Side:遊奈


遂にこの時が来たね……翔君とカイザーの2度目のぶつかり合いの時が。
アカデミアの校舎正面玄関前の広場で、翔君とカイザーは睨み合ってる……こりゃ兄弟の本気デュエルを超えたデュエルになりそうだわ。


「来たか翔……今の俺に挑むと言うのならば、相応の覚悟はしているのだろうな?」

「其れを今更聞く?僕はとっくに覚悟なんて出来てるよお兄さん……いや、ヘルカイザー亮!
 正直な事を言うと、僕にはヘルカイザーが何を考え、何を思ってヒール転向を成したのかは分からない……だけど其れが魔道なら僕は見過ごせない。
 ヘルカイザーが進もうとしてる道は何なのか……此れは其れを見極める為のデュエルだ!」



言うなぁ翔君も……もう、翔君は入学したころの自分に自信のない弱っちいデュエリストじゃない。
色んな経験をして、そして成長した一流のデュエリストよ?

「うし、やっちまえ翔君!今の翔君の強さを、地獄の帝王に刻み付けてやんな!」

「そうやで翔!今の翔君の強さを、カイザーに教えたるんや!……翔君ならできる!私等はそう信じとるよ!」

「思い切りぶつかってこい翔!お前なら勝てるって!」

「お前の力……全てぶつけてやれ。」

「遊奈さん、はやてさん、アニキ、万丈目君……うん、このデュエルは僕が勝つ!」


良く言った~~~!其れでこそ男の子だぜ翔君!最高のデュエル、見せて貰うからね!


「期待されているようだな……行くぞ翔、お前の全てを俺にぶつけてこい!」

「言われなくてもその心算だよ!!」


「「デュエル!!!」」


翔:LP4000
亮:LP4000




さぁって、どんな結末が訪れるかなあ?















遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX104
『此れが兄弟の全力全壊!』












「つってもさ、実際丸藤先輩はヘルカイザーに勝てるのか姉御?」

「ん?実力的な事だけで言えば、マダマダ翔君はカイザーには及ばないと思う……だけど、翔君のデッキは凄くトリッキーなところがあって掴み所がない。
 其れを踏まえると、超攻撃的なカイザーの進化したデュエルであろうとも、翔君が本気を出したら苦戦は必至……下手したらカイザーが喰われるわ。」

何にしても、このデュエルが平凡な結末を迎える事だけは有り得ない……確り見といた方が良いよ岬。



「先攻は貰う……俺のターン!『ヘル・ドラゴン』を守備表示で召喚。」
ヘル・ドラゴン:DEF0


「カードを1枚セットしてターンを終了する。」


攻撃力が2000も有るモンスターなのに、敢えて守備力0で守備表示で出すって言う事は何かを狙ってるよね?
其れに翔君は如何応えるんだろ?


「僕のターン!僕は手札のストライクロイド、ステルスロイドⅡ、ターボロイドの3体を墓地に送り、『ソリッドロイドα』を特殊召喚する!」

『ハァァァァ!!!』
ソリッドロイドα:ATK2600



「更にαの効果でヘル・ドラゴンの攻撃力2000がαに上乗せされる!」
ソリッドロイドα:ATK2600→4600


「そして装備魔法『メテオストライク』をαに装備!此れでαは貫通能力を得る!」


!!!マジかよ翔君……よもやの1ターンキルを狙ってくるとは意外過ぎだっての!
ヘル・ドラゴンの守備力は0――攻撃が通れば正に最強の1ターンキルが成立する!……んだけどねぇ?


