Side:エヴァンジェリン


ほう……此れは中々に面白い展開だな?
直接火力のオブライエンに対し、万丈目は効果を駆使して、行き成り己のエース――最強の『光と闇の竜』を呼び出し大ダメージを与えたか。

此れは、流れは万丈目に向いていると見て間違いないだろうな。
オブライエンのフィールドは空……手札は有っても、この状況で光と闇の竜と戦うのは相当に難しいのは間違いない……効果は4回まで無効だしな。


とは言え、光と闇の竜もまた完全無欠のドラゴンではない。
一見強力に見える無効効果には『強制効果』と言う弱点が存在している……例えばレベル・スティーラーの効果を連発すれば楽に無力化も可能だ。

だが、其れを差し引いても序盤で出てきたら相当に厄介な相手なのは間違いない。


万丈目の実力を考えれば負ける事は無いだろうが、オブライエンとて相当の手練れだから楽にはいかんだろうな。

まぁ、どちらが勝つにしても、私は面白いデュエルが見られれば其れで満足だ。



――一応ファンである故に、本音を言うならば万丈目に勝ってほしくはあるがな。















遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX124
『ドラゴンvsバーニング!!』











万丈目:LP3500
光と闇の竜:ATK2800


オブライエン:LP2900




Side:万丈目


序盤にライトアンドダークネスを召喚出来たのは良い流れだ――此れで相手は効果を4回まで無効にされるからプレッシャーもかけやすくなる。
尤も、オブライエンがライトアンドダークネスの弱点を知らないとは思えんから、油断は出来んがな。

「俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ。」

「今のターンは見事だった万丈目……だから俺も全力でお前を倒す!!俺のターン!!
 手札から『ブレイズ・シューター』を捨てて効果発動!このカードを手札から捨てる事で、デッキから『ブレイズ・バスター』を手札に加える!!」


無駄だ!!
ライトアンドダークネスは、己の攻守500ポイントを犠牲にしてあらゆるカード効果を無効にする。


光と闇の竜:ATK2800→2300


「……実際に見ると凄まじい迫力だが――その無効能力の弱点はもう分かっている。手札から2体目の『ブレイズ・シューター』の効果を発動!!」

「……成程な、そう来たか。」


光と闇の竜:ATK2300→1800


「如何なる効果もライトアンドダークネスの前には略無力になるが、逆に強制効果故に俺が無効にする効果を選ぶ事は出来ない。
 そして無効効果を発動する度に、ライトアンドダークネスは弱体化していくからな?……現に、既にレベル4モンスターで倒せるレベルだ。」

「最強のエースを序盤で呼び出したのは見事だが其れが逆に仇になったな?俺は『ブレイズ・クラッシャー』を召喚!」
ブレイズ・クラッシャー:ATK1700


「そしてブレイズ・クラッシャーの効果発動!
 1ターンに1度、相手モンスターを破壊し、相手に500ポイントのダメージを与える!!」

「ライトアンドダークネスの効果で、その効果を無効にする……!!」
光と闇の竜:ATK1800→1300


「だが此れで、攻撃力は此方が上回った。
 仮に其の2枚の内の一枚が攻撃反応型の罠だとしても、あと一度だけ無効効果を使えるライトアンドダークネスが居れば無駄な事だ。」


それを見越して最大までは下げて来なかったか。
だが、果たしてお前の読み通りと行くかな?


「如何なる戦術を用意していようとも、お前は自らのエースに窮地に追い込まれる!!
 バトルだ!ブレイズ・クラッシャーで、光と闇の竜に攻撃!!『バーストストライク』!!」


――バガァァァァン!!


万丈目:LP3500→3100

「ライトアンドダークネスが破壊された時、俺のフィールド上のカードを全て破壊し、墓地のモンスター1体を蘇生させる。
 俺のフィールドのカード2枚を破壊し、光と闇が墓地の魂を呼び覚ます!!来い『バーニング・ドラゴン』!!」

『ゴガァァァァァァァアァァァア!!!』
バーニング・ドラゴン:ATK2500


そしてライトアンドダークネスが破壊した2枚のカードの効果発動!!
先ずは1枚目『光と闇の誘い』!セット状態のこのカードが破壊された時、デッキか墓地から『光と闇の竜』1体を手札に加えられる!
俺はこの効果で、墓地のライトアンドダークネスを手札に戻す!

続いて2枚目……『巨竜の咆哮』
セット状態のこのカードが破壊された時、デッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を選択して手札に加える事が出来る!
俺はこの効果で、デッキから『ライトエンド・ドラゴン』を手札に加える!!

そしてバーニング・ドラゴンの効果!!
このカードの召喚、特殊召喚に成功した時、フィールド上の魔法と罠を全て焼き尽くす!!


