Side:エリカ
此れは……みほが安斎さんに対して一騎打ちを仕掛けたって事なんだろうけど、如何して此処で一騎打ちを選んだのか疑問が残るわね?
みほの実力なら、十八番の市街地戦でも試合を決められたかもしれないのに、見ようによっては自らアドバンテージを捨てた上での一騎打
ちって何を考えているのか分からないわよ本気で。
「みほ……若しかして、一騎打ちで私の仇を取ろうとしているのか?」
「「!!!」」
でも其れも、隊長の一言で掻き消されたわ――確かに、隊長の言う事はある意味で最も的を射ているモノだったのだからね。
敢えて得意な市街地戦で決着をつけずに、フラッグ車同士の一騎打ちに持って行ったって言う事は、自覚してるかどうかは別として、みほも
隊長の仇を取りたいって思ってたんでしょうね。
だからこそのフラッグ車の一騎打ちか……ホント、何処までも魅せてくれるじゃないのよみほ!!
なら、私はどんな結果になろうとも、最後まで貴女の戦いを見て、それを確りと目の奥に焼き付けさせて貰うわ――貴女の戦い方は、不思議
な魅力があるからね。
隊長を倒した奇才の安斎さんが勝つか、其れとも稀代の鬼才を持ったみほが勝つか――何方が勝つにしても、この戦いが戦車道の歴史に
残る戦いになるのは間違いないわ!
『『………(ニヤリ)』』
オーロラビジョンに映し出された、両校の隊長の顔には、激しい闘志だけでなく、戦う者特有の笑みが浮かんでいたのだから。――でも、決
勝戦は、此れがクライマックスよね。
みほか、其れとも安斎さんか――最終的に立っているのは一体どっちなのか……現段階では、その結末を予想するのは難しいわよ此れ。
隊長は何方も応援してるみたいだけど、私と小梅は貴女の事を応援してるし信じてるわみほ――貴女なら、必ず勝つだろうって言う事をね!
ガールズ&パンツァー~隻腕の軍神~ Panzer38
『此れが決勝戦の戦いです!!』
No Side
市街地から離れた港地区でのフラッグ車同士の一騎打ちは、序盤から激しい物となっていた。
大戦中最強と謳われたパンターとT-34/85の一騎打ちは、互いに決定打を欠く試合となっていたのだが、其れが却って観客の目を引き付
ける事に成っていた。
パンターとT-34/85の性能差を端的に上げるとするならば、機動力は略互角で防御力ではパンターが上回り、攻撃力に関してはT-34/8
5の方が上であり、総じて戦えば五分なのだ。
だから互いに決定打を欠いて決着がつかない状態になって居る訳で、そんな状況故に観客は固唾を飲んで試合を見守っているのである。
「そのまま前進して、倉庫を一つ越えた所で左に急旋回して下さいつぼみさん!フラッグ車の横から一発かましてやりましょう!!!」
「了解よみほさん!」
「横っ腹から風穴を開ける訳ね?良いじゃない、特大の風穴を開けてあげるわ――尤も、相手が相手だけにそう簡単には開けさせてくれな
いとは思うんだけど。」
「まぁ、まほ姐さんに勝ったような奴だから簡単にはやられてくれねぇだろうな。
だけどよ、だからこそ燃えて来るってモンだろ!装填速度マックスオーバーで行くぜ!!!」
みほが倉庫を越えた所で急旋回してT-34/85の側面を狙おうとすれば――
「倉庫を越えて左に入った?追いかけっこの延長……じゃないよな?
よし、倉庫前を全速力で通り抜け、大回りして敵フラッグ車に攻撃!」
「了解!!」
千代美はパンターが左折した場所を猛スピードで突っ切る事で攻撃を回避し、其処から大回りする形でパンターに突進しながら砲撃一発!
だが、此の攻撃に対して、みほは所謂『食事の角度』で砲弾を弾くと、つぼみにパンターを急発進させ、更にナオミにT-34/85の背後にあ
るコンテナを攻撃するように命じ、ナオミは命令通りにコンテナを撃破!
其れだけならば何て言う事は無いが、このコンテナは実は既に中に荷物が詰め込まれていたのだ――そう、工事なんかに使う為の大量の
砂が!!
無論砂を被った程度で白旗判定が上がる事は無いが、其れでもコンテナ1台分の砂ならば中戦車の足回りを完全に埋めてしまう事くらいは
可能であり、そうなってしまえば完全に『的』になるのは火を見るより明らかだ。
「のわぁぁ!?砂で埋め尽くす心算かオイ!!全速回避ーーーー!!
