Side:はやて


へ?デスデュエルで異常な疲労を感じ取ったんは、私等だけやなかったん?


「えぇ、デスデュエルが始まってからというもの、多くの生徒が原因不明の体調不良を訴えて保健室を訪れているの。
 尤も、特に病気と言う訳では無く本当に『只疲れた』生徒ばかりなのだけれど、デスデュエルが始まってから其れが急増したとなると些かね……」


そら、デスデュエルが怪しいと思って当然やろ?
只デュエルするだけで、アレだけの疲労が発生するなんて事は如何考えても普通やない。

尤も一戦程度やったら大した事ないかもしれへんけど、連続でデュエルを続ければ、小さな疲労でも蓄積していって大きな疲労になってまうからな?
しかもデスデュエルの回数と戦績が成績に直結するから、デスデュエルを行わないって言う選択肢も潰されとる――陰謀プンプンやな遊奈?


「誰が如何考えても陰謀の臭いしかしねぇっての。
 つーか、コブラの野郎は私等が直接乗り込んでこないと思ってタカ括ってる部分はあるだろうね……そうじゃなかったらこんな事を公然とは――」

「出来ないやろな絶対に。」

せやけど、今の段階ではコブラは『限りなくクロに近いグレー』に過ぎんから、下手に手出しは出来へんやろ?
此処は少しばかり泳がせた方が尻尾を出してくれるかも知れへんから、時が来るまでは私等も怪しまれん程度にデスデュエルをやった方が得策や。


始業式で見た時から、油断できない相手やと思ったけど、まさか本当に碌でもない相手だとは思わんかったでコブラ―――















遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX126
『デスデュエルの裏に潜むのは…?』











Side:コブラ


ふむ……良い感じにデュエルエナジーが集まって居るな。
特に、先日のデュエルで得られた明石遊奈のデュエルエナジーは、他のデスデュエルで得られたエナジーと比較しても相当に強い。


いや、遊奈だけではなく、八神はやて、遊城十代、万丈目準からも多大なるデュエルエナジーを得る事が出来た、矢張りこの4人は有用な存在だな。
此れならば当初の計画よりももっと早い段階で、私は私の目的を果たす事が出来そうだ。



が、私をコソコソと嗅ぎまわって居るネズミが居るのは目障りだな?
何が目的かは知らんが、私の邪魔はさせん……不穏の芽は小さい内に摘んでおくに限るからな?――好奇心はネコを殺すぞ、アモン・ガラム。








――――――








Side:アモン


プロフェッサー・コブラ――予想通り、何かのっぴきならない計画を画策しているようだな?
僕達、各校の代表を連れて来たのは、自分の暗躍から外部の目を逸らす目的があったんだろうが、お前の野望など既に僕にはお見通しだ。


が、恐らくは奴も僕が色々嗅ぎまわって居た事には気付いているだろうな?
だとすると、デスデュエルを利用して僕を殺しに来る事も考えられるか――エナジーの吸収量を最大にすれば、僕を殺す事もまた不可能ではないし。

だからと言って、僕だってむざむざ殺されてやる心算はない。此処はアカデミア本校の生徒にも『協力』して貰った方が良さそうだな?


次に僕がデスデュエルを行うとなれば、奴はエナジーの吸収量を最大にするのは間違いない。
だが、多くの生徒が一斉に、デュエルを行えば其れは出来ない――吸収量を最大にした状態で其れが行われたら奴は大量殺人者だしな。

「此れは、奮発して『大デスデュエル大会』でも開催した方が面白いかもな。」


――どうせなら、参加者を募る為に大会優勝の景品を――何の為に造ったのかいまいち不明な『黄金のデュエルディスク』で良いか。
なんにせよ、お前の思い通りにはさせんさコブラ。



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・・・



そして、あっと言う間に夜になったが――此れは思った以上に人が集まったな?
矢張り見た目も煌びやかな『黄金のデュエルディスク』は参加者集めには持って来いだったか?……尤もこれは実用性は全く皆無だがな。


「ようこそ、僕が開催した『デスデュエル』大会へ。此れだけ多くのアカデミア生徒諸君がこの大会に参加してくれた事を心より嬉しく思う。
 大会のルールは簡単、此れより2時間の間にどれだけデュエルで勝てたかと言うシンプルなモノ。
 そしてタイムアップ時点で最も勝率の高かった者が優勝だけれども、優勝の権利を得るには最低でも5回のデュエルが必須だからね?
 5回に満たない場合は、例え勝率が100%であっても優勝の権利はないのでその心算で居ておいてほしい。
 優勝者には、外装を純金で固めた『黄金のデュエルディスク』を進呈!此れを目指し、そしてこの大会が皆のレベルアップに繋がる事を願う。」


「「「「「「「「おぉ~~~~~~~~~~~~!!!!」」」」」」」」


ふ、単純だな。
ガラム財閥の次期党首として、人心掌握術を学んでは居たが、其れがこんな所でも役に立つとは思わなかったよ。

ともあれ、此れで大会は成り立つし、此れだけの人数が同時にデスデュエルを始めればコブラも慌てる筈だ。

其れに乗じて僕もデュエルをすれば、少なくとも命を取られる心配はない――まぁ、精々僕が生き長らえる為に頑張ってくれよアカデミア生徒諸君?



