Side:みほ


「其れじゃあ、今日の練習は此処まで!!お疲れ様!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「お疲れ様でしたー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


今日も今日とて、何時も通りに授業を受けて、そして放課後は戦車道の訓練に全力を注ぐって言う、ある意味でルーティン化した日常だけど、あ
る意味で、そんな日々だからこそ、皆の成長が目に見えて分かるのかも知れないね?

この間の紅白戦以降、1年生のチームは、物凄い勢いで成長してるのは間違いないと思うよ。
日に日に装填速度と、操縦技術は向上してるし、各車両の車長だって指示の出しかたが巧くなってる上に、砲撃手の命中精度だって可也上がっ
て来てるから、此れなら大会までには、堂に入ったチームになると思うな。

でも、だからこそ私のチームの向上率が目立つんだけどね?
ナオミさんの砲撃手としての腕は、毎日のように向上してるし、つぼみさんの操縦技術だって黒森峰でも通用しそうなレベルだよ此れは!?
何よりも、青子さんの装填速度が、始めてたばかりの頃と比べると3秒も縮まってるんだけど、一体どんなトレーニングしたって言うの!?



「あ?日に逆立ち腕立て100回と、5kgのダンベルを左右100回ずつ熟して、そんでもって其の後で倍の時間の柔軟をやってるだけだって♪
 筋肉ってのは、太くするだけじゃダメだから、しなやかさを残して鍛えないとだしな♪」

「だからって、其れを実践できる貴女が凄いわ、青子…」

「みほと天辺目指すんだったら、素人のアタシは此れ位やらねぇと追いつかねぇからな!」



だとしても、其れだけのトレーニングを実践できるのは、凄い事だよ青子さん?
でも、其れだけのトレーニングをしてるなら、大会の時には、このアイスブルーのパンターは更にその力を発揮できるように成っているのかもね。









ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer5
『親友達と、放課後の楽しみです』










其れは其れとして、練習が終わったら、後は帰るだけなんだけど――



「そう言えば、最近みほの迎えのヘリ見ねぇよな?如何したんだ?」

「言われてみればそうね?」

「みほさんは、どうやってご実家に帰ってるの?」



此処で、最近私の迎えのヘリを見ない事が上がって来たね?
まぁ、隠す事じゃないから言っちゃうけど、流石に片腕で縄梯子を上るのは危険だって言う事で、お母さんが近くの複合商業ビルの屋上のヘリポ
ートを抑えて、今は其処に迎えに来てもらってるんだよ。



「近くの複合商業ビルって言うとあそこか!
 其れならそうと言ってくれよみほ!あのビル内には、ゲームセンターとかアイスショップとか色々入ってるから、下校時の寄り道には最適だぜ?
 其れなら、迎えのヘリが到着するまでは、一緒に遊べるじゃんよ!!」

「ふえ?そ、そうなの?」

「此れは青子の言う通りよみほ。
 今時の中学生が、寄り道をしないで帰るなんて言うのは、そっちの方が珍しい位だし、ゲームセンターやアイスショップに立ち寄る程度なら、補
 導される事もないし、時間潰しの意味でも、良いんじゃない?」

「放課後の彼是は、楽しまないと損と言いますもの♪」



そうなんだ?なら、とことん楽しんじゃおうかな?
熊本から此処まで来るには、ドレだけ急いでも最低で40分はかかるから、その時間を皆と一緒に楽しく過ごすって言うのは、良い事だしね♪



「なら、先ずはゲーセン行こうぜゲーセン!
 あそこのゲーセンは、最近新台入荷したらしいから、此れは行くしかねえだろ?UFOキャッチャーの商品もリニューアルしたみたいだからな!」

「新台入荷ですって?其れは見逃せないわね。」

「レースゲームの新台が有れば、やらせて貰うわ。
 明光大付属一の俊足には、誰であろうとも追いつく事は出来ないって言う事を教えてあげるわ!」



で、ナオミさんとつぼみさんもやる気は満々!
ゲームセンターって言うのは初めてだけど、なんだか楽しい事になりそうだね♪



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と、言う訳で、やってきましたゲームセンター!本当に、色んな種類のゲームが有るんだね。――取り敢えず、UFOキャッチャーの景品に有った、
『ゴールデン・眼帯ボコ』は何としても、ゲットしておかないとね。

