Side:はやて
身体の中からごっそりと力を持って行かれたような異常な疲労感……確かに只事やないな其れは?
確かに、デスデュエルが始まってから、デュエルをするだけで何時も以上に疲労感を感じ取ったのは事実やけど、立つ事も困難になるとは異常やで。
「あぁ………オブライエンも、ウェスト校におけるデスデュエルでこんな事は起きなかったと言っていた。
つまり、このアカデミア島でのデスデュエルには特別な何か――如何考えても『良くない何か』が仕掛けられているのは先ず間違いないだろうな。」
「!!……何だよ其れ!!デュエルを悪用して何かしようってのか!?」
落ち着きや十代、未だそうやと決まった訳やあらへん――尤も可能性は大やと思うけどな。
せやけど其れは『可能性的にコブラが限りなくクロに近い』って言うだけで、コブラが完全にクロやと決まった訳やないからな……先ずは情報収集や!
「疑わしきは罰せずって?……まぁ、先ずは情報収集が肝心だけどさ。
――つっても、ぶっちゃけ何処をどう探るのよ?朝倉とシャマルの力をフル活用したって、調べられる限界ってのはあると思うんだけど如何よ?」
「……それはまぁそうなんやけど……ぶっちゃけドナイしたモンやろか!?」
「策なしで言ってたのかい!!
幾ら何でも、前世で一部隊率いてた立場の人間として其れは如何なのよ!?」
せやかて、有効な手段が思い浮かばないんやから仕方ないやん!!
せめて、これ見よがしに怪しいなんかでもあれば、其処から調査して尻尾掴む事も出来るんやけど……ホンマに情報が悲しい位に少ないからなぁ?
――コンコン……
ん?お客さんか?――は~い、開いてるで?
「おじゃまするぜユーナ、ジューダイ!!」
「ジム!!」
「如何したんだ、こんな所に?」
「いや、アカデミアで少しおかしな場所を見つけたから、其れの調査を手伝ってほしんダ。」
怪しい場所を見つけたやと?………此れは若しかしたら、期せずして『大物』が入り込んできたかも知れへんな――!!
遊戯王×リリカルなのは×ネギま 夜天と勇気と決闘者 GX125
『予想外に姉貴分vs妹分!?』
「「「「「「「異常に強い電磁波?」」」」」」」
「あぁ、俺が持ってる磁石が正常に働かなくなる位に強力な電磁波が、このアカデミア島の何処かから発生しているみたいなんだ。」
磁石て、方位磁石の事やろ?
其れが正常に働かなくなる言うたら、相当の電磁波か磁場が発生しとる場所やないと起こり得ない現象やで?それがアカデミアで発生しとるんかい!
「間違いないと思うぜハヤテ。
方位磁石が影響を受ける範囲は、どんなに広くても数百メートル前後が限界だからアカデミアの何処かに原因がある筈だ。」
「先ずあると見て間違いねーわね其れ。
その電磁波が、デスデュエルと何か関係があるかは分からないけど、一発調査してみる価値はあるっしょ?――はやては如何思う?」
確かに調べてみる価値はあるな。
手持ちの情報が極端に少ない現状に於いては、どんな情報でも調べてみるのが最優先かつ大事な事や。
もっと言うなら『ゴミ情報』と思えるようなモンでも、調べてみたら実はお宝やった何て事は少なくないからな?
――折角やから調べてみようやないの、その電磁波とやらを。
ジムも、電磁波の発生源が大体しぼり込めとるから、私達に協力を要請して来たんやろ?――発生源は何処にあんねん?ザックリでえぇけど。
「其処まで見越してたのか?……凄いなハヤテは。
方位磁石の異常を頼りに探し出したから、正確さは其れほどでもないと思うんだが、最も怪しいのはこの場所だと俺は思ってるんダ。」
此れは…この場所は、通称『SAL研究所』と呼ばれとった施設の周辺やないか!
1年次には、この近くで十代が改造された猿相手に弩派手なデュエルをぶちかましとった事で覚えてるけど、まさかここが最大の容疑者とはなぁ……
せやけど『虎穴に入らずんば虎児を得ず』や!!
慎重をきたし過ぎてお宝を逃したら、それこそ笑えへんからな――突撃するで、SAL研究所に!!
――――――
Side:遊奈
つ~事で、私等は目的地へと向かってる訳だけど……あいっ変わらず無駄に広いよね、アカデミア島って!!
せめて移動用のチャリンコでも学園側で用意してくれたっていいと思うんだけど――大元締めが『社長』じゃ、其れは期待できねーわよね絶対に。
そもそも、普通はこんな絶海の孤島にデュエリスト養成機関とか設立しないからね絶対に!!
「まぁ、其処は社長やから突っ込んだらアカンやろ?」
「だよね、社長だし。」
まぁ、兎も角そろそろ目的地な訳だけど――
――グラッ……
!?な、何よ此れ……耳の奥が痛いってか、行き成り気圧が変わったような不快感が…!!
まさか、電磁波の影響だっての!?
