Side:零児
「今度は強力な融合召喚のエネルギーも検知!」
「今度は融合!?」
ふむ…融合召喚のエネルギーが検知か。
つまり、あの謎のシンクロ使いとはネプテューヌがデュエルしているようだな。
どうやら、エクシーズ次元から誰かが侵略しにきたわけではないようだ。
もっとも…何故、ネプテューヌがそのシンクロ使いとデュエルをしているのかが謎ではあるが。
「シンクロ次元にはエクシーズの手先がいるはずだ。」
「エクシーズの手先?」
「そいつはオレの故郷で前にもネプテューヌを襲っていた!」
「襲っていた?」
つまり、ネプテューヌを付け狙う輩がシンクロ使いにはいるというわけか。
だが、そのシンクロ使いは前に榊を付け狙っていた者の可能性が高い。
ユーヤ・B・榊とネプテューヌはほぼ同じ顔…つまり、同じ顔の者が狙われている事を意味する。
何故かは現時点ではわからんが。
「ネプテューヌは今、奴と戦っているはずだ!
前の時は俺が介入したところで退散したが、今度はどうなるか…!
エクシーズの手先を倒すためにも早く、俺を行かせろ!」
「それはできない。」
「何…?」
そのシンクロ使いはエクシーズの手先とは限らないからな。
「例え、君の言った事が事実でもシンクロ次元自体が敵であると決まったわけではない。
ここで彼らを完全に敵に回すのは得策ではない。
「ぐ…!」
もっとも、ユーヤ・B・榊は我々にとって重要な存在。
ネプテューヌと一緒にいるはずの彼女も狙われている可能性が高い。
彼女は我々の計画の中で特に重要な戦力となりえる存在…失う事だけは避けたい。
「中島、今すぐ中央公園へ出向いて現場の状況を報告してもらいたい。
どうも、ユーヤ・B・榊が危険に晒されている可能性がある。」
「はっ…」
「なっ!?」
ペンデュラムを筆頭に多数の召喚法を扱う榊と現時点で融合しか扱えないネプテューヌ。
最悪の場合、後者の犠牲は止むをえん。
悪く思うな、紫吹雲雀。
超次元ゲイム ARC-V 第34話
『運命の胎動』
ネプテューヌ:LP3300
GHディアトリマ・ライダー:ATK2500(GHスーパー・プラマー効果)
ベール:LP3500
Side:ブラン
ネプテューヌと白バイクの通り魔もといベール…オレと酷似した顔の二人の対決。
今のところはネプテューヌが盤面で有利だけど、相手もすぐに切り返してくるのは間違いない。
狙われている関係で正直この場から逃げ出したいのは山々だけど、このデュエル…見届けなくちゃいけない気がする。
「わたくしのターン!わたくしは手札から『風槍獣イルカ』を召喚!」
風槍獣イルカ:ATK700
「イルカが召喚した時、手札または墓地からレベル4以下の『風槍』1体を効果を無効にして特殊召喚できますわ!
これにより、墓地から『風槍獣ハニー』を蘇らせますわ!」
風槍獣ハニー:DEF200
「その後でイルカは手札に戻ってしまいますが、『風槍』が手札に戻った事で手札のチューナーモンスター『風槍獣キツツキ』を自らの効果で特殊召喚!」
風槍獣キツツキ:ATK1300
これでまたしてもベールの場にチューナーとそれ以外のモンスターが揃った。
だけど…またレベル5?まさか…?
「わたくしはレベル2のハニーにレベル3のキツツキをチューニング!
闇夜に眼光を煌かせる猛禽よ、疾風の槍となり空を切り裂け!シンクロ召喚!再びいでよ、レベル5『疾風槍アクィランサー』!!」
『キィィィィィィッ!!』
疾風槍アクィランサー:ATK2000
そのまさかだった…前のターンで出したものと同じシンクロモンスターを出してきたわね。
あの通り魔にこの台詞を贈ろう。
「「またお前か。」」
「あら?別に同じシンクロを2体以上使ってはならないなんてルールはありませんわ。」
ネプテューヌもオレと同じ事思っていたみたい。
もっとも、そう返されたらそこまでね。
例えば、北斗はプレアデスを少なくとも2体は積んでいたりするけど。
もっとも、アクィランサーはバウンス効果もあるらしいけど。
「バトルと参りますわ。アクィランサーでディアトリマ・ライダーを攻撃!
