Side:なのは
其れじゃあトーマ、ロサとリアクトしてみて?
リリィとのリアクトは可成り良くなって来たから、今度はロサとのリアクトレベルを上げて行った方が良いと思うから。
「はい!……じゃあ、行くよロサ!」
「うん……リアクトエンゲージ……」
「……来たーーーー!!リアクト・オン!モード黒騎士!!」
リアクトスピード、0.8秒か……初めてにしては凄いスピードだね?トーマは、リアクトプラグとの相性が良いのかな?其れとも此れがゼロの力か…
取り敢えずどんな感じかな?気分が悪くなったりとか、そう言う事は無い?
「大丈夫……だと思います。
ただ、感覚的に、リリィとリアクトした時よりも戦闘力が少し落ちたみたいですね――その代わりに、知覚能力や反応速度は上がってる感じです。」
戦闘力は落ちたけど、代わりに知覚領域が強化されたんだ?
やっぱり、ジェイルが睨んだ通り、リアクトプラグは個体によって、リアクトした際のドライバーに与える強化効果は異なるみたいだね?
逆に言うなら、多くのリアクトプラグとエンゲージできるほど戦術の幅は広がるって言う事か……私とルナとサイファーを除くエクリプスドライバーは。
其れとも、トーマだから複数のリアクトプラグとエンゲージできるのか……やっぱり、ゼロドライバーに関する事は、まだまだ謎が多いみたいだね。
魔法戦記リリカルなのは〜月の祝福と白夜の聖王〜 Force27
『伸びる力と水面下での蠢き』
さてと、反応速度が高くなったって事だけど、トーマ自身の感覚ではどれくらい反応速度が強化された感じなのかな?
「ドレくらいって……えっと、多分ロサとリアクトした状態なら、50発の誘導弾を同時多発的に放たれても、回避&迎撃が出来ると思います。
序に言うと、知覚能力も強化されてるから、次にどの方向からドレだけの数の誘導弾が来るかも大体予測できるのかも知れません。」
予測とは言え、50発に対処とは凄いね?
しかも、全て躱すか、迎撃が出来るなんて凄いと思うよ?……なら、尚の事、戦闘能力面が強化されるリリィとのダブルリアクトを会得しないと。
「ですよね……何て言うか、何となく感じるんです、そう遠くない内にエクリプスを巡っての大きな戦いが起きるって事を。
そうなったら、多分俺は戦場に立たなきゃならない……でも、戦場で仲間を死なせないようにするためにも、俺はもっと強くならなきゃダメだ。
一朝一夕って訳には行かないのは分かってるけど、俺はもっと上を目指します!!」
「その意気だよトーマ。
強くなりたい、大事な仲間を護りたいって言う意思は、どんな障害だって乗り越える事が出来るからね……その気持ちを忘れずに頑張ろう。」
「はい!!」
《はい。》
うん、良い返事。
思った通り、トーマは凄く成長が早いね?リリィも、其れに引っ張られる感じで、リアクトプラグとしての能力を日々向上させてるみたいだし。
ロサも、初めてトーマとリアクトしたにしては有り得ないくらいに適合率が高いから、此れからのトレーニング次第では何処までも伸びるのは確実。
加えて、アイシスもまた見逃せない程の優秀さなのは言うまでもないね。
実家の仕事柄か、元々の運動神経は私よりもずっと上だし、爆薬を使った戦術も、咄嗟に『最も効果的な薬剤調合』をして見せてくれると来てる。
あの、咄嗟の状況判断能力を鍛えれば、特務六課にとっても極めて重要な戦力になるのは間違いない――彼女はセンターガードタイプだしね。
「それじゃ、ロサとのリアクト能力を試してみよう。
私が放つ誘導弾を、制限時間中躱す、或は迎撃して兎に角被弾しない様に頑張って……因みに20発から始まって1分毎に10発追加ね?」
「が、頑張ります!!
初リアクトで、行き成りハードモードの訓練っぽいけど、頑張ってやろうロサ!大丈夫、俺達なら何とかできるって!」
《うん……一生懸命頑張る。》
準備は良い?
