Side:しほ


ふぅ、一日の仕事を終えてのお風呂と言うのは格別ね。西住の家のお風呂は桧木造りの温泉だから、余計にそう思うわ。~~ふぅ、これぞ正
に至福の時と言う所ね。
菊代が気を利かせてお銚子を2本も付けてくれたのだから尚更だわ。――最高の温泉で最高の酒、素晴らしいわね。



「手酌は寂しいから、ハイどうぞ。」

「あら、ありがとうみほ。」

更には、愛する娘が一緒なんですもの、此れに文句を言ったら罰が当たるわね。
そう言えばみほ、貴女に喧嘩を売って来たていう子はどうなりました?元気なのは結構な事ですが、隊長に喧嘩を売る等言語道断の所業故
に、厳しい判断が求められるのですが……



「ん~~~……勝負自体は、私が圧倒的に勝ったから問題ないかな?5対5の殲滅戦だったけど、結局は私と梓ちゃんの2チームで完封す
 る事が出来たから。
 それに、歩美ちゃんはプライドが高いけど根は素直な子だから、キッチリと実力を示してあげたら、思ったよりもアッサリと私を認めたから。」

「圧倒的な敗北を刻み込む事で厳しい判断を下す代わりにしたと言う事ね?
 でも、それだけ気性の激しい子なら、鍛えれば可成りの物になるんじゃないかしら?――此れは、あくまでも西住流師範の見解だけれど。」

「うん、鍛えればモノになると思う。
 梓ちゃんには及ばないけど、歩美ちゃんも戦車乗りとしては高い能力を有してるから、鍛えれば黒森峰の1軍レベルにはなれる筈だよ。」

「そう、其れは楽しみね。」

みほの中学最後の年も、如何やら面白い事になりそうだわ――今年の大会は、去年以上に凄い事になるかも知れないわね。










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer48
此れが明光大の底力です!』









Side:みほ


私と歩美ちゃんの戦いから早6日――去年よりも経験者が多いとは言え、今年の1年生チームは短期間でメキメキと腕を上げて来た感じがし
ているね。

特に、私に喧嘩を売って来た歩美ちゃんはそれが著しい感じだよ。
元々攻撃的な戦い方を得意としてるみたいだったけど、この6日間で、其れが更に磨きがかかってるみたいだからね――小学校時代無敗の
名は伊達じゃないって感じかな。

でも……



「撃て!」

「打っ飛びやがれなの!!」


――ドゴン!

――キュポン!!




梓ちゃんにはまだ及ばないね。
戦車に乗ってる時間なら歩美ちゃんの方が圧倒的に勝ってるんだろうけど、その時間の差を蹴り飛ばしちゃう位に、梓ちゃんは去年1年間で
急成長して、ドイツのジュニアリーグのトップ選手だったツェスカちゃんと肩を並べるくらいにまで急成長してるから、小学校無敗の強者レベル
じゃあ、最早相手にならない感じだよ。



「く……マッタク相手にならないとは。
 西住隊長が手塩にかけて育てたエースが副隊長になったとは聞いていましたが、最早これ程とは……中学から戦車道を始めたとは、到底
 思えない腕前です。」

「其処はほら、私の場合は師匠(せんせい)が最高だったから♪」



私の直接指導が効いてるんだって言うのはお姉ちゃんも言ってた事だけど、其処までの戦車乗りに成長する事が出来たのは、偏に梓ちゃん
の努力の賜物だと思うんだよね。
今の1年生vs2年生の模擬戦でも、梓ちゃんは6日前の私と歩美ちゃんの私闘から得た歩美ちゃんの戦い方を確りと頭に叩き込んだ上で的
確に対処して勝利を収めた訳だから見事なモノだと思うな。――間違いなく、また強くなってたからね梓ちゃんは。



