Side:はやて


さてと、準達は無事助け出したけど、正直如何したもんやろうか?
シャマルにサーチして貰った限り、この先は物凄く入り組んだ迷路みたいになってるみたいやから、迂闊に進むんは如何考えても愚の骨頂や。

せやけど、進まなければコブラの下に辿り着く事は出来へん……其れだけに頭が痛いわぁ。
此れが単純に複雑なだけやったら、邪魔な壁とか床を直射砲で打ち抜いてやれは良いだけなんやけど、其れで済む問題でもなさそうやからなぁ?

結局のところはコブラの奴をデュエルで叩きのめす以外の策はないって事になるわ。



……尤も、私や遊奈、其れに準や十代をはじめとする、現在のアカデミアの強豪が出張ればコブラに後れを取る事なんぞ絶対に無いやろうけどな。
でもや、それでも道筋が全く不明ってのは幾ら何でも如何にも出来んわ~~!!

どうしろってんや此れ!?このままだと無駄な時間を過ごす事になってまうぞ!?



――こっちだ。」


へ?なんや行き成り?


「俺について来い、迷わずにコブラの元に連れて行ってやる。」

「アンタはオブライエン!!……アンタはコブラの配下やなかったの?」

「配下だったさ、俺は傭兵だからな。
 だが、いくら金で雇われる傭兵だとしても、傭兵には傭兵のプライドがある……奴は其れを踏みにじった!契約を破棄する理由は充分すぎる!」


此れは此れは……何があったか知らんけど、オブライエン君も相当にコブラに腹立ててるみたいやな?
私から見ても此れは演技とは思えんし――OKや、道案内頼むでオブライエン君!


「任せておけ、この施設の事は大体把握したからな、お前達をコブラの下に連れて行く事くらいは造作もないさ。」


成程……なら頼りにさせてもらうわ。
何にしても、あのトンガリ前髪のダークネス・スネ夫には、一発かましたらんと気が済まへん!――文字通り撃滅したるで、この蛇野郎が!!












遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX132
『エレメントハンター・ギース』











Side:遊奈


佐藤先生を倒して先に進んで来た訳なんだけど――如何なってんのこの施設?
所々で枝分かれしてるって、ドンだけ先に進ませたくない訳!?まぁ、私と十代とヨハンの直感は誰よりも優れてるから、此処までは無傷だけどさ。

まぁ、この直感に従えば何れはラスボスに辿り着くだろうから、其処まで緊張する事もないか。
だけど何だろう、デュエルに負ける事はないって思ってるのに、何とも嫌な予感がするんだよね~~~……



――ブオン!!



「「「!?」」」


今のはバイクのエンジン音!?
こんな閉鎖的な施設の中で一体何処から……


「イヤッハー!!!」


何だコイツ!?
網を片手にバイクに跨って、まるで時代遅れのなんちゃってカウボーイね?……だけどコイツもまたコブラの手下なのは間違いなわよね。

てか確定で良いわよね?こんな施設に、只のデュエリストが入り込むとは思えねぇもん――んで、何を狙ってるのよ?


「狙う?……俺の狙いは、最初からこれだけよ!!」


――ビシュウ!!!!!


「!!お前!!」

「ハッハー!確かに頂いたぜ、ヨハン・アンデルセン!貴様の精霊は貰って行くぜ!!」

ヨハン!!


アレは、ヨハンのエースモンスターのアルトリウスの精霊!?
この野郎、カードの精霊を狩る力を持ってるっての!?……如何考えたって普通の――表の世界で生きてる人間じゃないのは間違いねーわ!!

ったく、カードの精霊を刈り取るとかドンだけだコイツ!
コイツの能力を見込んで、コブラの奴もこの手の輩をアカデミアに放ったんだろうけど――ふざけんなこの弩外道が!!

