Side:はやて


さて、試みに問おうか?
プロフェッサーコブラが提案した『デスデュエル』……昼夜を問わずに何時でもデュエルをして良いと言う、一種の一大イベントの事なんやけど……

最大限ぶっちゃけてバリバリ『嫌な予感』しかせぇへんわ!!
そもそも『デスデュエル』って名称が物騒な上に、不吉感バリバリやないか!?……此れはあれか『死ぬ程のデュエルをしろ』て、そう言う事なん!?

もしそうやったら、私は有識者集って、保護者と共にアカデミア訴えんで!?
んな、危険な教育方針をまかり通して堪るかい~~~!!!デュエルは楽しくが基本やろ!?死ぬほどのデュエルなんてノーサンキューや!!!


「少しもちつけはやて……まぁ、私も同じ気持ちだけど、決まっちゃった以上はしょうがないじゃん?
 しかもデスデュエルの結果が成績に直結するって事だから、怪しんでデュエルしなかったらそっちの方がやばい――そう思わせるのも狙いでしょ?」

「まぁ、その可能性は否定できんどころかバリバリ黒やからな。
 プロフェッサーコブラは強制デュエルをさせる事で何らかの目的を果たそうとしてるのは、多分間違いないやろな……其れが何かは知らんけどね。」

せやけど、さっきのタッグデュエルに、デスデュエル………そして半強制的につけられたこのリストバンド――偶然で済ますのは流石に無理やろ?
まぁ、奴さんの目的が私等の仲間に害をなすモノやったらその時は、正面切って叩きのめすだけやけどな。


「だね。私等の仲間に手を出す奴は、馬に蹴られて冥府に叩き落されろっての!!」

「なんや、引用が間違っとる気もするけど、概ねその通りやな――腐れた目的は叩き潰してなんぼ……寧ろ叩き潰すのが礼儀ってもんやからね!」

ま、其れはその時に対処すればえぇ事やけどな。


あふ……良い時間やし、そろそろ寝よか?……明日からはデスデュエルって言う耐久マラソンデュエルが始まるからなぁ……

ま、なんにせよ頑張ろな遊奈?…奴さんの目的云々は別にして、上位4位を『アカデミア四天王』で独占したろやないの!!


「言われなくてもその心算だぜはやて!!……アカデミア四天王の実力を、知らしめてやるってのよ!!」

「考えただけで燃えて来るわ……制してやんでデスデュエル!!」

私等を止められるもんなら止めてみろやゴルアアァァアアァ!!!!















遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX123
『デスデュエルの開幕!!』











Side:コブラ


明石遊奈、遊城十代、八神はやて、万丈目準………矢張りこの4人はアカデミアの中でも特出した実力の持ち主であるのは間違いない。
特に明石遊奈と八神はやては未知の『シンクロ』と言う戦術を手足の如く操るデュエリストだからな……

いや、融合を自在に扱う遊城十代と、ドラゴンを完全に己の支配下に置いている万丈目準もまた油断の出来ないデュエリストだ……

「オブライエン、この4人の中の何れか1人とデュエルをする事をお前に命ずる。
 誰と戦うかはお前の意思に任せるが、勝敗とは別に必ず戦った相手のデータを送信しろ……分かったな?」

「了解だ、プロフェッサー・コブラ……このミッション、貴方の望む結果を導き出して見せよう。」


良い返事だオブライエン……期待しているぞ?



精々私の期待に応えてくれよ?――お前が……お前達がデュエルする事で発生するエネルギーこそが、私の野望成就には欠かせないのだからな。








――――――








Side:万丈目


デスデュエルとは良く言った物だ……マッタク朝一番で襲撃を掛けて来る奴が居たとは驚きだったが――其れだけデュエルを重視すると言う事か。
俺も十代も遊奈もはやても即刻デュエルを挑まれたが、ハッキリ言って敵ではなかったな……全員3分以内に叩きのめしてやったからな……

まぁ、入学したての1年生では仕方もないが、流石に消化不良感は否めんな?

姉妹校の代表の誰か、或はマックやエドレベルの相手でなければこの消化不良感は消えんぞ……

十代達ならば、即刻スッキリさせてくれるだろうが、俺の勘がデスデュエルでアイツ等と戦うべきではないと告げている……さて、如何したモノか…?