なら行くよ?レイジングハート。
『All right.Soft coat shell bound mode and size 20.The speed level middle……Standby
ready.
(了解。ソフトコート弾殻、バウンドモード、サイズ20。スピードレベル中設定……準備完了。)』
此れは、ルナやサイファーならゼロ被弾で切り抜けられるレベルだけど、トーマはドレくらいやれるかな?
此れはレベル1設定で、このレベルは1分間に5被弾でゲームセットだから、頑張ってね……行くよ、訓練開始。――穿て、シュート!!
「此れは……見える!俺にも全ての誘導弾の動きが見える!!
確かにスピードも速いし、誘導性も高いけど……ロサとリアクトした状態なら、躱して迎撃する位は何て事ないぜ!!でぇぇりゃぁぁぁぁ!」
へ〜〜〜?レベル1とは言え、20発もの誘導弾を完璧に相手にするとは、ロサのサポートは侮れない感じかな?
この分だと、スピードレベル中なら100発の誘導弾でも、1分間に10被弾程度のダメージで済ます事が出来るかも知れない感じだね……凄いよ。
此れは、ロサは思わぬ掘り出し物だったかな?
主に戦闘力の強化と補助を行うリリィと、知覚と反応速度の強化を行うロサ……この2人とのダブルリアクトが出来たら、トーマは最強ランクだよ。
或は、それを見越してフッケバインはゼロ因子適合者のトーマを欲しがってる?……有り得ないとも言いきれないね。
まぁ、何れにしても、逮捕したヴァンデインからドレだけの情報を引き出せるかが鍵になりそうだけど――アレは、如何にも得体が知れない感じだ。
白夜の聖王にしてエクリプスドライバーである私ですら、ヴァンデインには脅威を覚えるからね……如何転んでも素人じゃないのは明白って所だよ。
果たして、ヴァンデインの目的は一体何なのか……
お父さんが発見し、でも表沙汰にしなかった此の力で一体何をしようとしてるの?……如何にも『嫌な予感』を拭い去る事が出来ないね……
「1分経過、10発追加するよ。」
『Homing bullet 10 shots are added……Fire.(誘導弾10発追加……発射。)』
「此れくらい……切り抜けてやるぜ!!」
兎に角、今はトーマ達を鍛えておくべきだね。
エクリプスを巡る戦いに於いて、トーマ達が大きなキーパーソンになるのは、先ず間違いないだろうからね――
――――――
Side:ルナ
さてと……相変わらずヴァンデインは口を割らないようだな、八神はやて総司令殿?
「自分には黙秘権がある言うて、弁護士が選任されるまでは口を割らんつもりらしい……まぁ、賢い選択やけどね。
法的に、弁護士が選任される前やったら、取り調べで口を割らなくとも法には触れへんからなぁ?……流石に、そっちの知恵は回るらしいわ。」
「逮捕時の態度を見る限り、或は自分が逮捕される事くらいは予想済みだったのかもしれないしな。」
だが、だからと言って何時までも拘留と言う訳にも行かんだろう?
拘留期限と言う物があるし、その期間内に弁護士の選任が成されなかったら、法に従って仮釈放をせえざるを得ない…そう成っては拙いと思うが?
「確かにそうやけど、拘留中のヴァンデイン氏をフッケバインが見逃すと思うか?
此れはあくまでも私の予想やけど、エクリプスの彼是を聞きだそうと、拘留中のヴァンデインにフッケバインが絡んでくるのは確実と思っとる。
そうなったら、絶対に其処で一悶着が起きるのは確実やろ?……其れをダシにすれば、拘留期間の延長なんぞ幾らでも出来るからなぁ?」
うん、六課の隊員達には見せられないような『悪い笑み』だね。
だがまぁ、確かに拘留中のヴァンデインを、フッケバインのアホ共が見逃す筈がないだろうね?……ヴァンデインはエクリプスを知り過ぎてるからな。
何にせよ、奴を逮捕・拘留した事で事態が動くのは間違いないだろう?なら、その場その場で適切に対処していけば其れで良いさ。
トーマとアイシス達も、日々成長しているようだから、いざと言う時には頼れる戦力になるだろうからね?……私達に敵はない――そうだろう?