カードの精霊と、その主たるデュエリストは一心同体と言っても過言じゃないんだよ?
その魂の半身とも言えるカードの精霊を刈り取るとは、良い度胸してんじゃないのよ、クソッタレが!!……ヨハン、十代!当然追うわよね!?


「是非もないだろ!」

「この野郎、アルトリウスを返せ!!」


「ハッ!返してほしけりゃ、力ずくで奪い返してみろよガキ共が!!」


にゃろう、良い根性してやがんじゃない?
幾ら狭い廊下だって言っても、やっぱり生身でバイクに追いつくのは無理がある――って、あの野郎ワザと私達が見失わないように走ってんな?

何処に連れてく心算よ腐れ外道が?



「おい、何処かの部屋に出るみたいだぞ?」

「アイツ、もしかして其処で俺達にデュエルを仕掛ける心算なのか?」

「多分そうじゃない?
 アイツがコブラの手先ってんなら、結果は兎も角としても、デュエルをすればコブラはデュエルエナジーを手にする事が出来る訳だからね。」

あ~~もう!コブラの奴、会ったら本気で顔面にワンパンかましてやろうかな?棘付きメリケンサック装備して。
いや、いっそワンパンと言わずに殴り倒した後で馬乗りになって、エンドレスマウントパンチで顔面崩壊させてやる位の方がもしかして……


「「いや、デュエルでブッ飛ばそうぜ?」」

「まぁ、其れが当然の反応だよね。」

尤も、デュエルなら其れは其れで徹底的に叩き潰してやるまでだけどさ、野郎の野望ごと粉々にしてね。
けどまあ、其れもコブラが居る場所に辿り着いてからの話――今は奪われたヨハンの精霊を取り戻す事が先決でしょ?


「あぁ、勿論取り戻すぜ!!……アルトリウスは返して貰うぜ!!」

「クックック、俺にデュエルで勝てたら返してやるよ。
 だが、この『精霊狩り』のギース様に、勝てたらの話だけどよぉ!!」


精霊狩りのギース……はん、完全に名前負けじゃないの?
どんな手品を使ってアルトリウスをカードから引き剥がしたかは知らないけど、精霊狩りなんて大層な二つ名は、アンタには重すぎんじゃない?
名乗るなら『コソ泥のギース』とでも名乗れば?コブラの手下のアンタにはそっちの方がお似合いだぜ!!


「んだと小娘?なんなら、テメェから料理してやろうか?
 まぁ、俺が勝った場合にゃ、一晩たっぷり楽しませてもらう事になるだろうがなぁ?」

……ふざけた事言ってると握り潰すわよ?

「!!すみません、小娘相手と思って調子乗り過ぎましたぁ!!」


よろしい!幾ら相手が少女だからって力ずくで如何にかできると思わないようにね?
って、そんな事よりも、本気でアルトリウスの事をヨハンに返しなさい?――今直ぐ返すなら……まぁ、渾身のボディブロー1発で許してやっからさ。


「そいつは出来ねぇ相談だな?簡単に返しちまったら狩った意味もねぇだろ?
 さっきも言った通り、コイツを取り返したいならデュエルで俺を叩きのめすしかねぇぜ?まぁ、其れは途方もなく難しい事だろうけどなぁ!!」


うっわ~~…マジでムカつくわこいつ。
大人しく返すなら許してやろうとも思ったけど、この野郎は全開でブッ飛ばさないと満足できそうにねーわマジで。

「……OK、やっちまえヨハン。」

「精霊を狩るなんてろくでなしは、全力全開でブッ飛ばしてやれヨハン!そんでアルトリウスの事を助け出してやれよ!」

「あぁ、行ってくるぜ、ユーナ、ジュウダイ!
 デュエルだギース!俺の仲間を奪った事を後悔させてやる!!」

「良いねぇその気迫?
 そう言って、精霊を取り戻そうと挑んできた奴を叩きのめして絶望を味あわせてやるのが楽しいから、精霊狩りは止められねぇってもんだぜ!」


うわぁ、精霊狩りとか以前に、この野郎は人間として最低だわ……死後は地獄行き確定じゃね?
だけど其れだけに、自分が追い込まれた時にはどんな手段を使ってくるか分からない危険性もあるか……用心しなよヨハン!