「其れまで。1年生チームのフラッグ車が行動不能になったので、勝者は2年生チーム。互いに礼!」

「「ありがとうございました!!」」



美姫さんが顧問になってくれた事で、模擬戦での審判とかをお願いできるようになったのは有り難いね。
其れに美姫さんは、明らかな間違いや、戦車道の心構えに反する事に関しては注意する事があっても、それ以外の事は基本的に私に任せ
てくれてるから凄くやりやすい感じだね。

ともあれ、此れで今日の練習内容は全部終了。
学年別総当たり戦だったんだけど、結果は私達3年生が2勝で、梓ちゃん達2年生が1勝1敗、歩美ちゃん達1年生は2敗って言う結果になっ
たか……まぁ、予想通りだけどね。

でも、今日の模擬戦を見る限りでは、今度の綾南との練習試合は去年同様に1年生全員を出場させても良いかも知れないかな?
歩美ちゃん達ならそこそこの戦果は期待出来るだろうし、私との私闘に続いて部活での模擬戦でコテンパンにやられた後の練習試合で成果
を上げれば、間違いなく自信に繋がると思うからね。

練習試合で自信をつけて、其処から精進していけば大会でも期待出来る戦力になるだろうし。――その方向でも良いかなナオミさん?



「異論はないわみほ。
 と言うか、部の運営に関しては部長の権限の方が上だけど、試合に関する彼是なら貴女の方が権限が上だから一々私に了承を得る必要
 はないでしょ?」

「一応、部の最高責任者に許可を取った方が良いと思って♪」

「楽しんでるわね貴女……まぁ、異論はないわ。
 綾南との練習試合で自信をつけて貰って、其処から精進していけば大会までには良い感じに育つとは思うからね――今年の1年も割かし
 活きが良い子が多いから、間違いなく戦力になるでしょうからね。」



うん、間違いなく戦力になってくれる筈だよナオミさん。
この間の私との喧嘩と、今日までの訓練で、1年生はレベルの差を感じた筈だから、その差を埋めようと努力すれば間違いなく強くなる事が
確定だからね♪

でも、今日の訓練は此処まで!
各自練習後のストレッチは入念に行ってください。練習で疲れた身体をそのままにしておくのは危険ですので、其れを解消する意味でも練習
後のストレッチは欠かせませんから。



「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」

「ならば良し♪」

それじゃあ、ストレッチが終わった人か順次解散の方向で。――今日もお疲れ様でした♪



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部活が終わったら、恒例の放課後アフターの時間。
菊代さんの迎えが来るまでの時間を遊び倒すフリーダムタイムなんだけど、今日は梓ちゃんのチームも交えて総合商業ビル5階のアミューズ
メントエリアに展開してるカラオケチェーンでカラオケ三昧だね。

全国ランキングに挑戦する形でやってるんだけど、青子さんもナオミさんもつぼみさんも、持ち歌で全国ランキング2位って言うのは凄いよ!
私も梓ちゃんも、全国ランキングは最高で3位なのにね。
でも、負けっぱなしって言うのは好きじゃないから、今度はこの曲で――梓ちゃんとのデュエットで全国ランキング1位を取って見せるよ!



「お~~、燃えてんなみほ!」

「西住流に撤退の文字なし!――例えカラオケであっても、負けぬ!退かぬ!!顧みぬ!!!」

「軍神招来!?……此れは、みほさんと梓さんのデュエットは期待出来るわ!」



ふふふ、その期待を遥かにぶち抜いてあげますよつぼみさん――行くよ、梓ちゃん!!


「は、はい!!」



では聞いてください、私と梓ちゃんのデュエットで『Future』



――さぁ行こう、もう振り返らない
   このまま、当てなどなくていい
   夢見るような、夢は欲しくない

   絡み合う星にかけた願いは一つ
   枯れる事ない、強さをください
   何処までも続いて行くこの道を、歩き続けて行くしかない



   幸福に、理由なんていらない
   哀しみは、想像からは始まる
   また探せば良い、何処かにあるわ


   ――激しく


   絡み合う、気持ちの糸ほどいたら
   思うより心は孤独だった
   水を求める肴みたいに儚く、煽られて明日には向かない


   絡み合う星にかけた願いは一つ
   枯れる事ない、強さを下さい
   何処までも続いて行くこの道を、歩き続けて行くしかない




うん、完璧!
青子さん、得点及び全国ランキングは何処まで行きましたか?今のデュエットは可成り良い感じだったので、最低95点の全国ランキング2位
は確実だと思うんですけど?