「如何した、随分と浮かない顔をしているな万丈目準?悪いモノでも食べたか?」

「エヴァンジェリンか……こんな所で何をしている?」

「なに、少しばかり散策だ……序に、デスデュエルとやらに便乗して適当な奴とデュエルをしようかと思ってな?
 それで、何を浮かない顔をしていたのだ?……若しかして、完全燃焼に至らなかったデュエルでもして、闘気が燃え燻っているとでも言うのか?」


ふぅ……流石に600年以上生きているだけあって鋭いな?正にその通りだ。
入学したての1年生にデュエルを挑まれたが、ハッキリ言って敵ではなかった……まさか後攻1ターン目でデュエル終了となるとは思わなかったぞ?

あんなデュエルでは大凡満足は出来そうにない。


「成程、そう言う事か……まぁ、私が見る限り、お前と遊城十代、明石遊奈と八神はやてが現アカデミアで特出しているのは間違いないからな?
 アカデミア四天王と謳われるお前達の相手を務められるデュエリストなど早々居ないだろうよ。
 ……だがまぁ、あのトンガリ頭の小僧も中々に愉快な事をしてくれるものだな?通常の授業カリキュラムを無視して日々デュエルとはなぁ?」


小僧って……いや、600歳超のお前からすれば、コブラの年齢でも小僧になる訳か。
まぁ、確かにデュエリスト養成校を謳っているアカデミア的には、日々デュエルに明け暮れて己のデュエリストレベルを研磨するのはアリだと思う。

だが、言い換えれば強制的とも言えるデュエルに、何か意味はあるのか?
デュエルの根幹は楽しむ事に尽きる……日々強制的にデュエルを行わされては、その楽しさを感じる事が出来なくなってしまうと思わないか?


「確かにその危険性はあるだろうな。
 尤も奴だって其れ位は分かって居る筈だ――そしてその上で此れを選んだと言う事は、デスデュエル自体に奴の何らかの思惑があるのだろうな。」


そう考えるのが妥当か。
コブラに関しては、遊奈を通じて朝倉君に調べて貰った方が良いかもしれない。


でだ、雑談をしながら歩いている内に埠頭が一望できる場所まで来てしまったんだが――此れは一体何だ?
ワイヤーロープを下に垂らすための用具みたいだが………


「497、498、499………500!!」


……崖の下を見てみると、ワイヤーロープで足を括り付けたオブライエンが宙吊り腹筋の真っ最中……何をしてるんだお前?


「!!……マンジョウメか……
 見ての通り自己鍛錬だ。デュエリストたる者、デッキだけでなく己の肉体も鍛えねばならない――特に傭兵であるならば尚更な。」

「だとしても、もう少し場所を選べ。」

こんな場所で宙吊り腹筋をする事は無いだろうに………傭兵とやらに一般的な常識を求めるのは無理なのかもしれないが……


「大丈夫だ、此処の地質は把握したから、その装置が地面から抜け出す事は先ず無い――其れに普通のトレーニングでは温いからな。
 ……だが、俺は割と運が良いらしい……まさか、ターゲットの内の1人が自ら現れてくれたんだからな。」


ターゲット……だと?


「俺はある方からお前と遊城十代、明石遊奈と八神はやての何れか1名のデュエリストの力を量るように命じられている。
 自己鍛錬の後で探す心算で居たが――相手の方からやって来てくれるとはな!!」


アカデミア四天王と呼ばれている俺達の何れかとデュエルする心算だったと言う訳か?――其れは俺としても願ってもない事だ。
今し方、消化不良なデュエルをしたばかりで、この燃え残った嫌な感じを取り去りたいと思っていたからな……お前とのデュエルなら期待も出来るな。


「俺とのデュエルを受けると言う事で良いんだな?」

「勿論だ、ウェスト校屈指の実力者と言うお前の力を見せて貰うぞ、オースチン・オブライエン!!」

「望むところ……俺もお前の実力を見させてもらう――世界ジュニアチャンピオンのマンジョウメ!!」


ジュニアチャンピオンか……確かにそいつは俺にとって輝かしい称号ではあるが、アカデミアに於いてはそんなモノは一切関係ない!!
此処ではジュニアチャンピオンだとか何だかは関係ない……俺は1人のデュエリストとして日々研鑽を重ねるだけだ!!


