Side:みほ


全国大会を制して、その週の日曜日に、お母さんから広間に呼ばれたんだけど、緊張するって言う事は全く無いよ♪だって、私は最高の結
果を残したって自負してるからね。

尤も、その最高の結果も最高の仲間が居たからこそなんだけど。



「先の大会の決勝戦、実に見事でしたよみほ。
 結果的には、姉の敗北を妹が埋めると言う事に成ってしまいましたが、貴女はあの試合で己の戦車道を示しました――まだ、未完成である
 事は否めませんが。
 ですが、大会の優勝は通過点に過ぎません、一度頂点を極めた事に満足・慢心する事無く、此れからも精進なさい。」

「はい、全国大会優勝の名に恥じぬよう、精進します!――って、こんな感じでいいのかなお母さん?」

「全く、其処で聞いたら意味ないでしょうに……でも、其れが貴女なのよねみほ。
 貴女は格式ばった事を守るよりも、自由奔放な方が合ってるわ――尤も、其れが貴女の美徳でもあるのだから、其れを大事にしなさい?」



うん、そうするよお母さん。



「其れがみほの良い所だからな――其れが人を引き付けるのだろうね。」

「お姉ちゃん――お祖母ちゃんに呼ばれてたみたいだけどもう良いの?お祖母ちゃんのお説教って粘着質だから、もう少し時間かかると思っ
 てたんだけど……」

「その心算だったんだが、『あの程度の相手に敗れるとは』と言うのを聞いてカチンと来てね――安斎の事をあの程度呼ばわりした事は許せ
 んよ、如何にお祖母様でもね。
 だから『安斎があの程度だと仰るのならば、其れに負けた私、引いては西住流はあの程度未満と言う事に成りますね。』と言ってやったら、
 流石に黙ってしまったけれどな。」

「言うねぇお姉ちゃん。」

まぁ、此れは流石にお祖母ちゃんが悪いかな?
誰だって、ライバルの事を悪く言われていい気分はしないからね……まして、安斎さんはお姉ちゃんを越える為に強くなったけど、逆を言うな
ら、お姉ちゃんだって安斎さんに越えられないように強くなった訳だから。

そんなライバル関係の素晴らしさは、お祖母ちゃんには理解できないのかも知れないけどさ。










ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer39
いざ、今年も合宿です!!』









そんな事があって、あっという間に時は過ぎて、気が付けば期末試験が終わって夏休み!
そして、夏休みに入ったって言う事は、今年も明光大と黒森峰の合同合宿が西住流本部で行われる段取りで、今年はお母さんが総監督とし
て、菊代さんが監督補佐として参加する事に成ってるから、去年よりも質が高い合宿になるのは間違いない。


え?期末試験は青子さんは大丈夫だったのかって?……大丈夫、お馴染みテスト範囲丸暗記の裏技で、期末試験をトップで通過したから。
そうじゃなかったら、この合宿に参加する事なんて出来ない訳だからね。

そう言う訳で始まった合宿で、今は両校の1年生同士のバトルロイヤル形式の模擬戦――今年は、脱落者は今のところ何方からも出ていな
いねお姉ちゃん?



「そうだな……正直、初日の『西住流フィジカルトレーニング・完全版』を終えた時点で、黒森峰からも明光大からも誰か脱落するんじゃない
 かと思っていたのだが、此処までで脱落者が居ないのは喜ばしい事だ。
 尤も、其れにはみほの所の、澤が大きく関係しているのは否めないが。」

「梓ちゃんが?」

「あぁ、そうだ。
 彼女は今年から戦車道を始めたのに、その腕前は最早並の戦車乗りと同等かそれ以上だ――其れが、中学から戦車道を始めた黒森峰の
 1年生に希望を与えたらしい……中学から始めた子が、此処までなれるなら、自分達だってやれば出来る筈だって思ってな。」

「それが、結果として互いを高め合う事にもつながるわね。
 ですがみほ、貴女はトンでもない逸材を発掘して来たわ――澤さんの潜在能力は、まほや貴女に勝るとも劣らない物があるから、鍛えれば
 相当なモノになる筈よ。
 いえ、今年から始めて僅か4カ月足らずで此処まで伸びるとは、みほは旨い具合に澤さんの才能を引き出す事に成功したのね。」



私が引き出したのかなぁ?
確かに、梓ちゃんは今年の1年生の中でも特に見所があったから、通常の練習の他にも個人的な指導をしてたのは事実だけど、自分の中の
才能を伸ばしたのは、私の指導じゃなくて梓ちゃん自身の努力だと思うなぁ?
皆真面目に戦車道に取り組んでるけど、中でも梓ちゃんは人一倍努力して、その結果として1年生の中では実力トップになったんだから。



