Side:はやて


つ、強いな吹雪さん……白に乗っ取られた明日香ちゃんを相手にして一歩も引けをとっとらん……寧ろ圧倒しとるくらいや。
普段は軽いノリでチャラけた感じやけど、いざデュエルとなればまるで別人……カイザーと並び称された『キング』の名は伊達やないと言う事やね。


「つっても、最大限ぶっちゃけて言うと、吹雪さんが此処までとは思ってなかったよ……ダークネスとして十代と戦ってた時には。
 ……つまりは此れが正真正銘の吹雪さんの実力って事よね?……コイツはわくわくしてきたっぜ!!」

「俺もワクワクして来たぜ!吹雪さんと明日香……此処から一体どんなデュエルを見せてくれるんだ!!?」


十代は兎も角、遊奈も大分純国産の『デュエル脳』に近い感じになってるみたいやな……まぁ、デュエリストとしてはえぇ事かも知れへんけどね。
で、1人落ち着いとる準はこのデュエルを如何見る?


「盤面だけを見るなら、超大型のドラゴンを呼び出した吹雪さんの方が有利だろうが、明日香君には恐らく結社製のカードがある。
 それらを加味すると、一概にどちらが勝つと言う事は言えんが―――


なんや?


「ハッキリと言える事は、このデュエルで吹雪さんが負ける事だけは絶対にないと断言してやる。
 以前の明日香君ならば兎も角、今の明日香君からは一切のデュエリストの魂を感じない……其れにキングと称された彼が負けるとも思えんからな。」


やっぱり準もそう思うよなぁ?……ってことは遊奈と十代も、このデュエルで明日香ちゃんの勝利は有り得へんて思てるやろね…
まぁ、お兄ちゃん越えは早々簡単に出来るモノやないからなぁ……せやけど、このままストレートに吹雪さんが押し切るとも思えへん…

十中八九明日香ちゃんのデッキには『アレ』が仕込まれてる筈や……存在する筈のない『偽りのプラネット』が。
吹雪さん、油断は禁物やで……















遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX103
『永久氷壁を焼き尽くせ!燃やせ!』












吹雪:LP3000
真紅眼の漆黒竜:ATK3600


明日香:LP3400




Side:吹雪


「く……やってくれたわね兄さん…!!」

「君を救い出すためなら、僕は悪魔とでも契約するさ……だが明日香、今の君じゃあ僕に勝つ事は出来ないよ。」

「馬鹿にしないで!私は兄さんを超える……絶対に!!」


無理だな、今の君では絶対にね……カードを2枚セットしてターンエンド。


「私のターン!!『アイスドール・コア』を守備表示で召喚!」
アイスドール・コア:DEF0


「カードを1枚セットしてターンを終了するわ。」


守備力0のモンスターと伏せカードが1枚……今は耐える時か?それとも手札事故か、或は誘いか……何れにしても僕のやる事は決まってる!
僕のターン!『リベリオン・ドラグーン』を攻撃表示で召喚!


リベリオン・ドラグーン:ATK1900


明日香……分厚い氷に捕らわれた君の心を解放できるのは黒き竜の爆炎しかない!
必ず君を取り戻す、取り戻してみせるぞ!

「行くぞ明日香!僕の攻撃を受けきれるか!?リベリオン・ドラグーンで、アイスドール・コアに攻撃!『リベリオンフレイム』!!!」


――バガァァァァン!!!


「……受けきるわ兄さん。
 アイスドール・コアが戦闘で破壊された場合、デッキか手札から『アイスドール・壱式』を特殊召喚するわ!」
アイスドール壱式:DEF2000


「更にトラップ発動『魂の綱』
 私のモンスターが破壊された時、ライフを1000払ってデッキからレベル4以下のモンスターを特殊召喚する。
 この効果でデッキから2体目の『アイスドール壱式』を守備表示で特殊召喚するわ。」
アイスドール壱式:DEF2000
明日香:LP3400→2400



白の浸食を受けても明日香は明日香か……上級モンスターを召喚する為のリリースを揃えるとはね。
だが、最上級モンスターの召喚はさせない!真紅眼の漆黒竜で、アイスドール壱式を攻撃!『ダーク・テラ・フレア』!!!


「残念だけど、その攻撃は無意味よ兄さん。アイスドール壱式は、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されないモンスターよ。」


――ジュゥゥゥ……


漆黒竜の攻撃が氷の壁に阻まれて……成程、早々簡単にはやられないと言う訳か。僕は此れでターンを終了する。


「私のターン!『氷壁の聖女』を守備表示で召喚!」
氷壁の聖女:DEF1200


「カードを1枚セットしてターンエンド。」


又しても守備固め……2体のモンスターは上級モンスターをアドバンス召喚する為のリリースじゃなかったのか?それとも……
だが、此処は攻める時だ!僕のターン!

