝利じゃないか!
分かり切ってた事だけど、万丈目は強いって改めて認識させられたぜ……でもって、こんだけ強いデュエリストが同学年なんて恵まれてるよな俺。


兎に角タイタンは倒したんだ、ならあの船を調べようぜ?何か分かるかも知れないからさ!








――――――








Side:万丈目


タイタンを倒して辿り着いたこの船だが……ふむ、特に老朽化して居る訳ではない所を見ると割と新しいモノなのかも知れん。
この船が何なのかを突き止める事が出来れば、色々と分かる事も有るんだろうが……如何だ遊奈、何とかなりそうか?


「いんや、無理。
 此れ完全に電源が死んでるから、艦内のモニターとかメモリーを見るのは無理っぽいよ?……電源さえあれば見る事が出来るかもなんだけど…」

「其れでは如何しようもないか……電源の確保など出来そうにないからな。」

「電源の確保やと?……やったら何とかなるかも知れへんで?」


如何言う事だはやて?


「百聞は一見に如かず!出番やでフェイトちゃん!!」

「確かに電気なら私の出番だね。」


そいつは!!……と言うか、常時実体化してる訳ではないんだな精霊は……
だが、確かに雷を操るそいつならば、艦の電源を一時的に復活させる事も出来るだろうが――大丈夫なのか?吹き飛んだりしないだろうな?


「力の制御は出来るから大丈夫。まぁ、見ててよ?
 覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ……プラズマスマッシャー!!



――バチィィィィイィ!!……ヴォン……



雷撃一撃で電源が復活しただと!?
だが、此れは有り難いな?……電源が復活すれば、色々調べる事も出来るからな。出来るだけ多くの情報を持って帰りたいものだな。








――――――








Side:遊奈


雷光一撃でシステム復旧させるとは、流石はフェイト、尊敬したって罰は当たらねーわね。マジで強いしね。
んで、システムが復旧した訳なんだけど、何か分かったかね朝倉?


「うんにゃ、ぶっちゃけ其れほど有力な情報は得られなかったってのが本音だね。
 精々分かったのは、比較的新しい艦であるって事と、同型の艦は世界中に売られてるって事……その中にはガラム財閥も含まれてらしいさね。」


ガラム財閥って……アモンの実家じゃん!
けど、この艦がアモンの物だったとして何をしようとしてたのか分からねぇと何も出来ねぇか…こりゃ事実上の収穫ゼロって事になりそうだわマジで。


「まぁ、この船が私等の時間軸から来た言う事が分かっただけでも僥倖や。
 つまり、あの閃光はアカデミアだけよのうて、その他の何かを巻き込んだ可能性があるて言う事やからね…まぁ、其れだけや、そろそろ帰ろか?」


だね、今帰らないと陽が沈みそうだしね。



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で、艦外――コイツは何とも見事な夕陽だね。
まぁ、其れは其れとしてアカデミアの方に戻らなきゃならない訳なんだけど……遥か向こうに、な~~~~んか見えるぞ?


「お~い!おぉ~~~い!!」





「アレって……若しかしなくても三沢君やない!?」

「いぃ!?ジェネックスの後で姿を見ないと思ったら、精霊世界に飛ばされたのかよ三沢!!」


「十代、はやて……遊奈と万丈目に加えてクロノス先生までか……生き長らえた価値もあったな此れは。
 俺は、ジェネックス終了後、ツバイン・シュタイン博士に師事し様々な事を学んだが、ある日実験の影響でこの世界に飛ばされてしまったんだ。」


で、其処に私等が現れたと……超ミラクルだよね其れって。


だけど、私等が色々調べに来た場所にごく近い位置で三沢を発見したって言うのは多分偶然じゃないと思うわ。


取り敢えずアカデミアに戻ろうぜ?色んな事は戻ってからだよ。



何が起きてるのか、此処は何処なのか……其れを知らねば、何も出来そうには無い訳だからさ。





だけど、なんだか胸騒ぎがする……其れこそ、前世で命を落とす前に感じたような嫌な予感が――私の杞憂であれば、其れで良いんだけどね……
















 To Be Continued… 






*登場カード補足



岩盤崩落
通常魔法
自分フィールド上に岩石族モンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
このターン自分の岩石族モンスターが、相手モンスターを戦闘で破壊して墓地に送った場合、
相手に破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。



巨竜の勅命
通常罠
自分フィールド上にレベル7以上のドラゴン族モンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
次の自分のターン終了まで、相手モンスターの効果を無効にする。