「ソリッドロイドαで、ヘル・ドラゴンに攻撃!『ソリッドビーム』!!」

「1ターンキルか……俺とのデュエルに備えて相当戦術を練って来たようだが……お前も本気で俺を1ターンキル出来るとは思ってないだろう?
 俺の道を見極めると言うのならばこんな単純な結果は求めないだろうからな。トラップ発動『ガード・ブロック』
 これにより、このバトルでの戦闘ダメージを0にし、デッキからカードを1枚ドローする。」


早々簡単には通る筈がないよね……翔君もカイザーがどう出て来るかを見る為に、行き成り大盤振る舞いの超大型と来た訳か。
だけど状況的には翔君が有利になったのは間違いねーわ。
仮にαが処理されても、次のターンで新たなソリッドが出せるんだし……そう考えるとαは翔君のエース兼斬り込み隊長だね。


「カードを1枚セットしてターンエンド。αの攻撃力も元に戻る。」
ソリッドロイドα:ATK4600→2600


「俺のターン。手札から永続魔法『降格の墓所』を発動。このカードが存在する限り、俺とお前の墓地のモンスターのレベルは1つ下がる。
 盛大な一撃を見せてくれた礼だ、お前にヘルカイザーのデュエルを見せてやる!俺は『ボマー・ドラゴン』を召喚!」
ボマー・ドラゴン:ATK1000


ボマー・ドラゴン?攻撃力1000のモンスターを攻撃表示って事は、何らかの特殊効果持ちって事かな?


「行くぞ翔。ボマー・ドラゴンで、ソリッドロイドαに攻撃!」

「え!?」


自爆特攻!?……いや、違う!若しかしてカイザーの狙いは!!


「ボマー・ドラゴンが攻撃する事によって発生する戦闘ダメージは互いに0となる。
 そして、ボマー・ドラゴンは戦闘で破壊された時、己を破壊したモンスターを道連れにする!」

「!!く……その為に自爆特攻を!!!」


破壊効果に『ニュードリュア』程の自由度はないけど、特攻でのダメージが0ならこっちの方が自爆特攻はやりやすいわね。
でもって、態々自爆特攻しかけて互いのフィールドを空にしたって事は、更なる追撃も有るって事で……


「そして速攻魔法『速攻召喚』を発動。
 このカードにより、俺は手札のモンスターを通常召喚できる!出でよ『サイバー・ダーク・ホーン』!!」
サイバー・ダーク・ホーン:ATK800


「サイバー・ダーク・ホーンは召喚に成功した時、自分の墓地からレベル3以下のドラゴン族モンスター1体を装備できる。
 俺は降格の墓所の効果でレベル3となったヘル・ドラゴンを装備!
 そしてサイバー・ダーク・ホーンの攻撃力は装備したモンスターの攻撃力分アップする!!」
サイバー・ダーク・ホーン:ATK800→2800(ヘル・ドラゴン装備)


……速攻召喚は結構な壊れカードだと思う人~~?……は~~い。
てかこのコンボはマジで鬼!翔君のフィールドにはモンスターが居ないし、ダーク・ホーンの攻撃がほぼ確実に通る状態になってんじゃん!


「サイバー・ダーク・ホーンで、翔にダイレクトアタック!『ダーク・スピア』!!」


――ビィィィィィ!!!


翔:LP4000→1200

「うわぁぁあぁぁぁぁ!!!く……だけどトラップ発動『ショック・ドロー』
 僕が受けた戦闘ダメージ1000ポイントにつき、カードを1枚ドローする!僕が受けたダメージは2800、よって2枚ドローする!!」


大ダメージは受けたけど、翔君だって転んでも只では起きないってね!
このタイミングでの手札補強は中々大きいよ?……次のターンで如何反撃する翔君?








――――――








Side:翔


強い……分かってたけどヘルカイザーは物凄く強い……デュエルに一切の迷いが見えない。


「大人しく殴り倒されはせんか……ターンエンドだ。」

「僕のターン!」

だからこそ、僕は負けない!ヘルカイザーの歩もうとしてる道を見極めるだけじゃない……僕自身がヘルカイザーに勝ちたいんだ。
手痛い一撃を貰ったけど、今度は僕の番だ!
僕は墓地の『ストライクロイド』『ステルスロイドⅡ』『ターボロイド』の3体のロイドを除外し、エクストラデッキから『ソリッドロイドβ』を特殊召喚する!


『ウオォォォォォ!』
ソリッドロイドβ:ATK2500


ソリッドβの効果発動!特殊召喚に成功した時、相手モンスター1体を破壊する!
サイバー・ダークが装備モンスターを盾に出来るのは戦闘破壊される場合に限る……なら効果で破壊するだけだよ!