「評価点100点!全国ランキング1位だと!?
 明光大の隊長・副隊長コンビは、戦車道以外でも組んだら最強ってことか!?…此奴は、中々凄い事になりそうだな今度の練習試合!」



勿論、凄い事にするよ?
梓ちゃんとのデュエットが100点満点の全国ランキングトップになったのは予想外だったけど、逆に言うなら、其れ程に私と梓ちゃんが通じ合
ってる事の証でもあるから、素直に喜ばしい事だね。
今度の練習試合でも、バッチリと息を合わせて行こうね梓ちゃん!!



「はい、西住隊長!!」

「……隊長と梓ちゃんは、本当に仲良しさんなの。」

「アズサは西住隊長を尊敬しているし、隊長はアズサの事を頼れる副隊長として信頼しているからネ。」



まぁ、否定はしないかな?
流石にお姉ちゃんと組んだ時みたいに、アイコンタクトやハンドサインだけで作戦を伝える事は出来ないけど、それでも作戦を少し話しただけ
で全容を略理解してくれるって言うのは有り難い事だからね。
僅か1年で、梓ちゃんは副官に最低限必要な能力をその身に付けたんだから大した物だよ。



「と言う事は、最強のみほが隊長で、そのみほが認める梓が副隊長を務めてる以上、今度の練習試合は……」

「間違いなく勝つわね。
 綾南は新隊長になってるから、其れがどんな奴かにもよるだろうけど、一昨年のアレみたいな奴だったら10vs10の殲滅戦でもパーフェクト
 勝利確実じゃない?」

「そうじゃなくても、ダブルスコアで勝利確実だと思うわ。」

「10vs10の殲滅戦でダブルスコアって言う事は、撃破される数を5輌以下に止めろって言う事だよね?
 去年までなら兎も角、今年は優勝校って言う事でマークされてる中で、其れは結構難しいんじゃないかな?出来なくはないと思うんだけど。
 って言うか、試合前にハードル上げないでよナオミさん、つぼみさん!!」

「出来ないとは言わないんですね西住隊長……」



うん、言わないよ梓ちゃん。
やる前から『出来ません』って言っちゃったら、本当に出来なくなっちゃうし、只勝つだけじゃなくて、試合前にその試合での目標を設定してお
いて、其れを達成できるように努力する事も大事だからね。

元より勝つ心算だったけど、良いよナオミさん、つぼみさん、その条件受けます。
此方の損害が5輌以下でスペシャル勝利、損害0でウルトラ勝利です!!って言うか、練習試合で其れ位出来なきゃ、マークがキツクなって
るであろう大会では勝つのが難しいと思いますから!



「お~~、みほが燃えてる!此れは、今度の練習試合は貰ったな!」

「はい、勝ちに行きます!全力で頑張りましょう!!」

「「「「「「「おーーーーーー!!!」」」」」」」



其れじゃあ、帰ったら練習試合のオーダーを考えないと。1年生全員に出て貰うとなると、どのチームをどの戦車に乗せるのかって言う事にな
って来るからね。



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と、言う訳で練習試合当日。
今年はこっちが綾南の方に出向く形だから、状況としてはアウェーでの試合……地の利は綾南にあるけど、其れでも負ける気は更々ないん
だけどね。



「態々出向いて貰って申し訳ない。
 綾南の新隊長を務めさせて貰っている、真田雪村と言います。」

「へ?真田幸村?」

「『幸に村』ではなく『雪に村』で雪村です。
 何分両親共々歴史マニアな上に、真田幸村の大ファンで、子供が生まれたら『ゆきむら』とつけようと考えてたらしいんですが、生まれた私
 が女子だったので女の子っぽくと言う事で、雪の字を当てた雪村にしたそうです…もっと女の子らしい名前を付けて欲しかったのですが。」