まぁ、其れは其れとして……ゲームセンターでも、皆の力が発揮されてるね?
レースゲームでは、つぼみさんが2位以下に10秒以上の差をつけてのぶっちぎりの1位になって、全国ランキングでもM・Nさんに僅差で迫る2位
で、青子さんはパンチングマシーンと腕相撲マシーンで、本日の最高得点をマークして、全国ランキングでも問題なしの1位!

そしてナオミさんもシューティングゲームで、ラストステージを待たずに最高得点を更新して、現時点での全国ランキング1位のE・Iさんをぶっちぎっ
てるから、此処からどれだけ得点を伸ばせるかが重要だね!



「流石に、此れだけ一気に敵が出て来ると辛いわね……」



とは言え、ラストステージ前のセミファイナルステージだけに、敵の出現数がシビアで、流石のナオミさんも辛そう。
だけど――

「ナオミさん、ボムを使って下さい!
 そして、ボムを使ったら、画面の右側から現れるエネミーから優先的に撃破して下さい。そうすれば、画面左から現れるエネミーは、簡単に倒す
 事が出来る筈です。」

「OK、分かったわみほ!」



こんな所でも私は、戦車道の車長としてのスキルが発動しちゃった。
ナオミさんの前にプレイしてたプレイヤーのプレイを見ていたから、ある程度の相手の動きが見れるようになっていたから、其処から予想される事
を伝えただけなんだけど、其れはドンピシャリだったみたいだね!

私の指示が飛ぶたびに、ナオミさんは其れに従って、エネミーを撃破!
気が付けば、ランキングの最上位――パーフェクトクリアを達成していたからね。……うん、本気でナオミさんは砲手になる為に生まれて来たと言
っても過言じゃないかもしれないよ。

さてと、其れじゃあ私はボコを取ろうかな~~?
極レアのゴールデン・眼帯ボコはまだ誰にも取られてないし、他にも『天使ボコ』や『全身包帯ボコ』、『腕吊り松葉杖ボコ』って言う、持ってないボ
コもあるから、是非とも取っておきたいね♪



「ナオミさん、アレの魅力って理解できる?」

「いや、理解出来ん。」

「まぁ、良いんじゃねぇか?人の好みは千差万別って言うし。
 みほがアレを好きな事に対して、アタシ等がとやかく言うもんでもねぇだろ?……まぁ、アレが大量に鎮座してるだろうみほの部屋を想像しちまう
 と、流石に不気味感は拭えねぇけどな。」



ヤッパリそう思うのかなぁ?お姉ちゃんもお母さんも、私の部屋に入ると顔を引きつらせるし。
でも、私達が居ない間に部屋の掃除とかしてくれてる菊代さんは『可愛らしいクマのぬいぐるみが沢山ありますね』って言ってたし…まぁ良いか♪



「で、お目当ての物をどうやって取る心算?
 あれは場所的にも可也難しいわよ?アームが届くか届かないかって言うギリギリの場所みたいじゃない。」

「1回で取ろうとは思ってないよナオミさん。
 まず1回目でアームの開きを利用してボコの位置をずらし、2回目で引っ掛けて姿勢を変え、3回目で取れば良いんだよ。戦車で砲撃する際の
 縦軸の距離の修正の仕方と同じだね。」

「1回目は相手の奥に落して、2回目は手前に落して、3回目で当てるって言うあれね?」



そう言う事です。
1回で成功すれば言う事ないけれど、3回目で成功させるくらいの気持ちで居た方が、最終的な成功率は上がるモノだから。
実際にお母さんも、初心者の砲撃手を指導する時には『1回で命中させようと思わず、距離を修正しながら3回目で当てるようにしなさい』って言
ってるから。そうすれば、自然と1回で当てられるように成るとも言っていたしね。

と言う訳で500円投入して、此れで6回出来る!
最初の3回でゴールデン・眼帯ボコをゲットして、残る3回で他のボコをゲットするよ!!

