Side:ロム


「それにしても、ファントムがいつの間にやら融合モンスターを使うようになったとは…」

「そうか、ロム殿はトランプ・ウィッチを使用していたのを見ていなかったのだな。」

「そうでした…いずれにしても、匿った例の彼女の影響でしょうか。」


我らがファントムが次々と融合モンスターを繰り出してきておりますね。
ボクも実際に使うのを見るのは初めてです。
成程、これは融合次元の女神であるネプテューヌさんを匿った事によるものですね。
彼女が近くにいた事で融合召喚を自然と発現してしまったのでしょう。
ブランお姉ちゃんの持つペンデュラムと酷似したペンデュラムの力があれば不可能ではないでしょう。

それにしても彼の持ち味は『エンタメイト』の下級を大量展開してその絆の力で敵を圧倒するというものだったはず。
お二方ともどうやら楽しんではいるようですが、彼にしては大型頼りな展開が多すぎる感があります。
彼のこれまでの戦術を考えるとらしくありませんね。
終いにはスターヴアイズという彼らしくない禍々しいモンスターまで出てきました。

一方のブランお姉ちゃんは着実とこれまでの修行の成果がでているようですね。
現在女神化してデュエルしておりますが、見ている限りでもその力に振り回される事なく平常心を保っております。

それに、エースモンスターも教会流の儀式モンスターに派生進化させ、さらには相手ターンでのアドバンス召喚を利用してのエクストラデッキ破壊と戦術の幅を広げておりますね。
今回ばかりは裏目に出ている感は否めませんが、運も左右されるのでそこはご愛嬌でしょうか…ふふ。


「それにしても、ブランがエクストラ破壊なる戦術を使うとは…!
 正直、あいつの掲げていたエンタメデュエルからは外れているように思えるが?」

「確かにエンタメ面で見るとブーイング必至かとおもわれます。
 ですが、デュエルとは時に何が起こるかわからないもの…駆け引きを楽しむ手段としてはいいと思います。
 それがわかっているからこそ、使用するようになりお互いに楽しんでいるのでしょう…わくわくものです。」

「そうだな…あの二人、笑っておる。」


観客を楽しむエンタメデュエルよりお互いが駆け引きを楽しんでいるようですね…悪そうな顔で。
このデュエルはブランお姉ちゃんの試験を兼ねたものだったはずなのですが、お互い忘れていそうですね。
むしろ、ファントムの方が逆境においての力を試されていた感がありますね。

いずれにしても我々はこのデュエルの行方を見守るのみです。










超次元ゲイム ARC-V 第63話
『名を返す時』









ブラン:LP2300
甲殻神将オッドシェル・R・ロブスター:ATK2800
甲殻星帝オマール・アンプルール:ATK2800
ブライン・ロブスター:Pスケール8

ファントム:LP2000
オッドアイズ・ファントム・ドラゴン:ATK2500
餓毒竜スターヴアイズ・ドラゴン:ATK2800
EMトランプ・ウィッチ:Pスケール4
オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン:Pスケール8



Side:ブラン


デュエルも中盤辺りに差し掛かり、スターヴアイズなる禍々しい竜が立ちはだかった。
もっとも、毒々しさで言えば隣にいるオッドアイズ・ファントムも負けてはいないけどね。

エンタメデュエリストのモンスターというのにはなんか違う感じがするも、それについてはわたしのも同じ。
エンタメにモンスターは関係ない、楽しむのと楽しませたもん勝ちだと思ってる。

それはさておき、問題は今出てきたスターヴアイズの性能だが…?


「スターヴアイズの効果…と言いたいところだがそれはちょっと後回しかな。
 まずは融合召喚の素材となってフィールドから離れたハイドランジニアスのモンスター効果を発動!
 墓地の『EM(エンタメイト)』2体をデッキに戻し、シャッフル後1枚ドローできる。
 この効果で俺は墓地のラクダウンとカレイド・スコーピオンの2体をデッキに戻し、シャッフルしてから1ドロー!」


その前に手札を増やしてきたわけね。
まぁ、手札0枚だったから増やしておかないともう後がないも同然ってわけだしね。


「そしてスターヴアイズのモンスター効果!
 このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの闇属性以外のモンスターの攻撃力は500ダウンする。
 さあ、スターヴアイズの持つ毒に蝕まれよ!」

「地味ながら刺さってくる効果だな…500ダウンは痛い。」
甲殻神将オッドシェル・R・ロブスター:ATK2800→2300
甲殻星帝オマール・アンプルール:ATK2800→2300



永続効果だから除去すれば適用されなくなる。
それは逆に言えば、どけない限りは確実にこちらを蝕んでくる厄介な効果って訳だ。
こちらのモンスターはほぼ水属性なわけだからな。

いずれにしろ、これでわたしのモンスターの攻撃力があの2体のドラゴンを下回ってしまったわけだ。


「これで両方とも攻撃力を上回ったわけだ。
 バトルだ!オッドアイズ・ファントム・ドラゴンで儀式の方のオッドシェルに攻撃!『夢幻のスパイラル・フレイム』!!」


――ボォォォォォォ!!