「僕はリベリオン・ドラグーンをリリースし『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』をアドバンス召喚!!」

『ギシャァァァァ!!!』
ホワイト・ホーンズ・ドラゴン:ATK2200



ホワイト・ホーンズの効果発動!
召喚及び特殊召喚に成功した時、相手の墓地の魔法を5枚まで除外し、除外した魔法1枚に付き攻撃力を300ポイントアップする!
僕は君の墓地の『氷壁の導き』を除外し、ホワイト・ホーンズの攻撃力を300ポイントアップ!
更に僕の墓地のドラゴンが増えた事で漆黒竜の攻撃力も200ポイントアップする!


真紅眼の漆黒竜:ATK3600→3800
ホワイト・ホーンズ・ドラゴン:ATK2200→2500



「此れだけの上級モンスターを…流石は兄さんね。
 だけど氷壁の聖女が存在する限り、相手はこのカード以外の水属性モンスターを攻撃できない…私のフィールドにはモンスターが残るわ。」

「なら、その聖女から始末するだけさ!
 ホワイト・ホーンズ・ドラゴンで、氷壁の聖女に攻撃!『ホーン・ドライブバスター』!!!」

「……掛かったわね?トラップ発動『迫りくる氷山』
 私の場の水属性モンスターが相手の攻撃対象になった時、デッキからレベル4以下の水属性モンスターを特殊召喚できる!
 この効果で、デッキから2体目の『氷壁の聖女』を特殊召喚!」
氷壁の聖女:DEF1200


!!此れは……戦闘ロック!!
他の水属性モンスターへの攻撃を封じる聖女が2体並んだんじゃ、僕のモンスターの攻撃は届かない…!
此れが狙いだったわけか……だが、そうなるとこの大量のモンスターは…

「く……ターンエンドだ。」

「私のターン!……さて、終わらせるわよ兄さん!全ての準備が整ったわ!
 アイスドール壱式2体と、氷壁の聖女1体の合計3体のモンスターをリリースし、現れよ…『The Empress MERCURY』!!!」

『ハァァァアァァァ!!』
The Empress MERCURY:ATK3000



MERCURY…プラネット!明日香も持っていたのか…!!


「MERCURYの効果発動!3体のモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、相手モンスターを全て破壊する!『デッドウェーブ』!!」


――ガシャァァン!!


く…この為に大量のモンスターを!
だが、闇の竜族の魂は簡単には朽ちない!トラップ発動『リバイバル・レッドアイズ』
僕のフィールド上の闇属性のドラゴン族モンスターが破壊された時、墓地の『真紅眼の黒竜』を攻撃表示で特殊召喚する!!


『グオォォォォォォ!!!』
真紅眼の黒竜:ATK2400



「ふぅん…フィールドは空にしないって訳ね?
 だけど、Mercuryの効果はまだあるわ!1ターンに1度、私のフィールド上のモンスター1体をリリースし、デッキから水属性モンスターを特殊召喚する。
 私は氷壁の聖女をリリースし、デッキからこのカードを呼び出すわ……出でよ『The Kaiser NEPTUNE』!!」

『ウオォォォォォ!!』
The Kaiser NEPTUNE:ATK3000


な、2体目のプラネットだと!?……其処まで斎王は明日香の腕を買っていると言う事か。
確かに自分の妹が評価されているのは嬉しいが、出来ればもっと別の形で評価してほしいと言うのが兄としては本心かな。


「NEPTUNEが存在する限り、私の水属性モンスターが相手に与える戦闘ダメージは倍になるわ。
 此れで終わりよ兄さん!MERCURYで真紅眼の黒竜に攻撃!『アッシドシャワー』!!!」

「残念だが、終幕にはまだ早いよ明日香。
 トラップ発動『黒竜の多重結界』!このターン、僕のフィールド上の『真紅眼の黒竜』は破壊されない!!」

「!!でもダメージは有効!そしてNEPTUNEの効果でダメージは倍になるわ!!」


――バガァァン!!


「ぐ…!」
吹雪:LP3000→1800


「更にNEPTUNEで追撃!『ナイトメア・ブリザード』!!」


――ゴォォォォォ!!!


「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」
吹雪:LP1800→600


く……此れは追いつめられたね。
だが、1ターンの間に合計2000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた事で、手札から『アベンジャー・ドラグーン』を特殊召喚する!


アベンジャー・ドラグーン:ATK?


アベンジャー・ドラグーンの攻撃力はこのターン僕が受けた戦闘ダメージの合計値となる。
僕が受けた戦闘ダメージは合計2400!よってアベンジャー・ドラグーンの攻撃力は2400となる!!