「此れは……俺がライトアンドダークネスを破壊する事を読んでいたと言うのか?……流石だなマンジョウメ。
 だが、バーニング・ドラゴンの効果で破壊された俺のカードも、破壊される事で意味を成すカードだ。――トラップカード『二重の奇襲劇』
 セット状態のこのカードが破壊された時、デッキから永続魔法カード1枚を選択して発動出来る。
 俺がこの効果でデッキから発動するのは、永続魔法『ブレイズ・バスター』
 自フィールドの炎属性モンスターをリリースする事で相手モンスターを破壊し、更に500ポイントのダメージを与える!!
 俺は、ブレイズ・クラッシャーをリリースし、バーニング・ドラゴンを破壊する!!」


ちぃ……カウンターに対処して来たか。
だが此れで奴の戦術は大体読めたな。

万丈目:LP3100→2600


「カードを1枚セットしてターンエンドだ。」

「俺のターン!!」

オブライエンの場にはモンスター破壊効果を持った永続魔法と伏せカードが1枚ずつでモンスターは居ない。
俺の仮説を実証するには持って来いのシチュエーションだぜ――その余裕ぶった態度を消してやる!来い『アックス・ドラゴニュート』!!


アックス・ドラゴニュート:ATK2000


更に装備魔法『暴龍化の腕輪』を装備し、アックス・ドラゴニュートの攻撃力を1000ポイントアップする!!


アックス・ドラゴニュート:ATK2000→3000


「行け、アックス・ドラゴニュート!オブライエンにダイレクトアタックだ!!」

「この攻撃を喰らえば俺の負け……だがそうは行かない!!
 永続トラップ『ファイヤー・ウォール』!俺がダイレクトアタックを受ける時、墓地の炎族モンスターをゲームから除外する事で攻撃を無効にする。
 俺は墓地の『ブレイズ・クラッシャー』をゲームから除外し、アックス・ドラゴニュートの攻撃を無効にさせて貰う!!」


………成程な、思った通りだ。
恐らくオブライエンのデッキは、戦闘でダメージを与える事よりも効果ダメージを主体に組まれたバーンデッキ。
ファイヤー・ウォールでダイレクトアタックを防ぎながら、ブレイズ・バスターで相手モンスターを破壊しながらダメージを与えると言ったところか……

ブレイズ・バスターの『フィールドのモンスターをコストにする』と言うのもコンボを維持するのに一役買っていると言った感じだな。

「カードを1枚セットしてターンエンド。」

「俺のターン、ファイヤー・ウォールの維持コストとしてライフを500払う。そして、『ブレイズ・ストライカー』を召喚!」
オブライエン:LP2900→2400
ブレイズ・ストライカー:ATK1000



「『ブレイズ・バスター』の効果を発動!ブレイズ・ストライカーをリリースし相手モンスター1体を破壊し500ポイントのダメージを与える!
 そしてブレイズ・ストライカーは、『ブレイズ・バスター』の効果でリリースされた場合、相手に1000ポイントのダメージを与える!!」

「ちぃ……!!」
万丈目:LP2600→2100→1100


「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ。」


中々にやってくれた……此処まであからさまなバーンデッキとは、麗華君と良いデュエルが出来るかもしれないぞオブライエン?
彼女もアカデミアきってのバーンデッキの使い手だからな、機会があればデュエルしてみる事を勧めておく。


「考えておこう……だが、このデュエルは俺に流れがあるようだが――此処から如何盛り返すマンジョウメ?
 戦場に絶対はない……如何に有利な戦況で有っても何が切っ掛けでひっくり返るかは予想不可能……まさか此れで終わりじゃないだろう?」

「ほう?有利な状況にあっても、冷静に戦局を読むとは……流石は代表としてやってくるだけの事はある。何処かの馬鹿に見習わせてやりたいぞ。
 だがまぁ、お前の言う通り、此処で終わりではない!!俺のターン!!」

トラップ発動『不死の竜』!!このカードで再び墓地の『バーニング・ドラゴン』を蘇生させる!!


バーニング・ドラゴン:ATK2500


「そして、バーニング・ドラゴンの効果でフィールド上の魔法・罠を一掃する!!」

「此処でそのカードを……ならば速攻魔法『非常食』
 俺の場の魔法・罠カードを任意の枚数墓地に送り、墓地に送った枚数×1000ポイントのライフを回復する!
 俺はブレイズ・バスターとファイヤー・ウォールの2枚を墓地に送り、ライフを2000ポイント回復する!」
オブライエン:LP2400→4400


大量破壊された時の事を考慮したカードも入れていたか………だが、俺の龍達はお前の炎を超える存在だと教えてやる!!
手札から魔法カード『融合』を発動!!
手札の『光と闇の竜』『ライト・エンド・ドラゴン』『ダーク・エンド・ドラゴン』の3体を融合!……現れろ最強の混沌龍…『光と闇の究極龍』!!