それは、確かにそうかも知れないですね。
でも、戦車乗りとしては、名将『真田幸村』と同じ読みの名前って言うのは良いんじゃないかって思います。
あ、申し遅れました。明光大隊長の西住みほです。



「1年の頃から存じていますよ。
 貴女が隊長に就任してから、我が校は明光大に練習試合で勝つ事は出来ないでいる――それどころか、此方は全国大会2回戦負けだっ
 たのに対して、其方は全国大会優勝ですからね。
 最早、嘗ての弱小校の面影はない……否、今や黒森峰に肩を並べる強豪校と言っても過言ではないと思います。
 隻腕の軍神・西住みほ、全力で挑ませて頂きます!!」

「はい、良い試合にしましょう雪村さん。」

去年の雅さんも隊長として立派な人だったけど、今年の雪村さんはそれと同等かそれ以上だね。
ヤッパリ、名将の名を冠してるだけの事はあるって言うのかな?――此れは、ウルトラ勝利はすこ~~し、難しいかも知れないね?去年より
も更に強くなった綾南相手にパーフェクトゲームって言うのはハードルが激高だよ。
でも、それでもそれを達成する心算で行くけどね。

奇しくも、今日はエリカさん率いる黒森峰も大会前の調整として練習試合を行うって言ってたから、出来れば互いに勝った事を報告しあいた
いモノだからね。
それじゃあ、全力で行きましょう!Panzer Vor!!








――――――








No Side


恒例の練習試合が始まり、両陣営とも前進していくが、今年は綾南の方に地の利があるため、先手を取って攻めて来るのは綾南だ。

と、練習試合を見物に来ていた綾南の生徒達は思っただろう。(練習試合の様子は、綾南の放送部によって設置された野外モニターで中継
されている。)

だが、其の予想に反してアウェーであるにも拘らず先手を取って来たのは明光大の方だった。


「先手必勝!おんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「Ⅲ突!?まさか、既に隠れていたって言うの!?」


物陰に隠れていた椿姫のⅢ突が、綾南の部隊を強襲してラングを撃破!!
アウェーでの戦いではあるが、否アウェーでの戦いだからこそ、みほは一昨年の練習試合で得ていた情報をフル活用して、作戦を立ててい
たのである。

練習試合で使用される場所が一昨年と同じ区域だった事もまたみほにとっては嬉しい事だった――何故ならば、その区域の地形データは完
璧に頭の中にインプットされていたのだから。
だからこそ、試合開始と同時に綾南が通って来るであろうルートを割り出し、そのルート上の物陰にⅢ突を展開していたのだ。

しかし綾南の雪村とて負けてはいない。


「奇襲……!
 怯むな、周囲を警戒しつつ応戦しろ!Ⅲ突が1輌だけで潜んでいたとは考え辛い――必ず近くに本隊が居る筈だ!!」


すぐさま指示を飛ばして陣形を立て直しつつ周囲を警戒し、奇襲をかけて来たⅢ突に対処する。
圧倒的な砲門に狙われたⅢ突は、奮闘虚しく白旗を上げる結果となったが、試合の本番はここからだった。



「其れでは此れより『じわじわ作戦』を開始します!」

『『『『『『『『了解!!』』』』』』』』


みほが指示を飛ばすと同時に、明光大の部隊は一気に綾南の部隊との距離を縮めていく。
其れも一方向からではなく、前後左右の両方向からだ――地形データが頭にインプットされているみほは、試合開始と同時にⅢ突を隠れさ
せるだけではなく、部隊を綾南を取り囲む形で展開していたのである。


「此れは……地の利を逆手に取られた!?
 く……流石は隻腕の軍神・西住みほ……アウェーであるにも関わらず此方を出し抜いて来るとは、その戦略眼の鋭さ、感服するばかり。
 だが、此方とて簡単に負けなしない!全軍、迎撃態勢を取れ!」


