Side:カート


さてと、服と装備も取り寄せたし、そろそろ行くとすっか!
六課の隊長さんには連絡入れたから、今度は態々脱獄なんぞしなくても、表に出れるからな!――まぁ、良く俺等の自由行動が認められたモンだけど。


「まぁ、今この時は自由に動けるんだ……そんで、如何すんだアホヘッド?」

「決まってんだろ?……ヴァンデインのとっつぁんの手駒と化した野良感染者の撃滅&確保だ。
 六課の隊長さんは『出来るだけ生きて確保してくれ』って言ってたが、相手によっちゃその限りじゃねぇ……やらなきゃやられるからな。」

だから手加減なんざ必要ねぇ、思い切りやっちまえ!
相手が降参したなら殺さずに確保、そうじゃねぇならやっちまってなんぼだぜ!!――此れが、ギャングの生き方ってな!!

けどロロ、お前は戦闘メンバーじゃねぇから此処から離れろ。
寧ろ六課の裏方と合流して、情報整理とかをやれや――そっちの方が得意だろ?


「まぁ、そうなんだけど――ヘッドの命には従わないとだからね!
 その命令は分かったよ。ロロさんの頭脳を、特務六課に貸すとしましょう!!」


頼むぜ。
しっかし、とっつぁんが収容されてる場所から、此処までは結構な距離があるんだが、それでもアイツの殺気を感じるってのは普通に恐ろしいぜ。其れと対
峙する、フッケバインの構成員と思しき奴等も只者じゃないだろうけどよ。

ま、そっちは如何でも良いか。
今は、目の前の事に集中しないとだから――精々暴れさせて貰うぜぇ?……来いよ操り人形ども――俺の力で粉砕してやるからよぉ!!












魔法戦記リリカルなのは~月の祝福と白夜の聖王~ Force41
『Destroy field Eclipse』











Side:ルナ


戦いが始まってしばらくした後、局に戻ってみたんだが、足に重傷を負った美由希が、娘のヴィヴィオと共に野良感染者の相手をしているとは思っても居な
かったよ……マッタク持って凄まじい事だ……50近い野良感染者を2人で対処していたのだからな。

まぁ、流石に無理は良くないから、残りの野良感染者をなのはと共に吹き飛ばして、今は六課の医務室だ。


「うん、エクリプス相手に凄いとは思うんだけど……姉さん、何か言う事は?
 ヴァンデインを逃がさない為にって言う事を差し引いても、自分の足の限界を度外視しての立ち回りは、流石に見過ごす事は出来ないよ?」

「スイマセン、8割方回復してるから大丈夫だろうって、少し調子に乗ってました。
 
 其れに、やっぱりアイツの事は許せないから、せめて一太刀ブチかまして、後はルナ達に任せようとも思ったんだけど、如何せん相手が強かったよ。」


確かに自分の足の限界を無視したのは頂けないが、お前の事だ、ヴァンデインに発信機でも取り付けたんじゃないか?
私やなのはは、エクリプスの特性で奴を察知できるが、一般の局員にはそうも行かないからね?奴の動向を知る為の一手は、仕込んだと見るんだが――


「ルナにはばれてたか……確かに其の通りだよ。
 足が動かなくても出来る事は有るし、ヴァンデインの動向がリアルタイムで分かれば、捜査その他も格段に楽になるでしょう?」

「其れは確かにそうだけど、だからって無茶はダメだよ姉さん。
 ヴィヴィオも、姉さんが無茶しようとしてる時は止めなきゃダメ――足だけじゃなく、肩も大怪我してたんだから。」

「……はい、今度からは気を付けます、なのは叔母さん……」

「まぁ、足は兎も角、肩の方はヴァンデインがやったんだろうから、其れに付いては私達がキッチリと熨斗付けて返しておくけどね。」


まぁ、注意とお説教はその辺で良いだろう。
問題は、ヴァンデインが何処に行って、何をしようとしているかだ――私のエクリプスの反応を見ると、其れ程、遠くには行ってないようだが、如何にも道中
で、フッケバインのメンバーと接触したようだな?……この感じはヴェイロンとスコールと言ったところか。

まさかとは思うが、挑む心算か?――止めておいた方が良いと思うがな……お前ではヴァンデインの相手にもならないぞヴェイロンよ……
其れは貴様が一番分かってると思うんだが、其れともアイツとやり合えるだけの力を持っているというのか……?