マッタク、大通での電柱アタックに歩道橋クラッシュ、街路樹ブレイカーに続いて今度はコンテナクラッシャーからの砂攻め狙いか……本当
に使える物は何でも使ってくる奴だな西住妹は?」
相手が並みの戦車乗りだったら砂に埋まって居ただろうが、千代美はまほをも倒した強者であり、同時に策を弄するタイプだったので、コン
テナが破壊されるのを見るや否や、みほの思惑を読み取って緊急回避!
「砂風呂作戦は躱されちゃったか……でも、まだこれで終わりじゃない――まだ本命の『ドラマチックバトル作戦』が残ってるからね。」
「其れを発動したら、殆ど勝ちだけどな――相手にとっては、結構嫌なモンかも知れないけどさ。」
それを躱されたみほは、躱された事に驚きながらも焦る事は無かった――何故なら今の攻撃も本命ではなく、精々『此れで決める事が出来
たら良いな~~』的な物だったのだから。
本命の『ドラマチックバトル作戦』が如何なるものかは分からないが、それでもみほは其れを発動する前から全力で千代美に向かっていく。
単純な主砲の撃ち合いのみならず、時にはクレーンが吊り下げた荷物を落下させたり、地面を砕いてコンクリートの礫をぶつけると言った奇
策、搦め手上等な戦術を展開して戦いを続けていく。
対する千代美もまた、其れに的確に対処しながら攻撃を続ける――だからこそ、決定打に至らない攻撃が続き、パンターもT-34/85も校
章が掠り取られた状態となっている。
正に一進一退――否、一進一進!!何方も退かない、正に決勝戦に相応しい戦いとなっているのだ。
「(安斎さん強いなぁ……お姉ちゃん以外で、此処まで強い人って言うのは中々居ないんじゃないかな?……なら、尚の事負けたくない!)」
「(西住め……何が『みほはお前に近いタイプだ』だ――確かにコイツは私と同じように策を弄するタイプだが、だからと言って正面からガンガ
ン圧す戦いが出来ない訳じゃない。
西住は勇猛な虎で、妹は狡猾な女豹と思っていたが――如何やら妹の方は虎の勇猛さと女豹の狡猾さを併せ持っているらしいな。)」
みほも千代美も、互いに相手を『強敵』と認めているからこそ戦闘も激しくなるのだろう。
みほも千代美も、キューポラから身を乗り出し、相手を目視しながら次々と指示を飛ばして行く――其れは、中学戦車道最高峰の戦車の動
かし方と言っても良い物だ。
「やりますね安斎さん……私の策にも動じないとは、貴女みたいな人は初めてです――だからこそ、負けたくありません!!」
「其れは私もだ!!受けて立つぞ西住妹!!」
そして、再び互いに決定打を欠く事に成る交戦を開始!!
アイスブルーの鋼鉄の豹と、デザートイエローの雪原の支配者の戦いは、決着にはまだ遠いようである――互いに、勝つだけなのだから。
――――――
一方で、駅前大通りでの戦いもまた、激しい物となっていた。
T-34/76とIS-2を包囲し、更には『最終決戦場』へのトウセンボウを行ったのだが、此れは中々如何やらみほの思い通りには行かなかっ
たようだ。
T-34/76ならばティーガーⅠとティーガーⅡ、そしてパンターの主砲なら簡単に抜く事が出来るので、明光大のメンバーはT-34/85から
先に撃破しようとしたのだが、其処は黒森峰を倒して決勝に進んで来た愛和学院、簡単にはやられずに互角の勝負となっていた。
道を塞いでいる為にティーガーⅠとティーガーⅡは動きを制限されているが、其処はパンターが補う。
一方で全車輌が動く事の出来る愛和は、其れを最大利用しようとするが唯一ティーガーの正面装甲を撃ち抜けるIS-2はパンターにちょっか
いを出されてティーガーを攻撃出来ずにいる。
そんなパンターに対してT-34/76が仕掛ければティーガーからの砲撃で吹き飛ばされ、しかしその直後に別の車輌がパンターの後部を撃
ち抜いて沈黙させる……場は再び乱戦の状態となったのだ。
そんなこんなで戦いが続き、既にパンターとT-34/76は全車白旗を上げ、千尋の乗るティーガーⅠも今し方IS-2の砲撃を喰らって白旗を
上げた……つまり此処からは、ティーガーⅡとIS-2の一騎打ち!