「ぐあっ…!」
ブラン:LP2300→2100


オッドシェル・リチューアルが正面から殴り倒されたか。
だけど、このままじゃ終わらない!


「戦闘ダメージを与えた事でオッドアイズ・ファントム・ドラゴン、スターヴアイズの順にモンスター効果を発動!」

「何が来るかはさておき、こっちもオッドシェル・R・(リチューアル)ロブスターのもう1つの効果を発動!
 この効果で墓地の儀式魔法カード『シェルアーマー・アドベント』を手札に加えておく。」


儀式の方のオッドシェルもペンデュラムと同様にしぶとさがある。
このように、儀式魔法を回収する効果によってな。


「次のターンもまた呼び出すつもりのようだな。
 だが、逆順処理でのスターヴアイズの効果!
 1ターンに1度、自分のモンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する!
 この効果で破壊するのはオマール・アンプルール!毒液に蝕まれろ!『ヴェノム・ショック』!!」


――ビシャァァァァ!!


「っ、オマール・アンプルールまでも…!」


スターヴアイズの更なる効果によってオマール・アンプルールまでもがやられてしまった。
毒液を吹きかけるとかなんて汚い効果だ…主にビジュアル的な意味で。


「そして、オッドアイズ・ファントム・ドラゴンのモンスター効果だ!
 ペンデュラム召喚したこのカードが戦闘ダメージを与えた場合、ペンデュラムゾーンの『オッドアイズ』1枚に付き1200のダメージを与える!」

「随分でかいダメージ量だな!」

「俺のペンデュラムゾーンのオッドアイズはミラージュ1枚。
 よってお前に1200のダメージを与える!幻子の力『アトミック・フォース』!!」


――ドゴォォォォォォオ!!


「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ブラン:LP2100→900


オッドアイズ・ファントムの効果で残りライフはとうとう3桁まで追い詰められた。


「だけど、これによりオマール・アンプルールのもう1つの効果が発動!
 このカードが戦闘及び相手の効果で破壊された場合、デッキから水属性モンスター1体を墓地へ送る事ができる!」

「あ、場合ならタイミングを逃さないか…いいだろう。」

「この効果で墓地へ送るのは『ウェーブ・ガードナー』だ。」


だけど、こいつもただではやられない。
直接攻撃に備えて、墓地発動できるモンスターを送っておく。
とりあえず牽制しておくけど、これを見てどう動くか。


「成程、直接攻撃を牽制してきたか…仕方ない、ここで使わせておくか。
 スターヴアイズでダイレクトアタック!『地獄のヴェノム・バースト』!!」

「当然止める!この直接攻撃宣言時に墓地からウェーブ・ガードナーを除外して効果発動!
 デッキから『ゾエア・シュリンプ』をコストとして墓地へ送り、その攻撃を無効にする!」

「まぁ、これは仕方ないわな。
 流石にこれ以上の追撃はできないか…俺はこれでターンエンド。
 さあ、お前のターンだ…こいつらを相手に魅せてもらおうか!」


長かったファントムのターンが終わり、わたしのターンとなった。
とりあえず、攻撃力を下げるスターヴアイズをどうにかしておかないとな。
いずれにしても、これが自分の最後のターンみたいな感覚でプレイするか。


「奇蹟のカーニバル…開幕だ!わたしのターン、ドロー!」


引いたカードは…よし。
これで手札に腐っていたあいつをドローに変換できる。
スケールに置いていたブライン・ロブスターがここで自壊してしまうのをカバーできそうだ。


「スタンバイフェイズに『ブライン・ロブスター』のペンデュラム効果が強制発動する。
 このカードを破壊し、1枚ドロー!」

「スケール8だから長くはもたないか。」


便利なスケール8だからその辺は仕方ない。
ただ、自壊するだけじゃなくてドローさせてくれるのはとてもありがたい。


「メインに入り、手札から魔法カード『シーフード・カーニバル』を発動!
 手札から『ザリガン』を墓地へ送り、2枚ドロー!」


これで手札のザリガンをドローに変換しつつ、墓地コストも確保できたわけだ。


「墓地のザリガンを除外し、墓地の『ゾエア・シュリンプ』の効果を発動!
 このカードを攻撃表示で自己再生する!」
ゾエア・シュリンプ:ATK100→0


「攻撃力100のモンスターを自己再生させてきたか。」


攻撃力100とはいえモンスターはモンスター。
色々と利用方法がある。
…ここでロブスター・カノンかノズル・スィーパーを引き込みたかったけどないものねだりしても仕方ないか。
だけど、いつもの2枚が来た。


「わたしはスケール4の『甲殻奏者ロブスター・ハープ』をセッティング!」
甲殻奏者ロブスター・ハープ:Pスケール4


「この展開は…あっ。」

「文句なら作者に…いや、なんでもない。
 ロブスター・ハープのペンデュラム効果を発動し、手札から水属性・レベル3の『ウォーター・ペインター』を特殊召喚!」
ウォーター・ペインター:DEF1400(ATK900→400)


「ああ、知ってた。」


すまねぇ…馬鹿の一つ覚えの見た事あるコンボで。
まぁ、引いてしまったものは利用させてもらうだけだけど。


「ウォーター・ペインターの効果で自身とゾエアをリリースし、2枚ドロー!」

「そこまで連続でドローして…お望みのカードは来たかな?」


ドローしたカードは…成程、こう来たか。
とりあえず、ドローはこの辺にして動こうか!


