Side:ルナ


ふむ、トーマ達の成長は中々馬鹿に出来ないモノがあるみたいだな?
局員見習いとなってそろそろ1週間と言うところだが、見習いとなったばかりの頃と比べると今のトーマ達はまるで別人と言っても過言ではないよ。

伸び盛りの時期と言うのもあるんだろうが、まさか相当に手加減してるとは言え私と打ち合う事が出来るようになるとは予想外だった。
リリィとの融合も馴染んでいるようだし、アイシスのサポートも見事だ……君達は確実に強くなって居るみたいだね。


「そうなんですか?……実質1vs3の状況で押され気味のドローって結果だと、とてもそうは思えないんですけど……」

「って言うか、ルナさんはマダマダ余力残してますよね?」


勿論残している。
と言うか、私が本気を出したら君達位なら2秒で瞬殺できるからね?――流石に其れでは訓練にならないだろう?

だから、大幅に手加減した状態でハンディキャップバトルとさせて貰ったよ。
だが、其れであっても君達自身の課題と長所は分かっただろう?ならば、課題を解消しつつ長所を伸ばせだ。其れが真の強さを得る事に繋がる。


「「「はい!!」」」

「うん、良い返事だね。
 取り敢えず此処までで休憩を入れようか?やり過ぎては身体の毒だからね――やる時はやり休むべき時は休む、此れも忘れないでね?」

「「「はい!!!」」」


では、15分後の訓練再開まで、暫し休むとしようか。













魔法戦記リリカルなのは〜月の祝福と白夜の聖王〜 Force21
『The huge power which mixes』











――で、私に何かアイシス?


「はい!前に頼まれてたホワイトナイツリベリオンの制服なんですけど、取り敢えずラフスケッチ作ってみたんですけど、こんなのは如何ですか?」

「私達のユニフォームの原案か……ふむ、悪くないな?」

ズボンとインナーは身体にフィットするタイプで、上着は短めの長袖……上着を白衣に変えればジェイルが着ても違和感はナッシングだ。
しかも下はズボンとタイトスカートを選べるようになっているし、此れは見事だよアイシス!此れで決定稿だ、直ぐにでも作ってくれるかな?


「勿論ですとも!
 何だけど、上着の色は如何します?アタシとしては、夫々のパーソナルカラーで決めようと思って居たんですけど……」

「ジェイルのカラーは君に任せるが、其れ以外は魔力光で良いだろう?其れが一番メンドクサクないし分かり易いからな?」

「魔力光……確かに其れはアリですね!!
 OK、俄然イメージわいてきました!!このアイシス・イーグレットが、腕によりをかけてルナさん達のユニフォームを完成させてみせますから!!」


あぁ、完成を楽しみにしているよ。





――さて、そろそろ休憩時間は終わりだ、模擬戦二本目と行こうか?




「「「はい!!!」」」








――――――








――
1週間後



Side:トーマ


今日はエリオ君達と、カレドヴルフ社に機材調整の立ち会いに行く事になってる。
機材調整の立ち会いって事だけど、実質的には六課に配備される『ラプター』の最終調整相手をやってくれって事だよね多分?てか間違いなく。


「まぁ、何も難しい事はない。ウチに来る子達や、カレドの担当さんとの顔合わせとでも思ってくれれば良い。」

「先方には、マリエル技官とドクター・ジェイル・スカリエッティがいらっしゃる。
 向こうでの詳しい事は、彼女達に聞いてくれ。」

「「「「「はい!!」」」」」


って……ん?マリエル技官は兎も角、なんでドクター・スカリーが?
……まさかとは思うんですけど、あの人がラプターの最終的な調整に手を入れたとかそう言う事は………


「その通りだ。」

「やっぱりか!!前に見たラプターは頼りになりそうな感じだったけど、此れから会うのは絶対にそのレベルじゃ済まないって!
 つーか、あのジャスティスマッドサイエンティストがガチで調整に乗り出したら、ラプター1機がエース級になる気がすんのは俺だけか!?」

「なんだか楽しみだね、トーマ♪」


リリィ〜〜〜〜!?
いや、楽しみなのは分かるけど、一歩間違えたら六課にスゥちゃんやノーヴェ姉クラスが一気に6人も増えるんだよ!?流石に怖いって!!


「でも、仲間が増えるのは嬉しい事だよね?」

「……其れもそうか。仲間が増えるのは確かに良い事だよな。
 其れに、幾らドクター・スカリーが手を入れたからって、確実に魔改造品になるって訳でもないだろうし……」

「まぁ、ドクター・スカリエッティがカレドに居るのは、どちらかと言うとAEC装備の開発に関してだからね。
 僕達のデバイスは、ドクター・スカリエッティによってAEC能力を付与されているけど、汎用性のある量産機はまだ開発途上だからさ。」


AEC装備の方か……成程、其れならあの人の力を借りた方が良いよな絶対に。
後から聞いた事だけど、暴走状態の俺の攻撃を受けてもルナさんと美由希さんの刀型のデバイスには罅一つ入らなかったって事だしな。

ところでさ、行くのってこのメンバーだけ?


「いえ、我々も同行させて頂きます。」

「ひよっこだけでは、何かあった時に不安が残る故にな。」


星奈さんと王様!!……って、その服は若しかして、アイシスが作ってたホワイトナイツリベリオンの制服ですか?うわ、予想以上にカッコいい!
白を基調としたインナーとタイトスカートに、王様は闇色の、星奈さんは燃えるような赤の上着……アイシス、良い仕事してるねぇ?


