Side:なのは


さてと赤毛ちゃん、生憎と此処から先は通行止めなんだけど如何する?諦めて引き返すって言うなら、私は特に何もしないけど――


「だからって『はいそうですか』と退き下がるとは思ってねーんだろアンタも?
 ならまだるっこしい事はなしにしねーか?アタシは此処を通りたいし、アンタは此処を通す心算はない――なら戦うしか選択肢はねーだろうが!」

「期待はしてなかったけどやっぱりそうなるか。
 まぁ、私も貴方達を見逃す心算なんて微塵もないから、ある意味では好都合なんだけど――本気で私に勝てると思ってるの?」


――轟!!


「!?」


悪いけど闘うなら一切の手加減はしないよ赤毛ちゃん。
元より、エクリプスドライバーは手加減してどうにかできる相手じゃないのは分かり切った事だけどね。……此れは最後通告だよ赤毛ちゃん?


「舐めんじゃねぇ……このアルナージ様がこの程度にビビって退く事が出来るかよ!!
 大体にして、テメェだってエクリプスドライバーだろうがパツキン!アタシ等の同属のくせに、なんだって管理局なんかに協力してやがる!!」

「其れが私の意思だから。それ以上に理由が必要?
 それと、確かに私もルナも、そしてサイファーもエクリプスドライバーだけど、貴女達と一緒にしないでくれるかな?」

私達はエクリプスの力を真の意味で自分の物にしてるし、破壊と殺戮の衝動も克服してる。
エクリプスの力を悪戯に振りかざして、犯罪行為をさも当たり前のように繰り返してる貴方達と一緒にしてほしくないよ……寧ろ願い下げだね。


けど、如何してもやるって言うなら相手にはなるよ?
同時に押し通る事を選択したのを後悔すると良いよ――白夜の聖王に挑む事がいかに無謀な事だったか、精々骨身に刻み込むんだね。

さてと赤毛ちゃん―――少し頭冷やそうか?













魔法戦記リリカルなのは〜月の祝福と白夜の聖王〜 Force11
Guns&Blaze――more?』











Side ルナ


フッケバインの方は、なのはとサイファーと雷華に任せておけば問題ないな。あの3人がやられる事は早々ないだろうしね。
おかげで私とアイシスはトーマの方に集中出来る訳だが――此れは思った以上に耐久力が高いな?

アイシスの爆薬戦術と、私のアクセルシューターを全方位から受けて尚、決定的なダメージを与えるに至らないとは…或は此れがゼロの力なのか。


「ルナさん、このままじゃジリ貧ですよね?」

「あぁ、確かにその通りだが、あの耐久力を考えると相当にデカい一発を当てねば落とす事は難しいだろうな。
 しかも、其れでありながらトーマの無事も確保しなければならないのだから、此れは中々如何して相当な難易度設定のゲームであるらしい。」

せめて武器か魔導書のどちらかを破壊できれば、或は状況が好転するのかもしれないが、今は好機が来るのを待つしかなさそうだ。


「此れ以上、俺に近付くんじゃねぇ――」


トーマ、一体誰が攻撃する相手であるのかすら認識できていないんだな?
エクリプスの破壊衝動のままに、己に近付く者は誰彼構わず攻撃してしまう……ともすれば殺してしまいかねないのだろう。

「だから近づくなと言うのだろうが、生憎と其れを聞き入れる訳には行かん。――泣いている子供を放っておく事は出来んよ。
 もしもお前が真に破壊の使徒となったと言うのならば、その涙は有り得ないモノだ。
 こんな事になるのが嫌で、でも自分では如何しようも出来なくて、誰かに助けてほしくて、止めてほしくて、お前は泣いているんだろうトーマ!!」

諦めるな!
お前1人では如何にもならない事でも、周りに居るお前の友達を、慕う人間の事を信じろ!必ず私達がお前の事を助けて出して見せる!!