「うぐ……あがぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐわおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「カレン!!如何した!?」
って、何やら岬とカレンも暴走してる!?
強烈な電磁波に当てられて本能が暴走したってのかよ!?……にしては、剣山君は無事だね?
「俺は……別に何にも感じてないザウルスけど?」
「感覚の鈍さまで恐竜並みかい!!」
ドンだけ恐竜に浸食されてんだい剣山君よ……そして十代も『剣山スゲェ♪』とか言って喜ばないの!!
「落ち着けカレン!!大丈夫だ、此処にお前の敵は居ない!!」
「……ガウ?」
取り敢えず、カレンの方はジムが落ち着けたみたいだけど、岬の方は如何したモンだ此れ?……完全に目が据わってて、かな~り怖いんですけど…
「おい姉御……俺とこの場でデュエルしろぉォォォォォォォ!!!!!」
「そして予想外にデュエルの申し込みってか!?」
幾らなんでも予想できねぇ~~~~!!
つーか岬、暴走してるとは言え、私にデュエル申し込むとは良い度胸してるじゃない?どうせならデュエルで目を覚ましてやるぜ!!
なので逆に言わせてもらうよ岬――オイ、デュエルしろよ。
「おぉ、久々に聞いたな其れ~~!!」
「やっぱいいよな決め台詞♪」
「確かに決め台詞はいいかもナ。」
ジムも分かってくれたか!
まぁ、デュエルモードの私は早々負けねーわよ?……そもそも妹分に負けたら格好付かないしね!!
「行くぜ、岬!!」
「「デュエル!!」」
遊奈:LP4000
岬:LP4000
「先攻は貰うぜ姉御!俺のターン!!手札からフィールド魔法『魂の修練場』を発動!!
コイツがある限り、俺のスピリットの攻撃力は400ポイントアップし、手札に戻る効果も発動不要になる!
更に魔法カード『スピリット・スピリチュアル』を発動。手札を1枚捨て、デッキからスピリットモンスター1体を選択して手札に加える。 俺は手札の『アラハバキ』を捨て、デッキから『八百比丘尼』を手札に加え……コストで捨てたアラハバキの効果発動! このカードが墓地に送られた時、俺のフィールド上に『スピリットトークン』(星1・風・戦士・攻守0)を2体特殊召喚するぜ!」
スピリットトークン:ATK0(×2)
うげ……行き成り上級スピリットを高速召喚するコンボかよ!?
暴走してても、デュエルとなればその実力に曇りはないって事………だよね多分。
「そして2体のスピリットトークンをリリースし、来い『八百比丘尼』!!」
『800年も生きたのにまだやるの?』
八百比丘尼:ATK2500→2900
初手から2900とか本気で全力だね岬……OK、ソイツには全力で応えようじゃないの!!
1ターン目から最高のコンボを見せてくれた妹分に対して、姉貴分が応えないなんてのは有り得ないからね!!
「俺はカードを1枚セットしてターンエンド。」
「私のターン!!」
此れはまた何ともいい手札が揃った事で……此れなら応える事が出来そうだわ!手札からマジックカード『調律』を発動!!
デッキから『シンクロン』と名の付くチューナー1体を選択して手札に加え、その後デッキをシャッフルしてデッキトップのカード1枚を墓地に送る。
此れで私は『ジャンク・シンクロン』を手札に加え、デッキトップのカード1枚を墓地に送る!……スピード・ウォリアーが落ちたとは更に最高だね!
「チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚し、その効果で墓地の『スピード・ウォリアー』を守備表示で特殊召喚する!」
ジャンク・シンクロン:ATK1300
スピード・ウォリアー:DEF400
でもって、私が墓地からモンスターの特殊召喚に成功した時、手札の『ドッペル・ウォリアー』を特殊召喚できる!
ドッペル・ウォリアー:ATK800
「この展開は……!!」
「この大量展開の意味、私の妹分なら分かってるよね?
私はレベル2のドッペル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
集いし星が、新たな力を解き放つ。光射す道となれ!シンクロ召喚、出でよ『ジャンク・ウォリアー』!」
『ふぅぅぅぅ…トゥアァ!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300
「ドッペル・ウォリアーがシンクロに使用されたことで、私のフィールドにレベル1、攻守400のドッペルトークンを攻撃表示で2体特殊召喚。」
ドッペルトークン:ATK400(×2)
「そして、ジャンク・ウォリアーはシンクロ召喚に成功した時、自分フィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃量の合計分、攻撃力がアップする!
スピード・ウォリアーと、2体のドッペルトークンの攻撃力の合計は1700!よって、ジャンク・ウォリアーの攻撃力は4000ポイントにアップするぜ!」
『ムオアァァァァァァァァァァ!!!』
ジャンク・ウォリアー:ATK2300→4000
「い、行き成り攻撃力4000ってマジかよ姉御!!」
至って本気だぜ岬?
それにねぇ、私はなのはから教えて貰った事があんのよ?……戦うとなったら誰が相手だろうとも、手加減抜きで全力全壊でやれってね!!