とは言っても、カモフラージュのデュエルとは言え出来れば歯応えのある相手と戦いたいものだが――少しばかり外に出てみるか。



一歩外に出てしまえば、大会参加者とは戦う事は無いだろうが、さて誰かいるかな?




「デスデュエル大会って、何考えてんのよアモンの奴は?」

「知らんて……てか景品が純金製のデュエルディスクて、確かに豪華やけど実用性ゼロやろ其れ!純金製なんて重くてしゃーないわ!」




ん?
あれは、確か明石遊奈と八神はやて――アカデミア四天王と呼ばれるデュエリストの内の2人だった筈。此れは良い相手が見つかったな。

「こんな月夜に散歩かな?」

「お?今し方話題に上ってた人物の御登場!って、如何したはやて!?」

「………死に曝せや、腐れ眼鏡がーーーーーー!!!!」


え!?


「ちょ~~~~!!待て待て待て!!何でいきなり殴りかかろうとしてんのよはやて!?」

「!!………アカン、何かコイツの顔見たとたんに『取り敢えずブッ飛ばしておけ』って言う神の電波が強烈に流れ込んで来たんや!」

「OK、全く意味が分からねぇ!」

「取り敢えずザフィーラにエクゾディアかましたボケは滅殺や!!」

「何処の次元世界の話よ其れは!?つーかメタ発言全開すぎじゃね!?」

「大丈夫、一切合財問題なしや!!」

「いや、寧ろ問題しかねぇ!!!」



……あ~~~、なんだか良く分からないが、君達のどちらかにデュエルを申し込みたいのだけれど構わないかな?


「デェエルやと?それやったら私が受けたるで?
 遊奈が出張ってもえぇんやけど、昼間のデュエルの疲労が未だ回復しとらへんから、此処は私が相手になったるわ。」

「あはは……思った以上にごっそり体力持ってかれたからねぇ。」


僕の相手は八神はやてか……相手にとって不足はない!
アカデミア四天王と謳われる、その実力を見せて貰おうか?


「目ん玉かっぽじって見とき?
 私の方こそイースト校チャンピオンの実力を拝ませて貰おうやないの?……精々私を満足させて欲しいもんやで。」


その望みには応えようじゃないか。
君の方こそ、精々僕を楽しませてくれよ?……まぁ、アカデミア四天王が相手であろうとも、僕が敗北する事だけは絶対に有り得ない事だがな。


「「デュエル!!」」


はやて:LP4000
アモン:LP4000




先攻は貰う!僕のターン!!『封印獣ダゴン』を守備表示で召喚!


封印獣ダゴン:DEF1000


僕は此れでターンエンド――さぁ、見せて貰おうか『アカデミア四天王』と謳われるデュエリストの力と言う物をな!!








――――――








Side:はやて


期せずしてアモンとデュエルする事になったけど、此れはある意味で好都合とも言えるわ。
コブラ程やなくても、アモンも何やら腹に一物抱えてそうな奴やからな?此処で出鼻を挫いてやるのも悪ない事やな。

せやけど使用デッキが『封印獣』とは、中々の玄人裸足であるんは間違いない――封印獣の真価を発揮するんは並大抵やないからな。

ま、誰が相手でも負ける心算はあらへんけどね!

「私のターン!魔法カード『煉獄の契約』を発動!手札を全て捨て、その後捨て札の中から『インフェルニティ』を特殊召喚する!
 私が捨て札の中から復活させるのは『インフェルニティ・ジェネラル』!!」

『ムオォォォォォォォ!!』
インフェルニティ・ジェネラル:ATK2700



先手必勝!インフェルニティ・ジェネラルで、封印獣ダゴンを攻撃!『インフェルニティブレード』!!!