「よし…魔法カード『死者蘇生』を発動し、墓地から『甲殻神将オッドシェル・R・ロブスター』を蘇らせる!」

『ヌオォォォォォォォ!!』
甲殻神将オッドシェル・R・ロブスター:ATK2800→2300



「普通に甦らせてくるのか…」

「別に儀式召喚でないと特殊召喚できないわけじゃないからな。
 そして、エクストラデッキから『ブライン・ロブスター』をデッキに戻してオッドシェル・R・ロブスターのモンスター効果を発動!
 この効果でスターヴアイズをデッキ…いや、融合モンスターだからエクストラデッキに戻す!『スマッシュ・シュトローム』!!」


――バッシャァァァァ!!


「だが、スターヴアイズの執念深さを舐めてもらっては困るな!
 融合召喚したこのカードがフィールドから離れた時、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を墓地へ送る!
 よって、レベル7のリチューアル・ロブスターを道連れにさせてもらうぞ!」


――パクリッ!


「オッドシェル…!」


っ…スターヴアイズの身体の一部の食虫植物のようなものにパクリとされたか。
見ているだけでも非常にゾッとする演出だ。
くそう、散り際の最後の効果で儀式の方のオッドシェルが再び墓地送りに。
まぁ、その辺は考慮済みではあるけどさ。
厄介なスターヴアイズを除去できたからこれで思う存分戦える!


「だけど、これで活路ができたはず。
 わたしはスケール2の『ロブスター・シャーク』とスケール5の『シュテルアーム・ロブスター』でペンデュラムスケールをセッティング!
 もう片方のロブスターのペンデュラムがあるため、ペンデュラム効果でこのターン、シュテルアーム自身のスケールを8にする!」
ロブスター・シャーク:Pスケール2
シュテルアーム・ロブスター:Pスケール5→8


発動した後、このターンは水族しか特殊召喚できなくなるけど、特に問題はない。


「これでレベル3から7のモンスターが同時に召喚可能!
 ペンデュラム召喚!来て、わたしのモンスターたち!
 エクストラデッキからレベル5の『甲殻水影ドロブスター』『甲殻槍士ロブスター・ランス』
 そしてレベル7の『甲殻奏者ロブスター・ハープ』!そして『甲殻神騎オッドシェル・P・(ペンデュラム)ロブスター』!!」

『フッ…!』
甲殻水影ドロブスター:ATK1800 forEX

『デイッ…!』
甲殻槍士ロブスター・ランス:ATK2000 forEX

『ハッ!』
甲殻奏者ロブスター・ハープ:DEF2600 forEX

『オォォォォォォォォ!!』
甲殻神騎オッドシェル・P・ロブスター:ATK2500 forEX



これでまずはエクストラデッキの4体を同時召喚だ。
このままじゃファントム・ドラゴンには相討ち…いや、ロブスター・シャークがあるから相討ちする事なくデッキへ吹き飛ばせる。
だけど、ピンチヘルパーを処理できないことに変わりない…なら!


「ここで儀式魔法『シェルアーマー・アドベント』を再び発動し、レベル7のロブスター・ハープをリリース!
 この効果により墓地から再び降臨せよ!『甲殻神将オッドシェル・R・(リチューアル)ロブスター』!!」

『ウオォォォォォォォォォォ!!』
甲殻神将オッドシェル・R・ロブスター:ATK2800



「ま た お 前 か」

「いや、前のターンで儀式魔法回収していたの見てただろ…」

「それはそうなんだが…まぁ、気にすんな。」


あ、はい…ただのお約束って事ね。
儀式の方のオッドシェルのデッキバウンスは同名制限はない。
本家の方で戦闘破壊+バウンスしてもいいけど…念には念をってことで。


「そして、オッドシェル・R・ロブスターのモンスター効果!
 エクストラデッキのロブスター・ハープをデッキに戻し、今度はオッドアイズ・ファントムをデッキに吹き飛ばす!『スマッシュ・シュトローム』!!」


――バッシャァァァァァ!!



「オッドアイズが…!本当に同名制限がないってのは厄介だな…!
 しかも、散り際に儀式魔法を回収する事でペンデュラムのしぶとさも疑似的に再現していると。
 …本当にいい切り札を得られたな。」

「そう言っていただけると、修行の甲斐があったものだよ。」


さて、これでファントムのモンスターゾーンはがら空きだけど問題はピンチヘルパーの存在。
これで最低1回は直接攻撃を防がれる上に更なるモンスターを展開される訳だからな。
残念ながら今は処理はできないけど…一先ず、突撃してみるか。


「バトルだ!まずはロブスター・ランスで攻撃!ここはアレを使わざるを得ないよな!」

「そう思い通りにさせるつもりはないけどな…ピンチヘルパーの効果発動!
 1ターンに1度、相手の直接攻撃を無効にし、デッキから『EM(エンタメイト)』1体を特殊召喚する!
 この効果で特殊召喚するのはEM(エンタメイト)パラソルリザード』だ!」
EMパラソルリザード:DEF2500(効果無効)


まぁ、この攻撃を受けたらジャストでライフ0だから無効にして当然だな。
パラソルリザードって…成程、エリマキトカゲとパラソルをかけたものか。
しかしながら守備力が中々に高い。
オッドシェル・P・ロブスターじゃ突破できないって訳か…だけど。


「守備力が自慢のモンスターの様だけど、リチューアルの攻撃力より下!
 オッドシェル・R・(リチューアル)ロブスターでパラソルリザードに攻撃!『螺旋のスクリュー・フラッド』!!」


――バッシャァァァァ!


