Side:遊奈


はやてを保健室に連れてきたら吃驚仰天!何この生徒の数、ベッド全然足りてねーじゃん!!
え、如何なってんの鮎川先生!?まさかとは思うけど、此処に居る全員がデスデュエル後にぶっ倒れたとか言わないよね!?


「そのまさかよ。
 この子達は全員、デスデュエル後に意識を失って此処に運ばれてきたの――アモン君が開催したって言うデスデュエル大会に参加した末にね。」


うぇい、あの眼鏡何しとんじゃい。
あ、そう言えば放置して来ちゃったけど、まぁ良いか、気付けば誰かが搬送するだろうし、放置したままでも今の季節なら風邪ひくって事も無いし。

だけどさ、幾ら何でも此れはオカシイでしょ鮎川先生?
デュエルしただけでぶっ倒れるとか、普通は考えられなくない?てか、常識的には絶対ありえねーでしょ?


「そうね、普通に考えれば有り得ない事よ。
 だけどデスデュエルは四六時中デュエルを強制する、ある意味では拷問とも言える強行デュエルシステムでしょう?
 常にデュエルする事を強要されて、その結果無意識のストレスが積み重なって肉体が限界を迎えると言うのは、あながち有り得ない事じゃない。」


なるへそ、そう考えるか。
てか、普通に考えればそっち方面に理論が行くのは当然か――デュエルエナジーの吸収なんてのは、流石に非科学的だからね。

だけどさ、だったらコブラにデスデュエルの中止を進言すべきだよ!
生徒の身体、生命に異常をきたしかねないデュエルは絶対にやっちゃダメでしょ?これ以上の犠牲者が出る前に、デスデュエルを止めさせないと!


「貴女の言う通りね遊奈ちゃん――その辺を含めて学園長に掛けあって、プロフェッサー・コブラに掛け合ってみるわ。」

「宜しく頼んますよ鮎川先生!」

つっても、望み薄だけどさ――コイツは本格的にコブラの本拠地に特攻掛ける事も念頭に置いといた方が良いかもしれねーわね。















遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX128
『毒蛇に向かう、疑惑の思念』











Side:オブライエン


プロフェッサー・コブラ……俺の雇主ではあるが、流石に此処まで来るときな臭い感じがするのは否めないな。
マンジョウメとのデュエルで感じた異常な疲労感に加え、今し方もデスデュエルを行っていた多くの生徒が意識を失ったとは流石に普通じゃないぞ。

大体にしていかに全力でデュエルしたと言っても、アレだけの疲労を感じる筈がないんだ。
如何考えても、このデスデュエルにはのっぴきならない裏がある気がしてならない……それを確かめる為に、この『SAL研究所』に来たんだがな。


「入り口付近にガードマンらしきものは居ないか……不用心なのか、それともよほど自分に自信があるのか…」


何れにせよ、入り口に見張りが居ないのは好都合だ。
監視カメラの存在も考えた方が良いだろうが、監視カメラだけであるのならば入り口で即座に取り押さえられる事もないし、潜入の妨げにはならん。

雇い主を疑うのは、傭兵としては侵してならない禁忌の一つだが、雇い主が外道ならば自ら斬り捨てるのもまた傭兵だ。
プロフェッサー・コブラ、貴女が果たして俺の雇主として正しいのか、或はそうでないのかを俺自身の目で確かめさせて貰う!








――――――








Side:コブラ


「デスデュエルを中止しろと?
 私の聞き間違いでなければそう聞こえたが、本気なのですかな?此れが、私の考えた最も優れたやり方であると自負をしているのですがね?」

「だとしても、デスデュエルの結果として多くの生徒が意識を失うなんて言う事が普通ではないのは貴方だって分かるでしょう?
 四六時中デュエルを強制されるのは、心身ともに摩耗してしまう――そんな方法は効果を上げるどころか、逆に生徒の能力を潰してしまうわ!!」


其れはまだ、生徒諸君が慣れていないからでしょう?
実際、私が勤めていたウェスト校も最初は生徒達に体調不良を訴える者が居たモノの、直ぐに慣れて結果として実力の底上げに繋がったのです。

アカデミア本校の諸君も、あと半月もあれば見違えるような戦士になるでしょう。


「デュエリストと戦士は違うわ!
 こんな強引な方法で実力を底上げしようなんて、そんな事を認める訳には!!」


貴女の言い分も分かるが、要は結果が全てなのですよ鮎川教諭?半月後にはその答えが出ているでしょう。
失礼だが、こう見えてやる事が中々に多い身なので、此れで失礼させていただきますよ。






ふん、アモンの奴のせいで要らん事態が起きたか――だが、生徒の不調の原因など分かる筈もなかろうな。
あの生徒達も、一日あれば目を覚ますだろうし、半月後に成果が出ていれば私への疑いもまた消え失せる……概ね順調であると言えるか…ん?