「残るは貴女ね?……速攻で撃破してあげるわ!
攻守力は最強レベルだろうけど、エンジンと足回りに致命的な欠陥を抱えたティーガーⅡじゃ、私を倒す事は出来ないわよ?」
「そう思ってるなら甘いです!
このティーガーⅡは、東雲工房でレギュレーションギリギリの魔改造がされてる最強の戦車ですから、貴女達には負ける事はありません。」
「言ってくれるじゃないか……よろしい、ならば戦争――ではなく戦車道だ!!」
「受けて立ちます!」
そして始まった2台の超強力重戦車の戦い。
攻撃力ではIS-2が、攻撃速度ではティーガーⅡの方が上回るこの戦いは、しかし何方も一歩も譲らない戦いとなっている――強豪校の副
隊長と互角にやり合っている梓は大したモノだろう。
IS-2の砲撃はギリギリで躱されるが、次弾装填の隙を狙ったティーガーⅡの攻撃も、IS-2が動き回る事で決定打にはならない。
梓からすれば、無理にIS-2を撃破する必要はない――ティーガーⅡが撃破されない様に立ち回り、IS-2を最終決戦地に向かわせなけれ
ば其れで良い。
其れで良いのだが、梓は眼前の相手を『倒したい』と思った。みほからは『此処を通さない様にして』とは言われたが『倒しちゃダメ』とは言わ
れて居ない。ならば――
「通すなって事でしたけど、別に倒しちゃっても良いんですよね隊長?……クロエ、なのは、仕掛けるよ!!」
「了解!IS-2を隊長の所には行かせられないからネ!」
「全・力・全・壊!!ぶっ放してやるのぉ!!!」
倒す事を梓は選んだ。
そして、仲間に指示を出すと、IS-2の砲撃の隙を突いて突撃し、更に其処から急旋回してIS-2の後部に回り込む!その無茶な軌道に、如
何にギリギリの魔改造を施したとは言え履帯と転輪が悲鳴を上げて千切れ飛ぶが、其れでもティーガーⅡは止まらずにIS-2の後部に破壊
力抜群の超長砲身88mm炸裂させる!!
――ドガァン!!
――パシュ!
『愛和学院、IS-2 2号車、行動不能!』
その効果は抜群で、愛和学院の最後のIS-2も撃破する事が出来た。
だが、IS-2は倒したモノの、ティーガーⅡもまた、これ以上戦闘を行う事は出来ないだろう。攻撃能力が残っていると言う事で白旗判定には
至っていないが、右の履帯が完全に切れた上に、転輪も数個吹っ飛んだ状態となっては、これ以上走る事は不可能なのだから。
それでも、明光大のメンバーはみほから与えられた『ここから先に明光大の戦車を進めるな』と言う命令を遂行したと言えるだろう――特に
IS-2との大立ち回りを行ったティーガーⅡの活躍は見事だっただろう。
「隊長、後はお願いしますね……」
後は、みほと千代美の戦いがどうなるかだ。
だがこの時、愛和学院の隊員達も、観戦していた者達も(しほやまほを含めて)今の戦いの中で明光大のティーガーⅠが1輌足りない事には
誰も気が付いていなかった。
――――――
さて、みほと千代美の一騎打ちは、相変わらず双方決定打を欠く互角の戦いが続き、今はみほのパンターを千代美のT-34/85が追いか
けると言った展開になっている。
尤も、追いかけっこの間も両車輌とも砲撃を行っており、逸れた弾丸が倉庫やコンテナ、クレーンなんかを破壊しまくっているのだが、其れは
戦車道の大会に於いて今更なので、まぁ問題ないだろう。
だが、此の追いかけっこの最中、千代美は少しこの一騎打ちに違和感を感じていた――と言うよりも『此れは本当に一騎打ちなのか?』と思
って居たというのが正しいか。
此れは、準決勝の後でまほが『みほは私よりもお前に近い』と言った事が原因だった。
『自分に近い』と言う事は、若しかしてこの一騎打ちは見せ技で、本当は何処かに伏兵が潜んでいて、此の追いかけっこは自分達の事を、伏
兵が待っているキルゾーンに誘導しているのではないかと思ってしまったのだ。
自分がまほに対して行った戦術だからこそ、その可能性に思い至ってしまった。思い至らなくても良い事に気が付いてしまったのだ。
伏兵の可能性に気付いてしまったら、目の前のみほにだけ集中すると言う事は出来なくなる――必然的に伏兵の存在も気にかけなくてはな
らず、それは千代美の判断力を鈍らせる。
「(何処だ、何処に伏兵が潜んでる?