「せやな……中でも、ルナさんとなのはは特務六課のトップ2やから、頼りにしてんで?
ルナさんとなのはにとっても、此度のエクリプスに関する彼是は見逃せない事やろうしね……その力、存分に奮って貰うから、その心算でな?」
言われるまでもないさ、八神はやて総司令殿。
白夜の聖王と、月の祝福……そして白夜の反逆者に刃を向けた愚かさを、その身に刻んでやるさ――嫌と言うほどにね。
――――――
Side:アイシス
うぃ〜〜〜っす………今日も今日とて、滅茶苦茶ハードな訓練を熟した感じだよ……全身がガタピシ言ってるっての。
尤も、この程度の肉体的疲労なら、一晩グッスリ寝れば治っちゃう辺り、アタシの身体ってのも中々のチート設定なのかもしれないけどさ。
「まぁ、この地獄の様な訓練のお蔭で、アタシが強くなってる事は実感できるんだけどね。」
でも、ルナさんやなのはさんに決定打を与えるにはマダマダ全然足りないのもまた事実!もっと精進しないと!!!
「うむ、その心掛けは良いぞ黒髪。努力は必ず応えてくれるからのう?」
「あ、冥沙さん。」
お疲れ様で〜す……って、何か本気で疲れてませんか?
確か、スカリエッティ博士の所に行ってた筈だと思いましたけど、何かあったんですか?若しかして、トンでもないトラブルが!?
「いや違う……脳味噌の腐りきった眼鏡が、『夏の新作ですわ〜〜〜!!』とか言って18禁の薄い本の新作を拵えよったので少しな……
節操がないと言うか何と言うか、新作は『高町七姉妹』と来たか……あ奴は、一度の本気で脳味噌開いて検査した方が良いのではないのか?」
「高町七姉妹って…ルナさんと、なのはさんと、冥沙さんと、星奈さんと、雷華さんと、ゆうりさんと、美由希さん?
其れの18禁同人誌って、何作ってんですかクアットロさんは……って言うか、管理局に協力してる状態でそんなモノを作る神経がちょっと……」
「そっち方面に関して、真面な神経を期待してはイカンだろうな……普段はそうでもないのが困りものだが。
まぁ、そっち方面に目を瞑れば、奴ほどバックスとして――取り分け、情報処理に長けた奴も居らぬからな?……そうでなかったら捨ててるがな。」
あ、やっぱり。
時に冥沙さん、身体の方はもう大丈夫なんですか?
この前は現場に出て来てましたけど、普通に考えたらあの短期間で刺し貫かれたお腹の傷が治るとは思えないんですけど……
「あくまで普通ならばの話であろう?
生憎と、我は生身の人間では無く『白夜の魔導書』の守護騎士――プログラム生命体である故に、治癒力は生身の人間の数倍よ。
流石に傷痕はすこ〜〜〜〜〜しばかり残ったようだが、戦場でドンパチやる分にはマッタク持って問題ないわ!!闇総べる王を舐めるな!!」
本気で大丈夫みたいですね。
てか、白夜の聖王の臣下が闇総べる王って、色々と凄すぎる気がするんだけど、其処は多分突っ込んじゃいけない事なんだろうなぁ?うん、きっと。
「そうだ、時に黒髪、貴様の戦い方を見ていて思ったのだが――貴様、広域戦闘技術を磨いてみる気はないか?
各種爆薬を使った戦闘技術は、ピンポイントで狙うよりも、より広い範囲での攻撃に向いているであろう?