アベンジャー・ドラグーン:ATK?→2400


「そんな方法でモンスターを……だけど所詮は悪足掻きだわ、ターンエンド。」

「果たしてそうかな?僕を舐めるなよ明日香!君の言葉をそのまま返そう、このターンで終わりだ!僕のターン!!」

『リベンジャー・ドラグーン』を召喚!


リベンジャー・ドラグーン:ATK2000


更に装備魔法『アミュレット・クリスタル』を真紅眼の黒竜に装備し攻撃力を600ポイントアップする!


真紅眼の黒竜:ATK2400→3000


そして此れが僕の切り札だ!
魔法カード『黒竜解放の儀式』
僕のフィールド上の『アミュレット・クリスタル』を装備した真紅眼の黒竜を含む闇属性のドラゴン族モンスター3体をリリースし、最強の黒竜を呼び出す!

「レッドアイズよ、闇の魂を喰らい、今こそ封印されし力を解き放て!降臨せよ…闇黒の魔王竜(ダークネス・ルシファーズ・ドラゴン)!!」

『グオガァァァァァァァァァァ…!!!』
闇黒の魔王竜:ATK4000


「闇黒の魔王竜…!!」

「闇黒の魔王竜は、黒竜解放の儀式でのみデッキか手札から特殊召喚できるモンスターだ。
 そして、闇黒の魔王竜はその圧倒的な闇の力で、相手フィールド上のモンスターの攻守力を半分にする!」

「何ですって!?」
The Empress MERCURY:ATK3000→1500
The Kaiser NEPTUNE:ATK3000→1500



更に魔王竜は、相手モンスターを攻撃する場合、1度の攻撃宣言で相手モンスターを2体まで攻撃対象と出来る。
これにより、君の2体のプラネットを同時に攻撃する!やれ、闇黒の魔王竜!!


「さ、させるモンですか!トラップ発動『絶対零度』
 私のフィールド上に2体以上の水属性モンスターが存在する時、相手モンスター1体の攻撃力を0にする!」

「甘い!闇黒の魔王竜には一切のカード効果が通用しない!故にそのカードも無力だ!焼き尽くせ『殲滅のブラックフレアバースト』!!!」

『ゴォォォォ……ガァァァアッァァ!!』


――ギュイィィィン……ゴォォォォォォ!!!!


「うぐ……きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
明日香:LP3600→0(Over Kill)


――ジュゥゥゥ…



……MERCURYとNEPTUNEのカードが消えた……だが、このデュエルは僕の勝ちだよ明日香。
明日香?……何時まで寝てるんだい、お寝坊さんだねぇ?


「……つ…兄さんが其れを言う?って言うかよくもやってくれたわね?この借りはその内倍にして返すわよ兄さん!!」

「おぉっと!すっかり元通りだね♪
 いいよ、何時でも挑んでおいで明日香……白の浸食から解放された君なら、或は僕に勝てるかもしれないよ?」

君が真の『兄越え』をしてくれる日を楽しみにしているさ。






しかし、偽りのプラネットは一体何のために?……デュエルが終わると消えてなくなると言うのも不可解だ。
恐らくは遊奈ちゃん達もとっくにこの『異常性』には気付いているだろうけど……斎王琢磨、一体何を企んでいると言うんだ……?















 To Be Continued… 






*登場カード補足



The Empress MERCURY
レベル8    水属性
天使族・効果
3体のモンスターをリリースしてこのカードをアドバンス召喚した場合、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
1ターンに1度、自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動する。デッキから水属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。
ATK3000    DEF2500



The Kaiser NEPTUNE
レベル8    水属性
悪魔族・効果
このカードが表側表示で存在する限り、自分フィールド上の水属性モンスターが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。
ATK3000    DEF2500



黒竜解放の儀式
通常魔法
自分フィールド上の「アミュレット・クリスタル」を装備した「真紅眼の黒竜」を含む闇属性のドラゴン族モンスター3体をリリースする。
デッキか手札から「暗黒の魔王竜」1体を選択して特殊召喚する。



アミュレット・クリスタル
装備魔法
「真紅眼の黒竜」にのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は600ポイントアップする。
また装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。



リバイバル・レッドアイズ
通常罠
自分フィールド上の闇属性のドラゴン族モンスターが破壊された時に発動できる。
自分の墓地から「真紅眼の黒竜」1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。



黒竜の多重結界
通常罠
自分フィールド上の「真紅眼の黒竜」1体を選択する。
選択したモンスターはエンドフェイズまで戦闘及びカードの効果では破壊されない。



迫りくる氷山
通常罠
自分フィールド上の水属性モンスターが攻撃対象になった場合に発動できる。
デッキからレベル4以下の水属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。



絶対零度
通常罠
自分フィールド上に水属性モンスターが2体以上表側表示で存在する場合に相手モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの攻撃力を0にする。