「く……その穴を理解していたか……」

「此れでヘルカイザーのフィールドはがら空きだ!ソリッドロイドβでダイレクトアタック!!『ソリッドカッター』!!!」


――ズバァァァァ!!


「ぐあぁぁ……良い攻撃だ翔…!」
亮:LP4000→1500


此れでライフはほぼ並んだ……僕はカードを2枚セットしてターンエンド。


「俺のターン!『サイバー・ダーク・エッジ』を召喚。」
サイバー・ダーク・エッジ:ATK800


「サイバー・ダーク・エッジもまた召喚時に墓地のレベル3以下のドラゴンを装備し、その攻撃力を自身の攻撃力に加える。
 俺は再び、墓地に眠るヘル・ドラゴンを眠りから引きずり出す!」
サイバー・ダーク・エッジ:ATK800→2800(ヘル・ドラゴン装備)


「そして、サイバー・ダーク・エッジは攻撃力を半分にする事で相手にダイレクトアタックできる!
 サイバー・ダーク・エッジの攻撃力を半分にし、翔にダイレクトアタック!『カウンター・バーン』!!」
サイバー・ダーク・エッジ:ATK:ATK2800→1400


その攻撃は通さないよ!カウンタートラップ『攻撃の無力化』!これでその攻撃を無効にしてバトルを終了する!


「この攻撃も防ぐか……正直に言って予想以上だぞ翔……良いだろう、全力で来い!
 俺はカードを3枚セットしてターンエンド。」

「僕のターン!!」

……来た!
行くよヘルカイザー!僕は手札から魔法カード『パワー・ボンド』を発動!
フィールド上のソリッドロイドβと、手札のシールドロイドを強化融合!
混沌の宇宙を、その翼で駆け抜けろ!自由をもぎ取れ!融合召喚、出撃せよ『モビルロイド・ストライクフリーダム』!!


『――――――!!』
モビルロイド・ストライクフリーダム:ATK2800→5600



「此処でパワー・ボンドを……!」

「このターンで決着を付ける!ストライクフリーダムで、サイバー・ダーク・エッジに攻撃!『ドラグーン・フルバースト』!!!」


――キュイィィィィン……ドバァァァァァァ!!!!


「ふ……甘いぞ翔!トラップ発動『パワー・ウォール』
 この効果で、俺はデッキから28枚のカードを墓地に送り、2800のダメージを相殺する!!
 更に、サイバー・ダーク・エッジは装備したヘル・ドラゴンを盾にして戦闘での破壊を回避する!!」
サイバー・ダーク・エッジ:ATK2800→800


「残念だったな翔……エンドフェイズにはパワー・ボンドが暴走しお前に2800のダメージが発生する。」

「そうだね……だけど其れではやられない!トラップカード『ミラー・ダメージ』!」

このカードは発動後装備カードとなり、僕のモンスター1体に装備される。装備するのは当然ストライクフリーダム!
そして、装備モンスターの元々の攻撃力と同じ数値のダメージが魔法カードの効果で発生した時、そのダメージは相手プレイヤーが受ける!
つまりパワー・ボンド暴走のダメージは僕じゃなくてヘルカイザーを襲う!

「カードを1枚セットしてターンエンド!そしてパワー・ボンドの暴走を受けて貰うよ!」

「く……其処までのコンボを!だがやらせん、トラップカード『フュージョンガード』
 エクストラデッキから融合モンスターをランダムに1体墓地に送り、効果ダメージを無効にする!!」


効果ダメージの無効……墓地に落ちたのは『サイバー・エンド・ドラゴン』!!
ヘルカイザーのデッキ最強のモンスターが墓地に……


「俺のターン!!……手札から魔法カード『壺の中の魔導書』を発動し、互いにカードを3枚ドローする。」


3枚…!此れでヘルカイザーのデッキは0……このターンを凌げば僕の勝ちだけど、そんな決着の付け方はしてこない筈。
きっとこのターンで『アノ』モンスターが来る…!