「「デュエル!!」」


ヨハン:LP4000
ギース:LP4000



「先攻は貰うぜ?俺のターン!!俺は『オーロライトの雷槍 フラッシュ』を攻撃表示で召喚!!」

アルトリウス……必ず助けねばな!
オーロライトの雷槍 フラッシュ:ATK1800


「フラッシュの効果発動!
 このカードの召喚または特殊召喚に成功した時、デッキから『オーロライト』1体を、俺の魔法・罠ゾーンに永続魔法扱いで表側表示で置ける。
 フラッシュの効果で、デッキから『オーロライトの修道女 エアニス』を永続魔法扱いで置く!そしてカードを1枚セットしてターンエンドだ。」


レベル4ではまずまずの攻撃力を持つモンスターを呼び出して、更にその効果でオーロライトを永続魔法として呼び出したのはまずまずの出だしね。
オーロライトは、永続魔法を使った効果が多いからこの展開は悪くないわ。

だけど気になるのはギースのデッキだよね。
多分アイツはヨハンのデッキを知ってるんだろうけど、逆にこっちはアイツの事はまるで知らない……情報面でのディスアドバンテージは否めねぇ。


「ククク………お前じゃ俺には勝てねぇよ!俺のターン!!手札からフィールド魔法『強者の強襲』を発動!
 コイツが存在する限り、互いのプレイヤーはモンスターをアドバンス召喚する場合、必要なリリースに手札のモンスターを使用する事が出来る!」


!!なんじゃそりゃぁぁぁ!?
其れはつまり、最低手札が3枚あれば最上級モンスターでも速攻で召喚する事が出来るっての!?
もしもこのカードを現役時代の遊戯が使ったら……やべえ、速攻で『神』が出て来るのは間違いねぇわね。


「俺は手札のモンスター1枚を墓地に送り、来い『ヘヴィメタル・ガン・ドッグ』!!」

『ワオォォォォォォッォォォォン!!』
ヘヴィメタル・ガン・ドッグ:ATK2000



で、上級モンスターか!
まぁ、攻撃力2000ならそれほど脅威じゃないかもだけど、多分何らかの効果を持ってる筈だよね?


「ヘヴィメタル・ガン・ドッグの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードの数×500ポイントアップする。
 フィールド上には、俺のフィールド魔法と、お前の魔法・罠ゾーンに永続魔法扱いで存在しているオーロライトが居る!!
 したがって、自身の効果により、ヘヴィメタル・ガン・ドッグの攻撃力は合計で1000ポイントアップし、その攻撃力は3000となる!!」
ヘヴィメタル・ガン・ドッグ7:ATK2000→3000


行き成り攻撃力3000!?
この野郎、只のチンピラじゃないって訳か……尤も其れで恐れるヨハンじゃないだろうけどさ。


「バトルだ!ヘヴィメタル・ガン・ドッグで、オーロライトの雷槍 フラッシュに攻撃!」


――バガァァァン!!


ヨハン:LP4000→2800

「行き成りか……だけど、フラッシュは破壊されても俺のフィールドに永続魔法扱いで残る!」

「だが、その効果のせいでヘヴィメタル・ガン・ドッグの攻撃力は更に500ポイントアップするぜ!」
ヘヴィメタル・ガン・ドッグ:ATK3000→3500


コイツは何ともしがたいモンスターね?
完全に対ヨハンを想定して組まれてるわ……そうじゃなきゃ、此処までオーロライトの特性を逆手に取ったモンスターを使う事はできねーからね。


