Side:冥沙


ククククク……クハハハハハハハ!トーマめ、よもや『絶対破壊』とも言うべきゼロの力を逆手にとって、エクリプスと人を分断して見せるとはやってくれるわ!
そのおかげで、フッケバインの首領は無力と化し、野良感染者の多くもその力を失った……うむ、褒めて遣わそうぞ!


だが、その力は有効であっても強大過ぎる故に、トーマの消耗もまた大きいか。
この先訓練を積めば、ゼロの連続使用も出来るようになるだろうが、今は此処が限界か――まぁ、嘴の黄色いひよっこにしては、レベル以上の働きであった
から、此処から先は、我等白夜の反逆者に任せておくが良い。

さて、準備は良いか星奈、雷華、ゆうり?


「何時でも準備は出来ていますよ冥沙――寧ろ、何時出撃するのかと思っていましたから。」

「僕も準備万端~~~!
 暴れたくてうずうずしてたし、待ってる間に王様の特製カレーをたっぷり食べたから、今の僕は正に無敵!!誰が相手だって、負けるもんかーーーーー!」

「私も大丈夫です……紫天の盟主として、頑張ります。」


良き答えだ……ならば行くぞ!
我等が主であるなのはは、戦いの真っ最中故に、今この場では我が命ずる!――手加減抜きで暴れまくれ!!

見るのも汚らわしい、台所のGの如くに現れる野良感染者共に、白夜の鉄槌と裁きを喰らわしてやるが良い!!――其れが、我等に課せられた任務よ!!


「了解……燃え尽きよ、ブラストファイヤー!!

「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!お前達なんて、吹っ飛んじゃえ~~~!!電刃衝!!

「エクリプスの凶行……此処で終わりにします!!消え去れ……セイバー!!


ククク……我等に盾突く愚かさを、その身をもって知るが良い、雑魚共が!!
それ以前に、王たる我に触れようなどとは頭が高い!!出直して参れ、アロンダイトォ!!!

さぁ、来い塵芥共――死にたい奴から、掛かってくるが良い!!












魔法戦記リリカルなのは~月の祝福と白夜の聖王~ Force48
『Weibes und schwarzes Segen』











Side:ルナ


さてと、幾ら致命傷にはなり得ないとは言え、なのはに此れだけの事をしてくれたんだ、覚悟は出来ているんだろうなハーディス・ヴァンデインよ?
言っておくと、アインスもまた私と同じ位に『キレて』居るからな?

まぁ、はやて嬢が普通ならば死に至るだけのダメージを受けたのだから当然と言えば当然だけれどね。


何れにしても、白夜の王と夜天の王に盾突いた貴様には、月の祝福と祝福の風からの裁きが下されるのは確定だ。逃げる事は、絶対に出来ないからな?


「其れは其れは、何とも恐ろしい事ですねぇ?
 ですが、如何に零次感染者と、元封印指定のロストロギアであるとは言え、私を倒す事は不可能だ――原初の種の所有者は、一種の神なのだからね?」

「神か……確かに、貴様の力だけを見るならば、神に最も近いと言えるかもしれんが、所詮は力だけだろう?中身が無い。
 それに、長い歴史を紐解けば、神になろうとした人間が成功した例はない――必ずどこかで、躓いて失敗し、己の小ささを思い知りながら終わる運命だ。」

「其れは、過去の者達は力が足りなかっただけの事。
 私は、今此処に最強の力を得ている――故に、そのテンプレート通りの結果にはなり得ない。」


ふぅ、分かってはいた事だが、大した自信――と言うか、実に見事な自惚れだヴァンデイン。呆れるどころか、いっそ感心してしまう位のレベルだよ、本気で。
おまけに、力を手にして自己陶酔に陥ったか?……語る姿が、如何にも己に酔っている感じがして気持ちが悪いな。


だがまぁ、貴様のような奴が神を語ると言うのならば――


「我等は、『祝福』の名を冠しながら、敢えて『邪神』を名乗ろうか?
 道を踏み外した『神』に、制裁と言う名の『祝福』を送る凶神。明けぬ夜と、沈まぬ太陽が織りなす混沌の裁き――その身を持って受けろ、ヴァンデイン!」

「ヤレヤレ、分からず屋だな君達も。
 だが、私の神としての生誕を、君達のような美しい女邪神を葬る事で華を添えると言うのも悪くないね……だから、君達も消えて良いよ?
 零次感染者である、白夜の管制融合騎ならば兎も角、夜天の管制融合騎は只のユニゾンデバイスに過ぎない。エクリプスの相手にはなり得ないのだよ。」


ふ、其れは如何かな?