アクィランサーが戦闘を行う攻撃宣言時に効果発動しますわ!
あなたのフィールドの表側カード1枚を手札に戻します。」
攻撃対象のディアトリマ・ライダーにはバトル時にモンスター効果発動封印が付与されているのだけど…。
「ディアトリマ・ライダーに付与された効果はあくまで自らの攻撃でのみ適用されるもの。
今度こそディアトリマ・ライダーにはエクストラデッキに戻っていただきますわ!」
ベールの言う通りあくまでも攻撃時のみ適用されるもの。
つまり、このままじゃバウンスされてしまう上に大ダメージまで食らってしまう。
しかもこれに乗じてバイクで特攻している…このままじゃ!
「ネプテューヌ!」
「そうはいかないよ!リバースカード、速攻魔法『融合解除』を発動!
この効果でディアトリマ・ライダーの融合を解除し、その効果を不発にさせる!」
「ですが、アクィランサーのもう1つの効果で700ダメージを受けていただきますわ!」
「ぐえっ…!」
ネプテューヌ:LP3300→2600
もっとも、そうは問屋が卸さない。
バイクでの突撃を回避しつつ、ネプテューヌが融合解除を発動して対象を逃がす事で場のがら空きは防げた。
効果ダメージこそは発生したけど、がら空きで攻撃を受けるよりマシ。
「だけど、ディアトリマ・ライダーの融合は解除される!
いでよ『
『ハアッ!』
GHスーパー・プラマー:ATK2300
GHチックバード:DEF100
しかも、その融合解除された素材モンスターの内…ヒゲの方はアクィランサーより攻撃力が上ね。
「…なら、チックバードの方を潰すだけですわ!『ストライク・スラスト』!!」
――ザスッ!!
「くっ…!」
流石に小鳥の方は成す術もなくやられてしまった。
それでも、上級モンスターを残せた分…ただバウンスされるよりはいい。
「わたくしはカードを1枚伏せてターンエンド。」
「わたしのターン、ドロー。
ここで罠カード『
エクストラデッキから『
「ですが、アクィランサーの効果で700ダメージを受けていただきますわ!」
「うっ…!」
ネプテューヌ:LP2600→1900
度重なる効果ダメージの連続でネプテューヌのライフが遂に半分を切ってしまった。
いつやられてもおかしくはない、油断できないラインに入ってしまったのが痛い。
「だけど、これ以上はもうその効果は使えないはずだよね?
その後、墓地の『融合』1枚を手札に加える。」
「ええ…それでも、アクィランサーのバウンス効果の方は健在ですわ。」
「それは端から承知よ。
まずは『
GHグラス・イーター:ATK800
「グラス・イーターが召喚した時、相手の墓地のレベル4以下のモンスター1体を除外できる。
とりあえず、チューナーモンスターのキツツキは除外させてもらうわ。」
「あら、困りましたわね。」
墓地にいたチューナーを除外できたのは大きいわ。
とはいえ、伏せカードを発動しなかったところを見るに…どうも罠はアレじゃないようね。
「本番はここからよ!わたしは魔法カード『融合』を発動!
これによりフィールドのスーパー・プラマーとグラス・イーター、そして手札のミラクル・スターを融合!
赤き超人と硝子の鳥…二人の英雄の心を重ね、星の光に導かれよ!融合召喚!いでよ、星光纏いし超人『
『ハァァァアッ!!』
GHティンクル・プラマー:ATK2500
3体を使用しての融合召喚で現れたのは星の光を纏いし配管工。
いかにも頼りがいのありそうなモンスターだ。
さらにスーパー・プラマーの効果で攻撃力は実質3000だ!
「スーパー・プラマーを融合素材とした事でティンクル・プラマーの攻撃力は500アップ!
そして、ミラクル・スターを融合素材にした時の効果でデッキからレベル5以上の『GH』1体『
GHティンクル・プラマー:ATK2500→3000
「そして、グラス・イーターを素材として融合召喚した時の効果発動!
あなたの魔法・罠カード1枚を破壊する!そのセットカードを破壊!」
「『リ・バウンド』が破壊されますわ。
ですが、セットされたリ・バウンドが相手の効果で破壊された場合、1枚ドローさせてもらいます。」
「ブラフを兼ねていたのね。」
セットされた魔法・罠が割られやすい事は想定内だったという事ね。
「それでも、セットカードはなくなったよ。
バトル!ティンクル・プラマーでアクィランサーを攻撃!」
「血迷ったようですわね!アクィランサーが戦闘を行う攻撃宣言時に効果発動!