「パラソルリザードはペンデュラムじゃないから墓地へ送られる。」


このままだとペンデュラムのオッドシェルのダイレクトアタックで勝てる数値。
が、ファントム程の相手がこれで終わらせてくれるはずがなさそうだ。
とはいえ、ここで臆しては何もできない…ここは!


「オッドシェル・P・ロブスターでダイレクトアタック!これで終わりだ!」

「おっと、まだ終わらせるわけには行かないよ!
 この瞬間、墓地からレベル6のEM(エンタメイト)パラソルリザード』のモンスター効果発動!
 相手の直接攻撃時に魔法&罠ゾーンのカード1枚…ここはピンチヘルパーを墓地へ送り、墓地のこのカードを特殊召喚する!」
EMパラソルリザード:DEF2500


「その後、このバトルフェイズを強制終了する。」

「む…どっちにしてもこれ以上の追撃は無理だが。」


流石に自己再生&バトルフェイズ終了で守ってきたか。
いずれにしてもこの守備力相手じゃ、残りのモンスターでは突破できないか。
だけど、仕方ないとはいえピンチヘルパーを勝手に処理くれた事は大きい。
ここはそうポジティブに考えよう。


「さて、バトルは終了したけどどうするのかな?」

「そうだな…カードを1枚伏せて、ターンエンド。」
シュテルアーム・ロブスター:Pスケール8→5


とはいえ、特にやる事もないのでここはターンエンドせざるを得ない。
さて、オッドアイズ・ファントムこそはデッキバウンスしたけど…エクストラデッキにはまだあいつが残っている。
この伏せカードで次の攻勢をかわし切れるかどうかだな。


「ちょっとこれは期待外れかな?」

「そう思ったのなら悪いな。
 だけど、デュエルはまだまだ終わっていないけど?」

「それは、このターンを生き延びてから言うべきじゃないかな?
 さて…俺のターン、ドロー!」


このドローで相手の手札は2枚…さて、どう動くか。


「まずはセッティング済みのスケールを使ってペンデュラム召喚!
 エクストラデッキから甦れ!レベル5のEM(エンタメイト)オッドアイズ・ワイバーン』とレベル6のEM(エンタメイト)ハイドランジニアス』!!」
EMオッドアイズ・ワイバーン:ATK2000
EMハイドランジニアス:DEF1800


まずはペンデュラム召喚から動いてきた。
とはいえ、本格的に動き出すのはここからか。


「そして、これでデュエルを最高潮に盛り上げてみよう!
 魔法カード『クライマックス・ストーム』を発動!」


何か凄そうな魔法カードを発動してきた。
最高潮の嵐か…嫌な予感しかしない。


「この効果により、自分フィールドの『EM』カードまたは『オッドアイズ』カードを合計3枚まで対象にして破壊できる!
 この効果により両端のペンデュラムスケールとハイドランジニアスを破壊!」

「自分のカードを破壊…?」


まずその効果は自分のカードを複数枚破壊するというものであった。
だけど、それだけなはずがない。


「そして自分のカードの破壊した数だけ相手フィールドのカードを選んで破壊できる!
 破壊した俺のカードは3枚!よって、お前の場のカードを3枚まで破壊できる!
 この効果で破壊するのは…ペンデュラムゾーンのロブスター・シャーク、ペンデュラムの方のオッドシェル、そして前のターンに伏せた方のセットカードだ!」


――ビュオォォォォォォ!!


「ここに来て複数枚破壊とは…!
 しかも、ロブスター・シャークのペンデュラム効果は同時にこのカードが破壊される場合は使用できない。」

「破壊した内の伏せカードは…ヴァッサー・シュラークか。
 折角の万能カウンター罠でも自分のターンにしか発動できないのが裏目に出たね。」


確かにヴァッサー・シュラークは自分のターンにしか使えない。
攻める時は使えるけど、こういう肝心な時こそ裏目に出る。
…いっその事『ギョッ!』辺りに変えようかなと思ってるんだけどな。

オッドシェルを含めた3体が破壊されてしまったか。


「それだけじゃない…この効果で3枚のカードを破壊した場合、エクストラデッキからレベル3以下の表側表示の『EM』1体を特殊召喚できる!
 現れよ!レベル1のEM(エンタメイト)トランプ・ウィッチ』!!」

『ウィッチッチー!』
EMトランプ・ウィッチ:DEF100



さらに特殊召喚効果まであった。
クライマックスという名前に加え、条件がやや厳しいだけあって効果は一級品か。
トランプ・ウィッチのペンデュラム効果は融合魔法なしでのフィールド融合…なら、モンスター効果は?