何れにしても、道中は穏やかではないと言う所だろう。


本来ならば、ヴァンデインを追うべきなんだろうが、今はコイツを追うよりも大量に出現した野良感染者の制圧が先か――マダマダ現れているようだし、ミ
ッド市民に被害が出たら大事だからな?

「取り敢えず、野良感染者を。
 奴等を全て制圧した上でヴァンデインを追う事にした方が良い。奴の居場所は、美由希の発信機のおかげで分かる訳だからな。」

「そうだね……野良感染者に恨みはないけど、エクリプスに喰われてしまった殺戮者には、相応の幕引きを与えてあげないといけないから。」


では行くか。
既にサイファーと冥沙達が市街地での制圧に入っているし、六課とトーマ達も奮闘しているようだからね。

其れじゃあ行ってくるよ美由希、お前の分までやってこよう。


「お願いするわルナ。
 それから、此れも持って行って?私の愛機だけど、今の状態じゃこの子も満足出来ないと思うからさ。」


此れは……暮桜!お前のデバイスだろう、良いのか?


「勿論よ。って言うか、其れでヴァンデインに一太刀入れてきて!」


――分かった!確かに預かったぞ、お前の魂の半身たる一振りを!此れで、奴に一太刀入れると此処に誓おう。
其れに、月と桜で魔を断つと言うのも悪くないからね。


では、改めて行ってくるよ。――ヴィヴィオ、美由希の事を宜しくな?


「はい!ルナさんと、なのは叔母さんも気を付けて!!」


あぁ、分かってるよ。

尤も、野良感染者如きに後れを取る、私となのはでは無いからね――速攻でカタを付けるとしようじゃないか!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



で、市街地に来た訳だが――一体如何してこんな状況になった?


「お~~~!初めて会った時と比べると、随分と強くなってるじゃねぇかゼロの坊や!
 しかもなんだその姿?髪の毛逆立てて、外装鋭くして、身体の紋様も禍禍しくなって、しかも暗黒騎士とは遂にヒールに転向かぁ?」

「違うよ!って言うか、何で君が此処にいるんだカート!?って言うかクイン達もだけど!
 まさかとは思うけど、脱獄でもして来たとか言わないよな?」

「うぇ~~い、其れは違うぜ坊や?此れは六課の隊長さんに頼み込んで許可して貰ったのよ。
 『そっちの指揮下には入らないが、野良感染者の制圧は手伝う』って事でなぁ?隊長さんもノリ良く『ほな頼むわ~~~』ってな感じだったぜぇ?」


トーマと、カートが共闘状態とは……まぁ、意外といいコンビなのか、即興コンビの割にかみ合っているけれどね。
と言うか、はやて嬢よ、カート達を一時的に解放したならばその旨を伝えてはくれまいか……幾ら何でも驚くからな、収容されてた連中が現場に居たら。


だがまぁ、戦力は有るに越した事は無い。
カート達はギャングではあるが根っからの悪人ではないし、受けた恩は返す義理堅さも持っているようだからね。


とは言え、数が多いか。
だが相手は所詮烏合の衆、確かに一般人を遥かに凌駕する力を持ってはいるんだろうが、その力は傍迷惑なのでな……此処で、斬り捨てさせてもらう!


――バシュゥゥゥゥ!!!


「お?」

「此れは……ルナさん?」


――バッ!シュン!ヒュン!シィィィィィィィィィィ……


此れで散れ。


――キン!


「「「「「「「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」」」」」


尤も、四肢を切り飛ばされた位では、野良感染者とは言ってもエクリプスドライバーだから再生はしてしまうだろうがね。
だが、再生には時間が掛かる故に、次の一撃を避ける術はない!!全力でブチかましてやれなのは!!


「恨むなら、貴方達を感染者にしたヴァンデインを恨むんだね……此れで終わりだよ、手加減なしの全力全壊!ディバインバスターァァァァァァ!


――ドゴォォォォン!!!



見事に吹っ飛んだな……全力全壊と言いつつも、流石に殺しはしないで、意識を完全に刈り取るに留めたのは流石と言ったところだな、見事。


「だっはっは!コイツは弩派手な一発だぜ、リベリオンのリーダーさんよぉ?」

「って言うか、ルナさんの居合がマジでスゲェ……ダブルリアクト状態の俺でも、全く剣閃が見えなかったってドンだけの斬撃なんだよそれ!!」


居合はスピードが命なのでね。
しかしカート、君が助っ人として出て来るとはな……如何言う心境の変化だ?