「ルナの言う通り!君は絶対に助け出すよ、スバル達の弟君!」

「ふぇ!?何処から現れたんですか一体!?」


美由希か!助かる、私とアイシスだけではどうにも決定打が与えられなくてね。


「成程、はやてちゃんがノーヴェ達じゃなくて私を向かわせたのは、ルナとのコンビネーションを考えてだった訳か――」

「あ、あの……貴女は!?」

「あぁ、高町美由希♪ルナの妹で、向こうで戦ってるなのはと雷華の姉です。宜しくね、黒髪ちゃん♪」

「は、はぁ?」


やれやれまったく……まぁ、正式な自己紹介は後でにしておこう。
だが、美由希が此方に来てくれたのは確かに有り難い事だ。此れでクロスレンジでの波状攻撃を仕掛ける事が出来るからな。

「月影。」


――ヴォン


此処からは、私と美由希の達人剣士による剣舞を披露するとしようか?
私も美由希も剣士としての腕は相当なモノだと自負しているからな――其れの波状攻撃ともなれば、武器破壊か魔導書破壊も難しくないだろう。

加えてアイシスが爆薬攻撃での補助を行ってくれるからな?……私達が押し切られる事だけは絶対に有り得ん!!

「直にはやて嬢が、飛空艇の方のフッケバインを何とかするだろう――私達はトーマの救出に集中する!
 トーマはエクリプスドライバーだから、多少荒っぽくやっても大丈夫だ!だから手加減などするな、救う為にも全力を尽くせ!!!」

「は、はい!!」

「勿論!って言いたいけど、ルナは少し手加減しようね?
 ルナがその状態で本気だしたら、トーマを救うどころか分子レベルで木端微塵にしかねないから。」

「……ドンだけですかこの人!?」


お前な……そんな事は言われなくとも分かっているさ。
だが、この状態の方が色々と便利なので変身しているだけだ――と、お喋りしている間に来たぞ!!


「うあぁぁぁぁあぁっぁぁぁぁ!!俺に……近づくなぁぁぁぁあぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

『Silver Hammer.』


直射砲か!!アイシス、頼む!!


「任せて!パフィ!!」

『了解、迎撃します。』

「白の香No.7!ミスティックフライト!!


――シュゥゥゥン……


此れは、特殊な爆薬を使った煙幕で砲撃の起動を逸らして無効化したのか?見事なモノだ、称賛に値するよアイシス。
そして此れは好機だ、美由希!!


「みなまで言わずとも!!覇ぁぁぁぁぁぁ……神龍断!!

「破ぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ……閻魔刀ぉ!!!!」


――ガキィィィン!!!


この高速居合いのコンビネーションに超反応するとは……ゼロドライバーの力と言うのはどれ程までに強いんだ?マッタク持って厄介なモノだよ。

だが、態々防いだと言う事は、私と美由希の攻撃はエクリプスドライバーにとっても危険なモノである事には間違いないんだろう。
そうで無ければ防ぐ必要はない――エクリプスドライバーは四肢を吹き飛ばされても瞬時に再生する事が可能なのだからね。

――いや、逆に此れは好都合だな。
そう言う事ならば、致命傷になりかねない攻撃を加えればトーマは其れを反射的にガードするだろうから、其処に隙が出来る。

その隙を突けば、私や美由希ならば武器か魔導書の破壊を行うのは難しくはないからな――もう一頑張りと行こうか!!








――――――








Side:サイファー


ふん……粋がった割に無様だなスコール?
嘗て、自分が殺そうとして殺し損ねた姉に蹂躙されると言うのはどんな気分だ?――さぞかし愉快な気分なのだろうなぁ?


「貴様……」

「同じエクリプスドライバーとは言え、私とお前では地力の差が大きすぎたようだな?」

今し方斬り落とした腕は一体何本目だ?
正直な事を言うと、ドレだけお前の四肢を斬り落としたか数えるのも面倒になってな――其れでもまだやるかスコール?


「当然だ……どんな手を使ってでも、お前を殺さないと私は満足できそうにないんでね――この世から消し去ってやるよサイファー姉さん!!!」

「姉と呼ぶなと言っただろう下衆が。
 だが、此れだけの力の差を見せ付けてやっても分からんとは、呆れを通り越して憐れみすら覚えるよスコール……その馬鹿さ加減にはな!!」

「ホザケ、この駄姉がぁぁぁぁ!!」


何とでも言え愚妹。お前程度の腕で私に一太刀入れようなど、100年早いと知れ!!
そして後悔しろ、今再び私の前に現れてしまった己の愚行をな!!!


「死ねぇぇぇぇぇえぇ!!」

「そのセリフは……死亡フラグだ!!!」

ルナがゼロの少年を止めるまでは遊んでやるが――確保した後は覚悟しておけよ?一切の遊びなしで、貴様をこの世から消し去ってやるからな!








――――――








Side:雷華


ん〜〜〜……瞬間移動って言うのはやっぱり厄介だな。
僕かへいとじゃなかったら対処しきれなかったと思うよ本気で――しかもアンだけメガマッチョのくせに瞬間移動とか、絶対におかしいって!!