「そしてトランプ・ウィッチのモンスター効果!
 このカードをリリースし、デッキから『融合』を手札に加える事ができる。
 この効果でデッキから…今度は正真正銘の『融合』を手札に加えるよ。」

「ここで融合を?」


ここで融合を手札に?
だけど、そこまでしなくてもトランプ・ウィッチのペンデュラム効果で融合してもいいんじゃないかと思う。
もっとも、手札にあるのなら話は別…あるいは?


「ま、どうしてトランプ・ウィッチのペンデュラム効果を使わなかったのかと思うかもしれないけどさ。
 ちなみに手札に融合したいモンスターはないけど、融合その物に意味があるとしたら?」

「融合その物…?」


妙に意味深なこのセリフ…一体、何を?


「さて、今回の締めを飾るスターの登場です!
 魔法カード『融合』を発動し、フィールドのオッドアイズ・ワイバーンとパラソルリザードを融合!
 融合召喚!現れろ、二色の眼輝けし鋼狼EM(エンタメイト)オッドアイズ・メタル・クロウ』!!」

『ワオォォォォォォン!!』
EMオッドアイズ・メタル・クロウ:ATK3000



なんか融合素材と関係ない人狼のようなモンスターがでてきた!?
せいぜいオッドアイズってことくらいじゃないのか?


「飛竜とトカゲを融合してなんで人狼がでてくるんだ…?」

「さぁな?後、こいつ獣戦士族に見えるだろ?でもドラゴン族なんだぜ?」

「え〜…」


なんとこの見た目でドラゴン族…いわゆる種族詐欺って奴だった。
ハングリー・バーガーが戦士族ってこと以来の衝撃だぜ、こいつは。
なんて言ってる場合じゃない…打点が非常に高いけど、それ以上に問題は効果の方だ。


「融合そのもの…まぁ、ルール上同一として扱う置換融合も含めてだが。
 それを使って融合召喚したオッドアイズ・メタル・クロウは自身以外の効果を受け付けなくなる!」

「ほぼ完全耐性…だと?」

EMオッドアイズ・メタル・クロウ:ATK3000(自身効果以外完全効果耐性)


その効果というのは融合を使った融合召喚で出した場合、自身の効果以外の効果耐性を得るというとんでもない代物だった。
ルーンシェルでさえ、出たターン限りだというのにこいつにはそれがない。
打点で超えようにも攻撃力は3000…とても骨の折れる存在だなおい。
そりゃ、普通の融合で召喚するはずだよ。


「さてと、それじゃちょっと早いけど決めに行くかな。
 バトルだ!オッドアイズ・メタル・クロウでドロブスターを攻撃!
 この攻撃宣言時にオッドアイズ・メタル・クロウのもう1つの効果が発動!
 自分フィールドのモンスターの攻撃力をバトルフェイズ終了時まで300アップする!」
EMオッドアイズ・メタル・クロウ:ATK3000→3300


さらに攻撃力を上げてきやがったか…!
耐性持ちの攻撃力3300とはなんて厄介な。


「これが通ればお前のライフは0だ!鋼狼双爪斬剣(メタルツインソード)!!」

「ダメージ計算時に罠発動『回遊流し』!!この戦闘で発生するダメージを半分に…ぐっ!」
ブラン:LP900→150


なんとか敗北は免れたけど、残りライフは150…もう後がなくなったわけだ。


「最初の伏せた罠はブラフではなかったか。」

「たまたまだ、あの時は墓地発動で防ぐべきだと思ったからな。
 回遊流しの一連の効果でサーチするのは『ライン・ペンシル』だ。」


だから、次のターンで決めるためにも…サーチするのはこのカードだ。


「ダメージそのものが変わるんじゃ耐性も意味はないな。
 さてと、頼みの綱であろうオッドシェル・R・(リチューアル)ロブスターの効果はメタル・クロウには通用しないよ。
 まぁ、この状況を打破できるカードを加えたのだろうけどね。
 兎に角、ここから先を楽しませてもらおうかな…俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。」
EMオッドアイズ・メタル・クロウ:ATK3300→3000


いずれにしろ、これでお互いに後がなくなったっぽいな…というのは嘘だ。
…実際は手札がない分ファントムの方が若干不利か?
攻撃力3000のメタル・クロウがほぼ完全耐性とはいえ、ここで突破されてしまえば本当に後がないように見える。
わたしの方はモンスターを守備表示にすれば一時しのぎくらいはできそうなものだからな。

問題はあの伏せカード…あの表情から察するに面白そうな事をしてくれそうだ。
ま、わたしはやる事を一杯一杯やるだけだ。


「さて、楽しいデュエルもそろそろ白黒つけようぜ…ドロー!
 わたしはチューナーモンスター『ライン・ペンシル』を召喚!」
ライン・ペンシル:ATK400


「回遊流しで手にしたカード…狙いはシンクロ召喚か。」

「融合召喚はできなくなっちゃったけど、エクシーズ召喚…そしてシンクロ召喚は健在!
 わたしはレベル5のロブスター・ランスにレベル3のライン・ペンシルをチューニング!
 星々の煌きを拳に宿し、立ちはだかる敵をぶちのめせ!シンクロ召喚!舞い降りろ、レベル8『甲殻拳士カニメデス』!!」