其れでも慌てる事なく部隊に指示を飛ばす雪村は、その名に恥じない名将と言えるだろう。

しかし、悲しいかな『名将』と『軍神』ではレベルが違う。
みほと梓が戦線に加わった瞬間に、其れが顕著に現れたのだ。


「撃て!!」

「後ろがガラ空きです!!」


蒼き鋼鉄の豹と、純白の鋼鉄の虎の爪牙に狙われたモノは、抵抗虚しくその喉笛を噛み千切られて戦闘不能に陥って行く。同じ、ドイツ製の
戦車を使っているにも拘らず、綾南の車輌はみほと梓を捉える事が出来ないのだ。

無論綾南も負けじと攻撃し、2輌目のⅢ突と、パンター2輌を撃破するが、その車輌も直後にみほと梓に撃破され、気付けば残るは隊長車の
みの状況。

其れに対して明光大は、まだ6輌が健在なのだ。
殲滅戦である以上、此れは勝負が決したも同然だが、しかし綾南雪村は諦めず、せめて隊長車は討ち取らんと、みほの乗るパンターに向か
って、真田幸村の単騎駆け宜しく突撃!!

が、この状況に置いて、其れは無謀な突撃でしかない。



「此れで終わりです――歩美ちゃん!!」

『了解です!!』


突撃して来た雪村のティーガーⅠの後を取る形で、歩美が搭乗するパンターが強襲し、ティーガーⅠの弱点である後部装甲に一発かます。
其の効果は覿面で、ティーガーⅠは白旗判定となり、此れにて綾南は全車輌行動不能となり、明光大の勝利が確定したのだ。



「……1年の頃からお見受けしていましたが、いやはや以前よりも更に強くなっておられる……勝つ気で行ったのですが、マッタク持って歯が
 立ちませんでした。
 西住殿戦、お見事でした。」

「此方こそ、良い試合をさせて貰いました――ありがとうございます、雪村さん。」


そして、試合が終われば互いに礼。
練習試合は明光大の勝利に終わったのであった。








――――――








Side:エリカ


ふぅん?其れで勝ったのね?



『うん、勝ったよ。
 エリカさんの方は如何だったの?確か今日は練習試合だった筈だよね?』


「愚問ねみほ、勝ったに決まっているでしょう?
 貴女達の去年の準決勝の相手との練習試合だったけど、圧倒的に勝ってやったわ――まぁ、勝てたのは、去年の貴女の戦術を少し真似さ
 せて貰ったからだけど。」

『其れは、少し嬉しいかな。
 去年の私の戦い方が、エリカさんに勝利を齎したって思うと嬉しいモン。』




そう言うモノなのかしら?少し分からないけど、みほがそういうのならきっとそうなんでしょうね――本当に変わってるわ、あの子って。
でも、其れは其れとして、大会前の練習試合で勝てたって言うのは、黒森峰は当然として、明光大も士気を上げる事になったでしょうからね。

「何にしても、お互い絶好調である事に変わりはないわ。
 大会で、貴女と戦う事を願っているわよみほ。」

『はい!私も願っていますエリカさん!』



ふふ、大会が楽しみで仕方ないわね。
今年こそ、決勝の舞台でみほと戦いたいって、そう思っているのだから――もし、この世に神様が居るのなら、是非ともこの願いを聞き入れ
て欲しいモノね。

何にしても、大会でぶつかる事になったら容赦しないから、覚悟しておきなさいよみほ!!

今年の大会は、去年よりもっと楽しめるかも知れないわね。












 To Be Continued… 





キャラクター補足



真田雪村
綾南中学校の新隊長にして、歴史マニアの両親から大凡女の子らしくない名前を付けられてしまった不憫な少女。
しかし、戦車道に於いては優秀な能力を発揮し、的確に敵を殲滅していく。
練習試合ではみほに負けるモノの、武人然とした態度は変わらず、みほの圧倒的な力に対して敬意を表した。