「…………」


明石遊奈?


「……首洗って待っとけよオッサン……」

「!!?」


な、何だ今の殺気は!?
私が、気圧されるとは、大凡17そこそこの小娘の出せる殺気ではない――貴様、一体何者だ!?


「オシリスレッドのドロップアウトガールでしょ?
 ぶっちゃけアンタが、何の目的でデュエルエナジーを集めてるのかは知らねーし、興味もねーわ。
 だけど、アンタの目的のせいで前に岬が暴走して、今回ははやてが意識を失う事態になった――!
 生憎と、嫁と妹分に手を出されて黙ってられるほど気が長い訳でもないし、心が広い訳じゃねーのよ私は?…テメェは絶対に許さねーぜコブラ!」


………馬鹿な、まるで戦場で感じるが如き殺気をこの子娘が発するなど!!
いや、或はこれが神を従えるデュエリストの力なのか!?――何れにしてもコイツは気付いているな!?……始末した方が良いかもしれん。

尤も私の元に辿り着くのは簡単ではないだろうがな。








――――――








Side:アモン


何とか死なずに済んだが、此れは思った以上に辛いな……?
だが、此れで確信したぞ、プロフェッサー・コブラは間違いなくデスデュエルの裏で何かを画策している――其れも途轍もない事を!!

エコー、そちらで何か分かった事は無いか?


『残念だが此方では有力な事は何も――だがしかし、こっぴどくやられたようだが大丈夫か、アモン?』

「この程度は如何と言う事は無い……だがその言い方だと少しは情報を得たようだな?」

『流石に鋭いな?とは言え、精々コブラの拠点が『SAL研究所』であると言う事くらいだが……』


コブラの拠点だと!?其れは素晴らしく有力な情報じゃないか!
拠点が分かれば、此方か乗り込む事も出来る――此れは何よりも有力な情報だ、良くやってくれたエコー!!


『そうか?ならば良かった。
 その様子だと、回復し次第乗り込むのだろうが、くれぐれも気を付けてろよ?相手は一筋縄では行かない毒蛇だからな。』


勿論だ。


貴様が何を企んでいるのかを暴かせてもらうぞ、コブラ――!!








――――――








Side:遊奈


でさ、朝倉に調べて貰った結果、コブラの奴が居るのは『SAL研究所』と見て間違いねーと思う訳なんだけど、十代と準は如何思う?


「彼女が調べた結果ならば、恐らく間違いないと見て良いだろうな。
 其れに彼女が計測したデータから、此処に異常なまでにデュエルエナジーが集まっているようだし、略間違いないだろう?」

「そういや、前に岬が暴走したのもこの近くだし、何かあるのだけは間違いないと思うぜ!」


でしょ?
もしほんとに其処がコブラの野郎の本拠地だとしたら黙ってらんねーでしょ?

実際にデスデュエルで、多くのアカデミア生徒がぶっ倒れるって言う異常事態が起きた訳だし――此れは乗り込んでみる価値ありでしょ?



「オレはユーナの意見に賛成だな。」

「乗り込むなら俺も連れてけよ♪」


って、ジムとヨハン!?如何したのこんな所に?


「俺もヨハンも、デスデュエルの異常性に気付いてね、その事を相談に来たんだが、何やら面白い事になってるみたいじゃないか?」

「戦力は多い方が良いだろ?俺とジムも手伝うよ。」


そっか、2人にも分かったんだ。
だけど、この状況でジムやヨハンみたいな一流デュエリストの協力が得られたってのは間違いなく大きい事よね?

だって、此れから本拠地に乗り込むわけだから戦力は多いに越した事はねー訳だし。


ならまぁ、行きますか!コブラの根城だって言うSAL研究に!!


多分研究所内部には色んな罠が仕掛けられてるだろうけど、それを全部断ち切って進むのが私の生きる道だからね?


正直言うと、不安が無い訳じゃないけど、だからって退くのは厳禁でしょ?
此処で退いたらコブラの野郎がこれ幸いとばかりに何をしてくるか分かったモンじゃねーけど、刺客その他は纏めて粉砕してやるぜ!!


精々首洗って待ってろよコブラ?オシリスレッドの流星こと、この明石遊奈が直々に、アンタの首を掻っ切ってやるからなぁ!!!














 To Be Continued… 






*登場カード補足