『ヌオォォォォォ…テリャッ!!』
甲殻拳士カニメデス:ATK2500



「カニメデス…!」

「おお、カニメデスか!確かにあのモンスターなら!」


効果で駄目なら正面からぶん殴るしかないだろ?
勿論、効果で攻撃力を一気に上げてだが。
というわけでここはカニメデス先生、頼んだぜ。


「このターンで決めよう…バトルだ!カニメデスでメタル・クロウに攻撃!
 このバトルステップに手札の水属性…『ザリガンマン』を捨ててカニメデスのモンスター効果発動!
 このターン、カニメデスの攻撃力を1500アップする!」

『ヌオォォォォォォォ!!』
甲殻拳士カニメデス:ATK2500→4000



「攻撃力4000…!」

「ぶちかませ!『スパイラル・フィスト』!!」


――ドガァァァァァァ!!


「ぐあぁぁぁぁぁっ!!」
ファントム:LP2000→1000


「ははっ…こいつは効いたぜ。
 まぁ、流石に戦闘で突破してくるよね。」


よし、オッドアイズ・メタル・クロウを撃破!
とりあえず、これで射程圏内になった。
カニメデスの効果でバトルフェイズ中にモンスターの効果及び魔法・罠カードが発動した場合、デッキから水属性1体を墓地へ送って無効にし破壊できる。
ただ、1つ例外はある…さて、ファントムのあの伏せカードは?
余裕そうな表情からしても、まさかこのまま成すすべなくやられるはずがないだろうとは思うが。


「そして、オッドシェル・R・(リチューアル)ロブスターでダイレクトアタック!
 何もなければこいつでトドメだ!喰らえ『螺旋のスクリュー・フラッド』!!」

「慌てるなって、勝負は最後の最後までわからない方が面白いだろ?
 この瞬間、カウンター罠EM(エンタメイト)フィナーレ・ゲーム』を発動!!」

「カウンター罠…!そう来たか。」


ここで発動してきたのはカウンター罠だった。
カニメデスの効果ではスペルスピード3のカウンター罠を無効にはできない。
さて、フィナーレ・ゲームとは随分と大層な名称だが…一体どんな効果が?


「カニメデスの効果は確かバトルフェイズ中に発動したカード効果を無効にできるって奴だったけど、流石にカウンター罠までは無効にできないだろう?」

「そりゃあな。」

「ここからは、何が起こるかわからないゲームの時間だ!
 そして、これに勝たなきゃお前に未来はないぞ!
 ここまでは合格と見ているが、最後に女神の運命力を俺に示してもらおうか!
 ちなみにこのゲームを拒否する事もできる。
 が…その場合このバトルフェイズは終了し、俺が1枚ドローする事になるぞ?
 まさか、この勝負から逃げるわけないよな?何たって、お前は女神なんだからさ。」


成程、最後は運要素が大きいカードで白黒つけようって訳だな。
そして、運命に見放されればこの先、他次元では生き残れないって訳か。

まぁ、バトルフェイズスキップを選んでから攻撃していない奴を守備表示に変更した方が分があるかもしれない。
だが、ここまで言われて黙っているわけにはいかないぜ。


「女神の運命力か…いいぜ、やってやろうじゃないか!」

「OK、そうこなくちゃな…さて、ゲームに入る前に俺は墓地から『EM』1体を選んで蘇生する!
 この効果で甦れ!EM(エンタメイト)オッドアイズ・メタル・クロウ』!!」

『ワオォォォォォォォン!!』
EMオッドアイズ・メタル・クロウ:ATK3000



ここで倒したはずのメタル・クロウが再びわたしの前に立ちはだかった。
でもゲームに入る前って事は本格的な効果はここからだが…?


「そしてお楽しみはこれからだ!攻撃してきたモンスターと蘇生したモンスターでバトルを行う。
 ただし、バトルを行う前にお互いにデッキトップからカードを3枚確認し、その中のモンスターの攻撃力の合計分そのプレイヤーのモンスターの攻撃力をターン終了時までアップする。
 そして、戦闘を行い破壊されたモンスターのコントローラーはその元々の攻撃力分のダメージを受ける。
 もし仮に引き分けならどちらもダメージを受けて終了。
 これがこのフィナーレ・ゲームのルールというわけだ。」

「成程、勝利の女神はデッキトップの3枚に委ねられる…運命力を図ろうとしているわけだ。」

「まぁ…理解が早くて助かるよ。」


そして、いかに攻撃力の高いモンスターが引けるか…それにかかってくるって訳か。
実質、この勝負に勝ったプレイヤーがデュエルに勝利する…というわけだな。
どちらもダメージ軽減に関するカードはないし落ちてもいなかったはずだから。


「成程、エンタメデュエルらしい戦法であり、ブランお姉ちゃんの女神としての運命力も試すと。
 実に理に適っておりますね。」

「ブランもファントム殿もデッキには上級モンスターが多い。
 どちらが勝つかはほぼ五分五分か…!」


ま、どちらもペンデュラム主体だからな。
不利な条件で臨むのも面白いと言えば面白いが、五分五分でこそ熱いと思う。
実際には…アレなんだがな。
それに、この手の魔法・罠は観客を盛り上げるのにうってつけ。
つまり、これはエンタメデュエル向きであり、ロムが仰るようにわたしの運命力を試す絶好のカードってわけだな。


「そういうわけでまずは俺から行かせてもらおうかな。
 まず1枚目は…攻撃力2000のEM(エンタメイト)パレードラゴン』
 そして2枚目…おっと、残念!魔法カードEM(エンタメイト)キャスト・チェンジ』でした。
 魔法・罠カードの場合、当然ながら攻撃力の増加はありません。」


いきなり攻撃力2000アップ確定か。
だけど2枚目は魔法・罠カード…ここは加点なし。
そして、3枚目が来る…!