これで、折角の3体融合のティンクル・プラマーもエクストラに…」
――ビュゥゥゥン!!
GHティンクル・プラマー:ATK3000
「戻らない…ですって!?」
「ティンクル・プラマーは融合召喚したターン、星の加護により相手の効果を一切受け付けない!」
「なっ、そんな効果が…!」
出したターンは相手の効果を一切受け付けないという強力な耐性を持つモンスターだった。
だから、ただ無策で突っ込んでバウンスされるという間抜けな事になるわけがない。
「よって攻撃は続行!『メテオジャンプ』!!」
――ピォォォン…ドゴォォォォォォン!!
「くっ…!」
ベール:LP3500→2500
そういえば、どうみてもこっちでもあるアレだからジャンプしての踏みつけになるのも納得ね。
「そして相手モンスターを戦闘で破壊し墓地へ送った事でティンクル・プラマーの更なる効果を発動!
破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!『スター・ストリーム』!!」
――シュシュショォォォ!!
「きゃぁぁぁっ!!」
ベール:LP2500→500
よし、いわゆる直火焼きで残りライフ500まで追い詰めた。
でも、ここから更に巻き返される事も十分あり得る…油断しないで。
「その後、デッキから『GH』の魔法・罠カードを1枚…ここは『
わたしはカードを1枚伏せ、ターンエンド。」
「逆に追い詰められた格好となってしまったようですわね。」
「仮にエクシーズの手先ではないにしても、襲ってきた通り魔なんかに負けるわけにはいかないわ。」
そりゃ、侵略を受けてる中で便乗して出てきたような通り魔紛いに襲われたらたまったものじゃないからな。
「またしても通り魔呼ばわりですか…」
「いや、実際通り魔みたいなものでしょ?」
「ネプテューヌに同じく。」
「不穏分子の分際で言ってくれますね…」
ん?今何を言っているのかよく聞こえなかったわね。
でも、独り言のような小さな声というわけで碌でもないものというのは察せられる。
「いきなり襲ってきたあなたには言われたくわね。」
「黙りなさい…話はあなたたちを倒してからですわ!わたくしのターン!」
ネプテューヌには聞こえてたみたいで、やっぱり碌でもない悪口みたいなものを言われたみたい。
話を切り上げてベールがターンを始める。
「まずは自分フィールドにモンスターが存在しない事で魔法カード『疾風の架け橋』を発動!
デッキからレベル4以下の『風槍』1体を特殊召喚しますわ!
この効果で呼び出すのは『風槍獣ホーネット』!」
風槍獣ホーネット:ATK1600
「続いて、レベル2のチューナーモンスター『風槍獣シラサギ』を召喚!」
風槍獣シラサギ:ATK800
チューナーとそれ以外のモンスターがここで揃ったわね。
レベル4と2だからレベル6…だけど、前にオレとのデュエルで使ったリンクランサーではどうにかなると思えない。
そうなると、まだ何かありそう。
「今度はレベル6のシンクロに繋ぐのかな?」
「いえ、慌てないでくださいな。
シラサギが召喚した時、他の風属性1体を手札に戻し、墓地からレベル5以上の『風槍』1体を効果を無効にして守備表示で特殊召喚できます。
この効果でホーネットを手札に戻し、飛翔なさい『疾風槍アクィランサー』!!」
疾風槍アクィランサー:DEF1800(効果無効)
ここでホーネットを手札に戻しつつ、墓地のシンクロを効果無効で呼び出した…!
つまり…ここからレベル7のシンクロに繋げるようね。
『ショォォォォォォォォ!!』
と思っていたらどうやら只ならない唸り声が聞こえてくる。
場にいるモンスターがそう鳴くわけがないし、これはいったい…!?
「ふふ、どうやら早くこの子もあなたを倒したいみたい。
今すぐに呼び出して差し上げますわ…では、いくわよ!」
「っ…ええい、ままよ!」
っ…台詞から察するにあれは呼び出そうとしているシンクロモンスターの唸り声なのか…!
しかも、胸騒ぎが収まらない。
「わたくしはレベル5のアクィランサーにレベル2のシラサギをチューニング!