先ずは1回目……よし、良い感じにアームが開いて、ゴールデンが転がり落ちて来てくれた!
続く2回目で、足をアームに潜らせて……よし、頭が上を向いて座った状態になった!こうなればボコは重心が安定するからね!
そして3回目、頭はを確り掴んで……



――ゴトン!



やったー!極レアボコゲットーーーー!!



「お~~、やったなみほ!」

「宣言通りの3回目での成功……見事ね♪」

「本当に、凄い奴だわアンタって。」

「えへへ、ありがとう♪
 この調子で残り3回で、新たに3体のボコをゲットして見せるよ!」

と言う訳で4回目!天使ボコゲット!
5回目!全身包帯ボコゲット!
そして最後の6回目!何とタグを二つ引っ掛けて、腕吊り松葉杖ボコと、点滴ボコの2つをゲットーーー!!なんて言うか、今日は吉日だね♪



「かもな?
 其れじゃあ次は、エアホッケーでもやらねぇか?アレなら全員で楽しめるし、パッド打つのは片手で用足りるから、みほも出来るしな。」

「良いわね?チーム分けは如何するの?」

「アタシとみほが同じクラスだから同じチームで如何よ?」

「良いわね?異論はないわ青子さん!私とナオミさんのチームが返り討ちにてあげるわ。」

「私と青子さんだって負けません!」

今度はエアホッケーで対決!
片腕の私でも楽しめるゲームを選んでくれた青子さんには感謝だよ。――さて、始めま……



「あっれー?君達中学生?放課後に寄り道なんて、悪い子だね~~~?
 でも、寄り道くらいはしないと楽しくないってのは分かるよ~~?だからさ、俺達と一緒に遊ばない?」

「俺達楽しいとこ一杯知ってんだよね~~?
 退屈だけはさせないから、騙されたと思って俺等と遊んでみなって。絶対に損だけはさせないって、お兄さん保証しちゃうからさ~~~~~?」

「ギャハハハ、テメーの保証なんて当てにならねーだろ。」



しょうかって言う所で、声を掛けて来た数人の男性グループ。
多分高校生かそれ以上なんだろうけど……此れって、所謂ナンパって言うモノなのかなぁ?正直って、あんまり良い感じはしないんだけど。



「行くわよみほ、青子、つぼみ、こう言うのは無視するに限るわ。」

「そんな連れない事言わないでよ~~?可愛い顔が台無しだぜ~~?
 ちょっと遊ぶだけだから悪い様にはしないってば。其れに、片腕の彼女は色々と不便そうだから、俺達が助けてあげようって親切心よ~~?」

「悪いけれど間に合ってるわよ。みほさんは、貴方達のような方に助けて貰う程柔ではないので。
 何よりも、馬鹿は馬鹿でも、軽薄で面白みのない馬鹿に付き合うのは疲れるだけで得る物は無いので、貴方達と遊ぶ心算は全然ないわよ。」

「言ってくれるねぇ?だけど、あんまし調子に乗ってるとお兄さん怒っちゃうよ~~~?其処の片腕の子は抵抗できなさそうだしね~~?」



で、ナオミさんとつぼみさんが思い切り拒否したけど、其れでも引く気はないみたいで、それどころか私に手を伸ばして来て――!!!



「静まれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



触れる直前に青子さんの大声!?
え、一体如何しちゃったの青子さん!?