「そして運命の3枚目は…出ました!攻撃力2500の我がエース『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』です!」

「あっ、ここでデッキに戻ったエースを引き当ててくるか…!」

「これらを墓地へ送り、この3枚の攻撃力の合計分…つまり、攻撃力4500アップです!」
EMオッドアイズ・メタル・クロウ:ATK3000→7500


「攻撃力7500…!」

「これを突破するのは現実的に考えて厳しいと言わざるを得ません。
 ですが、この程度の壁を乗り越えられないようでは…」


女神として話にならない…だよな?
問題はわたしのデッキの残りの上級の数。
主要なのは大体引いてしまっていて、残りはあまり多くない。
それに、差は4700…正直分が悪いと言えば悪い。
だけど、分が悪いと言って目の前の現実から逃避しているわけにいかない。
己の運命力を信じて…引くだけだ。


「まず1枚目…よし、攻撃力2200の『甲殻砲士ロブスター・カノン』だ!」

「初っ端にしては幸先のいい捲れ方じゃないか。」


1枚目から上級モンスターのロブスター・カノンを引き当てる。
よし、この調子ならなんとかなるかもしれない。
だけど、まだ予断は許さない…!
例え女神であっても、このような勝負が左右される瞬間というのは緊張する。
はぁ〜っ、よし。


「続いて2枚目…くっ!」

「魔法カード『強欲なウツボ』…残念だけど、攻撃力加算はないね。」


このタイミングで強欲なウツボ来てしまうのか…!
もっと早く来てほしかったが、泣き事いっても仕方ない。


「チャンスはあと1回か…」

「ここで攻撃力2500以上のモンスターを引き当てない限り、彼女はもう終わりですね。」


ついでに攻撃力2500の場合は引き分けになってしまう。
つまり、わたしがこのデュエルを勝ち抜くためには…あれを引き当てられないとならないって訳か。
この引きに全てがかかっているって訳だ。

そして、デッキトップに指を置く。
なんというか、いつも以上にカードが重い。
…内心これを引いたら運命が決まってしまうと思うとビクついて当然か。
負けたら不合格だけでなく、どうなってしまうのかわからないからな。


「さあ、3枚目は…?」

「このデッキトップは激しく重いぜ…だけど、わたしは引く。
 例えこの腕が折れようと、身体が砕けようと!」

「おいおい、どこのデュ〇マだ…?」


デュエ〇とは何のことやら
それは兎も角、腹はくくった。
緊張感のあるこの一瞬が名残惜しいが、いつまでもそうは言ってられない。
後は、この重く感じるデッキトップを引く抜くのみ!


「であぁぁぁぁぁぁ!!」


――シャキィィィン!!


「……」

「果たして、引いたカードは一体?」

「わたしが引いたカードは…」


ふふっ、どうやら運命の女神は…!


「攻撃力2600の『甲殻鎧竜オッドアイズ・オマール・ドラゴン』だ!」

「お、本当に引いてきやがった…!やったな、流石は女神だぜ。」


わたしに微笑んでいるようだぜ!
そもそも女神はわたしだって?うるせぇ、言葉の綾だ。


「本当に引いてくるとは…運命力に関しても合格ですね。」

「やったな!信じていたぞ、ブラン!」


ここぞというタイミングで奇跡に近い事が起こる事もたまによくある。
何が起こるかわからないからこそデュエルは楽しいんだなと。
そして、ここで心の中でガッツポーズを忘れない…心の中でだけど。
ここぞという時の高揚感といい…だからデュエルはやめられない。
エンタメ云々は抜きにしてだ。


「そして、この3枚を墓地へ送り…この3枚の内モンスターの攻撃力の合計分オッドシェルの攻撃力がアップする!
 モンスターは2体、合計は4800!よってオッドシェルの攻撃力は7600だ!」

『ウオォォォォォォォォォ!!』
甲殻神将オッドシェル・R・ロブスター:ATK2800→7600



わずか100とはいえ、これでオッドアイズ・メタル・クロウの攻撃力を上回った。
そして、その紙一重の差がこのデュエルの未来を決める!行くぞ!


「行くぜ、ファントム!」

「おう!このデュエル、お前の勝ちだ!さあ、来い!」

「言われるまでもないぜ!喰らえ『スクリュー・フラッド・シュラーク』!!」


――ドガァァァァァ…ドゴォォォォォォォ!!