美しき幻惑の翼を翻し、大いなる神風纏いて敵を貫け!シンクロ召喚!飛翔せよ、レベル7『幻風槍ミラージュウィング
『キュォォォォォォォ!!』
幻風槍ミラージュウィング・S・コアトル:ATK2500
「ミラージュウィング…シンクロ・コアトル…?
ベールも召喚法の名を持つモンスターを…!?」
ここでシンクロの名を持つ幻のような大きな翼を持つ竜がシンクロ召喚により呼び出された。
ペンデュラムの名を持つオレのオッドシェル、融合を意味するフュージョンの名を持つネプテューヌのカオス・リベリオンに続いて3体目の召喚法の名を持つモンスターだ…!
オレを含め、そのそれぞれの持ち主はどれも酷似した顔だった。
まさか、エクシーズの名を持つモンスターを所持するオレに似た顔の奴もいるのか…?
いや、そんな事よりアレはネプテューヌのティンクル・プラマーより攻撃力が低いけど…絶対何かあるはず。
「バトル!ミラージュウィング
「攻撃力がこっちの方が高いから返り討ちだよ!
なんてことにはならないだろうけどさ…」
「当然ですわ…ダメージ計算前に手札から『風槍獣ホーネット』を手札から捨てて効果を発動!
この効果でミラージュウィングの攻撃力をターンの終わりまで1000アップ!」
幻風槍ミラージュウィング・S・コアトル:ATK2500→3500
案の定、このタイミングで手札からの誘発即時での打点強化!
これでコアトルの攻撃力がティンクル・プラマーを上回り…!
「ですよねー」
「喰らいなさい!『旋風のスパイラル・スティング』!!」
――ズシャァァッァ!!
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
ネプテューヌ:LP1900→1400
その攻撃を受け、ネプテューヌは成すすべなく吹き飛ばされてしまう。
「大丈夫?ネプテューヌ!」
「来ないで!」
その身を案じて駆け寄ろうとするも、手と言葉で制されて止められる。
「まだまだ…これからだから。」
「流石にこれで潰れてくれるほど甘くはありませんわね…わたくしはカードを1枚伏せてターンエンド。」
ふふ、わたくしのミラージュウィングがあなたのあのモンスターの召喚を待っているようね。
わたくしがあなたたちを付け狙う理由の1つにこの竜に導かれたというのもあるのかもしれないですわ。
もちろん、いずれわたくしの街を好き勝手に振り回すらしい危険分子を排除したいという方が大きいのですが。
そろそろ付けましょう?プラネテューヌでは付けられなかった決着を!
さあ呼びなさい、あなたのカオス・リベリオンを!」
そんな理由で付け狙われていたのか、オレとネプテューヌは…!?
オレにはシンクロ次元にあるであろうベールの故郷を襲う理由なんて今のところないし、ネプテューヌも本音としてはそんな事で争いなんてしたくないはずだ。
そういえば、オレの事なんてわからないはずなのに襲ってきたんだ。
『らしい』と伝聞らしき言葉から恐らく第三者から何か吹き込まれたはず。
例えば、ベールに『お前に似た顔の奴は危険だから排除しろ』とか。
自分の故郷を守りたい想いと義務感があり、そこを誰かに付けこまれた可能性があるのかも。
だからといって、そんな理由でおめおめと始末されるのは駄目…柚子たちを残したままなら猶更だ。
もう1つ気になったのが、シンクロ・コアトルに導かれたという発言。
そして、ネプテューヌのカオス・リベリオンを相手として要求している事だ。
召喚法の名を持つこの竜たち…オレのはロブスターだけど、対峙したら何かが起こるのはネプテューヌと相対した時にわかっている。
だから、すごく嫌な予感しかしないんだが。
「いいよ、乗ってあげる。
エンドフェイズに速攻魔法『
わたしの『GH』の融合モンスターが破壊されたターンに発動でき、エクストラデッキからカオス・リベリオンを召喚条件を無視して特殊召喚する!」
「おいばかやめろ」
「だって、こういう時って流れに乗らないといけないのがお約束でしょ?
括目せよ、混沌を断ち切る紫電の一閃!レベル7『
『グオォォォォォォォォッ!!!』
GHカオス・リベリオン・F・シデン:ATK2500
幻風槍ミラージュウィング・S・コアトル:ATK3500→2500
制止もむなしく、ネプテューヌがその誘いに乗る形で自らのエースモンスターを呼び出してしまった。
召喚法の名を持つ2体のモンスターが遂に相まみえてしまったという事は…!