「更に『死者蘇生』を発動し、墓地の『サイバー・ダーク・ホーン』を蘇えらせる!」
サイバー・ダーク・ホーン:ATK800


「未だだ!リバースカードオープン!永続トラップ『輪廻独断』
 このカードが存在する限り、互いの墓地のモンスターは俺が選択した種族になる。俺が選択するのは……ドラゴン族!」


ドラゴン族!って言う事は来る、確実に!!


「更に魔法カード『墓穴の掟』を発動し、エンドフェイズまで俺の墓地のカードは全てモンスターカードとなる!
 そして……マジックカード『融合』発動!
 手札のサイバー・ダーク・キールと、フィールドのサイバー・ダーク・エッジと・サイバー・ダーク・ホーンを融合!
 現れろ、サイバー流裏デッキの象徴たる黒き機械竜!融合召喚……『鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン』!!」

『ギシャァァァ!!!!』
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK1000



来た……サイバー・ダーク・ドラゴン!!


「サイバー・ダーク・ドラゴンは特殊召喚に成功した時、墓地のドラゴンを装備できる。
 俺は、輪廻独断の効果でドラゴン族となったサイバー・エンド・ドラゴンを装備!!」
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK1000→5000(サイバー・エンド・ドラゴン装備)


「未だだ!サイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力は俺の墓地のモンスター1体につき100ポイントアップ!
 墓穴の掟で全てのカードがモンスターと化した俺の墓地のカードは38枚!よって攻撃力は8800!!」

『グガァァァァァァァ!!!!』
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK5000→8800



「止めだ翔!鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴンで、モビルロイド・ストライクフリーダムに攻撃!『フル・ダークネス・バースト』!!」


――ギュバァァァァア!!


止めは僕のセリフだ!速攻魔法『リミッター解除』!此れでストライクフリーダムの攻撃力を倍にする!!


モビルロイド・ストライクフリーダム:ATK5600→11200


返り討ちだ!『ドラグーン・フルバースト』!!


「矢張りそれを伏せていたか……だが、俺はお前の戦術の更に上を行く!
 速攻魔法『サイバネティック・マジック・スキュラ』
 俺のフィールド上に『サイバー』が存在する時、俺か相手の墓地の魔法カード1枚を選択して発動する!
 俺が発動するのは……翔、お前が今使った『リミッター解除』だ!!」

「!!!!」


鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK8800→8900→17800


――ドガァァァァァァァン!!!



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
翔:LP1200→0


此れすら破られるなんて……強い……やっぱりヘルカイザーは、お兄さんは強いや。
そして良く分かった……お兄さんは更なる高みに上る為に、敢えて『悪役』の道を選んだんだね……だけど、今の僕には其れは理解出来そうにないや…


「……今は未だそれで良い。
 だが、お前もデュエリストの頂点を目指す以上は何処かで壁にぶち当たる事が有るだろう。
 その時に、俺が選んだ道の事を分かればそれで良い……同じ道を選ぶかどうかは、その時にお前が決めれば良い事だ。」


きっとそうなんだね……はは、今回も僕の完敗かぁ……マダマダお兄さんを超える事は出来そうにないや。
だけど、何時に日かきっと超えて見せる……必ず!!!
















 To Be Continued… 






*登場カード補足



速攻召喚
速攻魔法
手札のモンスターを通常召喚する。(この通常召喚は、既にこのターン通常召喚を行っていても行える。)
またこのカードによる通常召喚はバトルフェイズ中でも行う事が出来る。



サイバネティック・マジック・スキュラ
速攻魔法
自分フィールド上に「サイバー」と名の付く機械族モンスターが表側表示で存在する時に発動できる。
自分または相手の墓地の魔法カード1枚を選択し、其の効果を発動する。



ショック・ドロー
通常罠
自分が戦闘ダメージを受けた場合に発動できる。
受けた戦闘ダメージ1000ポイントにつき1枚、自分はデッキからカードをドローする。



ミラー・ダメージ
通常罠
発動後このカードは装備カード扱いとなり、自分フィールド上のモンスター1体に装備する。
装備モンスターの元々の攻撃力と同じ数値のダメージが魔法カードの効果によって発生した時、そのダメージは自分の代わりに相手プレイヤーが受ける。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、装備モンスターを破壊する。