「やるからには徹底的に!
 因みに、なのはさんとウーノさんとドゥーエさんとクアットロさんはタイトスカートで、ルナさんとサイファーさんと雷華さんとゆうりさんはズボンで。
 で、ドクター・スカリーはズボンでもフィットタイプじゃなくてスーツのスラックスタイプ。序にアイシスさん特製の多機能白衣付き。」

「俺的には其れを1週間で作り上げたアイシスが凄いと思うんだけどなーーー………」

「好きこそものの上手なれだよ?」


なんか違う気がしなくもないけど、確かに好きな事って言うのは仕事が捗るよね。
俺も自分の好きな事はドレだけやっても飽きないし、凄い速さでこなす事が出来るからな〜〜。其れでも12人分を1週間はやっぱり凄いけど。


んで、話をしながら車に乗り込んで、いざカレドヴルフに!



「アイシス製のユニフォームは実に気に入りました。
 機能性と美しさを兼ね備えた見事なモノだと思います。流石は世界最高のデザイナーを目指しているだけの事はあると評価できますよ。」

「ありがとうございます!!」


嬉しそうだなぁ、アイシス。まぁ、自分の仕事を褒められれば誰だって嬉しいか。
いっその事、此れから会うラプター達の服も作ってやれば――いや、言うの止めとこ、アイシスだと本気でやりかねないし、ラプターには不要だし。

「王様と星奈さんの上着の色って御二人の魔力光ですよね?やっぱりルナさん達の上着も……」

「うむ、夫々の魔力光と同じカラーリングよ。まぁ、スカリエッティの奴だけは白衣故パーソナルカラーではないがな。」

「まぁ、彼の場合は白衣がパーソナルコスチュームと言えますからね。」


そうなんだ……流石はジャスティスマッドサイエンティストだよな。




とかなんとか話してる内に、カレドヴルフに到着だ。
俺達の後輩的立場になるラプターの完成版――どんな子達になってるのか楽しみだぜ。



………にしても、来るのは初めてだけど、でっかいよなぁカレドヴルフの本社って……こりゃ、相当利益上げてる会社なのは間違いないだろうな。








――――――








Side:なのは


さてと、今頃トーマ達はカレドヴルフでラプターの最終調整のお手伝いをしてる頃だね。
ラプターの性能は魔導師ランクで言えばAAクラスだろうからトーマには良い経験になるし、ラプターにとってもエクリプスとの戦闘訓練になる訳か。

ことラプターは、ジェイルさんが手を入れた事で、元々想定してたスペックよりも数段高い物に仕上がってるみたいだし。




でも、だからこそラプターの強奪には気を付けないといけない。
アレだけのスペックを持つラプターを強奪されたら堪らないけど、六課へ運んでる時なら幾らでも襲い様はあるからね……何か分かったクアットロ?



「出ましたわお姉さま……如何やらラプター強奪を企てている不埒の輩が居るみたいですわ。
 其れを企てているのは『グレンデル一家』――第一〜第三世界を活動拠点にしている少人数の武闘派の集団ですわ。
 如何やら彼等も最近『感染』したらしく、エクリプスドライバーとなって居るようで……更に、其処にフッケバインも来ると思われますわ。」

「最悪の場合は、私達とフッケバインとグレンデル一家の三つ巴の戦闘になるって言う事か……確かに其れは面倒極まりない事だね。」

尤もやられる気はないけどね。
今の情報をはやてに渡せば、最も適切な処置をしてくれるだろうから一切の心配も不安もありはしないよ。

ラプターが六課に納入されるのは今日の深夜――成程、人目の少ない時間帯だけに襲撃をするには持って来いだね。


だけど、グレンデル一家って言うのは其れほど頭が良くないのかな?
事前に自分達が襲撃を仕掛けるって言う事がばれるとは思ってないんだろうね――だったら、徹底的に叩きのめしてあげないとだね。


「……手加減はしてやれな?」

「お前が本気でやったら、誇張なしで都市が丸ごと吹っ飛ぶからな……」


大丈夫だよ、グレンデル一家とフッケバインに対してだけ全力全壊を叩き込むだけだから。




何れにしても、ラプター強奪の可能性ありって言うのは無視できない事だから、直ぐにはやての方に現状で把握してる情報を全て送ってくれる?
はやてなら、得た情報から最も効果的な対処法を考え出してくれるだろうからね。

「クアットロ、この情報を特務六課関係者全員に送って、ラプター強奪は絶対に阻止しなきゃならないから。」

「了解ですわお姉さま!!」



だけど、此れは逆にチャンスかな?
巧く行けば、フッケバインと、新顔のグレンデル一家の双方を潰す事が出来るかも知れないからね――








――――――








Side:はやて


ふむふむ……ラプター輸送の最中にエクリプスドライバーの襲撃の可能性ありと……中々スムーズにモノは運ばないもんやなぁ?
ましてクアットロさんが調べ上げてって言う事やから、此れは間違いなく仕掛けて来るやろなぁ……ホンマに面倒な事この上ないわ!割と本気で!

せやけど、やる時にはやらなアカン。


何よりも、なのはがこんだけの情報を持って来てくれたんやから、其れに応えないなんて有り得へんからね。



一歩間違えば、トンでもないバトルが起きそうやけど、そうなったらそうなった時や。
特務六課の子達は、魔導殺しに瞬殺されるほど柔やないし、なのはとルナさん達は言うに及ばずやからな?



フッケバインにグレンデル一家……来るなら来てみろや!!


私が立ち上げた特務六課と、その協力組織であるホワイトナイトリベリオンの前には敵なんて存在し得ないで?――其れを骨の髄まで教えたる!




さぁ、準備は良いか?
仕掛けて来るのは勝手やけど、其れが逆に私等にとっての好機や――フッケバインもグレンデル一家も、此処で一網打尽にする。

最低でもグレンデル一家は確保する!――如何やら今日は、そこそこ長い夜になりそうやな……














 To Be Continued…