――ドクッ…!
「かはっ……体が、熱い…結局こうなるのかよぉぉぉ…!」
やっぱこうなるのかよ…!
ネプテューヌのカオス・リベリオンにオレのオッドシェルをぶつけたように体が熱く、苦しい…!
いや…その時とは比べ物にならない程だ…!
そして…頭が割れる…!
――シュォォォォォン!!
そして二人の周りを光の柱が包み込んだ!?
眩しい光に目がくらんで、何も見えない…!
そして、光がおさまったところ…信じられない光景がオレの前に繰り広げられていた。
「女神として…あなたはここで破壊する!」
「むしろ、あなたこそここで潰れていただきますわ。」
「ぐ……なんだ…これ?」
二人がこの世のものとは思えない神々しい姿に変身していたのだ。
レオタードのようなボディスーツを身に纏い、背中には無機質な羽を展開している。
そして何より二人とも浮遊しており、体つきも変貌していた。
特にネプテューヌ…オレとあまり変わらない様な体型だったのが身長も高くなり、スタイルもメリハリがある美人…いや、美神と化した。
もうなにがなんだかわからない。
そもそも、デュエル中に変身して意味があるのか?なんて言うのは野暮だろうな。
一方で二人のデュエルを傍観している立場でしかないはずのオレは…!
「う、ぐぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!」
更なる苦痛を感じていた。
頭が、頭が痛い…!割れそうだ!
くそ…このままじゃ……気が狂う…!
「ブラン!?」
「やはり、彼女はこの次元の…!
もっとも彼女自身は何も知らないようですけどね。
こちらとしても長く続けていると気が狂いそうですので、早めに始末を付けたいところですが…!」
この次元のって、まさかオレが…?
「そうはさせない!わたしたちがあの子をこれ以上苦しめる前に早く決着を付ける!
わたしのターン!カオス・リベリオンの効果発動!
1ターンに1度、相手モンスター全ての攻撃力を半分にする!『プラズマ・エクスブレイド』!!」
一方、ネプテューヌはオレが苦しんでいるのが自分たちと2体の竜が相対した事が原因だと察したみたい。
でも駄目、オレに構って勝負を急いでちゃ…!
「でも、その効果はミラージュウィングに通用しない事はわかりきっているはずですわ…ミラージュウィングの効果を発動!
1ターンに1度、レベル5以上のモンスター効果が発動した時、またはレベル5以上のモンスターを対象とするモンスター効果が発動した時、その発動した効果を無効にしデッキに戻す!」
「流石にそうくるわよね…!」
「吹き飛びなさい!『ダイクロイック・ストーム』!!」
――ビュォォォォン!!
「っ…!」
カオス・リベリオンが吹き飛ばされたと同時に苦痛が収まる。
が、今度はとてつもない疲労感に襲われ立ちくらみ…
「はぁ…はぁ……」
――ドサッ!
目の前が真っ暗になった。
――――――
No Side
ブランを襲っていた苦痛はカオス・リベリオンが吹き飛ばされた事で終わりを迎えた。
だが、これで体力が果てたのか、力なく地面に倒れ伏した。
「どうして…しっかりして、ブラン!!」
どうして部外者のはずのブランが突然苦しみだし、倒れたのか理解できないネプテューヌ。
「この期に及んで、他人の心配してる場合かしら?」
「この次元の民間人がわたしたちが争ったせいで倒れたのよ…何とも思わないの?」
ネプテューヌの立場としては無関係な一般人を巻き込んだ責任を感じている
エクシーズ次元に侵略された立場から陰りはあるものの、彼女は本来人当たりが良く優しい性格の持ち主だ。
だが、彼女は大きな見落としがある…ブランもまた召喚法の名を冠したオッドシェルを彼女の前についさっき披露している事を。
「馬鹿げた事を言っているのはあなたの方では?