「己の才能を伸ばす事が出来るのは、伸びる為に才能を開花させてくれた存在が居たからだろう?
 人は誰しも何かしらの才能を持っているモノだが、其れを自分だけの力で開花できる人は殆ど居ないのが現実だ――スポーツのトップアス
 リート達だって、己の努力+指導してくれた恩師が居たからと言うのが大半だからね。」

「そう言う物なの、お姉ちゃん?」

「そう言う物だ。私の場合は、其れがお母様だった。
 みほの場合は、恩師と言える存在は居なかったが、あの時の事故が結果としてお前の戦車乗りとしての才能を開花させる事に成った…形
 は違うが、私もみほも自分1人の力ではなく、自分以外の外的な要因があったから才能を開花させる事が出来たんだ。
 だから、此処まで伸びたのは彼女の努力だろうが、その努力が実を結ぶための下地を作ったのは間違いなくお前だよみほ。」



そう、なのかな?だとしたら嬉しいかな。
梓ちゃんみたいな戦車乗りの才能を開花させるお手伝いが出来たって言うのは、私としても嬉しい事だからね♪――と、そろそろ模擬戦の決
着が着きそうだね?
残ったのは、明光大と黒森峰が1輌ずつ……梓ちゃんとツェスカちゃん――まぁ、残るべくして残ったって言う所かな此れは。
明光大1年最強は梓ちゃんだから、開始早々狙われたけど、其れは黒森峰のツェスカちゃんも同じで、其れで撃破されないために一時的に
手を組んで他の車輌を撃破した結果だからね此れは。

搭乗車輌はどちらもパンターG型だから性能差は無い上に、梓ちゃんとツェスカちゃんの車長の能力は略互角みたいだから、勝負を決めるの
は、どっちが勝利に対して貪欲かって言う所だね。

「梓ちゃんが勝つに、晩御飯のエビフライ3本。」

「ならば、私はツェスカが勝つ方にエビフライ4本を全賭けだ。」

「……貴女達、神聖なる戦車道で下らない賭けをするのは止めなさいな……私は、見逃すけれど、お母様が見たら粘着質なお説教一直線コ
 ース間違いなしよ?」

「「そうなった時は、詭弁上等で何とかする。」」

「其れで何とかできると思われてるお母様って一体……まぁ、あれだけ歪んだ思考に染まってる人を詭弁で何とかするのは容易だけれど。
 私も、常夫さんとの結婚を認めてもらうために、彼是手を尽くしてお母様を黙らせたから……でも、後輩をダシにしての賭けはダメよ。」

「「は~~い。」」


元より、私もお姉ちゃんも本気じゃなかったけどね。
でも、如何やら決着みたいだよお姉ちゃん。



『撃てぇぇぇぇぇぇ!!!』

『なんて変態起動………負けるな、撃てぇぇぇ!!!!』




ツェスカちゃんとの戦車戦を行っていた梓ちゃんが、突如として突撃してからの戦車ドリフトでツェスカちゃんの後部を取って一撃炸裂!!
其れに超反応したツェスカちゃんも主砲を放ったけど、後部装甲を狙われたのと正面装甲を叩いたのでは余りにも違い過ぎる――パンターG
型同士なら、其れは更に大きいからね。


――キュポン


その結果として、梓ちゃんのパンターがツェスカちゃんのパンターを上回った結果になったね?白旗を上げたのは、ツェスカちゃんのパンター
だったからね。



「ドイツからの鳴り物入りの留学生だったツェスカが負けるとは……本当に、ドレだけお前は澤の事を鍛え込んだんだみほ?
 此処まで行くと才能の開花と自身の努力だけでは説明がつかないぞ!?こう言っては何だが、ツェスカはドイツのジュニアリーグで負け知
 らずの強者だと言うのに、其れを打ち破るとは……澤の潜在能力はお前と同じで底が知れんよ。」

「と言う事は、最終日の模擬戦は面白い事に成るかも知れないね?
 梓ちゃんとツェスカちゃんが今日みたいな一時的にじゃなくて、チームとして本格的に力を合わせたら一体どれだけの強さになるのかって、
 其れを想像しただけでも私は楽しみで仕方ないんだよ♪」