「……驚いたな、速さだけではなく相当なパワーもその身に宿しているようだな?
 正直、リアクトした私が力で押し切る事が出来ないとは思ってはいなかったぞ――何者だ貴様?」

――高町雷華。
 高町なのはとルナの妹にして、高町姉妹最強のぱわーをもってるのがこの僕だ!!お前如きに……負けてやるもんかぁぁぁぁぁぁあぁ!!」

僕は力のマテリアル、雷刃の襲撃者・高町雷華だ!
僕の姉妹に手を出す奴は絶対に許さないし、とーまに手を出すのも許さない!そんな奴等はまとめて僕がぶったぎる!!

「どえりゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっぁぁぁぁ!!!」

「むぅ!!!」



お前等は消えろ――そして僕は飛ぶ、皆が皆、笑って過ごせる未来に向かって!!バルニフィカス!!!


『Yes sir.』

「くらえ〜〜!!雷神滅殺極光ざ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!

そうさ、僕は強い!
えくりぷすどらいばーだか、まどー殺しだか知らないけど、敵対するやつはやっつける!皆の事は僕がまもる!!

さぁ、ふっけばいん、覚悟しろぉぉぉォォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!








――――――








Side:アルナージ


クソ……このパツキンマジで半端ねぇ。
アタシの射撃を完全相殺しつつ、30発超の誘導弾を操るってドンだけだっつーの!!弱音は好きじゃねぇけど、正直言って勝てる気がしねぇよ…!


「少しは頭冷えたかな赤毛ちゃん?」

「冷えたどころか、トンでもない奴に挑んじまったって、少々後悔中なんだけど――出来れば見逃してくれねーかな〜〜〜と思ってたりしてるぜ?」

「見逃すのは流石に無理かな?って言うか逃がす気ないし♪」


だよなぁやっぱり!!
予想はしてたけど、思いっきり『良い笑顔』で言わなくてもいいだろうが!!僅かな希望が粉々に粉砕された気分だぜコンチクショウが!!

こっちはジリ貧確定だろうな……隙を見て離脱するのが上策だろうが――

「おいパツキン、あのロン毛はマジで何モンだ?」

あの坊主と交戦してるロン毛が妙に気になった。
ペッたん胸に加えて増援も来たみたいだが、其れを踏まえてもロン毛の動きは目に見えてスゲェ……アタシやヴェイ兄にはまねできない動きだ。

相当な猛者だろうが……


「高町リインフォース・ルナ――私の最高のパートナーだよ。
 其れと同時に、最強の魔導師であり、最強の騎士であり――そして最強のエクリプスドライバー、其れがルナ!!」


んだその弩チートキャラは!?

弱音吐くのは好きじゃねぇけど、若しかしなくてもアタシ等喧嘩売る相手間違った?――だとしたらトンでもない貧乏籤だぜコンチクショーー!!








――――――








No Side


各所で激しい戦いが行われている最中、六課のビッグバイパーも確りとフッケバインを補足してロストしないようにしていた。
更には絶え間ない攻撃を加え、転移をさせまいとしていた。

だが、攻撃の被弾が影響しているのか、転移可能にはまだまだ時間が掛かるらしい――其れにはステラが極めてイラついていた。

被弾さえなければ即時転移が可能なのだから、まぁその気持ちは分からないでもない。


とは言え、追いかけっこの末に飛空艇フッケバインは雲を抜けて海上に。
そしてほぼ同時に六課のビッグバイパーも現着している――此処からが本番であるのかもしれない。


いや、既に本番は始まっているのだろう。
ビッグバイパーの船首には、王様こと高町冥沙が既にスタンバイを完了しているのだ。


『此処ならよしや!!王様、弩派手に一発かましたって!』

「待ちかねたぞ小鴉?……貴様に言われなくともその心算だ!!」

『周囲に何もない海上やったら可成りの無茶が効く――手加減抜きでブチかましたって王様!!』

「是非もないわ!!」

そしてはやての号令に呼応するかの如く、冥沙もテンションはマックス状態だ。


「黒天に座す闇総べる王を舐めるなよ?
 海より集え水神の槍。彼方より来たれ、残雪の吐息。逆巻き連なり天に座せ!!ヘイムダル!!

発動したのは圧倒的な大きさをほこる氷塊――其れこそどんな防御をも物ともせずに押しつぶす、物量に物を言わせた一撃が空に佇んでいた……















 To Be Continued…