動ける広域攻撃型と言うのは、中々に強力だろう?……ゼロドライバーの小僧がクロスレンジメインな事を考えれば尚の事な。」
広域戦闘技術……確かにアタシの爆薬を使った戦闘スタイルなら、広域タイプが一番合ってるのかもしれないわ。
其れに、トーマが基本クロスレンジって事を考えると、アタシは動き回りながら、広域攻撃でサポートするのが一番かも知れないからね………
「貴様にその気があるのならば、我と小鴉で広域戦闘の訓練をしてやるが……如何する?」
「是非お願いします!!」
自分の得意分野を昇華するってのは、訓練での基本だと思うし、何よりもトーマの足手まといにはなりたくないから!
多分、今よりももっとキッツイ訓練が待ってるかも知れないけど、寧ろ上等!どんなキッツイ訓練だって熟してやります!気合で乗り切りますよ!!!
「良く言った黒髪!!そう来なくては張合いも無いがな。
貴様の心意気、この闇総べる王が確かに受け取った!!明日からみっちりと広域戦闘の指導をしてやるから覚悟をしておくが良い!!」
「はい、宜しくお願いします!!」
トーマも、リリィも、ロサも、私が絶対に護るんだ……その為の力を得られるなら、どんなにキッツイ訓練だって乗り切ってやりますよ!
アタシの友達を利用なんてさせない!!
ヴァンデインもフッケバインも、トーマ達には指一本触れさせない!――アイシス・イーグレットの魂に誓って、絶対にね!!
――――――
Side:カレン
六課のお嬢ちゃん達も、随分と思いきった事をしてくれたけど、ヴァンデインが拘留されたって言うのは、ある意味で好都合かもしれないわ。
アルは『野良感染者が暴れ出して面倒だ』とか言ってけど、アイツが拘留されたって事は、簡単に雲隠れは出来なくなったって事でもあるからね?
色々とお話しをするには、逆に言い機会が来たとも言えないくはない――こと『原初の種』の事は、何よりも知りたい事だからね。
「だが、そうなるとメンバーの選出をしなくてはな……」
「私と、ヴェイロンと、ソーニャで良いんじゃない?
ソーニャの能力を使えば、知りたい情報は引き出せるだろうし、戦闘になっても私とヴェイロンが居れば大体何とかなるでしょうしね。」
大体にして、相手は頭でっかちのインテリでしょ?派手にドンパチかませば何とかなるわよ。
其れに、私達に原初の種は絶対必要な物だし、可能ならゼロ因子適合者のトーマ君もフッケバインに退き込みたい所ですもの。
ハーディス・ヴァンデイン………知ってる事を洗い浚い吐いて貰おうじゃないの――我等フッケバインが更なる高みに上る為にもね!!
――――――
Side:ヴァンデイン
ふむ……この拘留部屋はエクリプスの力では破れないようになって居るみたいだ――ふむ、実に感心!エクリプスの事をよく研究している結果だ。
その他にも、エクリプスの不死では対応できない電磁バリヤーなんかも充実してるみたいだ……此処まで出来ているならば逮捕された甲斐も有る。
恐らく、近い内にフッケバインが私を襲撃してくるだろう……尤も、お帰りいただく心算だけどね。
だが、それだけに面白い。
フッケバインがドレだけの力を持っているのか、そして管理局が其れにどう対応するのか……実に興味深い事だね。
まぁ、精々私を楽しませてくれたまえ……最終的に全てを手に入れるのは、この私『ハーディス・ヴァンデイン』で有るのだからね。
その前哨戦として、フッケバインが襲撃をしてきた際には、タイマンで戦っても良いかもしれないな……何れにしても、私には勝てぬだろうがね。
さてと、襲撃を考えている凶鳥に対し、白夜の聖王と夜天の冥王はどう出るかな?
精々頑張ってくれたまえよ?君達が足掻けば足掻くほど、其れはエクリプスウィルスの有用性を実証する事になるからね。
そして、その有用性が実証された暁には、私が絶対の王として君臨する事になる――精々、其処に至る為の礎と踏み石になってくれたまえよ。
君達の様な、取るに足らない有象無象が、次世代の礎になると言うのならば、其れはとても名誉な事だからねぇ?
精々私の理想の踏み石となってくれたまえ――ククク……クハハハハハ……ハァ〜〜〜ッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!
To Be Continued… 
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