――ガキィィィィン!!!


「む?ディバイダーでの一撃を完全に防ぎきるとは、そのエネルギーシールドは魔導を使った物ではないのかな?」

「いや、魔導で作った防御シールドだ。
 だが、此のシールドは、エクリプスドライバーの能力でも『分断しきれない程』の超高密度の魔導で作り出されているだけの事だ。要するに分厚いんだ。」


つまりはそう言う事だ。
如何に魔導に対して絶対的な強さを持つエクリプスと言えど、分断能力の許容量を超えたモノに対しては崩しきる事が出来ないのは道理だろう?

そう、如何にチェーンソーが木を切るのに適した道具であっても、樹齢が100年を超えて密度が極めて高くなった檜の幹を簡単に切る事が出来ない様にな。
無論、あくまでも破壊されないレベルなので、連続攻撃には弱いが、それでも一撃で突破されないのは魔導シールドとしては優秀そのものだ。

加えて、此方は2人なんだぞヴァンデイン?
お前がアインスにだけ集中したら、其れは私にとって格好の攻撃の機会となる!!Are you OK?Buster wolf!!


――バガァァァァァァン!!!


「が!……く、魔導で私にダメージを与えるとは……!!」

「月の祝福を舐めるなよヴァンデイン?……貴様は、細胞の一欠片すら残さずに焼き潰してやる!!」

其れに、エクリプスの『殺し方』は既にネタバレ済みだからな――『焼き落とせ』アインス!!!


「おぉぉぉおぉぉぉぉ……紫電一閃!!!


――ゴォォォォォォォォォ……ズバァ!!!!


「ぐ………思った以上にやるね、君達も?」

「思った以上にか……今の僅かな攻防で、私達とお前の力の差を見極める事が出来なかったのならば即座に眼科に行って、その曇った目を治して来い。
 私もアインスも手加減はしてないが、手加減をしないのと本気を出すと言うのは、此れは似て非なるモノでな?私達は、まだ本気を出してはいないぞ?
 その本気でない私達に後れを取り、更には左腕まで失ったお前に果たして勝ち目が有ると思うのか?」

言っておくが、その左腕を再生する事は出来んぞ?
傷口は、アインスの紫電一閃で、完全に焼き潰されているからな――幾らエクリプスドライバーとは言え、死滅した細胞から再生は不可能なんだ。

6年前の一件で、其れは証明されているからね。


「成程、死んだ細胞からは再生できないか……確かに其の通りであり、着眼点は悪くない。
 しかし、その程度で原初の種の所有者である私を攻略できると思ったのならば………無駄無駄無駄!!甘すぎる!!あまりにも甘すぎるよ君達は!!」


――ブシュゥ!!


な!?……焼き潰した切断面から、腕が再生しただと!?
幾ら何でも、この再生力はエクリプスの再生能力を超えている――或はこれが、種の力を有する者特有の力なのか?……だとしたら、何とも厄介だな。


「原初の種は、その辺のエクリプスドライバーとは一線を画す存在だよ?……この私を倒す事は不可能に近いと、認識を改めたまえ。」

「だが断る。不可能に近いだけであって、不可能ではないのだからな。
 確かに、その再生能力は脅威だが――ならば、再生が出来ない様に、貴様と言う存在を細胞レベルで、原子レベルで、いっそ分子レベルで消すだけだ。」


――ゴシュゥ……


「む……切り落とされた腕が……」


此れのもっと強烈なのを、貴様の本体に叩き込んでやるさ――跡形もなく消えてしまえば、流石に再生する事など出来んだろう?……貴様は此処で滅す!

やるぞアインス、月の祝福と祝福の風……双天の祝福の力で、この誇大妄想のインテリをぶちのめす!!