「やってくれるぜ……だけど、俺の仲間達はこの程度には怯えない!トラップ発動『オーロラの導き」』!!
 俺のフィールド上のオーロライトが戦闘で破壊された場合、デッキから『オーロライト』1体を呼び出す!来い『オーロライトの閃光 フェイル』!」

外道が…最早生きる価値なし!
オーロライトの閃光 フェイル:ATK1900


「新たなモンスターか…カードを1枚セットしてターンエンドだ。」

「俺のターン!!装備魔法『オーロラの大剣』をオーロライトの閃光 フェイルに装備する!」

「馬鹿が、此れでヘヴィメタル・ガン・ドッグの攻撃力は更に500ポイントアップするぜ!!」
ヘヴィメタル・ガン・ドッグ:ATK3500→4000


あやや……流石に攻撃力4000は幾ら何でもきついでしょうに。
だけど、ヨハンの顔に焦りは微塵もねーし……此れはヨハンにはこの状況を覆す何かがあるって事だろうけど……


「攻撃力4000か……!!
 だけどな、オーロラの大剣を装備したオーロライトの攻撃力はフィールド上に表側表示で存在する魔法カード1枚に付き900ポイントアップする!
 フィールド上に表側表示で存在する魔法カードの数は合計で4枚!よってフェイルの攻撃力は3600ポイントアップして5500ポイントになる!」
オーロライトの閃光 フェイル:ATK1900→5500



「こ、攻撃力5500だとぉ!?」


お見事ヨハン!!1ターンで攻撃力5000オーバーとは、お世辞抜きで見事だぜ!!


「今度はこっちの番だ!
 オーロライトの閃光 フェイルで、ヘヴィメタル・ガン・ドッグに攻撃!!『シャイニング・フレア』!!!」


――ドガァァァァァァァァアァッァアァァァァン!!


「どわぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ギース:LP4000→2500


一撃でライフの差はなくなったどころか、300ポイントだけヨハンの方が有利になったわね。
だけど、この機を逃す手はねーでしょ!このまま一気に押し切って、ぶっ倒しちまえヨハン!多分それがアルトリウス奪還の一番の近道だからね!








――――――








Side:コブラ



「ぐぬぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁあ!!」
アモン:ATK16500


「むおぉぉぉぉぉぉおおぉん!!」
コブラ:ATK24600


中々の力だが、私に挑むには些か時期尚早だったようだなアモン?この程度の腕力では……無駄無駄無駄ぁ!私には到底届かん!!


――ガバァァァァァァアッァン!!



「グハァ!!」


壁にめり込んだか……貴様は暫しそこで大人しくして居ろ。
そしてその目に焼き付けるが良い、新たなる世界の誕生と言うモノをな!!

ククク……早くこの場までやって来い明石遊奈!貴様の持つ神が降臨したデュエルで発生するエナジーを吸収すれば私の望みは叶うのだからな!
精々頑張ってやってくるが良い、この私の目的を果たすための糧になるべくなぁ!!













 To Be Continued… 






*登場カード補足






ヘヴィメタル・ガン・ドッグ
レベル6     闇属性
獣族・効果
このカードの攻撃力はフィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カード1枚に付き500ポイントアップする。
このカードは自分のターンのみ、相手のカード効果を受けない。
「ヘヴィメタル・ガン・ドッグ」は自分フィールド上に1枚しか存在できない。
ATK2000    DEF1900



オーロラの大剣
装備魔法
「オーロライト」と名の付くモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する魔法カードの数×900ポイントアップする。



強者の強襲
フィールド魔法
このカードが表側表示で存在する限り、互いのプレイヤーはモンスターをアドバンス召喚する場合、
手札のモンスターを必要なリリースとして墓地に送る事で、モンスターをアドバンス召喚できる。



オーロラの導き
通常罠
自分フィールド上の「オーロライト」と名の付くモンスターが戦闘によって破壊された場合に発動できる。
デッキから「オーロライト」と名の付くモンスター1体を選択して、自分フィールド上に特殊召喚する。