「其れは、確かにそうかも知れないな。
 特に今年の最終日の模擬戦――1年vs2・3年の模擬戦には、2・3年チームに私と凛、みほとエリカと小梅が揃っているのだから、中学最
 強の連合軍と言っても過言ではないだろう。
 此れだけの相手に、どれだけ1年生チームがやってくれるのかって言うのは確かに楽しみではあるな――此れだけの戦力が揃っているん
 だから負ける事は無いだろうが、簡単に勝つ事も出来ないだろうからね。」



確かに。
ふふ、去年のお姉ちゃんもこんな気持ちだったのかな?自分達相手に1年生が何処までやれるのかって言うのはワクワクするからね。

さてと、1年生のバトルロイヤルの次は、2年生のバトルロイヤルだから行ってきます!
恐らくは、私とエリカさんと小梅さんが狙われるだろうから、さっきの梓ちゃんとツェスカちゃんみたいに共闘する事に成るとは思うんだけど、タ
イマンになってから如何戦うのかって言う、そのお手本を見せてあげるとしようかな♪








――――――








Side:梓


バトルロイヤルはなんとか勝つ事が出来た~~~……って言うかツェスカさん強過ぎ!日々の回避訓練が無かったら、間違いなく一対一に
なった時点で撃破されてたよ。



「負けたわ、強いのねアズサ。ドイツのジュニアリーグでも貴女ほどの人とは滅多に会えなかったわ。」

「ツェスカさん。いえ、私の方もギリギリでしたから……ぶっちゃけ、隊長に鍛えられてなかったら瞬殺されてたと思いますし……」

「それでもよ。
 それから、同い年なんだから私の事は呼び捨てで良いし、敬語もいらないわよアズサ。」

「そう?じゃあ、そうするねツェスカ。」

「Gut.(其れで良し)……其れで、今度は2年生の模擬戦の見学?
 まぁ、私も含めて皆そうなんだけど、貴女は特に注目してるみたいね?――やっぱり、自分の隊長の活躍って気になるのかしら?」



其れもあるけど、隊長から『バトルロイヤルでの戦い方の一つのお手本を見せてあげる』って言われたから、其れをキッチリ見ておこうと思っ
たんだ。
私は、まだまだ未熟だから吸収出来る物は何でも吸収して、自分の物にしないとだから。



「成程……なら、私ももっともっと強くならないとね――せめて、次にやる時はアズサに勝てるように。」

「あはは……なら、私は次も勝てるようにしないと。――と、始まったみたいだよ。」

大体予想はしてたけど、明光大は隊長を、黒森峰は逸見さんと赤星さんを真っ先に狙い始めて、それで狙われた3人は申し合わせたかの様
に共闘を開始して、徒党を組んできた相手を一気に撃滅し始めた!
隊長の強さは知ってたけど、逸見さんと赤星さんも引けを取らない位に強いし、何よりも連携が凄い――急ごしらえのチームなのに、私とツェ
スカのコンビとは天と地ほどの差がある見事なコンビネーション……凄い以外の感想が出て来ないよ!



「逸見先輩と赤星先輩の強さは知ってたけど、隊長の妹さんが此処までとは思わなかったわ!
 全国大会で優勝した位だから相当な人だとは思ってたけど、此れは隊長と同等か、或いはそれ以上?……何れにしても並の戦車乗りでな
 い事だけは確かだわ。」

「隊長は凄く強い人だから。」

そんな人から個人的な指導をして貰えた私は、きっと物凄く幸せ者なんだろうな~~……其れだけ期待してくれたって事だからもっと頑張ら
ないとだけどね。

でも、本当に西住隊長と逸見さんと赤星さんのチームは凄い――瞬く間に他の車輌が減っていく。数の差は圧倒的に不利なのに、其れを全
く感じさせない……真の強者ってこう言うのを言うのかな。



「負けないわよみほ!行くわよ、おんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「みほさんに向かうのは良いですけど、真横がお留守です♪」


――ズドン!

――パシュン!




「……今の絶叫のⅢ突は一体なに?」

「東雲先輩ぶれないですね……あっさりと赤星さんにやられちゃいましたけど。」

でも此れで、残ったのは西住隊長達3輌だけ……恐らくは逸見さんと赤星さんが手を組んで西住隊長を倒そうとして来る筈だけど、其れはき
っと隊長だって分かってる筈……此処から如何戦うんだろう西住隊長?




「ご苦労様でした小梅さん、そしてさよならです♪

「え?」


――ドゴォォォン!!

――パシュン




………へ?
東雲先輩を撃破した赤星先輩を、その直後に西住隊長が撃破したって言うのかな此れ?……いや、残存車輌が一時的に手を組んだ者同士
になった時点で、味方は敵になるんだけど、だからってこうも即座に撃破出来る物なの!?