召喚法の名を持つ竜2体が相対した時に彼女は苦しみだした。
何より、わたくしとネプテューヌと同じ顔をしている。
この事から、彼女の正体は察せますわよね?」
「なっ…まさか!」
そして、ネプテューヌとベール…2人に酷似した顔である事だ。
この事からネプテューヌは察せてしまった…ベールの言いたい事を。
「そのまさかですわ…最初のこの次元に一目見た時から確信していたのよ。
彼女がこの次元の女神である事をね…もっとも未熟もいいところのようですが。」
「だとしても、あの子は…」
「この争いとは無関係と言いたいのでしょうけど、今はそうかもしれない。
ですが、彼女はこの争いの運命からは逃れられない…女神であれば猶更ね。」
「っ…!」
ネプテューヌは何も言い返せなかった。
女神は各々の次元を守護する神様そのものであり、その名に恥じぬ強大な戦力を有している。
各々の最大戦力となりえる程の力を有するが故に、力を狙う者や時には命を狙う不届き者もいるようだ。
だからこそ、その運命からは逃れられないのだ。
「ミラージュウィングの効果は続き、わたくしのフィールドに『ミラージュウィングトークン』(幻竜族・風・星7・攻2500/守0)を特殊召喚しますわ!」
ミラージュウィングトークン:ATK2500
「だけど、この効果は1ターンに1度…なんとか使わせることはできた。
わたしは墓地の『融合』をデッキの一番下に戻し、手札から魔法カード『
フィールドか墓地のモンスターを除外して『
この効果で墓地のスーパー・プラマーとミラクル・スターを除外し融合!
赤き超人と奇跡の星…二つの英雄の心を重ね、絶望に反逆する力と姿を示せ!
融合召喚!括目せよ、混沌を断ち切る紫電の一閃!レベル7『
『グオォォォォォォォォ!!』
GHカオス・リベリオン・F・シデン:ATK2500→3000(スーパープラマー効果)
デュエルが再開すると、先ほどエクストラデッキに戻されたカオス・リベリオンをネプテューヌは再び呼び出した。
再び呼び出す算段があるからこそ、ミラージュウィング効果を使わせるためにわざとカオス・リベリオンの効果を使ったのだ。
だが…2体の竜が再び相対した事で、共鳴を始める。
「がああぁぁぁぁぁぁ!!」
すると、既に倒れたはずのブランが再び苦しみ始めてしまった。
「っ…カオス・リベリオンを相対させるとこうなっちゃうか、さっさと倒しにいかないと…!
スーパー・プラマーの効果で攻撃力を500アップし、ミラクル・スターの効果で2体目のスーパー・プラマーを手札に!
そして、カオス・リベリオン・F・シデンの効果発動!
1ターンに1度、相手モンスター全ての攻撃力を半分にする!『プラズマ・エクスブレイド』!!
ここでネプテューヌは勝負に出る。
しかし、1つ致命的なミスを犯していた。
別に効果を使わなくても攻撃が通れば勝利できる事ではない。
手札にあるマッハ・ヘッジホッグを召喚して融合素材にしなかった事だ。
「それを…封じさせていただきますわ!罠発動『テライディバイド』!」
「なっ…!」
「この効果でエクストラデッキから特殊召喚されたモンスター1体の表示形式を変更し、その効果を無効にしますわ!」
『グオォォォ…』
GHカオス・リベリオン・F・シデン:ATK2500→2000(効果無効)
「しまった…ヘッジホッグの効果で罠耐性を付けておくべきだったというわけね…!」
「勝負を急いで判断ミスしたが故の結果ですわね。」
ネプテューヌが前のターンで手札に加えていたマッハ・ヘッジホッグは相手の場にのみモンスターが存在する場合に特殊召喚できる効果があったのだ。
勝負を急いだが故のプレイングミス。
実力者同士の勝負ではこの一瞬の隙が命取りになる。
「はぁ、はぁ…それでも、わたしは最後までこのデュエルを諦めるわけにはいかない!
カードを1枚伏せてターンエンド。」
「わたくしのターン……はぁ…そろそろ決着と参りましょうか。」
ネプテューヌの伏せを知ってか知らずか、ベールがここで決めに行くつもりのようだ。
お互いに疲労感を感じている事もあるようだが。
「ミラージュウィングトークンをリリースし、速攻魔法『アッサムリンク』を発動!
このターン、風属性のミラージュウィングの攻撃力を1500アップし、貫通効果を得る!」
『グオォォォォォォ!!』
幻風槍ミラージュウィング・S・コアトル:ATK2500→4000(貫通付与)
「なっ…!」
その効果はネプテューヌにとって致命的なものであった。
打点を一気に高めた上で一気に決着を付けられては、ネプテューヌの伏せたカードでは…!
それでも、せめてブランを巻き込まないようにと自らの位置取りを変えていく。
「あなたにはここで果てていただきますわ。
バトル!ミラージュウィング・S・コアトルで守備表示のカオス・リベリオンに貫通攻撃でトドメ!