「静まれ静まれぇ!!
 此処におあすお方をどなたと心得る!恐れ多くも、かの戦車道の一大流派『西住流』の西住みほ殿に有らせられるぞ!!
 一同、御前の手前である!頭が高い、控えおろーーーーーーーー!!!」

「水戸黄門?」

「これまた、渋いチョイスね。」



だね。
でも、その行き成りの事に驚いて、ナンパさんの手は止まったから効果は抜群だったのかも知れないけど。……水戸黄門は、とっても偉大だね。



「西住流だと!?」

「そうだ、西住流だ。
 アタシ等は兎も角、みほに下手に手を出してみろ?コイツの姉ちゃんと母ちゃんが、黒塗りのティーガーⅠとマウスでお前等を滅殺しに来るぜ?
 まぁ、そうなる前にアタシが自慢の腕力で、お前等全員にウェスタンラリアートブチかましてKOする可能性も無くはないけどな?」

「因みに、青子さんはパンチングゲームと腕相撲ゲームで、本日の最高得点を更新して、全国ランキングもぶっちぎりの1位ですよ?」

それでも、まだアタシ等と遊びてぇのか?あぁん?


――ボキボキ…


「「「「ほ、他を当たりますーーーー!!」」」」



で、青子さんが眼光鋭く指を鳴らしたら、ナンパさん達は蜘蛛の子散らすように逃げて行ったね?
まぁ、パワー系のゲーム2つで全国ランキング1位になった子が居るなら、下手したらボコられるって思うだろうから――そして、今の眼光はGJだ
ったよ青子さん。



「まぁ此れ位はな。だけど、あの馬鹿共のせいで余計な時間を食っちまったから、エアホッケーはまた今度だな。
 だから最後にアイスショップ行こうぜ!最上階の74アイスクリームに新しいフレーバーが追加されたみたいだから、此れは行くしかねぇだろ!」

「良いわね?新しいフレーバーって言うのも興味あるわ。」

「放課後エンジョイの最後にアイスは王道だものね♪」



そして、ナンパさん達を撃退した後は、皆でアイスクリームショップに直行♪
青子さんの言ってた新フレーバーって言うのは、キャラメルティーと大納言抹茶と中華杏仁と超濃厚カスタードの4種類だったから、皆で夫々を注
文して、分け合って楽しんだよ。

感想を言うなら『全て美味しかった』の一言に尽きるかな。

で、そんなこんなで時間を潰して、屋上のヘリポート。
菊代さんが迎えに来てくれたから、今日は此処までだね?――それじゃあ、また月曜日に!!



「そうね、また月曜日に会いましょう。」

「今度は、お前の家に遊びに行かせてくれよみほ!
 土日なら外泊も出来るから、お前の家に遊びに行ったって問題は無いし、ダチの家には一度行っておきたいって思うからなアタシは♪」

「私も同じ気持ちよ、みほさん♪」



うん、大歓迎だよ!
私の友達で、戦車道の仲間なら、お姉ちゃんとお母さんも大歓迎だろうから、何時でも来てくれていいよ♪きっと、楽しい事になるだろうからね♪

本当にこの学校に進学してよかったよ――此れだけの仲間に出会う事が出来たんだから♪



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そして週明けの月曜日、近坂部長に呼び出されて、戦車道部の部室に来た訳なんだけど……えっと、何かあったんですか近坂部長?



「あったわ。其れも途轍もなく重大な事がね。
 西住隊長、今週の土曜日に、神奈川県立綾南高校附属中学校との練習試合が決まったわ――この練習試合は、両校の伝統的なモノである
 意味合いが強いけど、ここ数年は連敗続きだから、ここらで一発ガツンとブチかますわよ西住!」

「異論は有りません…!」

此処で練習試合とはね……少し驚いたけど、やる以上は勝って見せるよ!!
其れに今の私達なら、勝てなくても負けない――最低でも引き分けには持ち込めるだけの力をつけて来ているから、このタイミングでの練習試合
は、寧ろ好都合かも知れない!

どんな結果になろうとも、この練習試合は、間違いなく私達にとってレベルアップの糧になるのは間違いない事だから全力で行くだけです部長!



「なら、一発かましちゃって西住隊長!
 私達はもう弱小じゃない……強豪を喰う可能性すらあるダークホースだって言う事を、相手の隊長に分からせてやって!!」

「分かりました!」

練習試合とは言え、この戦いは絶対に勝って見せるよ!











 To Be Continued…