いや、伏兵を気にするよりも、キルゾーンに誘い込まれる前にフラッグ車を撃破するのが先だ――だが、攻撃しようとした瞬間に伏兵が仕
掛けて来たら?……クソ、思考がまとまらない!
だが、フラッグ車を倒さねば終わらない……ならば、此処は徹底してフラッグ車を狙うのが上策だ!)」
それでも、『狙うはフラッグ車』と断定したのは見事だろう……流石に即決とは行かなかったが。
「此処がラストステージ……『ドラマチックバトル作戦』を開始します!部長!!」
「任せなさい!!!」
――バガァァァァァァァン!!!
だが、此処でみほの最後の作戦が発動!
突如コンテナが爆発したかと思ったら、その中から凛の乗るティーガーⅠが登場!!
そう、凛のティーガーⅠは、駅前での歩道橋クラッシュを行った後すぐに戦線を離脱して、一足早くこの港地区にやってきて、自身をコンテナに
偽装してみほからの作戦開始を待っていたのである。
駅前の大乱戦における弩派手な瓦礫落としなどの攻撃は、凛のティーガーⅠが戦線から離れるのを認識させない為のモノでもあったのだ。
「んな、此処でティーガーⅠだとぉ!?」
此れに驚いたのは千代美だ。
伏兵の存在を考えていたとは言え、まさか待ち伏せでの一撃ではなく、真正面から姿を現して戦線に加わって来るとは思わなかった。と言う
よりも、自分がまほに対して行った戦術から、みほの狙いも同じだと思い込んでいたのだ。
分が悪い所の話ではないだろう。
パンターとT-34/85ならば、タイマン張っても五分五分だが、その五分五分の所にドイツ重戦車の代名詞とも言えるティーガーⅠが加わっ
たとなれば、如何考えても千代美が不利だ。
否、相手が並みの戦車乗りだったら千代美も如何にか出来ただろうが、相手は最強のまほをして 『強い』と言わしめたみほと、今大会で敵フ
ラッグ車を全試合で倒してフィニッシャーとなっている凛が相手では、如何に千代美と言えども無理があると言う物だ。
「ドイツが誇る最強の中戦車と重戦車のタッグが相手か……相手にとって不足は無い!行くぞ西住妹、近坂凛!!」
「此れが、ラストバトルです!!」
「行くわよ安斎!!」
其れでも弱音を吐く事なく、千代美は吠え、みほと凛も其れに応える。
そして次の瞬間、みほのパンターが千代美のT-34/85に向かって猛突進し、更に目の前でドリフトめいた動きでT-34/85の背後に回ろ
うとする。
其れを追うように、千代美のT-34/85も砲塔を回転させてパンターの動きを追う――数では負けているが、フラッグ車を倒せば勝ちなのだ
から、此れは間違いではない。
何よりも、T-34/85の主砲ならばパンターの装甲は何処でも抜く事が出来るのだから、此れに千代美が反応したのは仕方ないだろう。
だがしかし、この戦いは一騎打ちではない。
相手はみほのパンターでけでなく、凛のティーガーⅠも居るのだ――そして、みほのパンターを狙って砲塔を回転させたのを見過ごす凛では
ない。
「今よ、撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
砲塔の後部を曝したIS-2に向かって攻撃!
IS-2の砲塔後部の装甲は90mmと可也厚めだが、ティーガーⅠの88mmならば榴弾でも110mmの装甲を貫けるし、徹甲弾なら156mmの
装甲を貫く事が出来るのだ――そして、今回凛が放ったのは徹甲弾だ。
其れを防ぐ手段は千代美にはない。故に、砲弾はT-34/85の砲塔後部に命中し――
――ドガァァァァァァァァァン!!!
――キュポン!