「く……初手から最上級レベルのモンスターを呼び出すとは……四天王の名は伊達ではないか。だ、がその激しい攻めが、僕には有利に働いた 
 封印獣ダゴンが戦闘で破壊された時、デッキか墓地から『封印の真言』1枚を選択して手札に加える事が出来る!!」


此処で封印獣の能力を解放するカードをサーチとは侮れへんな?
私は此れでターンエンドや。


「僕のターン!永続魔法『封印の真言』を発動!此れで封印獣の力は解放される!
 そして魔法カード『封印の導き』を発動!
 僕のフィールドに『封印の真言』が存在する場合、手札を1枚捨てデッキか手札から『封印獣』を特殊召喚する!
 ライフを1000ポイント払って僕が呼び出すのは、『封印獣ブロン』!!」


『キシャァァァ!!!』
封印獣ブロン:ATK2700



速攻で上級モンスターと来たか――せやけど攻撃力はジェネラルと互角やで?


「分かっているさ……其処でのカード、装備魔法『封印の衣』をブロンに装備し、攻撃力を800ポイントアップする!」

封印獣ブロン:ATK2700→3500


僅か2ターン目で此れだけのモンスターを呼び出してくるとは、イースト校チャンピオンは伊達やないらしいね?…そうじゃないと満足には程遠いけど。


「バトル!封印獣ブロンで、インフェルニティ・ジェネラルに攻撃!!」


んな単調な攻撃が通るかい!
墓地の『インフェルニティ・ビショップ』の効果を発動!此れでこのターン、ジェネラルは破壊されない無敵のモンスターに進化するで!!


はやて:LP4000→3200


もっとも戦闘ダメージは無視できへんけどね。


「其れが噂に聞いたハンドレスコンボか……手札0枚の時にこそ真価を発揮するカード――侮れないな?
 僕はカードを1枚セットしてターンを終了する!」


私のターン!!……こらまた良いカードを引き当てたもんやな?
チューナーモンスター『インフェルニティ・リベンジャー』を召喚や!!


インフェルニティ・リベンジャー:ATK0


「チューナー……!!風に聞いたシンクロ召喚か!!」

「如何にもその通りや!レベル7のインフェルニティ・ジェネラルに、レベル1のインフェルニティ・リベンジャーをチューニング!!
 天と地が交わる時、その狭間――煉獄への扉が開く!シンクロ召喚、全てを無に帰せ『煉獄龍 オーガ・ドラグーン』!」

『グオォォォォォォォォォ!!!』
煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000


そして、墓地に眠る『インフェルニティ・クィーン』の効果発動!
私の手札が0枚の時、私の場の『インフェルニティ』または『煉獄』と名の付くもスター1体は相手にダイレクトアタックが可能となる!

クィーンの効果を適応するのは、当然『煉獄龍 オーガ・ドラグーン』!!
この凶悪なコンボを止められるもんなら止めてみぃ!!オーガ・ドラグーンで、ダイレクトアタックや!!


「何と言うコンボだ……!!
 だが僕とて早々やられはしない!!トラップ発動『炸裂装甲』!此れでオーガ・ドラグーンを破壊する!!」

「無駄や…!!」


――バリィィン!!


「炸裂装甲が破壊されただと!?」


煉獄龍 オーガ・ドラグーンは、私の手札が0の時、1ターンに1度魔法と罠の発動と効果を無効にして自身の攻撃力を500ポイントアップする!!


『グガァァァァァァァァァッァァ!!!』
煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000→3500



「こ、攻撃力3500だと!?」

「煉獄は生者の手が届かない虚無の空間――其れに触れる事が出来る思ったら大間違いや!
 無限煉獄の住人を相手にするなら、先ずはその身を煉獄の炎で焼かれる覚悟を決めて来や!!
 ぶちかましたれオーガ・ドラグーン!!改めてダイレクトアタックや!!焼き尽くせ『インフェルニティ・カオス・バースト』



――ゴォォォォォォォォォォォォォォ!!



「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」
アモン:LP4000→500



此れが無限煉獄の力や!
生者の力が及ばない、果てなき煉獄に封印獣が何処までやれるか見せて貰おうやないの?…私を、満足させてくれよなぁアモン!!














 To Be Continued… 






*登場カード補足



封印の導き
通常魔法
自分フィールド上に「封印の真言」が表側表示で存在する場合に手札を1枚捨てて発動する。
デッキか手札から「封印獣」と名の付くモンスター1体を選択し、自分フィールド上に任意の表示形式で特殊召喚する。



封印の真言
永続魔法
このカードが表側表示で存在する場合、自分のターンのドローフェイズに通常のドローを行う代わりに、
デッキから「封印獣」と名の付くモンスター1体を選択して手札に加える事が出来る。



封印の衣
装備魔法
「封印獣」と名の付くモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力と守備力は800ポイントアップする。
自分フィールド上に「封印の真言」が表側表示で存在する場合、装備モンスターはカード効果によっては破壊されない。