「そして、フィナーレ・ゲームの効果で俺は3000のダメージを受ける。
 やったな…ブラン。」
ファントム:LP1000→0


「よっと!さて、今回は試験も兼ねて稚拙なものになってしまいましたが、エンタメデュエルをご覧いただき誠にありがとうございました!
 勝者であるブラン、及びにもしよろしければこのファントムにも盛大な拍手を!!」


――パチパチパチパチ!


「中々上手くエンタメと真面目なデュエルを兼ねていたんじゃないかと思います!
 お二方ともいい表情でデュエルを楽しんでいましたね。」

「よくやったぞ、2人とも!」


沢渡もそうだったけど、凄いなファントムは。
負けてなお観客の喝采を受けられるなんて。
これがエンタメデュエリストのあり方って奴なんだろうな。


「「ありがとうございました!」」


そして、ファントム並びに権現坂やロム…そして他の教会員にも一礼をする。


「もしエンタメデュエルがやりたくなったら周りへのリスペクトと常に楽しむ気持ちを忘れずにな。
 他の次元で戦う事になったら、少しでも話が通じると思ったらこれを思い出して試みるのも悪くないと思う。
 決して独りよがりではなく、あくまで自分の言葉でな。

「肝に銘じておくよ、ありがとう。」


今は行方知らずとなった榊遊勝はそれは本当にすばらしいエンタメデュエリストだった。
だけど、それをなぞるのではなく自分のデュエルを貫き通さないとね。
エンタメデュエルもかつてのわたしのようにへたくそがやれば、相手には反感を買うものだからなぁ。
ここから先は情け無用のデュエルが主体となるからより難しくなりそうだけど。


「そうそう…終わったし、もう女神化解いていいぞ。」

「あ、そういえばそうだった。」


――シュオォォォン…


そういえば、変身していたんだったな。
ふぅ…多少疲れがくるけど、動けないほどじゃない。
だいぶ身体になじんできた感じかな。


「で、これからどうするのかな?」

「本来ならボクが最後の試験官として相手…といきたいところですが、生憎本調子には程遠いです。
 それに、どんな形であれデュエルを楽しみつつファントムを退けた以上は大丈夫でしょう。
 女神の立場に恥じない活躍を期待しております、ブランお姉ちゃん。」


一応、ロムからは認められたってことでいいんだろうか?
そして未だ調子を取り戻せてないようだけど、何があったのかしらね。

問題・やるべき事は色々山積みだけど、まずは…よし。


「だったら…ファントム、いや榊遊矢
 もう名を偽装する必要なんてないだろ。」

「そうだけど、色々と事情があってだな…」

「そんな事があると思って、事務的な手続きなんかは事前に済ませております。
 だからもう幻影の名を騙る必要はないのですよ、遊矢。

「ロム…ありがとう!


ジェ〇ンニが一晩でやってくれました。
もうこれでわたしは完全に偽りの自分であるユーヤ・B・榊ではなくなって、ただのブランになったわけだ。
ただの…っていうとなんともアレだが。


「何も知らなかったとはいえ、今まで榊遊矢を奪ってごめんなさい!」

「それはもういいよ…このことがなかったら今の俺もなかったし。
 ま、これからは改めて榊遊矢として生きていくだけだ。」

「そういうわけで何かと迷惑をかける事になるけどこれからよろしく、遊矢。

ああ!


こうして榊遊矢にもどれたファントムと握手を交わし、このデュエルは幕を閉じた。
さてと…ここからは本当に茨の道だ。
何たって、目的はさておきいわゆる次元戦争って危ない事に首を突っ込むことになるんだからな。











 続く 






登場カード補足






餓毒竜スターヴアイズ・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
「オッドアイズ」モンスター+植物族モンスター
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの闇属性以外のモンスターの攻撃力は500ダウンする。
(2):1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動できる。
相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。
(3):融合召喚したこのカードがフィールドから離れた場合、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを墓地へ送る。



EM(エンタメイト)パラソルリザード
効果モンスター
星6/地属性/爬虫類族/攻1000/守2500
「EMパラソルリザード」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できず、(2)の効果はデュエル中1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地に存在する場合、
相手モンスターの直接攻撃宣言時に自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが(1)の効果で特殊召喚に成功した場合に発動する。
このバトルフェイズを終了する。



クライマックス・ストーム
通常魔法
(1):自分フィールドの「EM」カードまたは「オッドアイズ」カードを合計3枚まで対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
その後、破壊した数まで相手フィールドのカードを選んで破壊する。
この効果で相手フィールドのカードを3枚破壊した場合、
自分のエクストラデッキから表側表示の「EM」モンスター1体を選んで特殊召喚できる。



EM(エンタメイト)フィナーレ・ゲーム
通常罠
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
相手は以下の効果から1つを選んで適用する。
●このバトルフェイズを終了する。
●自分は墓地から「EM」モンスター1体を選んで特殊召喚し、お互いに自分フィールドのモンスターを1体ずつ選ぶ。
お互いにそれぞれのデッキの上からカードを3枚墓地へ送り、選んだモンスターの攻撃力は墓地へ送られたそれぞれの元々の持ち主のモンスターの攻撃力の合計分アップする。
その後、お互いに選んだモンスター同士で戦闘を行い、その戦闘で破壊されたモンスターのコントローラーは破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。