「俺等は自分達のやりたいようにやるだけだったんだが、アンタ等やゼロの坊やと一緒に暴れてみるのも悪くねぇと思ってな。
 それに、コイツ等を野放しにして何の関係もない奴が傷つくってのは胸糞がワリィんだよ……ワルにはワルの道理ってモンがあって、力を持たねぇ奴に
 は絶対に手を出しちゃならねぇってのが、俺達ギャングの暗黙のルールなんだ。
 だが、野良感染者共はエクリプスの殺戮・破壊衝動に流されるままみてぇだからな……見過ごす事は出来ねぇんだわ此れが!」


成程な――ならば此処は力を合わせて、野良感染者の制圧と行こうじゃないか!
トーマも其れで良いかな?


「え?あ、はい!!」


「あ、其れとだけど、前にリベリオンのリーダーさんにこっちに来ないかって言われたんだが、受けるぜその話。
 司法の犬にはなりたくねぇが、正義のアウトローチームに所属するってのも悪くなさそうだし、アンタ等となら上にのし上がる事が出来るかも知れねぇ。」

「そう?……なら歓迎するよカート、ようこそホワイトナイツリベリオンに。」

「おうよ!マリーヤ達共々世話になるぜ。」



で、予想すらしていなかったがグレンデル一家がホワイトナイツリベリオンに加入か……大分大所帯になって来たな私達の所も。
まぁ、君達の加入は歓迎するよ――ならば、ホワイトナイツリベリオンに新たなメンバーが加わった事を祝して、派手に行くとしようか!!


「良いねぇ、俺も、マリーヤも、クインも派手なのは好きだから、思いきり弩派手に行こうじゃないの!」

「だけど、ルナさんの言う弩派手って少しばかり嫌な予感がするんですけど……具体的に何をするんですか?」


何って……決まってるだろうそんなモノ。
と言うか、派手と言ったこれしかありえない――なぁ、なのは?


「これ以外には有り得ないよ……此れが私の全力全壊!!」

「咎人達に滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け閃光!!」


――キュゴォォォォオォォオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!


「「スターライトブレイカー!!」」

『『Starlight Breaker.』』


――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



「白夜の聖王と……」

「月の祝福に盾突く愚かさを知れ。」

貴様等野良感染者如きは相手にもならん――精々、はやて嬢が選び抜いた捜査官の取り調べと言う名の地獄を味わうが良いさ。
ヴァンデインの手駒と化してたとは言え、お前達のやった事は絶対に許される事ではないからね。精々、閻魔への言い訳でも考えておくべきだな!!








――――――








Side:ヴェイロン


「オラァ!!」

「喰らえ!!」


「ふむ、見事な力だね此れは……いやはや、リアクトプラグを有しているとは思って居なかったよ。」


クソカスが……ムカつくが、コイツの強さはやっぱり半端じゃねぇ……スコールと、そしてリアクトした俺の同時攻撃にも楽々対処しやがるからな、クソが!

コイツは並の感染者じゃねえのは明白だが、だからと言って此処で退けるかよ……心臓抉りだされた借りは返してねぇからな!!


「借りを返すか……出来ると思うのかい?」

「出来るかどうかは問題じゃねぇ、やるかやらねぇかだ!そんな事も分からねぇのか、このインテリドカスが。」

まぁ、其れは如何でも良いが、テメェのそのにやけ面と、上から目線が気に入らねぇんだよ!!


「ならば如何する心算かな?」

「決まってんだろ……テメェをぶち殺す!!其れだけだぜ!!!」



――ゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


と、攻撃しようと思った矢先に、俺達を覆った黒い影――此れは飛空艇『フッケバイン』か!?
カレン自ら出撃して来たって事か此れは……結構マジな作戦なんだろうな――或は、コイツとの同盟でも考え付いたか……?



何れにしても、このクソ野郎との勝負は、如何にも一筋縄じゃ行かないみたいだぜ……!!

まぁ、降りかかる火の粉は、纏めて蹴散らしてやる心算だが――このクソカスも、そしてカレンも何を考えてやがる?


ガラじゃねぇが、如何にも嫌な予感がしやがるぜコイツは……俺の杞憂で済めば、其れで良いんだがな――――――













 To Be Continued…