この一撃で消え去りなさい!『スパイラルブレイク』!!」
――ズバッシャァァァァァァァァァ!!
「あぁぁぁぁぁああ…!!」
ネプテューヌ:LP1400→0
「ネプ子さんが…ログアウトしました…
雲雀や故郷のみんな…ごめん……それと、ブラン…デュエルでみんなを笑顔にしてみせてね……」
女神同士のデュエルが決着。
ネプテューヌが倒れ伏したブランの身を案じるあまり、焦った事での判断ミスが勝敗を分けた結果となった。
攻撃をまともに受けたネプテューヌは後方に大きく吹き飛ばされる。
デュエルディスクに置かれていたカードが1枚飛ばされながら…。
――ドサッ…!
眼を見開いたまま仰向けに倒れてしまった。
――シュオォォォォン…
変身が解けて元のブランと同い年くらいの少女の姿に戻ってしまった。
そして、意識が戻る気配はなく…まるで死んだかのように硬直している。
一方のベールも変身が解除され、息が荒くなっていた。
「はぁ、はぁ…女神同士のデュエルに敗れた以上、暫くは意識が戻る事はないはずですわ。
もっとも、意識が戻る前にトドメを刺す必要がありそうですわね。
ですが、ネプテューヌより先に…あそこにいる彼女を覚醒する前に始末するとしましょうか。」
ベールの前には意識を失った同じ顔の少女が二人。
彼女はその内、ブランの方に目を向け…バイクを向ける。
今のうちにブランを始末するつもりのようだ。
そしてエンジンをかけて発進…
――ピカァァァァァ!!
「!?この光はあの時の…うっ!?」
する事はなかった。
突如として眩しい光に包まれると、近くで倒れていたネプテューヌと共に…ベールの姿が消えてしまったからだ。
「ブレスレットがまた…何がどうなってるの?」
彼女たちが消えたと同時に里久を探していたはずの柊柚子がこの公園に姿を見せる。
この様子だと、ここに来たと同時にブレスレットがまた光りだしたようだ。
そして、彼女はまず地面に落ちていたカードに気が付いた。
「これは、ネプテューヌのカオス・リベリオン…?
どうしてこんなところに落ちているのかはわからないけど…後で返さなきゃ。」
彼女はそれを拾い、とりあえず持っている事にした。
そして、その近くで意識を無くして倒れているブランにようやく気が付いた。
「え?ブラン!?」
急いでブランの下へ駆け寄る柚子。
「どうして、こんなところで倒れているの?
しっかりして!!ブラン!ブラン!!」
鬼気迫る表情で柚子が呼びかけるも、ブランはここで意識を取り戻す事はなかった。
――――――
Side:ロム
前に連絡がきた方は残念ながらターゲットに見つかってしまった故に離脱したと報告が来てしまいました。
今は夜ですが、中々ターゲットの姿を再捕捉できないようですからもう明日に回すしかないようですね。
――PiPi
おや、そう思った矢先に連絡が来たようですね。
「はい、ロムです。」
『実は監視対象だったパーカーワンピの少女が倒れているのを発見しました。』
「本当ですか?」
すると、驚きの報告があがりました。
なんと、探していた少女が見つかったそうです。
しかしながら、意識を無くして倒れているみたいですね。
『意識はないものの辛うじて生きている様子ですが…いかが致しましょうか?』
生きているとわかれば、なによりです。
もしも女神であれば、彼女にはここで死んでもらうわけにはいきませんから。
「そうですね、一先ず彼女の身柄を安全な場所へ運んでください。」
『了解しました、取り急ぎ失礼します。』
これで、異次元の女神と思わしき方とディスクを手中に収める事ができそうです。
この世界の未来のためにも…可能なら別の次元の女神たちとも協力関係は築いた方がいいですから。
――――――
No Side
ある重苦しく壮厳な雰囲気の部屋の一室で二人の男女が王座に佇むスキンヘッドの男…プロフェッサーと呼ばれる男を前に跪いていた。
そしてそのプロフェッサーの重い口が開く。
「まずはこれを見てもらいたい…」
――ピッ!