「あぁ、勿論だ!
 何よりも、我が主に盾突き、あまつさえ大けがを負わせたその罪、その命を持って払って貰うぞ!!」

「貴様は恒久的な神にはなれん……所詮、違法な方法で辿り着いた『神未満』であると言う事を認識するが良い――閻魔の前でゆっくりとな!!」


――ドドドドドドドドドドドドドドドド、ガガガガガガガガガガガガガ!!!


「此れはまた何とも……如何にか直撃を受けないようにするのが精一杯とはね……いや、此れでこそ倒し甲斐もあると言うモノだよ!!
 だが、君達の力はまだまだこんな物ではない筈だ……この私を相手に出し惜しみなど、幾ら何でも無礼過ぎるよ?……さっさと本気を出したまえ!!」


コイツはアホなのか?今の状態の私とアインスの攻撃ですら、直撃を喰らわないようにするのが精一杯なのに、其処で本気を出せだと?
正気かヴァンデイン?其れとも、只の強がりなのか、或は本気で力量差を見極める事の出来ない阿呆か――まぁ良い、ならばそのリクエストに応えてやる!


――轟!!!


「ほう?此れは此れは……」

「祝福の月光――此れが私の本気モードだ。
 言っておくが、この状態の私はさっきまでの比ではない……貴様如きでは、触れる事も叶わぬ存在であると知るが良い、無知なる愚かな神よ。」


――瞬!


「!?……消えた!?」

「何処を見ている!」

「!!」


――バキィ!!!


言っておくが、エクリプスで強化された動体視力であっても、この状態の私を捕らえる事は出来んぞ?
この状態でマックススピードを出した私は、なのは級の動体視力でも『何とか私の動きを捕らえる事が出来る』レベルだからな――貴様如きには見切れん!

ほら、後ろががら空きだ!!


「あが……!」


そもそも、貴様はエクリプスの力に頼り過ぎだヴァンデイン。
戦いの場において大切のは、己の五感と相手の気配を感じ取る第六感だ――貴様は、その第六感で私の動きを読む事が出来ないから、こうも簡単に死角
からの攻撃を受けるんだ……それと、呆けていると危ないぞ?


ハンマーシュラーク!!

「げぼあぁ!!!」


アインスが超重量級の拳打を放っているからな……って遅かったか。
如何にエクリプスと言えど、ボディにクリティカルヒットの一撃をぶつけられたら只では済まんのは分かるだろうヴァンデイン?今し方経験した訳だからなぁ?


「馬鹿な………原初の種を手に入れた私が、此処までやられるなど……そんな事が!!」

「現実に起きている――上には上が居たという事だヴァンデイン……お前は少しばかりやり過ぎたのでな?……ここいらで消えて貰う――覚悟は良いな?」

「!!!」


貴様の画策した未来も、エクリプスの侵攻も此れで終わりにしてやる―――遊びは終わりだ!!!


「!!!」


――轟!!


せめて私の最高の技で、貴様を逝かせてやる!
泣け、叫べ、そして……逝けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇ!!


――ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォン!!


未だだ……未だ終わりじゃない!!
追撃として、喰らっておけ!――裏参百弐拾参式・彩花……貴様のその誇大妄想と共に散るが良い!!此れで、終わりだぁぁぁぁぁぁ!!


――ザシュゥ!バガシュゥゥゥ……ドガバァァァァァァァァァァァアン!!!!!


精々祈れヴァンデイン……せめて己が、地獄で最も刑罰の軽い階層に割り振られると言う事をな――








――――――








Side:雷華


うおりゃ~~~~~~~~!!!雑魚は退け、ぶっちゃけ邪魔だ!!
って言うか、お前等みたいなはんぱものが僕達に勝てると思ってんの?――思ってるんだとしたら、お前達はじげんせかいさいきょうクラスのオーバカモン!
って言うか、僕に馬鹿って言われたらお終いだって、前に王様が言ってたぞ?……って言う事は、君達はお終いだったって言う事か……其れは悪かった!

まぁ、だからって僕が手加減するとかは有り得ないーーーー!!!
む、お前も敵だな?……出直して来い!うおりゃぁぁあぁ~~~~~~~~~~!!雷刃封殺爆滅剣!!