「小梅!?」

「そう言う訳でエリカさんもお疲れ様でした。そして、此れで最後です。

「みほ!!アンタ、ドレだけ切り替え早いのよーーー!!」



――ズガァァン!

――パシュン!



更には続けて逸見さんの車輌も撃破。
赤星さんが撃破された事に気を取られた逸見さんは対応しきれなかったみたいだけど、若しかして西住隊長は最初から此れを狙ってた?自
分と逸見さん達が狙われて共闘する事まで予想の範疇で、最後の1輌を自分以外のどちらかに撃破させて、其処を間髪入れずに攻撃して撃
破して、突然の事に虚を突かれたもう1人を撃破する――凄い!
私は、ツェスカとの共闘で相手を倒す事しか考えてなくて、その先なんて無かったのに、西住隊長は最初からこの結果に持っていく事を考え
てたんだ!やっぱり西住隊長は凄いよ!



「確かに凄いけど、今まで共闘してた相手を、こうも簡単に切り捨てる事の出来るドライさの方が私は怖いわ……まるで死神じゃないアレ。」

「バトルロイヤルだからだよツェスカ。
 バトルロイヤルは全員が味方で敵なバトルだから、共闘した相手でも目的を果たせば敵になる……だから、隊長は即座に逸見さん達を共
 闘する仲間から撃破する相手にシフト出来たんだよ――其れが目の前の光景だからね。
 バトルロイヤルって言う、特殊な条件だから簡単に此れまで共闘してた相手を斬り捨てる事が出来る――味方が即敵になるから、共闘して
 いても、目的を果たしたら即倒せって言う事なんだと思う。
 隊長は、きっとそれを私に伝えたかったんだと思うよ。」

「……でしょうね。バトルロイヤルに於いては、共闘した相手でも即座に撃破出来るように心構えを持っていろか……勉強になったわ色々。」



裏切りは普通は褒められたモノじゃないけど、バトルロイヤルに限っては合法だからね。
バトルロイヤルの戦い方の一例、ばっちりと見せて貰いました西住隊長!それと、少数部隊で大勢と戦う際の戦い方も!――この合宿は私
の予想以上の効果を齎してくれるのかも。

よし、残りの日数も頑張るぞーーー!!



「Ich werde mein Bestes tun.(頑張るわ。)この合宿で、もっともっとレベルアップしないとね!」

「うん、頑張ろうねツェスカ!」

残りの合宿期間も、結構ハードな日程が組まれてるんだろうけど、必ず全部こなして見せます!其れ位出来なかったら、西住隊長のレベル
まで達する事なんて出来ないからね!!








――――――








Side:まほ


ふぅ……合宿の3日目も何とか無事に終わったな。
今日の訓練は学年別のバトルロイヤルだったんだが、結局黒森峰で勝てたのは私だけか――ツェスカは澤に、エリカと小梅はみほにやられ
てしまったからね。
尤も、私も凛とのタイマン勝負を何とか制する事が出来た訳なのだがな……バトルロイヤルと言うのは、何が起きるか分からないから、本当
に楽しいモノだけれどね。

そして、今日の訓練を終えて、只今皆でお風呂タイムだ。
ふぅ、子供の頃から慣れ親しんでいるとは言え、矢張りこの温泉は疲れた身体には有難い物だね……全身の力が抜けていく様だ――何より
この温泉には、疲労回復の効果があるらしいから、訓練で疲れた身体には持って来いだ。



「今日も濃い内容だったわねまほ?お疲れ様。」

「あぁ、お疲れ様だ凛――今日のバトルロイヤルは見事だった。
 驕る心算は無いが、もっと楽に行けると思ってたんだが、お前の粘りには驚かされたよ。――お前をライバルと認めたのは間違いじゃなかっ
 たらしい。」

「嬉しい事言ってくれるじゃない?
 でも、私がここまでこれたのはみほと、そして貴女が居たからよまほ。みほが、私の力を引き出してくれて、貴女が私を引っ張ってくれた。
 だから、私は今此処に居る事が出来る――貴女達姉妹には感謝してもし切れないわ。」



そうか、其れならば良かったよ。
時に凛、お前は高校は何処に進む心算なんだ?高校でも戦車道は続けるのだろう?……お前程の戦車乗りが、中学で終わってしまうと言う
のは勿体ないからな。



「高校でも戦車道は続けるつもりだけれど、何処に行こうか迷ってるのよね。
 大会で全試合フィニッシャーになったって言う事でサンダースや聖グロから勧誘が来てるんだけど、正直決めかねてるわ。」