そして俺は最高の好敵手達と出会い、ジュニアチャンピオンになった時よりも遥かな高みに上る事が出来た――尤もこれで終わりじゃないがな。
俺のアカデミアでの2年間の成果――お前で確かめさせて貰うぞオブライエン!!



「「デュエル!!」」


万丈目:LP4000
オブライエン:LP4000




先攻は貰う!!俺のターン!!
手札から魔法カード『トレード・イン』を発動!手札のレベル8のモンスターを捨て、デッキからカードを2枚ドローする。

そして、『チャージング・ドラグーン』を攻撃表示で召喚!!


チャージング・ドラグーン:ATK2300


先攻ターンは攻撃できない――カードを2枚セットしてターンエンドだ。


「レベル4ながら攻撃力2300……恐らくはデメリット付きだろうが、序盤のアタッカーとしては申し分ないか――噂通りのパワーデュエルだな。
 俺のターン!!!俺は『ブレイズ・クラッシャー』を召喚!!」
ブレイズ・クラッシャー:ATK1700


「ブレイズ・クラッシャーの効果発動!
 1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体を選択して破壊し、相手に500ポイントのダメージを与える!!」


――バガァァァァン!!


万丈目:LP4000→3500



除去効果で来たか………だが、俺の場はこの程度で崩壊する程軟じゃないぞ?



ウィッシュ・ドラゴン:DEF100


「な、何故ここで新しいドラゴンが!?クラッシャーの効果でお前のモンスターは破壊した筈だ!!」

「お前が攻撃する刹那に俺はこのカードを発動していたんだ。
 トラップカード『ドラゴン・プラウド』!!俺の場のドラゴンが相手によって破壊された時、デッキか手札からレベル4以下のドラゴンを呼び出す!!」

この効果でウォッシュ・ドラゴンを呼び出したと言う訳だ。
そしてこのカード効果で呼び出されたモンスターは、このターンのみ破壊されない…モンスターでの攻撃も殆ど意味を成さなくなってしまったな。


「破壊される事は見越していたのか?……見事だなマンジョウメ。
 しかも破壊不可となれば下手に手を出す事も出来ない………カードを1枚セットしてターンエンドだ。」


懸命だな?…だが、その慎重さも俺には通じないと知れ!!俺のターン!!

「ウィッシュ・ドラゴンの効果発動!
 このカードをリリースし、攻守100の『ドラゴン・トークン』を2体特殊召喚する!!」
ウィッシュ・ドラゴン:DEF100
       ↓
ドラゴン・トークン:DEF100(×2)




「一気に最上級モンスターを召喚する為のリリースを確保しただとぉ!?
 こうも手もなく、最上級モンスター召喚の布石を打つとは――アカデミア四天の一角と言われる実力は否定しようもないか……」



暫定だがな。

だが、デュエルに格は関係ない――強い相手に挑んでこそ価値がある……

だからこそ、このデュエルは俺が勝つ!!

「俺は2体のドラゴン・トークンをリリースし……閃光と暗黒を切り裂きて、今こそ現れよ『光と闇の竜』!!!」

『グオォォォォォォ……!!!』
光と闇の竜:ATK2800


「!!光と闇の竜――マンジョウメの最強ドラゴンか―――!!」


如何にも…光と闇の竜は俺の最高の相棒だからな――覚悟は出来ているなオブライエン!?

「光と闇の竜でブレイズ・クラッシャーに攻撃!!『ダーク・バプティズム』!!!!



――ゴガァァァァァン!!



「ぬおわぁぁっぁぁぁ!?」
オブライエン:LP4000→2900


光と闇の竜は俺の半身と言っても過言はない存在だからな……俺のデュエルはどんな時でもコイツが一緒に居てくれたのは間違いない事だ。



その最高の相棒を呼び出した俺にどう挑むオブライエン?………ウェスト校屈指の実力者の真髄を見せて貰おうか!!















 To Be Continued… 






*登場カード補足



ドラゴン・プラウド
通常罠
自分フィールド上のドラゴン族モンスターが相手によって破壊された時に発動できる。
デッキか手札からレベル4以下のドラゴン族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのみ破壊されない。