――ドッゴォォォォォオォォオォォォォォン!!!!



「イッテレボアァ!?」

「イエ~イ!強くて凄くてカッコいい……やっぱり、僕最強!
 って言うか、何時もなのはやるなと練習してるから、お前なんて全然怖くないぞ?――今の僕は、正に最強レベル!!誰にだって負けないもんね~~!」

さて、次にきりころされたいのは誰かな?
――まぁ、誰でも良いからかかってきなよ……力のマテリアルたるこの僕――高町雷華が、一撃の下に吹き飛ばしてあげるからさ!!




ん~~~~、何時でも来い挑戦者!!僕は逃げも隠れもしないから、何時でも相手にやってっるからな~~~~~!!!



そう言えば、フッケバインとか言う飛空艇に乗り込んだルナ達は無事かな?
まぁ、ルナ達ならへまする事とは無いだろうけど『はくぶんは一見のシラス』って言うから、情報は有った方が良いしね~~~?


「其れを言うならば『百聞は一見に如かず』であろう雷華よ。
 貴様は観察眼が鋭く、戦闘能力もトップクラスだが、阿呆な所が珠に瑕よな……」


其れは言いっこなしじゃない王様?
王様だって、割と王様キャラで親しまれてるけど、割とアレだしさ?――まぁ、僕も王様も頑張ってるって事で納得しようか?っていうか、其れが一番でしょ?


「だな……だが未だ気を抜くなよ?取るに足らん相手とはいえ、雑魚がうようよと現れて来ているからな……ルナ達がヴァンデインを確保するまでは我等も
 この雑魚を相手にやるしかあるまい?……其れが、我等のなのはに対する最低限の忠誠だ――そうだろう雷華よ!!」


だよね~~~……それじゃあ、なのはとるなが笑って終わりに出来るように、もう一頑張りだね――いよっしゃ~~、頑張るぞ~~~!!!
僕はまだまだ元気一杯だからな、とるにたらない雑魚共、かかってこ~~い!!!








――――――








Side:ルナ


此れはまた、思った以上にしぶといな?
私の八稚女→彩花のコンボを喰らって、尚もその姿を維持しているとは――原初の種の耐久力と言うモノを、些か侮っていたのかも知れんのだが、此れは!



「あが………あぐ……ぐおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっぁぁぁ!!!」


な、なんという禍々しい力だ――まるでこれは、負の思いが限界点を超えて爆発した状態そのモノじゃないか!!
しかも其れだけじゃない……ヴァンデインの顔が、左の肩口に移動し、新たな頭部が形成されるとは――此れが、原初の種の暴走した姿と言う事か!!


「ぐぐぐ……がははは……此れは、人としての姿は失ったが、これ程の力を得られるとは……この力が有るならば、外見など二の次だ!!
 それに、私には分かる――進化は此れで終わらないと!!私は、更に進化をする事が出来る――そして進化を続け、私は本当に真の神となるのだよ!」



マッタク……言って居ろ阿呆が。本気で救えん奴だ。


だが、貴様がどうなっても知った事ではないが、エクリプスの暴走は止めねばならんのでな……邪魔をするならば、斬り捨てるぞヴァンデインよ?


「やってみると良い……不可能な事だからね。――私は絶対に死なない……私は死をも超越し、進化を繰り返す人を超えた存在になったのだよ!!」


……完全に壊れたか。コイツ自身に壊れた認識は無いのだろうけどな。
だが、其処まで地獄行きがお望みならば、その願いを叶えてやる――特別に、手数料も料金も無料でな!!……ブライトハート!!


『All right Master.Standby ready…゛Tran-S・A・M″――Drive ignition.』

「行くぞ……Tran-S・A・M!!


――ゴォォォォォォォォォォォォォォォオォ……ギュイィィィィッィィィィィン!!


此れが私の本気だ……覚悟は良いなヴァンデイン!
遺書は書いたか?お祈りは済んだか?家族に対して謝罪と遺産を残す文書の準備はOK……OKならば、始めようとしようか――最終特別幕と言うのをな!



そして、幕が上がる前に教えてやるヴァンデイン――此処が、貴様の死に場所だ!!精々覚悟を決めておくが良い!!











 To Be Continued…