『グオォォォォォォォォ……!!』
光と闇の究極龍:ATK4000



此れが俺の相棒の究極の姿だオブライエン!!
そして、この龍が降臨したが最後、何人たりとも俺に勝つ事は出来ないと知れ……!!

「光と闇の究極龍の効果発動!!1ターンに1度、墓地のドラゴンを除外して、その攻守の半分と効果をその身に宿す!!
 俺は墓地の『光と闇の竜』を除外し、光と闇の究極龍にその攻守の半分と効果を付加するぜ!!」

『ゴガァァァァァアァァァ!!』
光と闇の究極龍:ATK4000→5400(光と闇の竜吸収)


「此処で効果無効能力を宿した、攻撃力5400の超大型ドラゴン……!!
 見事だマンジョウメ……そのデュエルタクティクスは世界ジュニアチャンプに相応しい、正に超一流――お前を相手に選んだのは正解だったな。」

「お前も強かったぞオブライエン――此れに懲りずに、十代や遊奈、はやてともデュエルをしてみると良い……きっと更なる高みが見える筈だ。」

「更なる高みか……傭兵の俺には無用かも知れないが、其れに至る道を見てみると言うのも良いかもしれないな。」


傭兵かどうかなど関係ないだろう?
デュエリストならば、常に高みを目指すモノだからな……まぁ、其れは其れとして、このデュエルは俺の勝ちで幕を下ろさせてもらう!!

「光と闇の究極龍で、オブライエンにダイレクトアタック!!消し飛ばせ、『シャインクロスダーク・ブラスター』!!」

『オォォォォ……ガァァァァァァァァァァァァァァァァアッァ!!!!』


――キィィィィン……ゴガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!



「うおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
オブライエン:LP4400→0


俺の勝ちだオブライエン!……だが、良いデュエルだったな。


「あぁ、良いデュエルだった……ウェスト校にもお前ほどのデュエリストは中々居なかった。
 敗北は屈辱だが、だがそれ以上に楽しむ事が出来た………本当の意味でデュエルを楽しんだのは随分と久しぶりか……俺は傭兵だからな。」

「依頼を忠実にこなすか?
 確かに一般的な傭兵ならばそうなのだろうが、デュエルでは其れは否だぞオブライエン……例え傭兵でも、先ずはデュエルを楽しまねば無意味だ。
 デュエルは本来楽しむ物だ……如何に傭兵だろうとも、楽しむ事が出来なくては依頼をこなす事など出来ないだろう?」

「……確かにその通りだな。」



――キュイィィィィィン………



「「!?」」


な、なんだ此れは……急に力が……


「大丈夫か万丈目!!」

「だ、大丈夫だエヴァンジェリン……だが此れは一体何だ?……まるで身体の内から力をごっそり持って行かれたようなこの感じは……」

「分からない……だが、ウェスト校のデスデュエルではこんな事は起きなかった………」


と言う事は……アカデミアでのデスデュエルには何かを仕掛けたと言う事か、プロフェッサー・コブラ!!
デスデュエルを行う事で発生するこの異常な疲労は、如何考えても普通じゃない……如何やらデスデュエルは只の『実戦デュエル』じゃないらしい…








――――――








Side:コブラ


ふむ……中々に良いデュエルエナジーだ。
敗北したとは言え、此れだけのデュエルエナジーを集めてくれたと言うならばオブライエンにもマダマダ使い道はありそうだ……精々働いてもらおう。


『………………』

「………焦らずとも、計画はまだ始まったばかり――1ヶ月もすれば必要なエナジーは集まるでしょう。」

『――!………!!――!!』


……特に明石遊奈を攻めろ?……了解です。
私としても『神』を従えていると言う彼女を捨て置く気はありませんからなぁ……ですが、貴方の望みを果たした暁の約束は忘れていないでしょうな?


『……!―――!!………』


其れを聞いて安心しました……なに、もう少しで全ての事が整う。
貴方の望みを果たした先の世界での私の望み――必ず実現していただきますよ『―――』……私には其れこそが全てであるのだからな……!!














 To Be Continued… 






*登場カード補足



暴龍化の腕輪
装備魔法
このカードはドラゴン族モンスターにのみ装備できる。
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、1ターンに1度だけカード効果によっては破壊されない。



ブレイズ・バスター
永続魔法
自分フィールド上の炎属性モンスター1体をリリースして発動する。
相手フィールド上のモンスター1体を選択して破壊し、相手に500ポイントのダメージを与える。
このカードの効果は、1ターンに2度まで発動できる。



光と闇の誘い
通常罠
セット状態のこのカードが破壊された時、デッキか墓地から「光と闇の竜」1体を選択して自分の手札に加える。



巨竜の咆哮
通常罠
セット状態のこのカードが破壊された時、デッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を選択して手札に加える。



二重の奇襲劇
通常罠
セット状態のこのカードが破壊された時、デッキから永続魔法カード1枚を選択して発動できる。