「そうか。……なら、黒森峰に来ないか凛?」

「へ?」



去年の準決勝と合宿、そして今年の合宿でお前の強さは実感させて貰ったからね――行くところが決まってないのならば黒森峰に来い凛。
敵としては充分に戦ったから、今度はお前と仲間として戦ってみたいんだ。



「其れは、光栄なお誘いだけど、安斎さんは良いの?彼女だって……」

「いや、安斎にはフラれてしまったよ――彼女は、アンツィオの立て直しに尽力するらしい。」

「アンツィオの……其れって結構無茶振りな気がするけど、彼女なら出来るかも知れないわね?――黒森峰一強時代を終わらせた訳だし。」



あぁ、実に見事だったからな安斎は。
其れで如何だろう凛、黒森峰に来てくれないか?お前となら、高校でも良い戦いが出来ると私は思ってるんだ――ダメかな?



「……良いわ、その話受けるわよまほ。
 何よりも、隊長直々のラブコールを貰ったんだから、安斎さんのように何か目的があるんじゃない限りは、其れを蹴るって言うのは無礼極ま
 りないからね――高校では、お世話になるわまほ。」

「ありがとう。――尤もお前は、私が世話する事もないと思うけれどな凛。」

「其れは言葉の綾って奴じゃない?」

「違いないな。」

何にしても、凛を黒森峰に引き入れる事が出来て良かったよ――再来年にはみほとエリカと小梅も黒森峰の高等部に来るだろうから、最高
の布陣を組む事が出来るからね。

来年の事を言うと鬼が笑うと言うが、高校での戦車道も中々面白い物になりそうだな?――来年の凛とのチーム、楽しみだな。








――――――








Side:みほ


そんなこんなで、恙無く合宿は進んで、今日は遂に最終日。
1年生vs2・3年生の模擬戦――戦力だけ見たら負ける事はないと思うんだけど、この数日間で1年生は可成りレベルアップしてるから余裕っ
て言う相手でもないかな。
特に、梓ちゃんとツェスカちゃんは、目を見張る位の成長をしてたからね。

其れは其れとして、2・3年チームの隊長は誰がやったモノかな?
本来ならお姉ちゃんか部長を推す所なんだけど、3年生は今年で引退だから後身を育てる意味で、隊長は2年生の中から決める事に成って
るからね……さて、如何しようかな?



「迷う事ないんじゃない?隊長はみほで決まりよ。
 西住隊長……基、まほ隊長が隊長を務めるなら兎も角、それ以外で部隊を指揮できるのはみほしかいない――だから、私はみほを隊長に
 推薦するわ。」

「私もエリカさんに同感です。
 此の部隊を纏められるのは、みほさん位の物だと思いますから♪」



って、私が隊長!?
エリカさんと小梅さんだって隊長を務める事が出来ると思うんだけど、其れなのに私が隊長で良いのかな?



「異論は認めないわみほ……あんたは間違いなく最強よ!寧ろあんたが隊長じゃなくて誰が隊長になる訳?まほ隊長が隊長職に就かない
 のなら、アンタ以外の隊長は居ないわよみほ。」

「そう言う事なら、期待には応えないとだね!!」

合宿最終日の模擬戦、隊長として参加させて貰うよ!――梓ちゃんとツェスカちゃん率いる1年生部隊が何処まで私達に喰らい付く事が出来
るか、其れがとっても楽しみだからね♪

それじゃあ、始めるとしようか、合宿の最後の模擬戦て言う物をね!――全てを蹴散らしましょう、Panzer Vor!!


「「「「Jawohl.」」」」



さぁて、見せて貰うよ梓ちゃんツェスカちゃん――即興のタッグであるにも関わらずに、あそこまで見事なコンビネーションを見せた貴女達は、
私達に対してどう攻めて来るの?

其れを考えただけでワクワクして来るよ――如何やら、今年の合宿は去年の合宿以上な事に成るのかも知れないね。……尤も、其れ位の
方が、合宿の意味もあるって所だけどね♪


何れにしても最終日の模擬戦は負けたくないから……だから必ず勝ちに行きましょう!この戦力ならば、負ける事は殆ど無いって言って良
いからね……さぁ、派手に始めようか!
合宿最終日の模擬戦にに相応しい派手さを持ってしてね!覚悟しておいてね梓ちゃんツェスカちゃん、この戦い、手加減は出来ないから!










 To Be Continued… 





キャラクター補足