「これは…シュテルなのか!?」
「まさか、見つかったというの?」
指を鳴らすと同時に壁に映像が映し出されると二人とも驚きの表情になる。
そこに映し出されていたのは…LDSに所属しているはずの光焔ねねの姿だった。
「スタンダードの様子を探らせていた調査員の記憶を調べたところ、行方不明となっていたステラ・スタークと思わしき少女を発見した。
現地では光焔ねねと名乗っているようだが、そこへ流れ着いた際に過去の記憶を失った可能性が考えられる。」
どうやらシュテルもとい『ステラ・スターク』という少女が記憶を失い、光焔ねねとしてスタンダード次元にいるようだ。
仮に本当であれば、雲雀がねねの姿を見て眼の仇にしたのも至極当然であろう。
「そこで、カイト…君にはスタンダードに出向き、彼女と接触してもらう。
そして、何とかして記憶を呼び戻した上でここに連れ戻していただきたい。」
「了解した。」
「必要なものはアヴニールで用意している。
受け取り次第、現地へ向かっていただきたい…頼んだよ。」
「はっ!」
――シュッ!
そのカイトと呼ばれた黒コートの男は任務の内容を聞き、瞬時にこの場を去った。
早速、任務を遂行しに向かったのだろう。
一方、少女の方はこの重苦しい雰囲気の空間でプロフェッサーと二人きりになってしまったが。
表情には出していないものの居心地悪そうな様子である。
「それで、わたしには何をさせるつもり?」
「慌てるな、今度はこれを見てもらいたい。」
そう言うと、映像が切り替わり…今度は何故か柊柚子の姿が映し出される。
「恐らく、彼女が私が探し求めていた第4のピース…名前は柊柚子。」
どうも、柚子はプロフェッサーにとって鍵となる人物らしい。
「連れてきてくれるね?ノワール。」
「…ええ、わかったわ。」
ノワールと呼ばれたブランやネプテューヌなどに酷似した顔の少女は、その任務を渋々そうに了承した。
この任務は身も蓋もない言い方をすれば拉致する事そのものである。
気乗りしないのはまともな感性なら当然であるが、それでも引き受けたのは何かがあるようだ。
いずれにしろ、柚子の身に危険が迫っているようだ。
続く
登場カード補足
融合・効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻2500/守2000
「GHスーパー・プラマー」+「GHミラクル・スター」+「GH」モンスター
このカードは上記カードを融合素材とした融合召喚でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードが融合召喚に成功したターン、このカードは相手の効果を受けない。
(2):このカードは相手の効果では破壊されない。
(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動できる。
そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与え、デッキから「GH」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1000/守2500
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードを融合素材とした融合モンスターは以下の効果を得る。
●この融合召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「GHミラクル・スター」以外のレベル5以上の「GH」モンスター1体を手札に加える。
幻風槍ミラージュウィング
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/幻竜族/攻2500/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「幻風槍ミラージュウィング・S・コアトル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベル5以上のモンスターが効果を発動した場合、またはフィールドのレベル5以上のモンスターがモンスターの効果の対象になった場合に発動できる。
その効果を発動したモンスターの効果を無効にし、持ち主のデッキに戻す。
その後、自分フィールドに「ミラージュウィングトークン」(幻竜族・風・星7・攻2500/守0)1体を特殊召喚する。
風槍獣ホーネット
効果モンスター
星4/風属性/昆虫族/攻1600/守 900
(1):自分の「風槍」モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。
(2):1ターンに1度、自分フィールドの風属性モンスター1体を対象として発動できる。
このカードを手札に戻し、そのモンスターの攻撃力を500アップする。
風槍獣シラサギ
チューナー・効果モンスター
星2/風属性/鳥獣族/攻 800/守1600
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル5以上の「風槍」モンスター1体を対象として発動できる。
自分フィールドの「風槍獣シラサギ」以外の風属性モンスター1体を選んで持ち主の手札に戻し、対象のモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
通常魔法
「GHソウル・フュージョン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の墓地の「融合」1枚をデッキの一番下に戻して発動できる。
自分のフィールド・墓地から、「GH」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「GH」融合モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
速攻魔法
(1):自分フィールドの「GH」融合モンスターが破壊され墓地へ送られたターンに発動できる。
エクストラデッキから「GHカオス・リベリオン・F・シデン」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
アッサムリンク
速攻魔法
(1):自分フィールドの風属性モンスター1体をリリースし、自分フィールドの風属性モンスター1体を対象として発動できる。
このターン、そのモンスターの攻撃力は1500アップし、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
テライディバイド
通常罠
(1):相手フィールドのエクストラデッキから特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更し、その効果を無効にする。