『愛和学院、フラッグ車T-34/85行動不能!よって、明光大付属中学校の勝利です!!』
撃破の証である白旗を上げさせる。
そして、決着を告げるアナウンスと共に、会場内に割れんばかりの歓声が鳴り響く!――が、それは明光大の勝利を称える物だけではなく、
最高の決勝戦を戦った両校へ送られた物だっただろう。
何にしてもこの瞬間に、みほ率いる明光大付属中学校は、嘗ての弱小校から全国大会制覇の王者へと変わったのであった。
――――――
Side:みほ
勝った……勝てた!私達の勝ちだ、優勝だーーーー!!!!それも、お姉ちゃんを倒した安斎さんを倒しての優勝……何か、感慨深いよ♪
「いや~~、負けた負けた~~。
西住には勝ったモノの、妹には言い訳が出来ない位に完敗したな~~…だが、負けはしたがお前との戦いはとても楽しかったぞ西住妹。」
「安斎さん……はい、私も楽しかったです!ありがとうございました!!」
「礼を言うのは私の方だ――だが、次は負けんぞ?
公式戦で戦う事に成るのは、お前が高校まで上がって来るのを待たねばならないが、練習試合の機会は此れからもあるからな――負けっ
ぱなしってのは好きじゃないんだ私は。」
ふふ、知ってます――そうじゃなかったら、4年間もお姉ちゃんに挑み続けないと思いますから。
とってもいい試合でした安斎さん。貴女が決勝戦の相手で良かったです!
「私も、お前が決勝戦の相手で良かったよ西住妹。
負けたのは悔しいが、だからと言って悔いは無い――全ての力を出し切ったからな。中学最後の大会で、最高の戦いが出来た事に満足し
ているよ。とても楽しかった!!」
「はい、最高の決勝戦でした!」
本当に強かったからね安斎さんは……お姉ちゃんがライバルとして認めたって言うのも納得だよ。
――で、そんなお姉ちゃんに安斎さんと同じくライバル認定されてる部長、一体如何しました?勝ちましたよ?私達は、優勝したんですよ?
「みほ……ありがとう。
貴女のおかげで、私は――私達3年は『全国優勝』って言う、最高の栄誉を手にする事が出来た……感謝してもし切れないわよ。」
「部長……良いんです、此れは私の――と言うよりも、私達隊長チームの目的でもありましたから。
私は其れを成しただけですし、何よりも決勝戦で試合を終わらせたのは部長の一撃だったんですから、我が校のMVPは部長ですよ!!」
「そう来たか!……でも、そう言う事ならその評価は受け取っておくわ。
だけど、其れとは別に優勝したなら、胴上げは基本よね?そして野球で監督が胴上げされるなら、戦車道では隊長が胴上げされるのが道
理ってもんだわ!!
行くわよ皆!!」
「「「「「「「おーーーーー!!!」」」」」」」
ふえぇ!?胴上げって……
「「「「「「「「「わっしょい!わっしょい!!」」」」」」」」」
って、考えてる間に胴上げが行われちゃってる……強烈な浮遊感を感じるけど、其れは悪い気分じゃないよ――優勝したからこそ味わえるモ
ノだからね此れも。でも、上がり過ぎ防止でパンツァージャケットを掴むのは止めてね青子さん……微妙に息がつまるから。
でも、胴上げは私だけじゃなくて部長もだよ!
今大会で、全試合でフィニッシャーになった部長の功績は讃えられて然りだし、此れが中学校最後の大会だったんだから、優勝後の胴上げ
は体験しておくべきだからね♪
そ~れ!
「「「「「「「「「わっしょい!わっしょい!!」」」」」」」」」
宙を舞う部長……少し戸惑ってるけど、嬉しいのは間違いないみたいだからよかった。
何よりも、この優勝は明光大にとっても、そして私にとっても大きな物になるからね――お姉ちゃんに勝つのが理想だったんだけど、お姉ちゃ
んを倒した安斎さんに勝ったって言うのなら、私達への注目度は高まるからね。
だから、もう誰にも明光大を弱小だなんて呼ばせないし、去年のベスト4がマグレだなんて言わせない。マグレで全国制覇をする事なんて出
来ないんだから!
全国大会優勝――今年の大会は、最高の形で終わる事が出来たみたいだよ♪
To Be Continued… 
キャラクター補足
クロエ・ククトミュゼン・武藤
梓率いるチームの操縦士でドイツ系のハーフ。
小学校の頃から操縦士一筋で戦車に乗っていたため、その操縦技術はピカ一であり、明光大ではつぼみとタメ張る程である。
10歳まではドイツで過ごしていたせいか日本語の使い方に微妙な間違いがある場合があるが、其れもまた魅力。
容姿はISのラウラ、またはリリカルなのはStSのチンクの眼帯なしの両目開いた感じ。
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