「なのはちゃ~~~ん!?……アカン、魔王の後継者が私のあずかり知らんところで育成されとったみたいや……」
『だって、ヴィヴィオの事は満足に教育できずに終わっちゃったからね?』
「ヴィヴィオを第2の魔王にする心算やったんかなのはちゃんは~~~~~!!!!」
いやぁ、良い言葉だよね『全力全壊』って。つ~訳で、初手から全力全壊の一発をぶちかますぜ!!
ジャンク・ウォリアーで、八百比丘尼に攻撃!!ブチかませ!叩き込め!寧ろ、地の果てまでブッ飛ばせ~~!『スクラップ・フィスト』!!!
――バガァァァァァァァァァン!!
岬:LP4000→2900
「どわぁぁぁぁ!?……だ、だけど八百比丘尼は戦闘でも効果でも破壊されない不死身のモンスターだ…早々やられねぇ!
つーか姉御……行き成り攻撃力4000でブチかましてくるとか、相変わらず容赦ねぇな………」
全力全壊ですから!
てか、如何やら正気に戻ったみたいね岬?気分は如何よ?
「あ~~~……うん、大丈夫。
なんか暴走しちまったけど、今の一発で目が覚めた――けど、折角だからデュエルはこのまま続行だろ姉御?」
「とーぜん!寧ろデュエルを途中でストップとか有り得ないからね!!」
其れに、岬とのタイマン全力デュエルなんて随分久しぶりじゃん?折角だから思い切り楽しもうぜ!!
――――――
Side:コブラ
むぅ……此処から発せられる電磁波を嗅ぎつけたか……油断ならない連中だな。
だがしかし、偶然とは言え明石遊奈がデュエルを行っているのは僥倖だ……あのお方も彼女を狙えと仰っていたからな。
しかし、其れを差し引いてもこの場所に踏み込まれるのは良くないな?
ふむ……デスデュエルでのエナジー吸収を少しばかり強くして、吸い取るエネルギーの量を増やしてやるか――立つ事が出来なくなるレベルにな。
そうなれば調査どころではなくなるだろうしな。
全ては私の望みを叶えるためだ、悪く思うなよ?
そして、此れに懲りたら二度と妙な気は起こさない事だな…
――――――
遊奈:LP1400
ジャンク・ウォリアー:ATK4000
スピード・ウォリアー:DEF400
岬:LP2900
八百比丘尼:ATK2900
八岐大蛇:ATK3000
Side:遊奈
さてと、このデュエルもそろそろみたいね?
返しのターンで八岐大蛇を召喚して、私のライフを大幅に削ったのは見事だったけど、だけど私はその上を行くよ?
私は手札の『ジャンク・ブレーダー』を捨て、チューナー・モンスター『クイック・シンクロン』を特殊召喚!!
クイック・シンクロン:DEF1400
「またシンクロ……姉御の速攻には脱帽もんだぜ。」
「速攻が私のデュエルだからね?そしてこのターンで決めるわよ岬!
レベル2のスピード・ウォリアーに、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング!
集いし憤怒が、忘我の戦士に魔神を宿す。光射す道となれ!シンクロ召喚、吠えろ『ジャンク・バーサーカー』!!」
『ワリィゴハドゴダ、ゴルアァァァァァアッァァアァァ!!』
ジャンク・バーサーカー:ATK2700
何か微妙にナマハゲっぽい!?……まぁ、別に良いけどさ――だけど、バーサーカーの効果は甘くないよ?
バーサーカーの効果発動!!!私は墓地のジャンク・ブレーダーを除外し、八百比丘尼の攻撃力を1800ポイントダウンするぜ!!
八百比丘尼:ATK2900→1100
「!!八百比丘尼の攻撃力が……あはは、やっぱ姉御には敵わねえや……」
「簡単に負けてやる心算はないからね?
だけど岬は、去年戦った時よりもずっと強くなってる――自分のスピリットデッキにもっと自信を持っても良いと思う、其れが成長に繋がるからね。」
ともあれ、このデュエルはこの攻撃でオーラスよ!
打ちかませ、ジャンク・ウォリアー!八百比丘尼に攻撃!!――貫けぇぇ、『スクラップ・フィストォォォォォォォォ』!!
――バガァァァァァァン!!!
「うおわぁぁぁぁああ!!」
岬:LP2900→0
私の勝ちだね!!
まぁ、目的は岬とのデュエルじゃなかったんだけど……
――グン……
――ガクリ……
く……何て言う疲労感よ此れ…準が言ってたように根こそぎ体力を持って行かれる感じだわ……或は私達のエネルギーを集めるのが目的だった?
何れにしても捨て置く事は出来ないからね?……だけど此れで確定、コブラは研究所を使って何かをしてる。
果たしてそれが何なのかは分からないけど、だけど直接会った時にはアンタの企みその他諸々を纏めて断罪してやるぜ、プロフェッサーコブラ!!
To Be Continued… 
*登場カード補足
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